「温石会」主宰 入江 亮子さん
いかに効率よく美味しい食事を提供するか
――茶事や懐石など、今まで触れる機会が少なかったのですが、こういう世界があるのだなと、世界観や技術などにとても興味を持ちました。
入江さんはお教室を始める前に、お茶や日本料理を学んだ後、日本料理屋などでもサービスや調理の修業をされたとのことですが、小さい頃からお料理に興味があったのですか。
料理屋でないと知らないようなコツなどをレッスンに盛り込んでいるそうです
入江さん 実はお料理は昔も今もあまり好きではないです。
レッスンの時に生徒さんと一緒に試食する以外は、365日外食しています。
小さい頃、母は体調を崩しがちで、料理も苦手でした。 そのためお弁当を作ってもらえず、渡されたお金でパンを買って済ませたりしていました。 子供ながらにそれが恥ずかしく、親が作ったことにして、幼稚園の頃から自分でお弁当を作っていました。
どちらかというと生きるために料理を覚えたという感じです。
料理は、作ることよりもオペレーションが好きなんです。
茶事で出す懐石は、料理の出来上がったタイミングではなく、お客様のお召し上がりのタイミングで冷たいものは冷たく、温かいものは温かく提供していきます。何から作っていくか、どうしたら効率的に美味しいものをベストな温度で提供できるかなど、段取りを考えることが重要で、料理を作ることは好きでもないのに、このベストな状態で料理を出すという仕事にはまってしまい、現在に至ります。
――お料理はタイミングや温度なども重要ですよね。 作る楽しさよりオペレーションに魅力を感じたのですね。
日本料理の基礎がしっかりつくカリキュラム
――2005年からお教室を始めたきっかけを教えてもらえますか。
鎌倉の古民家を借りて精進料理のお教室を行っています
入江さん 茶事で懐石料理を作っていた時、参加された方から料理を教えて欲しいと要望があったのがきっかけでした。
自分も料理教室に通ったことがありましたので、教室運営とはどんなものかはわかっていましたし、始める前に人気教室に何件か参加して、自分で取り入れてみようという部分を勉強しました。
――温石会では懐石・精進料理・茶懐石・日本酒講座など幅広いコースがありますが、
茶事や懐石に初めて興味を持たれた方は、「和食きほんのき」コースから始めるのがおススメですか?
入江さん そうですね。どんなものでも基礎は非常に重要なので本当は「和食きほんのき」から学んでいただきたいですが、お料理の経験があるなら、レギュラーやその他のコースでもいいかと思います。 ※現在「和食きほんのき」コースはキャンセル待ち。
以前はレギュラーコースだけでしたが、レッスンを行っていくうちに、出汁の取り方や魚の裁き方など、基本を知らない・知りたいと思っている生徒さんが多いことに気づきまして、4年前から「和食きほんのき」を新設しました。 日本料理の基礎力がしっかり身に付きます。
――通われている生徒さんはどんな方が多いですか。
入江さん お茶を習われている方が半分くらいいらっしゃいます。そのほか、手間暇惜しまない、本格的な日本料理を習いたい方や、料理の先生なども通われています。
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人気の料理教室の先生にお会いするたびに、
料理を学んでいるときから、教室運営方法、人気のポイントなどに気づく着眼点が鋭く、自分自身の強みなどもしっかり認識している方が多いと感じました。
自分を客観視し、分析して、柔軟に良い所を常に取り入れて成長していくことは、
人気教室運営者に必要なスキルの一つなのかなと感じました。
次回はインタビュー後半をお届けします。
(次回へつづく)
インタビュー・テキスト=佐藤恵美
写真=原田圭介
プロフィール
茶懐石・精進料理・日本酒などわが国古来の伝統食文化を伝承する温石会を主催。
茶懐石出張料理、カルチャースクール・公共施設などでの料理教室、日本酒教室のほか、地方の特産品の開発、和食店メニュー開発など多岐に渡り活躍中。
サロン情報
温石会
主宰が修行先で学んだ家庭でも生かせるプロの段取りや下ごしらえのコツなどのほか、出汁の引き方、米の研ぎ方なども基礎からしっかりと学べます。
ジャンル:
家庭料理、日本料理、ベジタリアン、和菓子、日本酒、茶道、そば打ち
サロン特長:
平日開催、土日開催、少人数制(6人以下)、予約制、各種イベントあり、お酒の提供あり
所在地:
神奈川県横浜市中区海岸通