「リコズキッチン」主宰 山脇りこさん
インタビュー連載 第2回
今月のサロネーゼは、都内で料理教室『リコズキッチン』を主宰する山脇りこさん。九州の観光旅館で生まれ、四季のしつらえや旬の山海の幸を使った板前さんが作る料理を五感で学びながら育った豊かな経験を活かし、旬を大切にした家庭料理のクラス『旬の教室』と、日本のだしについて基礎から学べる『だしの教室』を開催。ひと工夫もふた工夫もあるワクワクするメニューとセンスの良いスタイリングは評判を呼び、開設2年にして満席が続きます。2冊の著書も好評で、今年1月には3冊目も刊行する山脇さんの人気のレッスンの模様とインタビューを4回にわたりご紹介します。第2回目はレッスンレポート後半です。
掲載日:2013/1/15(火)
作る人も食べる人も癒される”だし”
「では次に鶏団子を作っていきましょう。今日はやげん軟骨を入れます。Yのような形にも注目です。まず7,8ミリくらいの荒みじんに切っていきます。皆さん触ったことがないと思うので、皆さんに切っていただこうかと思います。ちょっとずつですが、全員やってみてくださいね」
ちょっと珍しい食材は、扱い方や購入できる場所などの情報も伝え、なるべく触れてもらいます。
「細かく切るの、結構大変ですね~」
と少し苦戦する生徒さん達に、
「皆さん、素敵なお知らせです。誰が切ったのかわからないので安心してください(笑)。」
「今日は、ふわっふわのお団子に、軟骨の食感があって楽しい、というのがゴールです。スープに落としてお団子がまとまるぎりぎりくらいのゆるさで、作ります。結構ゆるいので、どれくらいか皆さん触って確認してみてください。
今日のスープは一番だしをつかっていますので、あまり煮立たせない方がいいんですね。だいたい80度くらい、熱いコーヒーくらいまであたためて、お団子をおとしていきます。」
楽しく盛り上げながら、やはりどんなときも「なぜそうするのか」を伝えていかれます。
「このゆるさ、覚えておいてくださいね。では2本のスプーンを使って丸めて団子にしていきましょう。皆さん順番で作ってみてくださーい。では、おだしを温めますね」
「だしを引く作業そのものに癒し効果があると思います。作る人も食べる人も癒されます」
一番だしのいい匂いがキッチンいっぱいに広がります。
今回の旬の家庭料理のクラス以外にも、だしの教室を定期的に開いている山脇さん。
2012年9月に出版された2冊目の著書「ほんとうは簡単!かけこみおだし塾」でも、だしの引き方とだしを活かした様々な料理を紹介し、”だしのある暮らし”を提案していらっしゃいます。
だしをとても大切に考え、レッスンでも美味しいおだしを使った料理をご紹介しているそうで、通い始めてからその大切さと美味しさを再認識し、きちんとだしを取るようになったという生徒さんも多数です。
「おだしのいい匂い!」
「おなかがすいてきますね~」
湯気とともに広がるだしの匂いは、自然と皆さんを優しい笑顔にしていくようです。
もっと料理が好きになる知識をたっぷりと
「では次に、海老の下処理をしていきましょう。海老の臭みをしっかり取ってぷりぷりになるやり方をご紹介しますね。海老は血も脂もついていないけど、臭みがありますね。それは・・・」
としっかり説明して、下処理の仕方を実演します。
「まず殻をむいて、今日は背に切れ目を入れてOKなので、切り目を入れて背ワタをとります。次にまず塩でぬめりを取ります。こうやって塩でもんでください。そして流します。水が黒くなってますよね。次に片栗粉をふりかけて全体にからめてから洗い流します。粒子が細かいので、目に見えないゴミも落としてくれます。海老が白くなるのがわかるくらい。自分の顔でやっても、そうはならないんですけどね。ここまでしっかりやってから、いろんな料理につけば臭みはないです。」
「次に今日は海老マヨも海老チリも、油通しをしていきましょう。面倒だと思うかもしれないけど、心に余裕があったらやってください。余裕がなかったら・・・」
と代わりの簡単な方法も紹介します。手を抜いたり、他の方法に変えてもいいところは、必ず簡単な、近道も伝えるようにしているそうです。
合わせて、
「油通しをすると、2つの効果があります。それは・・」
と、ちょっと面倒でもやる意味があることも説明があり、ほんのひと手間で料理の出来上がりが大きく変わることを学びます。
下処理法を丁寧に伝え、珍しい調味料は味見を。料理や食材にもっと関心が高まります
「では海老チリから作っていきます。もう20年くらい前に香港で食べて感動して、シェフに教えてもらったレシピを日本で作りやすいようにアレンジしました。私は甘酒を入れて作りますが酒粕でもいいですよ。
そして調味料の紹介です。トウチや花山椒は皆さんご存じですか?ぜひ味見してみてください。トウチというのは空海が日本に持ってきたのですが・・・」
レシピで使うトウチ、花椒、豆板醤など中華調味料について説明がされ、皆さんで味見を。
「知ってはいるけれど単体の味は知らなかった」「他にはどんな使い方が?」といった声にも山脇さんは丁寧に答え、アレンジも伝えていきます。
「これに加えて、私はいつも自分で作っている調味料がありまして、今日はそれも使います。干しエビを粉砕してお塩と花椒、五粉香をいれてあります。ちょっとつまんでみてくだい。フードプロセッサーにかけるだけで簡単にできて、料理のレパートリーが広がるのでおすすめです」
と、手作りのオリジナル調味料も紹介されると生徒さん達は興味津々にメモを取り、味見をされます。
料理の”なぜ”がわかったり、食材や調味料のことを詳しく知ると、料理にますます関心が高まるよう。レパートリーが広がり料理がもっと好きになる提案や知識が、どんどん提供されていきます。
楽しく作って楽しく試食。笑顔で賑わうテーブル
山脇さんの楽しいお話に盛りあがりながらとても和やかにレッスンは進み、そろそろ全ての料理が出来上がってきました。
「ではみなさん、テーブルコーディネートを変えますのでいったん全部クロスとお花をよけてください。今日はあちらにご用意した器をぜひご自分で選んで用意してくださいね~」
テーブルにはウエルカムテーブルから印象がガラッと変わる、シックなパープルのクロスがひかれました。生徒さんにそれぞれに器のコーディネートを楽しんでセッティングをしていただきます。
器に関しても目利きで、様々なブランドのものや、ひとつひとつ丁寧に作っている作家さんのものを素敵に組み合わせてコーディネートすることでも定評のある山脇さん。レッスンでも生徒さん達に様々な器の個性やぬくもりに触れてもらい、器使いの楽しみを伝えていらっしゃいます。
そして歓声があがったのが、ずらっと並べられた焼酎のビン!毎回試食時は、料理に合う様々なお酒をご用意されるそうですが、今回はこの時期にしか入手できない珍しいものを中心に焼酎を揃えたそう。早速生徒さん達も、「これ飲んでみたいです!」「これ知ってます!」と盛り上がります。
ちょっとしたおもてなしの工夫や、メニュー以外のお料理も伝授。試食タイムは大賑わい!
テーブルに料理が並べられ、好きな焼酎を選び、着席したらさっそく乾杯です!
「カンパーイ!皆さんお疲れ様でした!今日は、今しか手に張らないちょっと珍しい焼酎もご用意しました。ぜひちょっとずつ全部の種類飲んで、飲み比べしてみてくださいね~。
そして今日の私からの和えものは、2種類お出しします。1つは「蕪とディルと梨」、もう1つは「赤キャベツと菊の花」を使ったものです。ぜひ召し上がってみてください。作り方は・・・」
毎回試食時にはレッスンで紹介する料理以外に、山脇さんから皆さんへのプレゼントとして、野菜をたっぷり使った和えものを提供していらっしゃるそう。
「和えものって、野菜がいっぱい食べられて嬉しいですよね。素晴らしい日本のサラダだと思うんです。皆さんにもっともっと和えものを好きになってもらってお家でも作っていただきたいので、毎回メニューとは別に2品ほどお出ししています。和えもの推進委員なんです(笑)」
和えもののイメージが変わるお洒落で美味しい野菜の食べ方を教えてもらえると、生徒さん達も毎回とても楽しみにしていらっしゃるそう。
ここで皆さんに「リコズキッチン」の魅力をうかがってみました。
「近所で通える料理教室を探していて、先生のホームページとブログを見て通い始めました。とにかく毎回楽しくて、レッスン時間があっという間です。通い始めてから、お料理だけでなくテーブルコーディネートにも興味を持つようになりました」
「私もブログを見て楽しそうだな、と思い通い始めました。毎回たくさんの料理の知識やコツを学べるのも嬉しいですが、なによりりこ先生がおもしろくて(笑)。他の生徒さんもいい方ばかりで、通うのが楽しみになっています」
「先生も素敵ですし、お料理もセッティングもセンスが良くて本当に素敵です。習った料理は家でもよく作りますし、テーブルセッティングも先生のアイデアを参考に家でもちょっと真似させてもらっています」
と、山脇さんのユーモアあるお人柄とレッスンの楽しい雰囲気、沢山身につく料理の知識、そして、センスの良いお料理とテーブルコーディネートが学べることも大きな魅力のよう。皆さん終始笑顔で楽しそうなのが印象的です。
「それではこちらもどうぞ~。今日のデザートはフライパンで簡単にできる焼きリンゴです」
さらにはデザートもサーブされ驚いていると、生徒さんが
「先生は”お菓子の先生ではないのでごく簡単なデザートよ”、とおっしゃいますけど、お菓子の先生をされても良いと思うくらい、毎回とても美味しいデザートを出して下さるんです」
と教えて下さいました。
ご実家の旅館で幼い頃から五感で学んできた四季のしつらえと本物の料理がベースとなった、旬の食材を活かしたレシピと季節感のあるコーディネートに加え、奥深い食の知識、おもてなしのアイデアも学べる「リコズキッチン」のレッスン。
「料理は作る人も食べる人も楽しく!」という山脇さんの思いが反映され、一歩教室に入った瞬間からワクワクが始まり、ずっと最後までワクワクが増え続けていくとても素敵なお教室でした。
次回は、教室オープンのきっかけなどを伺ったインタビュー前半をお届けします。どうぞお楽しみに!
生徒さんの声
Aさん
近所で通える料理教室を探していて、先生のホームページとブログを見て通い始めました。とにかく毎回楽しくて、レッスン時間があっという間です。通い始めてから、お料理だけでなくテーブルコーディネートにも興味を持つようになりました。
Bさん
私もブログを見て楽しそうだな、と思い通い始めました。毎回たくさんの料理の知識やコツを学べるのも嬉しいですが、なによりりこ先生がおもしろくて(笑)。他の生徒さんもいい方ばかりで、通うのが楽しみになっています。
Cさん
先生も素敵ですし、お料理もセッティングもセンスが良くて本当に素敵です。習った料理は家でもよく作りますし、テーブルセッティングも先生のアイデアを参考に家でもちょっと真似させてもらっています。
インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=原田圭介
プロフィール
山脇りこさん
『リコズキッチン』主宰
料理家、フードコーディネイター。
『リコズキッチン@代官山』主宰。
九州の観光旅館で生まれ育ち、季節を感じる食材や料理、しつらえをこよなく愛するように。料理は”作る私も楽しい!が大事””大切な人のために♪旬のものを!シンプルに♪”が信条。
著書に『もてなしごはんのネタ帖』『かけこみおだし塾』(ともに講談社)、また1月末には『うちのごはんヒットパレード~予約が取れない料理教室「リコズキッチン」の人気レシピ125』(ソフトバンククリエイティブ)を刊行。
サロン情報
リコズキッチン
旬の食材を使ったシンプルなお料理で、おいしいちょっとステキな毎日へ。
ちょっとしたコツや組み合わせでいつものお料理がぐぐっとあかぬけるポイントに加えて、おいしくなるために、”どうしてこうするのか?”をしっかりお伝えするようにしています。素材の本当の味をお伝えしたいという気持ちから、少し大人の味、な教室かと思います。
このほか、だしの教室を毎月やっています。ほんとうにおいしい、昆布とかつおの出汁をとってみませんか?
クラスでは毎回、お料理に加えて、国内外から、マニアな私がみつけた、おすすめの調味料やリキュール、食材をご紹介、みりんや塩、お味噌などの味見もしていただいています。
ジャンル:
家庭料理、日本料理、イタリアン、ベジタリアン、日本酒、ワイン、おもてなし、テーブルコーディネート
サロン特長:
初心者歓迎、平日開催、夜間開催、土日開催、お友達同士歓迎、男性参加OK、予約制、駅近(徒歩10分以内)、お酒の提供あり
所在地:
東京都渋谷区代官山
ホームページ、ブログ:
ホームページ:http://rikoskitchen.com/
日々のプライベートごはんブログ:http://ameblo.jp/marukinsyokudo/
Facebookページ:http://www.facebook.com/RikosKitchen
レッスン情報:
はじめにメーリングリストにご登録いただき、その方々に教室のご案内を送付しています。ご登録ご希望の方は、next10@carol.ocn.ne.jpまで、メールをご送付ください。 その際、お名前、ご連絡先(お電話番号とご住所)、メーリングリストの送付先アドレスをお知らせください。メール♪お待ちしています。
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とっておきレシピ
「失敗しない さばの味噌炊き」
材料
材料 作りやすい分量 1尾分 4切れ
※20センチの鍋で。・鯖 2枚おろし 1尾分
・小麦粉 大1弱
・油 適量
・酒 カップ1/2 100cc
・みりん 大2
・砂糖 大4 黒砂糖やきび糖(白い砂糖の場合、少しひかえるとよい)
・みそ 大4~5(好みの味噌で、ここでは麦みそ。米味噌の方が一般的に少し塩分強めにしあがります)
・しょうが 40グラム ふたかけ(麺棒などでたたく)
・鷹の爪 半本、種は抜く作り方
- 鯖はそれぞれ2つに切ってさっと流水で血を流し、キッチンペーパーで拭く。4切れにする。これに薄く薄く小麦粉をはたき、中火で焼く。火を通すのではなく無駄な脂を落として、臭みを抜くため。ペーパーで油をふいて、炊く鍋に並べる。
※湯引きで臭み抜きを行う場合:ザルなどにならべて、身のほうから、全体にそっーと熱湯をかけて湯引きする。(皮にかけると皮がはがれてしまう。)
- 1に酒と砂糖、みりん、たたいたしょうがを加えて、中火にかける。オーブンペーパーなどで覆うように落としブタをし、そのまま沸くまで火にかける。5,6分して沸いたら、弱火にし、みそ、鷹の爪を加えて、さらに7,8分炊く。火をとめてそのまま冷まし、食べる前に再び火を入れるとよい。
※青魚は冷たい煮汁から、白身魚は熱い煮汁から、それぞれ煮ます。落としブタは、オーブンペーパーなどの紙蓋が、優しくて機能も果たすのでおすすめです。
書籍
『ほんとうは簡単! かけこみおだし塾』
だしを初めてとる人、だしに自信がない人、だしのとり方を見直したい方のための、おだしの入門書です。本書では、昆布を水につけるだけの「昆布水」、「一番だし」、「めんつゆ」などだしを使った「自家製の合わせ調味料」の作り方とそれらを使ったメニューを多数紹介します。著者 山脇りこ
出版社 講談社
価格 税込1,365円『うちのごはんヒットパレード―予約が取れない料理教室「リコズキッチン」の人気レシピ125 』
家庭料理といえば、何を思い出しますか? から揚げ、ハンバーグ、煮つけ…。答えは人それぞれ。 日本の食卓には、和食から、洋食、中華料理、エスニック料理まで、 さまざまなメニューが並びます。 しかし、一通りの作り方を知っていてもどこかうまくできない、 どうしても献立が単調になりがち、ということも多いはず。 そこで、旅館の娘として育ち、人気の料理教室を主宰する著者が、 繰り返し作ってきた「うちの味」を厳選して披露します。 おうちで食べたくなる、そして、おもてなしにも活用できるレシピが満載です。著者 山脇りこ
出版社 ソフトバンククリエイティブ
価格 税込1,365円 - 鯖はそれぞれ2つに切ってさっと流水で血を流し、キッチンペーパーで拭く。4切れにする。これに薄く薄く小麦粉をはたき、中火で焼く。火を通すのではなく無駄な脂を落として、臭みを抜くため。ペーパーで油をふいて、炊く鍋に並べる。