――とてもわかりやすくて、そして、料理って楽しくて健康になるためにとても大切なことなんだ、と思わせてくれる素敵なレッスンでした。
改めて、お教室の内容について教えてください。

奥田さん　ありがとうございます。コンセプトは「家族みんなが健康で笑顔になる料理教室」です。

薬膳・発酵食・食育を取り入れて、健康になれるレシピを月替わりでレッスンしており、大人向けと、キッズクラスがあります。
そのほか、発酵食6回コースなども開催しています。

大人の月替わりレッスンは基本6品を学んでいただきます。
発酵食6回コースは、塩麴、玉ねぎ麹などの発酵食を一人一単位仕込んで持ち帰りができ、それを使い講師が作ったランチとレシピ付きのレッスンです。

旬の野菜からスーパーフードまで簡単においしくヘルシーな料理を学べます

――お教室を始めたのは2011年1月とのこと、長年に渡り月替わりでメニューを考えるのは大変なのでは。どのように決めていますか。

奥田さん　その季節にとるとよい食材や味・調理法などの薬膳的な発想と、旬の食材から決めることが多いです。
また、生徒様の関心の高そうなアンチエイジングや骨粗しょう症予防、話題のスーパーフードなどをテーマにするときもあります。

――女性に嬉しいテーマも多いのですね。また、キッズレッスンもなさっているのは素晴らしいと思います。

奥田さん　子どもたちと食材の色や形、においも確かめながら驚きと発見を一緒に体験できるのは私にとっても嬉しく楽しい時間です。

――料理は様々な学びがあり、生きる力に直結していると思います。子どもの頃から料理をすることで、幅広い知識が身につきますよね。

毎日の食事から健康になる輪

――お教室をはじめたきっかけを教えてください。

奥田さんお客様がいらしておもてなしする機会が多い家だったので、子どものころからよく料理を手伝っていました。
そのせいか、料理もお菓子作りも好きで、今田美奈子先生の子ども向けのレシピ本を見ながら作っては、家族や友人に食べてもらっていました。
学生時代は、深夜にキッチンを占領してお菓子作りをするのが何よりも楽しみでした。

大学は食物学科に進み、食関係ではない仕事につきましたが、結婚後に通った大手料理教室でアシスタントにならないかと声をかけていただいて。
研修や資格を取得して、講師として6年間勤めました。

――そうなのですね。

奥田さん　息子が二人ともアトピーで食事には気を付けていたのですが、親の手が離れても自分の健康を守れるように育てたいと思ったのがきっかけで、武庫川女子大学国際健康開発研究所の家森教授のもとで食育を学び、キッズクッキングの教室を開きました。

その後、2015年に卵巣がんで入院した際に同じ病棟で出会った十数人の友人たちが健康になる料理の教室をしてほしいと言ってくれたことがきっかけで、大人向けの教室もスタートしました。

食で病気予防ができればと、いろいろな情報を調べたり勉強をしていたころ日本四季大学の薬膳と出会い、講師となり薬膳のレッスンをスタートしました。

自身の体験を通じ薬膳に出会い、その経験を多くの人へ。

――お子様やご自身の体験から薬膳に出会われたのですね。
お教室をはじめてみていかがでしたか？

奥田さん　生徒さんはもちろん、食の専門家や食材を取り扱われる方などたくさんの方との出会いがあり、人生が広がったと思います。

生徒さんが、ご家族が美味しいと気に入られておうちの定番になったと言ってくださることや、お仕事や子育てや介護でお忙しい中ここに来ることが私のモチベーションと言っていただけることも多く、お役に立てていると思えることが何より嬉しいです。

また、居合わせた70代の方同士が仲良くなられて、この年になって共通の趣味でこんないい友達ができるとは思わなかったとおっしゃったということもあり、そんなお言葉を聞くと、教室を始めて本当によかったと思います。

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奥田さんのレッスンに集う皆さんの輪が広がることは、毎日の食事から健康につながる人の輪が増えることでもあります。
お教室名のとおり、それを自然体で取り組んでいる奥田さん。
お教室を始めたからこそ生まれたたくさんの出会いへの感謝が、その輪を大きくしていて、それがお教室の居心地のよさやずっと通い続けたい魅力になっているのを感じました。

次回最終回は、教室運営の工夫やこれからの夢をうかがったインタビュー後半をお届けします。どうぞお楽しみに。

インタビュー：窪田みゆき
撮影：伊藤 裕司