ツールを使ってのオンラインレッスン
教える側にも、教わる側にもメリットが大きいオンラインレッスン。「それなら、私もやってみよう」と思われた方も多いのではないでしょうか? とはいえ、実際にレッスンを始めるとなると、「何から始めてよいのかわからない」「どんなソフトを使えばいいの?」といった疑問に頭を悩まされるかもしれません。そんな方のために、ここではオンラインレッスンの開催に役立つ手順などをまとめました。
Zoomを使用して
オンラインレッスンを開催!
~開催の流れ~
そもそもZoomとは?
最近、リモート会議用のソフトとして注目を集めている「Zoom(ズーム)」というビデオ会議アプリをご存じですか? このZoomがあれば、いつでも、どこでも、どんな端末(PC・スマートフォン・タブレット)からでも、レッスンを開催できます。また、このZoomを使えば、複数人が同時に参加できます。
しかも、一般的なWeb会議アプリと比較して、接続が安定している点や、事前準備の簡単さ、参加のしやすさなどが支持されています。また Zoom は、一般的なストリーミング配信などと比較するとプライベートな配信を行うことができるため、既存の会員向けにレッスンを行う場合には最適です。
なお、Zoomの利用自体は基本無料ですが、時間については「3人以上の通話は40分まで」という制約があり、レッスンを開催するには短すぎます。
したがって、オンラインレッスンを目的とするなら、時間に制限のない有料プランを契約して使うべきでしょう。そうすれば、安定した接続などZoomの優れた特性を存分に生かして理想的なオンラインレッスンが運営できます。
有料というとハードルが高いイメージですが、他のビデオ会議アプリと比較するとランニングコスト自体が低く抑えられている点、録画機能などの使い勝手がよいことなどもZoomを使うメリットといえるでしょう。
POINT!Zoom以外にも便利なツールが。
教室の運営スタイルに合ったものを選びましょう!
- どなたにもなじみ深いものといえば、YouTubeでしょう。広いジャンルにわたって動画のチャンネルがあり、登録している視聴者数も多い媒体です。録画したレッスンを配信するYouTubeは、動画編集機能が豊富なので、レッスンの見せ方を思ったように作り上げられることも強み。録画してからの作り込みが可能です。一方、YouTubeでも生配信(Live配信)はできますが、生徒様からの反応はチャットのみになってしまうといったデメリットもあります。そのため、セミナー形式の大規模なレッスンをお考えの場合は、有効に利用できる媒体といえるでしょう。
- Microsoftが提供するSkypeは以前からあり、使い慣れた方もいるツールのひとつ。これまではSkype の連絡先をお互いに把握する必要があるなど、オンラインレッスンに向いたツールとはいえませんでした。しかし、2020年4月に追加されたMeet Now機能により、アカウントの作成やアプリのインストールなしでも利用できるようになりました。なお、zoomと同様に同時に利用できる人数や時間に制限がありますので、その点には注意が必要です。
- 近年利用者が多いSNSのひとつです。スマートフォンやタブレットにインストールされているInstagramアプリから配信できるため、手軽にスタートできる点がメリットでしょう。ただし、スマートフォンやタブレットからの発信になるため、使用する機材は内蔵のカメラやマイクに限られます。パソコンを使った配信には対応していないため、別のソフトと組み合わせるなどの知識が必要になります。
STEP1まずはZoomをインストールしましょう!
配信用のソフト、アプリには様々なものがありますが、やはり今のところ「Zoom」が全般的に使いやすく、オンラインレッスンの配信には最適といえるでしょう。では、このZoomによる配信を行うには具体的にどのような手順をふめばよいのでしょうか。お手持ちの端末がPCなのかスマートフォン・タブレットなのかといった環境面をふまえてご説明します。
- パソコンを
所有しているケース - 専用ソフトをダウンロードしてアカウント登録すれば使えるようになります。なお、パソコンを使用するメリットはいろいろありますが、やはり一番は性能(画質‧音質)に優れた外付けのカメラやマイクが接続可能で、高品質な中継や配信が可能なことでしょう。オンラインレッスンにはスマートフォンやタブレットよりもパソコン+外部機器の利用がより適しています。
- スマートフォン・
タブレットのみ
所有しているケース - ほとんどのスマートフォン・タブレットはカメラ・マイクを内蔵しているため、専用アプリをインストールしてアカウント登録すればZoomを利用できます。しかし、オンラインレッスン配信にはより性能のよい外付けカメラ・マイクを使用したいところ。その意味では、パソコンを使うほうが、より理想的な配信が可能になるといえるでしょう。
STEP2開催するにあたって
必要な機材を揃えましょう
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パソコンの場合
できる限り、新しいモデルを用意しましょう。パソコンの性能やソフトの機能はどんどん進化しております。性能の劣る旧型のパソコンでは動画配信や生徒様とのやりとりで支障がでる可能性があります。 -
スマートフォン/タブレットの場合
オンラインレッスンもスマートフォンやタブレットから配信することもできます。ただし、その場合でも可能な限り最新のモデルを利用するようにしましょう。その他に、サイズが大きいモニターを利用すると、生徒様の表情や様子を見ながらレッスンを進められます。
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カメラ
初めての方には、扱いやすいWebカメラなどがおすすめです。画質にこだわるならビデオカメラが必要ですが、本格的に配信する段階で用意しても問題ありません。その場合は、カメラに加え、キャプチャボードなどのエンコーダーもあわせて必要になりますし、パソコンにつなぐ専門知識や手間がかかってきます。 -
三脚
手元を映すといった、定点での撮影には欠かせません。 -
マイク
パソコン内蔵マイクよりも設置場所や収音方向を自由に変えられる外部マイクが便利です。 -
照明
カメラで映すと、意外と部屋や手元が暗くかったりするもの。それでは生徒様にうまく伝わりません。お料理や作品がきれいに見えるよう、照明を用意しましょう。
STEP3次は開催する場所の通信環境を確認しましょう
オンラインレッスンを配信するには、高速のインターネット回線が必要です。ご契約の通信環境によっては、十分な速度、配信品質が得られないこともあるので注意しましょう。まずは、ご自宅のインターネット回線について、契約内容を確認してみてください。
注意事項
※通信環境の整った、安定した場所で配信するようにしてください。理想は光回線です。最近の家庭ではこうした高速回線が一般的になっているので、通常は不足はないでしょう。なお、携帯端末の4G、LTE回線も通信速度は十分はやくなっていますが、オンラインレッスン配信用に使うと、すぐに通信量の上限に達してしまい、そこからは通信費用が急に高額となるおそれがあります。
STEP4最後のステップ!デモンストレーションを行いましょう!
まず、レッスンのデモンストレーション(デモ)を行う前に、今一度、通信環境に問題がないか、カメラやマイク、三脚など足りない機材はないか再確認するようにしてください。
通信環境や機材のチェックで問題がなければ、いよいよZoomを利用して本番前のデモを行い、配信用の機器設備が正常に作動するか確認します。
デモとはいっても、相手が必要なので親しい方やスタッフに協力いただいて、通信が正常か、コミュニケーションはうまく取れるかチェックしておきます。
そして大切なことは、オンラインレッスンと対面形式との違いを把握することです。「オンラインで行うことで分かりにくいところがないか」や、「実際にオンラインレッスンをすると時間はどれくらいかかかるか」などを事前に確認しておきましょう。
POINT!生配信と録画配信での
それぞれのメリット・デメリット
オンラインレッスンには、生配信(ライブ配信)と録画配信の2種類があります。それぞれのメリット・デメリットとは?
生配信
別名「ライブ配信」とも呼ぶように、生徒様にとって講師の指導やアドバイスをその場で受け取ることができるというメリットがあります。また、講師にとっても生徒様の質問などにその場で回答できるという利点があります。ただ、ライブなのでハプニングやちょっとした失敗は覚悟しておく必要があるかもしれません。
録画配信
すべてあらかじめ決めたシナリオに沿ってレッスンを進められる録画配信は、失敗が少なく撮り直しもできるため、そちらのほうがやりやすいと考える方も多いでしょう。ただし、生徒様の質問にその場で答えることができないというもどかしさはあるかもしれません。
LESSON POINT !
オンラインレッスンを
開催する際の
ポイント!
自宅や好きな場所で、習いごとができる──こうしたことから多くの方がオンラインレッスンに注目しています。その意味で、専門的なスキルやノウハウを持った方にとって、これは大きなチャンスに違いありません。では、実際にオンラインレッスンを開催する際に、気をつけるべきこととは何でしょうか?
- LESSON
POINT01 - レッスン環境について
通信環境のよい場所を選びましょう!
通信環境がわるいと、オンラインレッスンの配信に支障がでてしまうことがあります。安定したオンラインレッスン配信のためにも、Wi-Fiの電波が十分届くようにアンテナを近くに配置するなど、通信環境をととのえる必要があります。
内蔵マイクは使わず、できるだけ外部マイクを使いましょう!
実は、マイクについては見落としがち。内蔵マイクではなく外部マイクを使用することで、音質的にもかなり差が出ます。パソコン内蔵マイクの場合は、マイクへ向けて大きな声で話さないと音を拾いにくいため、集音方向や設置場所を自由に変えられる外部マイクの使用がおすすめです。
カメラは見やすい高さに調節!
カメラは、「生徒様が見やすい」ことを想定して設定することが大切です。カメラの位置を目線の高さに調整する、照明の明るさ、カメラに映る映像の範囲や角度、さまざまなことを考慮しましょう。講師の動作を生徒様に見せる場合は、その動きも想定して設定する必要があります。例えば手元を見せたい場合は、手元にカメラを置くなどの工夫が必要です。
レッスンは静かな場所でおこないましょう!
騒音で聞きにくくならないよう、配信する部屋の環境に配慮しましょう。部屋の内外の音は、意外によく聞こえます。余分な音を拾わないよう気を配りましょう。
- LESSON
POINT02 - レッスンを始める前に
接続方法は事前に生徒様に案内しましょう!
接続方法はソフトやアプリによって異なりますので、生徒様に分かりやすいように案内しましょう。またZoomでは、「待機室機能」、「ミーティングにパスコードをかける」、「参加者登録を事前に行う」、「ミーティングにロックをかける」機能があります。これは、参加者のみが安全に接続できるようにするための機能ですので、このような機能もうまく取り入れましょう。
スムーズなレッスン進行のために、あらかじめ全体の流れを生徒様に伝えておきましょう!
できれば生徒様には、あらかじめレッスンの内容をまとめた資料をお渡しするとよいでしょう。その他には、レッスン受付の案内に注意事項を明記したり、うまく接続できない場合の問い合わせ方法を明記しておいたりする配慮があると、生徒様に安心してもらえますね。
生徒様には、レッスン時に用意していただく物を伝えておきましょう!
配信中に慌てて用意させるようなことがあっては、せっかくのレッスンが中断してしまいます。レッスン前日に再度ご連絡するなど、ご案内方法を工夫しましょう。
生徒様からのリアクション方法を決めておきましょう!
生徒様から質問がある場合、どのように発言してもらうかも重要なことです。例えば、質問をしたい方に手を挙げていただくなどのリアクションをあらかじめ決めておきましょう。
同時に話す人がいるとスムーズに進行できないため、ルールの設定が必要です。
- LESSON
POINT03 - レッスン中について
実際にレッスンを開始してからは、内容が伝わるように、次のことに気をつけましょう。
分かりやすくていねいに伝えることを意識しましょう!
レッスンの内容が生徒様に分かりやすく、無理のない流れになるように組み立てましょう。何か困った表情の生徒様がいないか、生徒様がおこなう作業があるレッスンではどこまでできているかを確認しながら進行する工夫が必要です。
また、生徒様から見える映像の範囲や大きさは限られます。このことをふまえて、分かりやすいように身振り手振りを取り入れた説明や、ゆっくり・はっきりとした口調で話すことも必要になります。
講師自身がどのように映っているか、常に意識しましょう!
表情や動作は画面上でどのように伝わっているかを意識しましょう。
画面では講師の表情や動作が伝わりにくくなるため、どのように映っているかを意識して、明るい表情やハツラツとした雰囲気、レッスンにメリハリがあるかをチェックしましょう。
レッスン中は生徒側のマイクをミュートにしてもらいましょう!
生徒様には、発言時のみ音声のミュートを解除するように伝えましょう。
それにより、複数の生徒様が同時にしゃべることで音声が途切れたり、生徒様のうしろで鳴っている音で講師の声が生徒様に届かなくなったりすることを防げます。
生徒様側の理解も得ながら、スムーズに進行したいですね。
- LESSON
POINT04 - オンラインレッスンは、録画するようにしましょう!
せっかく準備にも時間をかけてきたレッスンです。配信しっぱなしではもったいないとは思いませんか? やはり、配信と同時にレッスンを録画にしておきましょう。ZOOMの有料プランには録画機能があるため、その動画をYouTubeなどで配信すれば新たな生徒獲得も期待できます。
注)録画・録音・写真撮影などをおこなう場合、事前に生徒様に同意を得てください。