予約の取れない自宅教室
~人気レッスンの魅力をレポート~

「Backe分室no.605」Backe晶子(べっか あきこ)さん

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Backe 晶子さん

今月のサロネーゼはBacke晶子さん。1日2組・完全予約制のご自宅カフェ「Backe」も、上野のサロン「Backe分室no.605」の「お教室開業講座」「カフェ☆PAN講座」も、「超」のつく人気ぶり。募集がかかるとすぐ満員になる分室での貴重なレッスンを、Dreamia Clubサポーターと一緒に体験させていただきました。(毎週月曜更新)
 

掲載日: 2010/04/19(月)

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生徒さん全員参加の〝こね〟が終了しました。

「パン生地ならばここから1次発酵に入りますが、ベーグル生地はこの段階で分割してしまいます」 
 説明しながら晶子さん、生地の仕上がりに「うん! いい生地。お餅みたい」と満足そうです。

「普通のパン教室と違って、分割も目分量です。チャッチャとつくるのが一番だと思っているので…(分割している)…ほぅら、断面のキメが細かいでしょ? これがbackeのベーグルの特徴です。
 切り目をかんたんにふさいだら、急いで生地に濡れ布巾をかけ、10分間休ませまーす」

 

ベンチタイム・トーク

生地を休ませているあいだも、講義は続きます。

「ベーグルづくりは粉の配合も工程も、人によっていろいろ。
 今日は、ローランドとアタ、スーパーキングとカメリアと2種類ご紹介しましたが、最強力粉を使わず、一般的な強力粉(カメリアなど)だけでもつくれます。

 イーストも、天然酵母にこだわられる方もいますが、私は手に入りやすいドライイースト。お砂糖もレシピは三温糖ですが、グラニュー糖で大丈夫。お塩も普通。

 こんなアバウトな私ですが(笑)、仕込みのお湯の温度だけは、理科実験で使うみたいなローテクな温度計を使って細かく管理してます。

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それから、ベーグルをゆでるときも、お湯は静かに沸騰させるとか、小さな泡が立つぐらいのお湯でとかお作法がありますが、あとで見ていただきますが、私はグラグラと煮立たったお湯でゆでるのがこだわり。たぶん日本で一人だけです(笑)」

「テキストでも、煮立ったお湯ではゆでないように、と注意点が書かれるぐらいですからねー(笑)」と、結城さんが合いの手を入れます。

「ホホホ。ですから、今日はじめてのお2人は『こういうやり方もあるんだなー』というくらいの感じで、勉強して帰っていただければ!(笑)
 一般的には、一度沸騰したお湯が静かになったところで、というガイドが多いと思います」

 晶子さんはご自分のスタイルを紹介しながら、一般的なつくり方もすかさず補足されるので、ベーグルの知識がグンと増え、お得な気分です。

 

ベーグルの成形と即席!発酵機

そうこうするうちに、ローランドとアタの仕込みが終わり、最初に仕込んだスーパーキングとカメリアのベンチタイム明けが迫ります。
 あと5分ほどのところで、晶子さんは、オーブンの天板(くっつき防止と色味づけのため、天板にのせたシートの表面にコーンミールを振ります)を準備。

 タイマーが鳴って、休んでいた生地を作業台に運ぶ晶子さんの手元を、木村さんと山口さんが興味津々覗き込むと、「そんなにふくらみませんからねー(笑)」と晶子さん。
 イーストの量が少ないベーグルは、ベンチタイムを経ても生地の様子はあまり変わらないそうです。
 ちょっとがっかりした表情の木村さん山口さんを見て、晶子さんは「この感じ、いいですねー。Backeは初心者の方があまりみえないから、子どもみたいにワクワクしていただけるとすごく新鮮!」と微笑まれます。

 再び登場の〝最強ブレッドボード(笑)〟(=まな板)の上で、休んでいた生地をくるりと丸く成形(ここでも、わかりやすく楽しいガイド付き)。太田さん、結城さんの技も見せていただきました! 

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2度目のベンチタイム。ここでも「晶子さん流」にびっくり。
ご家庭でも気軽につくれるように、「特別な器具を使わない」というポリシーにのっとり、ビニール袋(天板が丸ごと入るサイズ)と温度計、そして小さな器に入れたお湯で簡易発酵機をなんと手づくりしてしまったのです。
 お湯の温度を調節して、袋の中を25℃ほどに保ちます。

 手づくりパン教室では発酵機を使うものと思い込んでいたので、このアイデアは意外でしたが、この方法ならば確かに、発酵機がなくてもすぐにベーグルづくりをはじめられます。初心者にはありがたいです。

 

 

おいしくなるとは限らない。だからおもしろい

 

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この状態で、40分ほど(温度湿度によって変わります)生地を寝かせます。

「パンづくりがおもしろいのは、レシピどおりにつくってもおいしくなると限らないところ。私もそこにハマっています。
 お菓子づくりは、分量さえ守れば一定の仕上がりになりますが、パンは分量を守っても『おいしくない…』ということがあり得るんですね。不思議な世界です。

 何度もこねて焼いて失敗して、を繰り返すうちに、思い通りの味がつくれるようになる。そこがパンづくりのおもしろさだと私は思います」

「ベーグルは特に、思い入れのあるパンです。ご覧いただいたように、結城さん、太田さんが成形したベーグルに比べて、私のベーグルは形はきれいではないのだけれど、『だからダメ』とは思わない。味は絶対においしい!と自信をもっています」

 晶子さんにとってパンづくりは、ものづくりの1つ。晶子さんは陶芸や服作りもされるのですが、パンづくりも同じで、「自分で思ったとおりにつくりあげる工程が好き」。

「たとえばベーグルのゆで方も、静かなお湯で裏表30秒ずつという人がいるのは、表面をきれいに仕上げたり、生地が割れないようにするためだったりします。
 でも、極端なことを言うと、私は生地が割れても、好きな食感が得られればそれでOK。

 自分らしいベーグルをつくることが大切なので、自分なりの試行錯誤を経て、今日ご紹介したつくり方に落ち着いたということなんです」と。

 

グラグラ沸騰したお湯で…

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仕込み湯の温度に次ぐ、晶子さんのこだわりは〝ゆで〟です。

「成形してベンチタイムが終わった生地は、ゆでてオーブンで焼きますが、このゆで→焼きの時間を置かないようにするのもこだわりのポイントです。
 そのためには、お湯を沸騰させるのと、オーブンの予熱が整うタイミングを合わせたいの。この段取りはめんどうですがとても大切です。

 仕込みが終わってテレビを見ていたらベンチタイムが終わってしまった!なんていうこともありますから、気をつけてくださいねー(笑)。

 それぞれのご家庭のオーブンが予熱にどのくらいかかるか、それからオーブンのクセ(火力の強弱など)も、あらかじめ把握しておきましょう」

 晶子さんのお話は、ご自分の経験談が惜しげもなく盛り込まれていて、さまざまな情報やノウハウ、そしてパンづくりへの思いがたくさんこもっていました。
 でも残念ながら、ここでは到底書ききれません!

 スーパーキングとカメリアのベンチタイムが終わり、いよいよ〝ゆで〟の作業。

 青いルクルーゼが熱湯をグラグラと煮たたせていますが、「まだまだ!」と晶子さん。
お湯が十分に沸騰したところで、「これは普通じゃないですからね、よい子は真似しないように(笑)」と初心者の木村さん山口さんにもご配慮いただきつつ、ベーグルを2つずつゆでます――というか、湯通しするようなイメージで5秒ほど湯に躍らせて引き上げ、すぐに天板へ。
 残りの2つも同様にゆでて、天板をオーブンに滑り込ませ、「GO!」と焼きに入ります。

 

ボウルとこね台と普通のオーブンレンジで

「ちなみに、この電気オーブンレンジは普通のご家庭用のもの。というか、ご家庭用以下だと思います。2万円以下ですよ」という晶子さんの言葉に「ええ!」とびっくり。

「高性能なオーブンをあえて選ばないのも、皆さんにパンづくりをやっていただきたいから、という私のこだわりです。生徒さんにも『これで焼けたならうちでもできるはず』と思っていただけるでしょう?(笑)」

「非日常的なすてきな設備を使ってレッスンをするサロンもあり。ボウルとこね台があればできるという教室もあり。どちらがいいか?ということではなく、生徒さんが求めるものを選べるように、サロンが展開していくといいな、と思います」

 20分ほどで焼き上がり。
 オーブンを開けると表面をぷっくりとふくらませたベーグルが、こんがり焼けた姿をあらわしました。

「うわぁ!」一同は歓声をあげ、「いい感じに焼きあがりましたね、うん!」と晶子さんも大満足の表情。「やっぱりベーグルはかわいいね!」 それぞれに表情があって本当にかわいらしい。できあがるまでの工程も見てきたので愛おしさもひとしおです。

 

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待ちきれずにふわふわのベーグルを口に放り込みます。

 キメ細かくてしっとり、もちっとした生地を噛むたびに、粉の甘みが口に広がり、焼きたての香りが鼻腔をくすぐって…なんとも幸せな気分。「おいしい!」

「ベーグルは、できたてでふんわり温かいのもおいしいですが、冷め少し締まった状態になるとまたおいしい。
 晶子流の配合とこね方は、冷めたときの独特のギシッとくるような噛み応えがポイントです。冷めてからこそ味わっていただきたいです」

 講義と実習が終わると、しばしおしゃべりの後、レッスン終了となりました。

 次回から、晶子さんにゆっくりお話をうかがうインタビュー編です。

(次回へつづく)

インタビュー=深澤真紀(タクト・プランニング
テキスト=橋中佐和(タクト・プランニング
写真=下村しのぶ

プロフィール

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Backe 晶子(ベッカあきこ)さん

完全予約制の自宅カフェ「Backe」オーナー&お教室プロデューサー。

結婚を機に独学ではじめたパン作りをきっかけにHPを立ち上げ、さまざまなカフェイベントへの参加、レシピ本の出版を経て、 2007年茨城県にある自宅を改装し、1日2組限定、完全予約制のカフェ「Backe」をOPEN。
カフェではじめたパン教室が好評だったため 2009年からは台東区上野にお教室専用のスペース「Backe*分室no.605」を構え、、パン教室にとどまらず「お教室開業講座」「自宅カフェ開業講座」など「好きな事を仕事にしたい」女性に向けての講座を開催中。
 

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Backe分室no.605

晶子さんの「お教室開業講座」「カフェ☆PAN講座」のほかに、8人の先生方による講座が開催されています。詳しくは晶子さんのご自宅カフェBackeのホームページから、「Backe分室no.605について」をクリックしてください!

レッスンをご一緒したお2人のサロン情報です。
太田有羽子さん: 東京・八王子の自宅パン教室「Maman Reve(ママン レーブ)」主宰。
結城なお子さん:東京・調布の自宅パン教室「Atelier705」主宰。

とっておきレシピ

Bache ベーグル(4人分)
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材料

スーパーキング(最強力粉)…200g
カメリヤ…100g
インスタントドライイースト…小さじ1/2
三温糖…大さじ2
塩…小さじ1/2
ぬるま湯(35℃程度)…175cc
三温糖(ゆでる時用)…大さじ2
 

作り方
  1. ボウルに計量した粉をふるい入れ、塩と砂糖をはなしていれる。
    ボウルを傾け、砂糖とそのまわりの粉を軽く混ぜながらくぼみを作り、そこにぬるま湯をそそぎイーストを振り入れ指で溶かすように粉と混ぜ合わせていく。
    ひとまとまりになったら台の上にうつし手のひらに体重をかけて、押しのばすようにしっかりとこねる。
  2. こねあがったら軽く手で押し平たい円にしてスケッパーで4等分する。
  3. 切り口を包み込むように半分に折りさらに半分に折って丸め、表面に張りをもたせてとじめを下にしてしっかりととじる。きつく絞ったぬれ布巾をかけ10分のベンチタイムをとって生地を休ませる。
  4. 生地を台の上に取り出し軽く手で押しガスを抜き、平たい楕円にして三つ折りにして均一の太さになるように転がしながら、約25cmの棒状にする。生地の端と端を合わせてしっかりとめる。
  5. オーブンペーパーを敷いた天板の上に軽く茶こしでコーンミール(分量外)を振り、生地を並べきつく絞ったぬれ布巾をかけ、あたたかい場所で2倍にふくらむまで約35~40分発酵させる。
    (発酵終了時間に合わせて、なべにお湯を沸かして三温糖を溶かしておく。)
  6. ぐらぐらと煮え立ったお湯の中に生地をひとつひとつ入れていき、入れた順にひっくり返し、水気をきって天板に戻す。200度に余熱しておいたオーブンで約20分こんがりと焼き色がつくまで焼く。

 

あっさりミネストローネ(約4人分)
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材料

ブロックのベーコン…100g
えのき…100g
玉ねぎ…1個
にんじん…1本
にんにく…1かけ
キャベツ…1/4個
サラダ油…小さじ1
塩…小さじ1/2

スープ…4カップ
(お湯4カップにコンソメキューブ2個を溶かしたもの)

パルメザンチーズ…適量

作り方
  1. ベーコンとにんじんは1cm角くらいに切り、キャベツは粗いざく切り、玉ねぎとにんにくはみじん切り、えのきは2cmくらいの長さに切っておく。
  2. 鍋にサラダ油を熱しにんにくをこげつかないように炒め香りが出てきたら、ベーコン、玉ねぎ、にんじんを炒め、野菜がしんなりとしたらキャベツとスープを加え、軽く煮込む。
  3. 塩・黒こしょうで味を整えて、仕上げにえのきを入れ、ひと煮たちしたらできあがり。
  4. 器に盛り、お好みでパルメザンチーズをふって食べる。
  5.  
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