『boa mesa』主宰 若林三弥子さん
『boa mesa』について
───おつかれさまでした!楽しくてとても充実したレッスンでしたね。
たくさんお伺いしたいのですが、まずは、『boa mesa』のコンセプトや特徴について教えてください。
若林さん はい、『boa mesa』とは、夫の駐在で4年間滞在したブラジルの言葉で「素敵な食卓」という意味なんです。
レッスンメニューは3ヶ月ごとに1回変わります。毎回テーマを決め、蒸しいためを中心にした季節のおもてなし料理と、それに合わせたテーブルコーディネートをご紹介しています。
部屋のしつらえも毎回がらっと変えて、月曜日から土曜日まで8名様をお迎えして、ほぼ毎日開催しています。
TVやラジオを始め幅広い活動の中でも、「私のメインはボアメーザのレッスンです」
───以前、このコーナーの第5回にご登場いただきました。その時は1レッスン6名様、メニューが変わるのは2ヶ月ごとでしたが、大幅に生徒さんが増え、それに伴い変更されたとか。
若林さん はい、最初はひと月に1度お越し頂いていたのですが、ほぼ毎日開催してもひと月にはおさまらないようになり、思いきってクラスをふた月に分け、ふた月に1度お越しいただくようにしていました。
ですがそれでも沢山の方がキャンセル待ちをしてくださっていて・・お待たせするのがとても申し訳なくて、テーブルを一回り大きいものに買い替えて、1回のレッスンに8名様にお越しいただけるようにしました。
また、なるべく沢山の方にお越しいただけるようにメニューを3ヶ月ごとに変更し、今は3ヶ月に1度お越しいただいています。
24人の生徒さんからスタート。家族の協力で今がある
───ますます生徒さんは増え続け、現在通う方は470名以上。キャンセル待ちも500名を越え、素晴らしいサロンに成長されました。47歳から始めたとのことですが、きっかけを教えてください。
若林さん 主人の駐在が終わり帰国したあと、しばらくは隣に住む夫の叔母の介護をしていました。叔母は独身だったのですが、ずっと主人を息子のように可愛がってくれてくれた人です。
隣ではありましたが、だんだん夜も心配になってきたので、この家に来てもらい一緒に住んで介護をしました。とてもいい人で・・その後入院してから亡くなるまでこの家に戻ることはなかったのですが、いつも私に感謝の言葉をかけてくれました・・。
その介護もひと段落したあと、もう子供たちの手も離れていましたので、「何かを始めたい」と思ったんですね。
外に働きに行こうかと家族に相談すると、「うーん、収入より支出の方が多くなることは目に見えている」と却下され(笑)、それなら家でできることは・・と考えて、これまで培った25年間の主婦業と、海外で年間200日以上、夫の取引先の方や出張してきた方、知人、友人などを全て一人でもてなしてきた経験を生かして、自宅でおもてなし料理のお教室をやりたい、と思ったんです。
これには家族も大賛成してくれました。そして準備をして、2005年にはじめました
「子供たちが巣立っていった今、夫がとても協力してくれています。本当に感謝しています」
───集客はどうされましたか?
若林さん 最初はママ友達などに声をかけて、6人ずつ4クラス、24人からスタートしました。
当時大学生だった息子が名刺やフライヤーを作ってくれたので、それぞれ500枚ずつ用意して、行く先々で会った方にお渡して半月で全て配り終えました。タクシーに乗ればタクシーの運転手さんにも渡していましたね(笑)。
500枚を配る、というのは私の決意の表れでもあり、やると決めた以上はなんとしてでもやる、という強い思いがありました。ただ、フライヤーを見て申し込んでくださったのは1名だけでしたが・・。
そうそう、そのとき息子がライトグリーンで作ってくれたことから、この色をボアメーザのテーマカラーにしたんです。
でもいざレッスンを初めてみると、想像以上にやることがたくさん!もちろん主婦ですから、家のこともしなければなりません。夫や長女も掃除やゴミ捨てを手伝ってくれ、突然仕事を始めた専業主婦だった私を家族全員でバックアップしてくれました。そのおかげで今があります。家族には本当に感謝しています。
これまでの経験がプロとしての自覚に
若林さん 正直なところ、最初は、自分のスキルでやっていけるのだろうかと不安もありました。ですが、その24人の方が次々にお友達を紹介してくださり、あっという間に生徒さんが増えました。
一番嬉しかったのは、オープン前にママ友達に協力してもらって実施したプレレッスン後すぐに、「どうやって予約を取ればいいの?」と言ってもらったことでした。
また、友人や家族に不安な思いを相談すると、これまで何十年もプロの主婦として仕事をしてきたのだから大丈夫!と背中を押してもらったことです。
確かに私はプロの主婦でありたい、とずっと意識してきました。主婦業は世間では職業に入っていないかもしれませんが、プロ意識を持てば立派な職業だと思うんです。 お客様と家族を長年もてなして喜んでもらってきたという思いが、だんだん「おもてなしのプロ」としての自覚になっていきました。
「25年間の専業主婦としての経験がすべて今につながり、役立っています」
若林さん 生徒さんはどんどん増えていったのですが、でもやはりお教えするという仕事上、きちんと学び資格を得ようと思い、エコールエミーズに通い、翌年にプロフェッショナルコースのディプロマを取得しました。
───主婦業は重要なお仕事だと、とても共感します。また、サロン運営は、日々の暮らしやこれまでの経験全てが役に立つ仕事ですよね。
若林さん 私もそう思います。
実は結婚前は、専業主婦になんてなりたくないと思っていましたが、結婚してすぐ夫の赴任で滞在したバグダッドでの体験を通し、考えが変わったんです。
当時はちょうどイラン・イラク戦争中だったので、本当に食料がなくて。やっと買えた少しの食料でいかに料理をするか、毎日とても大変でした。周りの先輩奥様方はそんな環境の中でも様々な工夫をしていらっしゃって、素晴らしかったんです。そんなことを通じて、私もずっと何かのプロになりたいと思っていたのですが、こうなったらもう、プロの主婦になろう!って決めて邁進しました。
年間200日以上。数え切れない程のお客様を迎え、磨き続けてきたおもてなしの腕とセンス
───そうだったのですね。それにしても、海外で駐在中、年間200日以上も自宅でお客様を、全て一人でもてなしてしていらしたとは!すごいことです。
若林さん それは南米で駐在したときだったのですが、ほぼ毎日お客様や友人が来てくれておもてなしをする生活でした。
お越しいただいたからには喜んでいただきたくて、来て下さったことに感謝をして、その時間が最高のものになるように、いつも精一杯心をこめてお料理を作り、おもてなしをしていました。
その思いはレッスンでも同じです。お一人お一人の生徒さんに心から感謝をしておもてなしをし、幸せな時間を過ごしていただきたいと思っています。
───そんな思いもあって、生徒さんをファーストネームで呼んでいらっしゃるのですね。
若林さん そうなんです。「よく覚えられるわね」と言っていただきますが、誰でも大切な人のお名前を忘れたりしませんよね。
私にとっては生徒さんお一人お一人が大切な人。ですから忘れませんし、親しみをこめてファーストネームで呼ばせていただいています。
「日常の中の非日常」を提供したい
───まさに予約の取れないレッスンになっていますが、どんな生徒さんが多いですか?また、参加できる方法は?
若林さん 大学生~70代の方まで、幅広い様々な方がお越し下さっています。中には海外から来て下さる方も。
私は本当に生徒さんに恵まれていて、皆さんいい方ばかりなんです。年齢も様々で、毎回初対面同士の方が多いですが、どのクラスもとても和やかで楽しい雰囲気に溢れています。
これまで、一度としていやな思いをしたことがありません。
お申し込みは、生徒さんはレッスンに参加されたときに、次の予約を優先的にしていただいています。
申し訳ないことに新規の方はキャンセル待ちをしていただいている状況でして、ホームページからメールでご登録いただいています。
なるべく沢山の方にお越しいただきたいと思っているのですが、今は、デパートなどでのイベントにご参加くださった方の中から、じゃんけんや抽選に当選された方にご参加いただいています。
「日常の中の非日常を提供したい」。これこそがボアメーザのおもてなしの原点
───キャンセル待ちをしてでも通いたくなる理由は、今日のレッスンと、生徒さん方の笑顔を拝見しておおいにわかりました。レッスンにはどんな思いを込めていらっしゃいますか?
若林さん 「感謝という人間の持つ一番美しい感情を共有する、美味しい(=美しい味)空間を作り出すこと」を通じて、「日常の中の非日常を提供すること」を目指しています。
皆さんお忙しい中、わざわざ遠い北鎌倉まで、そして、長い坂を上って来てくださいます。ワクワクしながら、きっと素敵な時間が待っていると思って来てくださっていると思うので、その予感を現実のものにして差し上げたいと思っています。
───今ではたくさんのサロネーゼが共感して、同じく「日常の中の非日常を提供すること」を目標にしていらっしゃる方も多いです。この思いこそが、『boa mesa』のおもてなしの原点なのかもしれませんね。
若林さん そうですね・・。『boa mesa』を、私を選んで来て下さる方々に心からの感謝とおもてなしをしたいんです。ですから、徹底したホスピタリティを貫きたいと思っています。
これまで長年培ってきたおもてなしの腕とセンスをさらに磨き、徹底したホスピタリティと共に多くの生徒さんに伝え続けている若林さん。そこには、来て・食べてくださるゲストへの感謝とリスペクトを感じます。
まさに「一生忘れられないおもてなし」の原点を感じました。
次回は若林さんの、サロン運営で心がけていることや今後の夢などをお伝えします。どうぞお楽しみに。
インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=原田圭介
プロフィール
若林 三弥子さん
『boa mesa』主宰
1958年大阪生まれ。同志社大学法学部法律学科卒業。
商社マンの夫と結婚。中近東・南米各国で、駐在員の妻として、取引先、出張者の接待、家族・友人・知人のために日々料理を作る専業主婦生活を25年続ける。
2005年47歳のとき、自宅にて料理教室”boa mesa”をスタートさせる。
全国、海外からも集まる生徒数は現在472名。ひとクラス8名のおもてなし形式で、ほぼ毎日開催のサロンを独力で運営しながら、年2回の出版、メディア、企業からのオファーもこなす。現在サロンのウェイティング登録数は500名以上にものぼる。
サロン情報
boa mesa
訪れるかたのすべてに幸せを感じていただきたいという強い思いに貫かれた、おもてなしの空間です。
きっと素敵な時間が待っている、そんな予感を、実感に変えて差し上げること、それが boa mesa のおもてなしです。
まずウエルカムティーでお迎えし、ソファで寛いでいただいたあと、三ヶ月ごとにメニューにあわせてがらりと変わるテーブルコーディネートのご説明。キッチンに移っていただき、デモンストレーション形式の調理タイム。素材の性質、調理のポイント、講師独自の調理法を徹底的に伝授します。テーブルに着席していただき、料理にあわせてプロのソムリエが選んだワインとともに、コース形式で料理を楽しんでいただきます。
三ヶ月ごとに変わるメニューは前菜数種を含む8~10品構成、必ずデザートも含まれます。香り高いカフェをお食後に楽しんでいただいたあとは、お急ぎでないかたはこころゆくまで、おしゃべりと憩いのひとときを。大きなオーバーハンギングの窓の外はすべて緑、ゆったりと穏やかな時間の流れる北鎌倉の自然が、「もうひと品」に加わる、そんなサロンです。
ジャンル:
家庭料理、おもてなし、テーブルコーディネート
サロン特長:
初心者歓迎、平日開催、土日開催、お友達同士歓迎、子連れOK、男性参加OK、予約制、駐車場あり、各種イベントあり、駅近(徒歩10分以内)、お酒の提供あり
所在地:
神奈川県鎌倉市山ノ内
所在地:
家庭料理、おもてなし、テーブルコーディネート
ホームページ、ブログ:
レッスン情報:
■ご予約に関して■
ただいま定員オーバー状態ですので、ご新規のかたにはキャンセル待ちをお願いしております。その月のクラスにご参加いただいたかたに、次の月のクラスに優先的にご予約いただいております。ただ、たくさんのご登録をいただいており、以前のようにメールでお知らせをした場合にご返信メールの開封もできない状態です。
空席が出来た場合のご案内を差し上げるためのシステムの準備を進めております。
現在は、デパートなど他会場でのイベントにご参加くださった皆さまのなかから、抽選・じゃんけん大会などをさせてただき、一回だけのご参加のかたを決めさせていただいています。イベント情報はnewsやブログでご確認ください。
キャンセル待ちをご希望のかたは benvenidos@boamesa.jp にご登録をお願いいたします。お名前・ご住所・お電話番号・ご携帯お電話番号並びにアドレス・ご自分でサロンをなさっている場合はその旨・boa mesa をお知りになったきっかけの媒体(お知り合いが既に生徒さんである場合、そのかたのお名前)に関してもお教え願えれば幸いです。
とっておきレシピ
カルボナーラ風うどん
材料
・冷凍うどん 2食分(解凍用の熱湯も用意)
・ベーコン 50g(1cm幅の短冊切り)
・にんにく 大きいもの1片(つぶす)
・グレープシードオイル 大さじ1
・実山椒 適量
・スプラウトなど好みの生野菜 適量
<A> (溶き混ぜておく)
・卵黄 2個、だし 100ml、塩 小さじ1/4強
作り方
- フライパンに、ベーコン、にんにくを入れ、グレープシードオイルをかけて弱火で熱する。
- 香りが出てベーコンがこんがり色づいたら火を止める。ベーコン・にんにくを取り出してしばらくおきフライパンの熱を下げる。
- 冷凍うどんを熱湯に入れてほぐす。
- フライパンを再び中火にかける。温まりかけたところでうどんの水気を切って加え、うどんが温まるまで混ぜる。
- うどんを鍋の片側に寄せ、空いた部分にAを流し入れる。うどんにからめ、すぐ火を止める。
- 器に盛り、ベーコン・実山椒を散らす。好みの生野菜をあしらう。
書籍
『若林三弥子の 蒸しいため完全マスター』
野菜の美味しさと栄養をふんだんに味わえる『蒸しいため』は「ゆでる」「蒸す」「炒める」よりも、栄養満点の画期的調理法!栄養学的にも完璧な野菜調理のスーパーテクニック「蒸しいため」の完全マスター版がついに登場!
商品のポイント
1.野菜別に、シンプル・コンビネーション・アレンジの3つのレシピを紹介。全部で110レシピ掲載!
2.春夏秋冬おなじみの野菜ばかり45種の「蒸しいため調理」の基本と応用が分かります!
3.主菜にもなるし、副菜にもなる野菜レシピのオンパレード!
4.「蒸しいため」は究極の”時短・節電・節水”調理です!
著者 若林三弥子
出版社 メディアファクトリー
価格 税込1,365円
書籍
『シャスール鍋ひとつで 若林三弥子の野菜たっぷり最愛レシピ 』
北鎌倉の料理教室「ボアメーザ」を主宰するカリスマサロネーゼ、若林三弥子さんのサロンは、ここに通うと誰もが幸せになれると評判の超人気サロン。常に450人以上の生徒が足を運び、さらに450人以上がキャンセル待ちをしているということからも、その人気ぶりがうかがえます。
若林三弥子さんが愛用する、シャスールの鍋は、「煮込みに」「囲み鍋に」「オーブン焼きに」「蒸しいために」「炊き込みご飯に」と、5Wayの調理が可能な優れた鋳物ホウロウ鍋。
この鍋がひとつあれば、かんたんにおいしい野菜料理を作ることができます。その使い勝手のよさと、それを愛用する著者の人気とともに、今、全国に”シャスラー”が急増中!本書では、毎日の食卓に役立つ愛情たっぷりのレシピを全部で51点収録します。
著者 若林三弥子
出版社 小学館
価格 税込1,365円