「ザ ハウス オブ ファインアーツ」主宰 鬼頭郁子さん
インタビュー連載 第4回
今月のサロネーゼは、都内・汐留でテーブルコーディネートとフレッシュフラワーを学べる教室『ザ ハウス オブ ファインアーツ』を主宰する鬼頭郁子さん。旬を取り入れたハイセンスな花とテーブルの教室は主婦からプロまで幅広い生徒さんに支持され、既にサロンを開くサロネーゼも足繁く通います。トップブランドのコーディネートやプロモーションも手がけ、セミナー講師としても活躍する他、花・芸術文化協会の理事長も務め、サロンマダム養成講座も主宰し多くの後進を育てるなど、カリスマサロネーゼとして幅広くご活躍の鬼頭さんのレッスンにお邪魔し、その模様とインタビューを4回にわたりご紹介します。最終回は、鬼頭さんがお教室運営にかけている思い、サロネーゼにとって大切だと思うこと、これからの夢、幅広いお仕事内容などについてうかがったインタビュー後半です。
掲載日:2013/2/25(月)
地道な準備がチャンスを引き寄せる
――ご自分のスタイルを確立させて、お教室を展開し、その後東京でも教室を開かれたわけですが、不安はなかったですか?
鬼頭さん 確かに最初はやっていけるかな?と不安もありました。
でも、それ以前にクリストフルさんとご縁があり、表参道のブティックでレッスンを開催していて手ごたえを感じていましたし、子どもの手がだいぶ離れたことも、やってみよう!と思えた理由でした。
――クリストフルといえば、フランスのシルバーウェアの老舗で食卓の芸術の代名詞であるとも言われているブランドですが、こちらのブランドアンバサダーも務めていらっしゃるのですね。
鬼頭さん そうなんです。クリストフルさんとの出会いも不思議なご縁でした。
元々大好きで、ブティックに行ったり、カタログを見て、もしこの商品を買ったらこんなコーディネートをしようとか、いつもいろいろなイメージをしていたんです。
ある時、地方のホテルでクリスマスティーパーティセミナーを依頼されたとき、クリストフルのティーポットを置いてコーディネートした写真をチラシにしてもらったのですが、ちょうど、フランスの当時のシラク大統領がそのホテルにお越しなる関係でクリストフルの方がいらしていて、そのチラシをご覧になり、何かのときに私にセミナーを依頼しようと思ってくださったそうです。その後、新宿の伊勢丹でデモンストレーションの依頼をいただいたのですがみんなが驚くほど盛況で、東京でレッスンをするのなら、うちのブティックを使っていいよ。と言って下さったんです。
そのとき、ブランドマネージャーにどんな内容にするか企画を考えて後で連絡ください、といわれたのですが、商品のことはよく知っていましたし、様々なコーディネートのイメージが頭の中にすでにありましたので、その場でいろいいろとご提案したんです。そうしたら「社員よりよく知っている」と驚かれました(笑)。それで東京でのレッスンがはじまり、今はブランドアンバサダーも務めさせていただいています。
地道に重ねていた勉強とアイデア。準備ができているとチャンスがつながります
大好きなクリストフルのお仕事をさせていただくのは夢でしたので、自然と夢が叶って本当に嬉しかったです。実はそれ以前にセミナーの依頼があり伺った京都のフィニッシングスクールが精神性も大切にしているところで、そこで「チャクラで願ったことは叶う」と教えてもらっていましたのでそれが叶ったのかもしれません。
ただ願うだけでなく、具体的に商品やコンセプトを理解していろいろなご提案ができたのが大きいと思います。
――なるほど、準備ができている人にチャンスが来るのかもしれませんね。
鬼頭さん そうだと思います。それは全てに言えることですので、生徒さんにはわかりやすく、「例えば車が好きな人が宝くじか何かでベンツやキャデラックが当たったとします。でも免許がなかったら乗れないでしょう?いつ当たってもいいように準備をしておくことが大切です(笑)」と例え話でお話ししています。
夢を手に入れるということは、それなりの準備が必要なのだと思います。
――とても共感します。いつ夢が実現できても大丈夫な準備ができていると、運やチャンスを引き寄せるのかもしれませんね。
依頼主の思いを伝え、感動を呼ぶコーディネートを
――クリストフルさん以外にも著名なブランドのお仕事も数々と手がけ、また昨年は、長崎のハウステンボス美術館で「鬼頭郁子フラワー&テーブルコーディネート展」も開催されたとか。
鬼頭さん そうなんです。ウエッジウッドさんやリーデルさんなど様々な企業さん、専門誌など、いろいろとお仕事をさせていただいています。ハウステンボスでは昨年11月3日~25日までの23日間、ハウステンボスの収蔵品である江戸時代の古伊万里や、貴重なヨーロッパのアンティークガラスを使ったテーブルコーディネートを20卓作り、7000人の方がお越しくださいました。
また、年末には、横浜山手西洋館で毎年恒例の、各西洋館がテーマ国を決め各館のコーディネーターによって館内装飾をする「世界のクリスマス展」で「外交官の家」を担当させていただきました。フランスがテーマでしたのでベルサイユ宮殿に代表される「イル ド フランス」をイメージしコーディネートをしたほか、フランスを楽しむテーブルセミナーなども開催し、こちらも多くの方にお越しいただきました。
貴族の館に招かれたかのような優美な食卓芸術の世界を表現。多くの方から絶賛が
――素晴らしいご活躍ですね。
鬼頭さん そんなことはないです。皆様の後押しがあってのことだと思っています。私はいつも企業さんとお仕事させていただくときは自分の作品がどう見えるかではなく、そこの社員さんになったつもりで、どうしたらその企業さんの思いや商品のよさが伝わるかを一番に考えます。そして一緒にコミュニケーションをとりながらベストを目指します。それで喜んでいただけたら本当に嬉しいです。
――お写真を拝見すると作品それぞれに世界観があり、感動的です。
ひとつひとつの出会いやお仕事に、誠実に真摯に向き合っていらっしゃるからこそ信頼を培い、オファーが絶えないのでしょうね。
サロネーゼにとって大切なこと
――もう長年お教室を運営されていますが、いつも心がけていることや伝えたいと思っていることはありますか?
鬼頭さん そうですね、心がけていることは、自分のスキルをおしみなく提供して生徒さんに喜んでもらいたい、その一言です。
また、『サロンは文化を伝えるところ』だと、サロネーゼの皆さんにもはいつもお伝えしています。
――フラワー関連の著書のほか2006年には「憧れのサロンマダム」を出版し、また、「サロンマダム講座」も開講するなど後進の育成、指導も手がけていらっしゃいますが、サロネーゼに必要なこととは何でしょうか。
鬼頭さん まず、人を好きになることが大事です。そのためには、自分を好きになること。自分を好きじゃなかったら、人のことも愛せないですよね。自分を大事にできて自分を好きであれば、同じように人のことを好きになれます。
また、さきほどもレッスンでお伝えしましたが、例えばイギリスではこう、フランスではこう・・というように決めつけることは自分の世界を狭めてしまいますし、それは知識が少ないということになります。いろいろな考えや人を受け入れられるように、キャパシティを広くすることも大切で、常に自分はまだまだ何も知らないんだという謙虚な気持ちで学び続けることも大事だと思います。
「自分を愛し人を愛することが基本。謙虚な気持ちで自分だけのスキルを磨き、自信を持ちましょう」
よくサロネーゼの生徒さんから、自分に自信がないという相談もいただくのですが、自分の得意なことを一つでも確立したらそれが自信につながると思います。
また、他の人のサロンが気になるという方もいらっしゃいます。中には、人をうらやんだり、逆に妬まれたりすることもあるかもしれません。
でも、自分しかできないものがあると自信になり、という自信があれば、そのようなことは気にならなくなり、つまらないことにとらわれている時間があれば、自分のお教室をもっと磨く時間にあてようと考えられるようになります。そのためにも、自分だけのものを見つけることが大切です。
――このたび3月から開催となるDreamiaサロン主催「サロン主宰者のための実践コース」講座でも講師を務めていただきますが、多くのご指南をいただけそうですね。とても貴重な機会になりそうで楽しみです。
「サロネーゼ育成と、人が集まるサロンを続けていきたい」
――また、「花・芸術文化協会」を創設し、理事長としてもご活躍なのですね。
鬼頭さん はい、協会では生花・プリザーブドフラワー・テーブルコーディネート・お菓子・料理などを学んでいる方たちが、技術の向上だけでなく、それらを通して豊かな心や愛する心をはぐくみ、自分たちの得意分野で行えるボランティアや国際交流を行っています。
花や生活文化・食文化に関わっている方、またご興味のある方でしたら、どなたでも入会できます。
全国に会員さんがいらっしゃるのですが、皆さんとてもあたたかい方々で、沢山のサロネーゼさんも集まっていらっしゃいます。イベントのときなどは様々な出会いがあり、お互いそれぞれの分野でプロフェッショナルでいらっしゃるので、アドバイスしあったり、その後コラボレーションをしたり、とよい交流も生まれています。
「サロンを開きたい方を支援して、ずっと人が集まってくれるサロンが続けられれば幸せです」
――交流が生まれ、共通の目標を持ち切磋琢磨できるのは素敵な機会ですね。
ところで鬼頭さんはすでにたくさんお夢を叶えていらしたと思いますが、これからの夢やお教室の展望を教えてください。
鬼頭さん もう長くお教室を運営してきましたので、これからは、サロンを開きたい方を応援する役割をしていきたいと思っています。また、皆さんにいつも集まってもらえるようなサロンであり続けて、愛されるおばあちゃんになりたいなと思います。
私は以前日本舞踊やお茶も習っていたのですが、振り返れば元々お教室ををやりたいと思ったのは、そうした先生方はおばあちゃんになっても、いつも誰かが訪ねてきて人が集まるたのしいところであるのを見て、私もいつかそうなりたい、と思ったことが影響しています。いまもそれは変わっていなくて、死ぬまでみんなが集まってきてくれて、笑顔になれる、そういうサロンが続けられたらいいなと思います。
――お話を伺っていると、お教室運営についてだけでなく、仕事の心得や生き方の勉強にもなりました。これからもますますのご活躍が楽しみです。今日は貴重なお話をありがとうございました!
鬼頭さん こちらこそありがとうございました。
様々なご経験を積んでいらっしゃったからこその信念と、大きな器を感じるしなやかさを併せ持つ鬼頭さん。文化継承者であるサロンマダムとしての自覚と役割の大切さをはじめ、「伝えることを通じて喜んでいただきたい」という一貫した情熱を感じました。
これからはサロンを開きたい方の支援にも力をいれていくとのこと。ここから沢山の素敵なサロネーゼが生まれるのも楽しみです。
サロンを越えて素敵な生き方とあたたかい交流にも触れられる素敵なサロン、ぜひ訪れてみてください。
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in 九州 福岡 4月スタート
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■日時:3ヶ月(月2回)4月スタート:第3土・日曜日(10時30分~3時)
①4月20日 ②4月21日 ③5月18日 ④5月19日 ⑤6月15日⑥6月16日(修了式)
■場所:アクロス福岡(福岡市中央区天神)会議室
■詳細・お申し込みはこちら→ボタン(リンク先は下記)
http://www.musee.co.jp/tablecordinate_shortprogram_kyushu_fukuoka20130110.html
■また、3月31(日)大阪高島屋にて鬼頭郁子スペシャルレッスンも 開催致します。詳しくはこちら
インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=原田圭介
プロフィール
鬼頭郁子さん
「ザ ハウス オブ ファインアーツ」主宰
「花・芸術文化協会」 理事長
聖心女子大学卒。「旬を取り入れた花とテーブルの教室」は、少人数制のレッスンで着実に実力が向上すると、主婦からプロまで幅広く支持され、全国から生徒さんが通う超人気教室。。サロン主宰やスペシャリストを目指す方も多く、多数の人気サロネーゼを輩出。多くのサロネーゼから師と仰がれ、その育成やサポートにも力を入れる。
教室運営のほか、トップブランドのコーディネートやプロモーションに関わるなど、多くの企業の花や食文化に関するセミナーを実施。2012年にはハウステンボス美術館にて 「鬼頭郁子フラワー&テーブルコーディネート展」.も開催された。著書「鬼頭郁子がたずねるフランスの花とテーブル」「憧れのサロンマダム-趣味をお教室にして成功する人たち」「パリスタイルのブーケ,コンポジション」他多数。
仏のシルバーブランド「クリストフル」ブランドアンバサダー
「日本プロトコール&マナーズ協会」理事
サロン情報
「ザ ハウス オブ ファインアーツ」
すべてのクラスをていねいに指導する少人数制のレッスンで、着実に実力が向上します。
サロン主宰やスペシャリストを目指す方が多く、サロン開校のサポートも整っています。
ジャンル:
おもてなし、テーブルコーディネート、フラワーコーディネート、その他
サロン特長:
駅近(徒歩10分以内)
所在地:
東京都港区汐留
ホームページ、ブログ:
ホームページ:http://www.musee.co.jp/
書籍
『憧れのサロンマダム―趣味をお教室にして成功する人たち』
好きな事を極めて教室を開き、自然と多くの生徒さんが集まり、はつらつと毎日を過ごす人とそうでない人がいます。その違いはどこにあるのか?愛される「お稽古サロン」とは?と疑問を抱き、エッセイにしたのがこの本です。サロネーゼを目指す方に読んでいただけたら嬉しいです。
著者 鬼頭郁子
出版社 フォーシーズンズプレス
価格 税込1,050円