Y’s Style主宰 蔵田由貴美(くらた ゆきみ)さん
食卓にも「花のある暮らし」を
「――今日の「花と野菜」の組み合わせはとてもユニークで新鮮でした。食卓にも「花のある暮らし」を提案していらっしゃいますが、日常の食卓におすすめのお花を教えてください。」
蔵田さん まず、料理の邪魔をしないように、香りが強い花は避けた方が良いです。例えば百合やフリージアなど、筒状の花は香りが強いものが多いですね。
色は、パステルカラーや明るい色など、食欲をそそる色合いのものが良いと思います。最近は黒っぽい花もたくさん出てきていて、あえておしゃれに使うという場合もありますが、基本的には、食欲を減退させる黒っぽい花は避けたほうが良いです。
あと高さは、テーブルに着席する人同士の目線 をさえぎらない高さにしてください。
――まずは香り、色、高さですね。
蔵田さん そういった注意点はありますが、お花があると食卓がとても豊かになるので、ぜひ堅苦しく考えず取り入れていただきたいです。
豪華なものや沢山でなくて、ちょっとしたものやほんの少しでも大丈夫。
花器も、お花用に限らず、そば猪口など食器を使ってみてもおもしろいですよ。
――食器を花器にアレンジするのもおもしろそうです。
蔵田さん 家にあるものや身近なものを使い、工夫するのはとても楽しいです。ぜひいろいろ挑戦してみてください。
ティータイムは交流の時間
――レッスン後の、お茶とスイーツを囲むティータイムは実に心豊かな時間ですね。
蔵田さん 今日の作品をテーブルに並べ、眺めながらみんなでお茶をいただくのは、貴重な交流の時間ですね。
レッスンやお花の質問以外にも、いつもいろいろな話題で盛り上がるんですよ。
私も生徒さんからたくさんの情報をいただいています。
――お茶を入れたり片付けたり、生徒さんが気持よく手伝ってくださっていましたが、蔵田さんのキッチンは物が少なくてとてもすっきりしていますね。
蔵田さん キッチンは、生徒さんが「入りやすく手伝いやすい」よう、いつもすっきり片付けておくようにしています。
キッチン以外でも、レッスン中に使う道具などは、生徒さんが開けて良い引き出しを用意しておいて、自由に出し入れしていただけるようにしています。
――なるほど、それもスムーズな運営の工夫のひとつですね。
「私の使命」
――故郷の青森でもレッスンを開催し、そして花雑貨ショップもオープンされたとか。
蔵田さん そうなんです。昨年12月、青森市松原というところにオープンしました。花や資材、プリザーブドフラワーなどの販売をしています。(http://ystyle.jp/shop_info.html)
元々青森で数年来、老舗洋菓子店2階の喫茶店を貸し切って年に3-4回レッスンを開催して、生徒さんも順調に増えていたのですが、青森ではなかなか納得いく花や材料が入手できなくて。
毎回東京から持参していたんです。
3年前に資格が取れるコースも立ち上げ、来年には初の卒業生達が生まれるのですが、その方々から「青森でも良い花や材料を買いたい」という願いを聞くにつれ、私がそれらを揃えたショップを開けば、みなさんのお役に立てるかなと思うようになり、ショップを開こう!と決心しました。
――すごい決心ですね。これまでにショップ運営のご経験があったのでしょうか?
蔵田さん まるっきりなかったです(笑)。
ですが10年間教室運営をする中で、4年前に法人化していたこともあり、これまでのノウハウを生かしていけるだろうと思って。
もちろん大変なこともありますが、東京で得たことや一流の先生から学んだことを伝え、そして資格を持って教えられる人がたくさん生まれて、その方々の活躍の場が広がれば、ひいては青森に貢献できるだろう、それが私の使命かな・・と思っています。
お花を通じて故郷に貢献
――4年前に株式会社化されたのですね。法人化した理由は?
蔵田さん 一言でいえば、これからもずっとこれを仕事にしていきたいと思ったのが理由です。
法人化する前に通った、女性専門の起業塾で出会った人達からの刺激も大きかったですね。
家族は起業に反対したのですが、その時自分のできる範囲で、法人化しました。
仕事の幅も広がりましたし、企業さんからお花やお仕事の依頼をいただく時、法人でないと難しいことが多いですから、やはりやっておいて良かったと思います。
でも、店舗を持つのは法人化以上に信頼をいただける、と言えるかもしれません。
少し前に、青森の女性起業家が集まる団体にも加入させてもらいましたが、ここでもとてもいいご縁をいただいています。
――青森でもお花の楽しみ方を知る方がますます広がりそうですね。
蔵田さん 「花のある暮らし」を広げるとともに、東京と青森、両方の良さを知っていることも活かし、自分のできることで故郷に貢献していきたい、と強く思っています。
レッスンがある日のスケジュール
――青森と東京の往復もあり、ますますご多忙かと思いますが、どのような割合でお仕事をしていますか?
蔵田さん 時間配分的には、東京の自宅でのレッスンが1/4、青森でのレッスンも1/4、青森の店のことが1/4、残りはイベントや講習の依頼、企業からの注文品を制作したり、です。
――レッスンがある日の一日のスケジュールを教えてください。
蔵田さん 普段はこのような感じです。
仕入れがある日は、4:30頃起床、5:30に市場に行き、帰宅後水揚げをしたりしています。
レッスン日と仕入れが重なることは稀にありますが、そんな日は大変です(笑)。
6:30~ 起床・身支度を整える。
7:00~ 朝食準備&朝食
8:00~ 朝食片づけ、掃除、レッスン準備、資材発注など
10:00~13:00頃まで 1回目のレッスン&ティータイム
13:30~ 片づけ、昼食
14:00~17:00 パソコン作業、お店への連絡、注文品の製作、
商品・資材の梱包&荷物出し、翌月以降のレッスン準備など
17:00~18:00 夕食準備
19:00~21:30頃まで 2回目のレッスン&ティータイム
22:00~ 夕食
23:00~ 片づけ、メールチェック、翌日の仕入れ花材の確認(仕入がある日)
24:30 就寝
思い出の品
――お花やサロンにまつわる思い出の品はありますか?
蔵田さん そうですね・・こちらのポトスでしょうか。
大学生だった20歳の頃、300円で買ったんです。それから何度か引越ししても手放さず、いつも傍らにありました。私の歴史を知っているポトスです(笑)。
あとは、2009年に出した、「Y’s Style」のポストカードブック、これはアレンジはもちろんのこと、スタイリングから撮影まですべて自分で手がけたんです。
そして、マミフラワーデザインスクールの本ですね。これは私の原点です。
「夢は諦めなければいつか叶う」
――これからの夢は?
蔵田さん 「花のある暮らし」を提案し続けていくとともに、青森のショップを大きくしたいですね。そして、花を通じて青森に貢献したいです。例えば、青森の郷土品とお花をコラボさせて、それを東京や全国に発信するとか。
それから、通ってくださっている生徒さん達のためにも、私自身ではなく『Y’s Style』をブランド化したいです。
――最後に、先輩として、これからサロンを開きたい人へアドバイスがありましたらお願いします。
蔵田さん 何事も、まずは始めることですね。
「夢は諦めなければいつか叶う」と信じて私も始めたわけですが、まずは始めないと進まないですから(笑)
敷居が高く難しいことのように見えても、またげば敷居は低くなっていく。できない理由を並べて言い訳を言っている間は進まないですよね。
高い敷居を飛び越えてみることと、一度始めたことは継続すること。
それが大事だと思います。
――穏やかなお人柄の中に、しっかりとしたプロ意識と情熱を持ち合わせていらっしゃり素敵です。青森への貢献含め、今後のご活躍がますます楽しみです。
今日はありがとうございました!
蔵田さん こちらこそありがとうございました!
(おわり)
インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=菊池友理
プロフィール
蔵田 由貴美さん
フラワーデザイン教室「Y’s Style」主宰
・ (株)ワイズスタイル 代表取締役
・ フラワーデザイン教室「Y’s Style」主宰
・ 花と雑貨の店「Y’s Style」経営
・ マミフラワーデザインスクール渋谷指定教室責任者
・ ヘアーアートカレッジ木浪学園(青森)講師
・ 八甲田ホテル「ブライダルフラワーコーディネーター」
・ (社)インテリア産業協会 インテリアコーディネーター
・ 国家検定フラワー装飾技能士1級
・ 日本切花装飾普及協会 カットフラワーアドバイザー
・ 日本アロマテラピー協会認定1級
OL時代にフラワーデザインの勉強をスタートし、マミフラワーデザインスクール講師資格を取得。同時に、インテリアやテーブル、カラー、アロマなどの周辺知識を学ぶ。また、パリを度々訪れては、フランスのスタイル・色使い・デザインを学び、現在は東京(自宅サロン)と青森市の2ケ所で、教室を主宰。
2009年、青森市松原に花と雑貨の店「Y’s Style」オープン。