――普段お教室を運営するにあたって、どのような工夫や心がけをしていらっしゃいますか？

青柳さん　私の料理の師匠から学んだことでもありますが、まずは教室に清潔にしておくこと、これがとても大切だと思っています。基本として、布巾・まな板・包丁、この３つを常に清潔にしておくことを学びました。
そして、生徒さんの詮索をしないこと。これも師匠から学びました。

料理においては季節感を大切にしているとお伝えしましたが、ここで学んだあとも生徒さんがおうちで楽しめるように、その季節に長く楽しめる食材を使うなど、食材選びの工夫や、違う季節に作るときの応用の仕方もできるだけお伝えするようにしています。

――食材選びについてのこだわりや目利きについてのお話もとても勉強になりました。

青柳さん　ありがとうございます。例えば今日は新物のひじきをご紹介しましたが、これまで私が出会ってきた食材の中で、美味しい！皆さんに紹介したい！と思うものや、この季節でしかいただけない上質なものを厳選しています。

片栗粉や油といった常備品や調味料も最高のものを伝えたいと思い、できるだけレッスンでたくさんの情報をお伝えするようにしています。
信頼できる生産者さんやお店に出会うことも大切ですね。

「レッスンでは価格の安さではなく、美味しいことを最優先にして食材選びをしています」

――レシピも、「わかりやすい工程でシンプルなのにとても美味しくできる。だから作ってみたくなる」、と生徒さんがおっしゃっていました。

青柳さん　そう言っていただけたらとても嬉しいです。生徒さんのおうちの「我が家の定番料理」を目指しているので、これなら作ってみたい、と思ってもらえるようにレシピも工夫しています。
「大さじ1.5」のように細かくきざむのではなく、「大さじ１」になるようにしたり、食材を無駄なく使いきれるメニューの組み合わせにしたり・・。
いかに手をかけすぎず美味しく、見栄え良くするか、毎回知恵を絞っています。

もう１つ大切にしているのは、料理になにか１つサプライズを加えることです。
それが家庭料理の楽しみでもあると思うのです。
おもてなしのときだけでなく、家族や自分のための普段のごはんにもちょっとしたサプライズがあると、嬉しいですよね。

これからも広がる食の提案

――レッスンの充実度も魅力ですが、この素敵な空間で学べることも魅力です。
キッチンはどんな工夫をしていらっしゃいますか？

青柳さん　キッチンは私にとって職場でもあり、おもちゃ屋さんのようなワクワクする場所でもあります。
キッチンのカウンターをVにして、皆さんに調理過程が見やすいように設計しました。
私が背が高くないのですが、背が高い方も使いやすいよう90センチの高さにしています。
あと、器が多いのですっきりと便利に取り出せる収納にもこだわりました。

「暮らし方もお手本」「この空間に癒される」と、楽しみに通う生徒さんが多数です

――お教室のサイトを拝見しましたが、オンラインレシピにも取り組んでいらっしゃるのですね。

青柳さん　はい、オンラインレッスンは行っていませんが、オンラインレシピを作っています。
人気レシピやおせち料理を、生徒さんやお教室に来れない方も目の前で学んでいるかのように、レシピの中に写真や動画を入れてわかりやすく作っています。
スパイスカレーキットやグラノーラの販売もしているのですが、今後こうしたオンラインレシピやキットを増やしていきたいと思っています。

私の料理が、お嬢様やお嫁さんに受け継がれるようになると嬉しいです。

――お教室を起点に様々な料理の楽しみ方が広がるのは嬉しいですね。
ほかにも、これからの夢や展望はありますか？

青柳さん　60才になり、これまで取り組んできたことをまとめていきたいと思っています。また、シニアの方に料理を伝える機会を増やしていくのが夢です。
やはり食は一生の楽しみ。これからも料理に関わり、料理好きな人を増やしていきたいです。

――食で心豊かになると人生が豊かになりますよね。今日は素敵なお話をありがとうございました。

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生きる根幹である食は、まさに人生の真ん中にあるもの。料理は人生作りともいえそうです。
心豊かになる料理の提案を続けている青柳さんのお話を聞いていると、毎日の食事に感謝するとともにその大切さを再認識しました。
日々を慈しみたくなる、そんな思いに出会えた素敵なお教室でした。

（おわり）

インタビュー：窪田みゆき
撮影：下原田 剛史