Y’s Style主宰 蔵田由貴美(くらた ゆきみ)さん
生徒さん達が、出来上がった作品を大切そうに抱えてお帰りになったあと、蔵田さんにサロンのこと、開いたきっかけ~工夫していることなどを伺いました。
「Y’s Style」について
――レッスンお疲れさまでした!みなさんとても楽しそうでしたね。
蔵田さん お疲れさまでした~!私が一番楽しんでいるかもしれません(笑)。
――大好きなことを仕事にしていらっしゃるからこそですね。サロンを開いたのはいつごろですか?
蔵田さん 1999年の7月でした。もう10年以上経ちますね~。
――どれくらいの頻度で開催されていますか?
蔵田さん 今はレッスンは、東京では月に5-6回、青森では基本的には月に2日間の開催です。
――どんな生徒さんがいらっしゃいますか?
蔵田さん 本当にいろいろです。主婦の方、OLの方、お子さんをお持ちの方やお料理教室を主宰していらっしゃる方など・・。長く通ってくださる方が多くて、生徒さん同士もとても仲が良いです。
来て下さるきっかけは口コミや紹介がほとんどですが、ホームページを作ってからは、それを見て申し込んでくださる方が増えました。
皆さんとてもいい方々で、私は生徒さんに恵まれているなぁと、いつも感謝しています。
自宅サロンは出会いの場
――「Y’s Style」の特長は?
蔵田さん 生花、プリザーブドフラワーの資格を取れるコースを学んでいただけるほか、フラワーギフトやブライダルブーケのご注文も承っています。
レッスンは、最新のデザインを取り入れ理論と実践に基づいた内容で、生徒さんそれぞれの目的やリズムに合わせたペースで参加していただけます。コースの途中でお仕事や出産のためお休みされて、また戻っていらっしゃる方も結構いらっしゃるんですよ。
あと、これまで私が勉強した、インテリアコーディネート、カラー、アロマテラピー、テーブルコーディネートなど、お花の周辺知識も交えてお伝えするようにしています。
先生との出会い
――もう10年以上も続けていらっしゃるとは素晴らしいですね。オープンに至った道のりを教えてください。
蔵田さん 私の母が花好きで、いつも家に花が飾ってありました。その影響かもしれませんが、私も小さい頃からとにかく花が大好きでした。
故郷の青森から大学に通うために上京して一人暮らしを始めたときも、なによりもまず花を飾りたくて。
といっても学生のときは経済的に余裕がないですから、季節の花を一輪、などささやかなものでしたが、いつも飾っていました。
社会人になって余裕ができて、好きな花を買えるようになったときは嬉しかったですね~。
――以前からお花を習っていらしたのですか?
蔵田さん いえ、大学卒業後、社会人になってから習い始めたんです。
会社にも慣れた頃、どこかスクールに通って本格的にお花を学びたいと思い、しばらく探して迷った末に、フラワーデザインの先生をしている友人のお母さんに習うことにしました。
通うのに片道2時間位かかるので悩んだのですが、その先生は、教えてくださるお花はもちろん、お人柄も暮らしもとにかく素敵で憧れだったので、会社が休みの土曜日に丸一日集中授業をしていただくことにして、通いはじめたんです。
――素晴らしい先生との出会いだったのですね。
蔵田さん 先生からはお花のことに限らず、人生に役立つことをいろいろ教えていただき、本当に感謝しています。先生に出会い学んだことで今の私があると思っています。
――まさに師匠ですね。
蔵田さん その後、27歳の時に結婚することになって退職したのですが、「これからはもっとたくさんの時間学べる!」と思って嬉しかったです(笑)。
先生が本当に素敵な方だったので、漠然と「いつか私もこうしてお花を教えることを仕事にできたらな~」とは思っていましたが、その頃は自分も教える立場になろうとはあまり真剣に考えていませんでした。
「すぐに始めなさい」
蔵田さん でも基礎科、本科、高等科・・と、習い進めるうちに、いつかお教室を開くことを目指していました。
そして講師資格の取得のためインターンをさせていただいていたのですが、「お教室を開いたときに、お花を教えるだけでは弱いだろう」と思ったんです。
そこで、20代は勉強期間にする!と決め、お花周りのこともお伝えできるように、いろいろな知識を得ることにしました。
インターンをしながらインテリアコーディネーターの専門学校に通い、また、以前勤めていた会社のアルバイトもしたり・・と忙しくしていて、駅のホームで倒れたこともありましたが(笑)、インターンを終えた翌年に、晴れて資格を取得しました。
そのとき先生が、「すぐにお教室を始めなさい」とおっしゃったんです。
――倒れるほど頑張ったとは・・すごいです。
蔵田さん (笑)。
先生にそうは言っていただいてもすぐに始める自信がなく悩みましたが、先生の応援もあり、また、主人も理解してくれ、「頑張ってみなよ」と言ってくれて。
それで始める決心をして、その年に開始しました。
――それが今では10年以上続き、東京と青森の2か所で展開していらっしゃるとは、すごいです。
蔵田さん そうですね・・本当に生徒さんのおかげです。
でも実は、こう見えても私は家事が大好きで、主婦 を極めて、例えば栗原はるみさんのような カリスマ主婦 になりたい!と思っていたので、どうしてこうなったのか、いまだに自分でも不思議なんです(笑)。
「いつ来ても新しい学びがある」
――オープン時、集客はどうされましたか?
蔵田さん 幸い、会社時代の友人や知り合いが「習いたい」と言ってくれて、6人でスタートしました。その6人の方がそれぞれお知り合いに広げてくださって・・いつの間にか生徒さんが増えていった感じです。
――長年運営される中で、レッスンの工夫や心がけていることはありますか?
蔵田さん そうですね・・私自身が学び続けることが大事だと思って、今もお花はずっと勉強しています。あと、花材は市場で仕入れていて、なるべく良いお花を生徒さんに提供できるようにしています。
――今も学び続けていらっしゃるのですね。
蔵田さん 実は、教室を始めて丸2年たった頃、ふと「きっとそのうち生徒さんに飽きられるな」って感じたんです。
私自身もいろいろ習いに行っていたのでわかるのですが、2年位たつとだんだん先生の持ちネタがなくなり、また、生徒さんのレベルも上がってくるんです。
生徒さん以上に先生が伸びなかったら、生徒さんに越され「この先生いつも同じパターンね」「これ以上学ぶことはないわ」って思われてしまうわけで。
「あ、私、勉強が足りない!」と思って、フランスに頻繁に行くようにしてデザインの勉強をしたり、テーブルコーディネートなど、お花周りのこともまた新たにどんどん学びました。
今も、フランス人のお花の先生の元で一流のデザインを学び続けています。
生徒さんに「いつ来ても新しい学びがある」って思っていただきたいんです。
――なるほど・・。学び続ける姿勢が長年生徒さんに支持される秘訣かもしれませんね。
通いたくなる工夫と努力
蔵田さん あと、どうしたら生徒さんに「また行きたい」「通いたい」と思っていただけるかを、いつも考えるようにしています。
例えば、講習会などで次回のご案内をお送りする時に 、前回の作品のお写真を一緒にお送りして思い出していただけるようにしたり・・。
花材も、最初の頃は花屋で購入していましたが、生徒さんにより質の高いお花をお出ししたいと思って、市場で仕入れができるように頑張りました。・・実は結構大変だったのですが(笑)。
――今日の生徒さんが、「毎回、長持ちする良い花材を使って学べ、とてもリーズナブルな上に、お茶とケーキまでいただいて申し訳ないくらい」とおっしゃってました。
蔵田さん いえいえ、申し訳ないなんてとんでもないです(笑)。
今日のコースのレッスン料は5,500円ですが、「良い花屋で5,000円くらいの花を頼むのと同じようなものを、レッスンで学べたな」と満足してもらえる設定を心がけています。
生徒さんには、費用対効果を感じていただけるようにしたいですし、サロンもショップも「顧客満足」ということをいつも考えています。
大好きなお花を教える仕事をし、いきいきと輝いていらっしゃる蔵田さん。
生徒さんの「満足」を追求し続けている姿勢に高いプロ意識を感じました。
次回は、故郷・青森でのご活躍やショップのこと、そしてサロンを通じてお伝えしたいことなど、インタビューの続きをお届けします。
インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=菊池友理
プロフィール
蔵田 由貴美さん
フラワーデザイン教室「Y’s Style」主宰
・ (株)ワイズスタイル 代表取締役
・ フラワーデザイン教室「Y’s Style」主宰
・ 花と雑貨の店「Y’s Style」経営
・ マミフラワーデザインスクール渋谷指定教室責任者
・ ヘアーアートカレッジ木浪学園(青森)講師
・ 八甲田ホテル「ブライダルフラワーコーディネーター」
・ (社)インテリア産業協会 インテリアコーディネーター
・ 国家検定フラワー装飾技能士1級
・ 日本切花装飾普及協会 カットフラワーアドバイザー
・ 日本アロマテラピー協会認定1級
OL時代にフラワーデザインの勉強をスタートし、マミフラワーデザインスクール講師資格を取得。同時に、インテリアやテーブル、カラー、アロマなどの周辺知識を学ぶ。また、パリを度々訪れては、フランスのスタイル・色使い・デザインを学び、現在は東京(自宅サロン)と青森市の2ケ所で、教室を主宰。
2009年、青森市松原に花と雑貨の店「Y’s Style」オープン。