「しあわせパン教室 ブラウニー」主宰 小笹友実さん
生徒さんの声に応えて様々なレッスンも
――お疲れ様でした!たくさんお伺いしたいのですが、まずは『しあわせパン教室プラウニー』のレッスン情報やコンセプトについて教えてください。
小笹さん はい、レッスンは金土日をメインに月に13~15回ほど開催しています。 自家製天然酵母パンをお教えしていて、自家採取した天然酵母で作るパン作りをご自宅でも楽しんでいただけるように、 丁寧にレッスンさせていただいています。
コースはレギュラーコースとアドバンストコースの2つがあり、まずはレギュラーコースで基本のレーズン酵母の扱いに慣れていただき、基本生地を使ったラムレーズンのパンやベーグル、クロワッサンなどの必須メニューを作り、その後食パンやカンパーニュなどお好きなメニューを選択して学んでいただきます。
そしてアドバンストコースに進んでいただき、レーズン酵母以外のさまざまな酵母を起こすことを学んでいただき、毎回2種類のパンを作ります。例えば、去年(2012年)の3月はいちご酵母で食パン、酒種で揚げパンを、7月はローズマリー酵母でフォカッチャ、バナナ酵母でカレンズとオレンジのパンなどを作りました。12月にはレーズン種で栗のシュトーレンとパネトーネを作るなど、季節のパンも取り入れています。
最近では単発レッスンをご希望される方も多いので、そういったレッスンを組み入れたり、ここでうまく作れても家でうまく作れないという方や、理論的なことをきちんと勉強したいという方の声に応えて企画する講座も月に1,2回開催しています。
生徒さんのリクエストに応え単発講座や製パン理論の講座など様々なレッスンを開催
――今日はちょうどその特別講座だったのですね。
レッスンではパンと一緒に毎回「おまけのひと品作り」や、ボリュームいっぱいのランチ付なのも嬉しいですね。
小笹さん パンはどうしても発酵時間が長くかかるので、その間も楽しんでいただけるようにと思って、お菓子やサイドメニューなど、凝ったものや特別なものでなく簡単なものですがひと品作っています。
実は私、元々話がすごい苦手なんです。最初の頃、発酵を待ってる間にしーんとなってしまうのが耐えられなくて、苦し紛れにはじめたんです(笑)。
――いえいえ、お話もとても楽しいですし説明も非常にわかりやすくてとてもお話が苦手とは思えません。でも生徒さんにとっては盛りだくさんの内容ででとても嬉しいと思います。
小笹さん そうですね、しゃべっているよりそのほうがお得なので喜んでいただいているようです(笑)。 ランチをお出しするようになったのは、「天然酵母のパンってどんなものかわからない、先生が焼いたのを食べてみたい」というお声にお応えして、じゃあ私が焼いたものをランチにお出しして食べてもらおう、ということでスタートしました。
お出ししてみると、皆さんどんどん召し上がって、出しても出しても食べてくださるんです。こうなったら「皆さんのおなかがふくれて食べきれないほど出そう!」と思って、毎回増え続けています。
――それも嬉しいですよね。先生お手製のパンに加えてサラダやスープもあって、充実のランチはレッスンのお楽しみだと思います。生徒さんの声にどんどん応えていかれるのも素晴らしいです。
パリで決心!教室開設のきっかけ
――レッスンは和気あいあいでとても楽しい雰囲気でしたが、お教室ではどんな生徒さんが多いですか?
小笹さん 30~40代の主婦の方のほか、土日はOLさんも多いです。あと最近は、初めてパン作りをするという定年退職した60才すぎの方も増えています。皆さんホームページを見てきてくださるようです。
――幅広い生徒さんがいらっしゃるのですね。ところでお教室名、とても可愛いですね。
小笹さん ありがとうございます、ブラウニーというのは素朴な焼き菓子のことですが、デンマークで言い伝えられている妖精の名前でもあります。家事を手伝い、その家に幸福をもたらす妖精だそうです。パンを通して小さな幸せが運べればいいなと思って名づけました。
パリでパンのおいしさに感動。子供の頃の夢に向き合い、思い切って人生の転換を
――2004年にお教室をはじめたそうですが、きっかけを教えてください。
小笹さん 元々30歳前まで会社勤めをしていたのですが、出張で年に1度パリに行く仕事でした。パリではどこで食べてもパンがすごくおいしくてすっかり感動してしまいまして、出張先で会社をやめてパン屋になろう!と思ったんです。
――えっ!それまでパン作りのご経験は?
小笹さん それが全くなくて、帰国して友人に「私、パン屋になるから!」と言ったらびっくりされました(笑)。そこで、まずはパンが作れるようにならなくては、とパン教室に通いはじめました。
でも振り返ると、子供のときパン屋さんの甘いいいにおいが大好きで「いつかパン屋さんになりたい」と思っていました。それをパリで思い出したんですね。それで「あ、やらなきゃ!」と。
そこでまずは仕事をしながらパン教室に通い始めたのですが、そのとき偶然たどりついたのが天然酵母との最初の出会いでした。なかなかうまくいかず、厳しい先生ということもあってやめるにやめられずずっと続けていたのですが、日々の酵母の世話が結構手間がかり、パンのこと・家事・仕事の全てをこなすがのがだんだん体力的に厳しくなっていきました。
どれかひとつ削らなければまわらないな・・・と思っていたときに先生が、「もう仕事をやめてパンの道に進んだら?」とアドバイスしてくださって。 いろいろ考えて、仕事をやめてパン工房にしばらく勤めました。
パンのこと、教室運営、全てに誠実に
――その後ご自宅でパン教室を開催されたのですね。
小笹さん はい。パン屋の経営も考えましたが、就業していたパン屋さんのオーナーに、結婚していることもあり、「女性が家庭を持ちながらパン屋としてちゃんと収入を得ることはすごく難しい。家庭を犠牲にすることも多いので、パン教室を開くのが良いと思う」とすすめられたことがきっかけになり、準備をして2004年に教室を立ち上げ、今にいたっています。
――立ち上げのときは集客にご苦労されませんでしたか?
小笹さん 最初のうちはたまたま天然酵母ブームの時期とかぶっていたので、わりとスムーズに生徒さんがおこしくださいました。
でも私自身が教室の運営に慣れてないとか運営が頼りない部分が多かったと思うのですが、キャンセルが出たり、お申し込みにつながらなかったこともよくありました。夏場になるとパンはどうしても売り上げが落ちますし、そういったことで運営的に悩んだことは結構ありました。
この2,3年でやっと、8月はどうしても需要が少なくて12月にはたくさん通っていただけることなども含めて運営の計画が組めるようになった感じです。
「自宅教室運営が職業として認められるようにしていきたいと思っています」
――お教室運営にきっちり誠実に向き合っていらして素晴らしいですね。
小笹さん 実は会社をやめるときに、まわりのみんなに「アホやなぁ、このまま続けていたら課長くらいにはなれたんちゃう?」と言われたのですが、きちんと収益をあげて、自宅教室運営が職業として認められるようにしていきたいと思っています。
実際にお教室をはじめると会社勤めに比べたらガクっと収入は減ってしまいますし、労働時間も多くなりますが、でも自分で全て責任を持つわけですから、とてもやりがいがあり、やはり教室を始めてよかったなと思います。
常に生徒さんの声に応えて進化し、また、生徒さんにきっちりご満足いただけるレッスンを提供するために日々見えない努力を重ねている小笹さん。パンのこと、お教室のこと、全てに真摯に向き合う姿勢が、予約が取れないほどの人気教室に成長した理由なのかもしれません。
次回は、お教室運営に込めている思いなどうかがったインタビュー後半をお届けします。どうぞお楽しみに!
インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=伊藤裕司
プロフィール
小笹友実さん
『自家製酵母のしあわせパン教室ブラウニー』主宰
会社員時代に出張先のパリでパンのおいしさに感動し、そのおいしさを自分でも作りたいと思い、パン作りの道に入りました。その後偶然に出会った天然酵母パンのおいしさ、楽しさに魅了され、天然酵母パン工房で就業の後、自宅教室を主宰。現在は自家製酵母のパン作りに特化した教室を運営しています。
家庭でもきちんとおいしくパン作りをできるよう、製パン理論にも重点をおいたレッスンを心がけています。生徒様は関東や九州、四国、遠くは海外からもお通いくださっています。
サロン情報
自家製天然酵母のしあわせパン教室ブラウニー
たくさんの方に天然酵母のパン作りの楽しさを知っていただきたくて教室をはじめました。
同じレシピを使っても、作る方によって味、風味がまったく違ってくるパン作りは
酵母を育てるところから本当にわくわくと楽しく
毎朝、酵母にも「おはよう」と声をかけてあげて一日がはじまる、まさに「子育て」のような感覚です。
じっくり発酵時間もとりますので、レッスン中は日頃の忙しさを少しわすれ、のんびり楽しく過ごしていただき、自分にも時間のプレゼントをしてあげてください。
ジャンル:
パン
サロン特長:
初心者歓迎、平日開催、土日開催、お友達同士歓迎、体験教室あり、予約制
所在地:
大阪府吹田市
ホームページ、ブログ:
ホームページ:http://www.happybrownie.net/
レッスン情報:
パンの発酵時間を利用して、パンによくあうサイドメニューのご紹介をしています
とっておきレシピ
「イングリッシュ・マフィン」
材料
・強力粉(春よ恋) 150g
・レーズン酵母中種 60g
・水 100g
・バター 10g
・粗糖 4g
・塩 3g
・コーングリッツ 適量
計量する
- ボウルに小麦粉、塩、粗糖を入れる。
- パン種をラップにとる。
- 水、バターをはかる。
作り方
- こねる:小麦粉→水→パン種→バターの順番にいれ、菊ごねする。やや柔らかめに
- 一次発酵:28℃ 3.5時間
- 分割:65gに分割しゆるめに丸める
- 成型:手で軽く広げ、コーングリッツをまぶしつける
- 二次発酵:型に入れ28℃ 1.5時間
- 焼成:軽く霧を吹き天板をかぶでガス180℃、電気200℃で13分