転機となった先輩サロネーゼとの出会い
◆今月のサロネーゼ◆
今月のサロネーゼは福岡市のパン教室[K’s Kitchen]主宰、河合香さん。少人数で手ごねから焼き上がりまでが楽しめるレッスンが好評です!(毎週月曜更新)
――今回は、河合さんご自身のことを少し伺っていきたいと思います。そもそも、どんなきっかけでパンづくりを始められたのでしょう。
河合 最初にパンをつくったのは、今年で15年通っている横野律子先生のお料理教室「クライネ・ヒュッテ リツコ」のレッスンでした。
そのときにパンづくりに興味をもち、個人でやられている別のパン教室に通ったり、大手のレッスンを受けてみたり、いろいろ勉強しました。
きっかけは「友だちに誘われて」
河合 ただ、パン教室にこだわっているわけではありません。
K’s Kitchenをはじめようと思ったとき、私は物件探しからスタートして、今の場所を見つけたんですね。
賃貸で、スペースもあまり広くないですし、キッチンもつくり付けのものを使うしかないので、お料理教室を始めるのは難しかった。お菓子の教室は器具がたくさん必要なので、これも難しい。それで、教えやすいパンづくりを選んだ、ということなんです。
今後、設備の整った物件にめぐり合えれば、パンとお料理を両方お教えする教室もやってみたいなと思っています。
――河合さんはアシスタント経験もおありになります。
河合 ええ、OL時代にやっていました。土日のイベントだけでしたが7、8年。
「自分の教室ができたらいいなぁ」というぼんやりした憧れはありましたけれど、自分にはできないだろうとも思い込んでいましたから、いざ教室を始めようとなったとき、「アシスタント業にもっと真面目に取り組んでいればよかった!」と思ったこともありました(笑)。
実は私は、あまり食べることに興味がなくて。小さい頃は偏食もあって、食べられないもののほうが多いくらいだったんです。はじめてお料理教室に通ったのも、お友だちに誘われたから、という感じで。
でも、はじめて伺った横野先生のお教室で、お料理はもちろん、先生の暮らしぶりや人柄に「素敵だなぁ」と魅了されて、そこからお料理教室通いをはじめたんです。だから横野先生との出会いは私にとってとても大きなものでしたし、今も先生の存在をずっしりと感じています。
横野先生は今もお教室をされていて、身近にお手本がいるのはとても刺激になるし、幸せなことだと思います。まだまだ教わることばかりで、困ったときに相談にのっていただくこともありますし。とてもありがたい存在ですね。
時間を気にせずくつろげるサロン
――これからは河合さんに憧れてお料理をはじめる生徒さんもいるのでは?
河合 どうでしょう(笑)。
生徒さん 実は私、何かしらお教室ができればいいなと、考えています! 人見知りの私でもK’s Kitchenはとても居心地がいいので、河合先生をお手本に、教えていただいたことでおしゃべりの引き出しを増やしていきたいと思っています。
河合 そう言っていただけるとうれしいですね(笑)。
――拝見していると、河合さんのご指導はとても細やかで、ここまで丁寧に教えていただけるスクールはなかなかなさそうです。
生徒さん 私はとても不器用なんですけれど、先生には本当に優しく教えていただいて。パンづくりも楽しいですが、どちらかというと先生の人柄に惹かれて通い続けている感じです。
なにか習い事をはじめたかったのですが、大きな教室に通うのは抵抗があって。そのときにマンツーマンでパンづくりを教えてくれるところがあると聞いて、それなら!と思って伺ったのが最初でした。
お料理があまり得意ではないので、先生にご迷惑をかけるかな…と心配していたんですが、河合先生はとても丁寧に教えてくださるので、すごく感謝しています。
河合 「ここはどうするんでしたっけ?」とか、「家でつくったらこうなっちゃったんですけど、何が悪かったのかしら?」とか、気軽にいろいろご相談いただいています。
パンづくりは気温や湿度も影響するので、発酵がうまくいかない原因も「これ!」とは断定しにくいんです。そこが難しいし、でも楽しいところですね。
――お教室をやられるうえで、一番大事にされていることはなんでしょう。
河合 生徒さんがあまり時間を気にされずに、ゆったりと過ごしていただけることでしょうか。
K’s Kitchenでも、多い日には1日に3レッスン行いますが、つくっていただいたパンが冷めるあいだは、お茶を飲んでおしゃべりをしていただけるように、レッスン間の時間は余裕をとっています。
生徒さんは、パンづくりを勉強しに来られるわけですが、それだけではなく、少しでもリラックスして楽しい気持ちで帰っていただけたらいいなって思っています。
――お友だちのおうちに気軽に遊びに来るような?
河合 そうですね。「気軽に」というのがとても大事だと思います。パンも日常的に食べるもので、特別なものではないですしね。
大変!でも楽しい、レシピ開発
――サロン開設にあたって、生徒さんはどんなふうに集められたのでしょう。
河合 最初は口コミでした。通っていたお料理教室のお仲間に「パン教室をはじめるのよ」と報告して。特にチラシをつくったりということもしませんでしたが、お料理に興味のある人たちが集まっていたので、情報はずいぶん早く広がりました。
ホームページを立ち上げてからは、知人だけでなく初めてお会いする方も来てくださるようになりましたね。
最初は見ず知らずの方がいきなり「見学に来ました」とベルを鳴らすことがあったり、ちょっぴり怖かったんですけれど、システムを整えて、今までトラブルもなくやってこられました。
――苦心されているのはどんなところでしょう。
河合 うーん…レシピ開発は大変ですね。失敗も多いので、冷凍庫に生地がいっぱい溜まってしまって(笑)。
2ヶ月に1回、特別講座として新しいレシピをご紹介するんですが、レシピが決まるまでは試行錯誤で何度も試作を重ねるので、同じパンをずーっと食べ続けなきゃならないんです。カレーパンのときは特に、部屋に匂いが充満して大変でしたー(笑)
でも、納得のいくレシピが完成するとうれしいものですね。
「先生はパンを買うことはないですよね?」ってよく聞かれますが、いろんなパンを食べてみたいので買いますよ(笑)。自分のオリジナルレシピの参考にもなりますしね。
ということで、河合さんの苦心の末に生まれた、K’s Kitchenのレシピのほんの一部をご紹介いたします。
(次回へつづく)
企画構成=深澤真紀(タクト・プランニング)
テキスト=橋中佐和(タクト・プランニング)
インタビュー/写真=宮野友紀子(Dreamia Club)
プロフィール
河合 香(かわいかおる)さん
K’s Kitchen主宰/食育指導士
1966年福岡生まれ。
会社員時代に友人に誘われて行った料理教室で横野律子先生と出会い、
家庭料理の大切さを学び、食に興味を持つようになる。
1994年より横野先生の自宅料理教室に通い始め、
アシスタント等を経験し、現在に至る。
2006年、手ごねパン教室「K’s Kitchen」をOPENさせる。
2007年より「西部ガス香椎教室」にて「初めてのパン作り」講座を担当する。
現在も自宅教室「K’s Kitchen」と「西部ガス香椎教室」にて楽しいパン作りを実践中!
サロン情報
K’s Kitchen
ホームページ、ブログ:
K’s Kitchen HP
とっておきレシピ
カンパーニュ(Pain de Campagne)
材料
強力粉・・・200g
全粒粉・・・70g
ライ麦粉・・・30g
ドライイースト・・・小さじ1と1/2
砂糖・・・大さじ2/3
塩・・・小さじ2/3
水・・・210~220㏄
強力粉(打粉用)・・・適量
全粒粉(成形用)・・・適量
作り方
- ボウルに強力粉、全粒粉、ライ麦粉の半量とイースト、砂糖を入れ、、仕込み水を加えてよく混ぜる。
- 強力粉、全粒粉、ライ麦粉の残りと塩を加え混ぜ、粉っぽさが無くなったら台の上に出し、手のひらを使ってこねる。
- 生地の表面をきれいにして打粉をふったボウルに戻し、ラップをして1次発酵(40°35分)させる。
- フィンガーテストをする。
- ボウルの中の生地をこぶしで押してガス抜きをする。
- 2分割して生地を丸め直し、キャンバス地とぬれ布巾をかけて10分程生地を休ませる。
- とじめを上にして、まんべんなくガスを抜き、レモン型を作る。
- キャンバス地、ぬれ布巾をかけて2次発酵(40°30分)させる。
- 生地が一回り大きくなったら、霧吹きで水を吹きかけ、全粒粉をふりクープを入れる
- オーブンで焼き(210°22分)、クーラーの上で粗熱をとる。
とっておきレシピ
アップルシナモンディップ
材料
【作りやすい分量】
有塩バター・・・100g
りんご・・・1/2個
グラニュー糖・・・15g
はちみつ・・・小さじ1
シナモン・・・適量
作り方
- りんご1/4はイチョウ切りにしてグラニュー糖を加え軽く火にかけ、冷やしておく。
- 残りの1/4は生のままイチョウ切りにしておく。
- りんごと他の材料全てをフードプロセッサーになめらかになるまでかける。
とっておきレシピ
サーモンとクリームチーズのディップ
材料
クリームチーズ・・・100g
スモークサーモン・・・30g
ディル・・・適宜
レモン汁・・・少々
塩、こしょう・・・少々
作り方
- スモークサーモンは粗みじんに切っておく。
- ディルはみじん切りにしておく。
- 室温に戻したクリームチーズにサーモン、ディル、レモン汁を入れ混ぜ、塩、こしょうで味を調える。