予約の取れない自宅教室
~人気レッスンの魅力をレポート~

少人数制で気軽にパンづくり

河合香(かわい かおる)さん

河合香(かわい かおる)さん

インタビュー 連載第2回

福岡市にあるK’s Kitchenは、ビジネス街のスタイリッシュなビルの一室にありながら、都会の喧騒を忘れるようなゆったりのどかな時間が流れるパン教室です。その秘密は主宰である河合香さんの、ふんわり柔らかなお人柄にありそう。今月は少人数制が好評のパン教室・K’s Kitchenの応用コースのレポートを織り交ぜながら、河合さんのサロン運営のこだわりをお伺いしていきます。

掲載日: 2010/1/25(月)

◆今月のサロネーゼ◆
今月のサロネーゼは福岡市のパン教室[K’s Kitchen]主宰、河合香さん。少人数で手ごねから焼き上がりまでが楽しめるレッスンが好評です!(毎週月曜更新)

手ごねが終わったら1次発酵に入ります。この時間は発酵機にお任せなので、生地の発酵を待つあいだ、河合さんと生徒さんに少しお話を聞いてみましょう。

「1年は続けよう」と始めて今年で4年

――生徒さんは今、何人ぐらいいらっしゃるのでしょう。

河合 体験コースだけの方もいらっしゃったり、妊婦さんが多いので、出産後にお休みされる方がいらっしゃいますが、延べ人数で80人ぐらいでしょうか。
 少人数制なので月に50回ぐらいのレッスンをさせていただいています。

 最初は生徒さんがなかなか集まらなくて「これじゃ食べていけない…」と不安でした。「採算がとれなくても1年は続けよう」という覚悟ではじめたので、今4年めを迎えられてありがたいなーと皆さんに感謝するばかりです。
 教室をはじめたのが、小麦粉やバターが値上がりした時期で、「パンは買うより家でつくるほうが得」と思われる方が増えたのも幸いでしたね(笑)。

 昼間の時間帯は旦那さんの転勤で福岡に来られている奥さまがよくいらしてくださいます。それから、福岡から県外に転勤されて、妊娠で帰郷されているあいだに通っていただいている方も多いんですよ。

生徒さん 私も大阪に住んでいましたが、今は福岡にきていて。インターネットでK’s Kitchenのホームページにたどり着いて…。

河合 たどり着いて?(笑)

生徒さん 少人数制というところがすごくうれしかったんです。最初は1人でうかがって、ぜいたくにも先生を独占して(笑)、マンツーマンで教えていただいて。こちらでお友だちができてからは一緒に参加させていただいています。自分たちだけのために教えていただけるので、とても特別な時間が過ごせます。
 食パンはホームベーカリーでつくっていますが、1週間に2回くらいはこちらで教えていただいた手ごねの菓子パンをつくります。だからパンを買うことはあまりないですね。

河合 私が手ごねをお教えしているのは、少量だと手ごねのほうがホームベーカリーより早くできるからなんです。ここにいらっしゃる方が1回につくられる量は、だいたいオーブンの天板1枚分ぐらい。ご家庭で食べきれる分だけなら2時間半くらいでできてしまうので。

「手づくりパンが意外に手軽につくれる!」というところが、ご好評いただいているポイントなのかな、と思っています。
 レシピをなるべくかんたんにして、長くても2時間半と、短い時間でできるように工夫しているので、「パンづくりって大変!」という負担感なくつくっていただけるみたいです。
 今日来ていただいている生徒さんみたいに日常的につくり続けられていると、面倒くささもだんだんなくなっていかれるようですし。

 お菓子もそうですが、パンも、たまーにつくると道具や材料を準備するのが大変じゃないですか。「めん棒どこにあったっけ?」「この小麦粉、古くないかしら?」とか(笑)。週に1回、手ごねでつくるというふうにペースができると、パンづくりが生活の一部になって、億劫じゃなくなるんですね。

K’s Kitchenのリラックスタイム

「習いはじめの頃は、教わった感覚を忘れまいと必ず家でもつくっていました」と生徒さんのお1人の言葉に、「しっかり復習してくださって、素晴らしい生徒さんでしょう?(笑)」と河合さんはうれしそうです。

 そうこうするうちに発酵が終了。ぷーっくりとふくらんだ生地の成形に入ります。
 ほんのりと温かいパン生地に触れる生徒さんの表情が、心なしかリラックスしているよう。

 パンづくりは酵母とのコラボレーション。生地を混ぜたり伸ばしたり叩いたり寝かせたり――さまざまな工程で引き出した酵母の力が、生地をぷん!とふくらませる様子を目の当たりにすると、それだけで幸せな達成感を感じます。

 パンの成形処理をしながら、生徒さんはご家族の話や、「このあいだパンをつくって差し上げたら喜ばれました。すごーい、って」とおしゃべり。時折クスクスと笑い声がこぼれるその様子は、森の木陰でティーパーティをしているようで、なんとものどかです。

 パンづくりは、1次発酵、ベンチタイム、2次発酵、焼きと、待ち時間が多いのですが、K’s Kitchenでは、その時間こそが大事なリラックスタイム。応用コースで作ることのできるパンの写真つきレシピがまとまったファイルを見ながら、「次はどれをつくろうかなー」「あ、これおいしそう!」と考えたり。
 河合さんを囲んで過ごす和やかな時間がお目当ての生徒さんもさぞや多いことでしょう。

「気軽さ」を大事にしたい

  河合さんは生徒さんおひとりおひとりに、じっくりゆっくりと、やわら かな言葉づかいで作業のポイントを細やかに説明します。

「私は不器用で、生地を分割するのが苦手なんです」と生徒さんが苦戦していれば、「ここはこんなふうに…」と河合さんはすぐにお手本を見せます。
「わぁ! これだけで全然違いますね」「ね? あ、上手になった! うふふ」

 生徒さんのキャラクターや得手不得手を把握しつつ、的確にアドバイスする河合さん。こんな、生徒さんとの親しい空気感が、河合さんがご自身の教室で大事にしていらっしゃる気軽さにつながっています。

 工程のひとつひとつを愛情もって積み重ねるK’s Kitchen手ごねパンづくりは、味はもちろんおいしいですし、なにより、手仕事の楽しさと、自分でつくったものができあがり味わえる喜び、それを大事な人に食べてもらう喜びもあって、幾重にも楽しめるもの。
 河合さんはそんな手づくりの楽しさへと、生徒さんをやさしく丁寧に、そっと寄り添うように導いていらっしゃいました。

 おしゃべりをしながら、食べ方のアイデアもふくらみます。

河合 カンパーニュは薄く切ってオープンサンドにしたり、シチューやスープに添えたり、バターが入っていないものなので、単体で食べるとのどが詰まるかもしれない(笑)。

生徒さん 少し置いておいたほうがいいですか?

河合 そうですね。焼きたてのアツアツよりも、少しなじんでからのほうがおいしいです。

生徒さん じゃあ、明日食べようかしら。ビーフシチューでもつくって。

河合 わぁ、おいしそう!

 そして、生地はいよいよオーブンへ。
 しばらくしてパンに焼き色がつきはじめると、「ムチムチになってきたねー」「うん、いい感じ!」と、オーブンを覗き込む様子も楽しげです。

(次回へつづく)

企画構成=深澤真紀(タクト・プランニング
テキスト=橋中佐和(タクト・プランニング
インタビュー/写真=宮野友紀子(Dreamia Club)

プロフィール

プロフィール

河合 香(かわいかおる)さん

K’s Kitchen主宰/食育指導士

1966年福岡生まれ。
会社員時代に友人に誘われて行った料理教室で横野律子先生と出会い、
家庭料理の大切さを学び、食に興味を持つようになる。
1994年より横野先生の自宅料理教室に通い始め、
アシスタント等を経験し、現在に至る。
2006年、手ごねパン教室「K’s Kitchen」をOPENさせる。
2007年より「西部ガス香椎教室」にて「初めてのパン作り」講座を担当する。
現在も自宅教室「K’s Kitchen」と「西部ガス香椎教室」にて楽しいパン作りを実践中!

サロン情報

K’s Kitchen
ホームページ、ブログ:
K’s Kitchen HP

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