イタリアを旅する料理教室
人気雑誌「Mart」(光文社)で、「ユキキーナ」の愛称で創刊号から7年もの間イタリア料理コーナーの連載を持ったほか、雑誌やTV、企業へのレシピ提供など様々なステージで活躍し、教室外のファンも多い前澤さん。
イタリアへ料理留学をした後2001年から開いたという自宅教室は東京駅から電車で約20分、アクセスも便利なJR船橋駅から車で5分ほど。バスも頻繁に通る便利な場所にあります。
ピンポーンとドアチャイムを鳴らすと、イタリアの太陽のように明るい笑顔の前澤さんが迎えてくださいました。
レッスンが行われるのは、使いやすいレイアウトのリビングダイニング。約3年前に、料理教室がしやすいようにリフォームしたそう。真っ白なキッチンが部屋全体を明るくしています。
たっぷりの光が差し込む、明るく開放的な空間
「以前は独立型キッチンで、吊戸棚と窓がある対面型でしたがそれらを取り、キッチンの幅を広げシンク横も広くしてスペースを作りました。ここで生徒さん6人並んで調理できますし、動線も便利で、明るくなりました」
リフォーム前は調理スペースが取れなくて、ダイニングテーブルでレッスンをして、調理終了後テーブルセッティングをしていたそう。今は前もってセッティングもできるし、とても便利になったとのこと。”料理教室をやりやすい工夫”が詰まった、満足のいくキッチンや部屋のリフォームができ生徒さんにも好評だそうです。
すっきりと爽やかなお部屋には、さりげなくイタリアを感じる照明器具や雑貨が。「イタリア料理を学びにきてくださる生徒さんが違和感を感じないように」と統一感を演出。
空間が生み出す雰囲気、それが生徒さんに与える影響まで考えた配慮はさすがです。
レッスン5分前になって、続々と生徒さんがいらっしゃいました。
今日は定員いっぱいの6名での開催です。もう数年通っている方や遠方からお越しの方も。到着後、きゅきゅっとエプロンを付けて、レシピを取ってキッチン周りにスタンバイしていかれます。
「暑かったでしょう~!?赤じそシロップを作ったので、今お出ししますね!」
暑かったこの日、手作りの赤じそシロップを水で割り氷を入れて、キーンと冷たくしてウェルカムドリンクに。他にもジンジャーシロップなど、よく手作りするという前澤さん。ほっと嬉しいおもてなしです。
今日のテーマはカンパーニャ州の家庭料理。早くも期待が高まります
生徒さんが揃ったところで、レシピの説明のスタート。今日学ぶのは、南イタリア・カンパーニャ州のお料理「ブルスケッタ2種」「ソレント風コンキリオーニ」「ピッツア職人風豚肉のソテー」と、ドルチェに「デリツイア・アル・リモーネ(アマルフィのレモンケーキ)」の4種です。ドルチェは、日本ではイタリアンレストランでもなかなか出会えないアマルフィの名物とあって、生徒さんも興味シンシンのよう。
『イタリア料理教室CiaoBambina』では、イタリア各州をテーマに毎月メニューが変わります。レシピは、前澤さんが10年以上に渡りイタリア各地を訪れ続け、その州その州の家庭で直に学んだ愛情たっぷりの”本当のイタリア家庭料理”を、生徒のみなさんがお家で再現しやすいように工夫。身近な材料で作れるようアレンジされている点も人気の秘訣です。
「今日はカンパーニャ州のお料理です。場所はこのあたりで・・」
布製のイタリア地図を取り出し、場所や食文化、歴史、気候風土などの説明から開始されます。
カラフルな地図で場所や食文化、歴史などイタリア情報をたっぷり紹介
料理とは本来、その土地その土地の文化、歴史、気候風土がぎゅっと詰まったもの。20州が集まって一つの国になっている共和国であるイタリアでは、州ごとに食文化が違うといわれているほど。
それぞれの州の家庭で愛されている、いわば”おふくろの味”を伝えたいと思う前澤さんにとって、その料理が生まれた背景やどのように食されているか、そういった情報を伝えることもレッスンには欠かせない重要なこと。
説明を聞いていると、まるではるか距離を超えてイタリアを旅しているような気分になります。目の前に光景が浮かび、これから学ぶメニューがますます楽しみになってきます。
レシピの説明が終了すると、早速調理のスタート!
その模様は次回お届けしますのでどうぞお楽しみに♪
インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=菊池友理
プロフィール
前澤 由希子(まえざわ ゆきこ)さん
『イタリア料理教室CiaoBambina』主宰
OL時代に各種料理学校へ通い調理師免許を取得。結婚後、単身イタリアへ留学し、現地の料理学校の他、家庭の主婦や、リストランテのシェフからイタリア各地の料理を学ぶ。
帰国後、都内のトラットリアで修行した後に『イタリア料理教室CiaoBambina』を開講する。
自宅でのサロンほか、都内の企業ショールームや日伊文化交流サロン「アッティコ」等にて料理教室を開催。雑誌での連載を持つほか、TV等での料理制作、企業での講演等。
著書に「イタリアで家庭料理を学びたい」(白水社)、「晩酌おつまみ・簡単おいしい172品」(コスミック出版)。Mart(光文社)「ユキキーナのイタリアン」2004.10月より7年間連載。
とっておきレシピ
ピッツア職人風豚肉のソテー
材料
豚フィレ肉 300g
タマネギ 1/2個
塩 適量
こしょう 適量
ニンニク 適量
鷹のツメ 適量
小麦粉 適量
オリーブオイル 適量
白ワイン 適量
トマト水煮缶 1缶
モッツアレラ 50g
オレガノ・ケッパー/バジルの葉
作り方
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- トマトソースを作ります。EXVオリーブオイルを大さじ2、ニンニクのみじん切り、種をとったタカのツメを鍋に入れて火にかけ、香りが出たらタマネギ1/2個のみじん切りを入れてしんなりするまで炒め、裏ごしたトマト水煮缶を1缶加えて塩小さじ1/2,黒こしょうをふり15分煮る。
- 豚フィレ肉は厚さ1.5センチ程度にカットし、たたいて薄く伸ばしたものを塩、こしょう、小麦粉を薄くはたいてオリーブオイルで焼き、焼き色がついたら白ワインをふってアルコール分を飛ばす。
- トマトソースを加え、モッツアレラとケッパーをのせてオレガノをふり、フタをしてチーズを溶かし、仕上げにバジルの葉をのせる。
前澤由希子さんの料理留学体験記。
個性あふれるイタリア人相手に悪戦苦闘!楽しいエピソードと愉快な失敗談の数々。
プロローグ 夏の夜はトスカーナの田舎家で
第1章 人生を変えたフィレンツェでの出会い
第2章 はじめの一歩はボローニャから
第3章 シエナで楽しく料理修業
第4章 イタリア人にご用心
第5章 住人は個性派ぞろいのへんてこアパート
第6章 噛めば噛むほど美味しいイタリア
第7章 料理教室開催へ一念発起
エピローグ ゆっくり食卓をかこむ幸せ
私の好きなトスカーナ料理(レシピ)
夫をおいてイタリアへ料理留学した元気な主婦の痛快エッセイ。料理学校でイタリア人教師相手に悪戦苦闘。楽しいエピソード、愉快な失敗談の数々がユーモアあふれる文章で語られる。
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作ってかんたん 食べておいしい!
人気料理家が伝授する172品。
切る→混ぜる→焼く などの見出しと写真を見れば、素早くおいしい一品が完成!
アイデア満載のMEMOで、面白いほど十八番が増えていく。
外で呑む気がしなくなる もう一杯呑みたくなる そんなおつまみを厳選!
晩酌メニューでおもてなし:すぐできるかんたんおつまみをコースメニューとしてご紹介。