「Mille piatti」主宰 山内千夏さん
今月のサロネーゼは、神奈川県藤沢市で、イタリア料理教室「Mille Piatti (ミッレ ピアッティ)」を主宰する山内千夏(やまのうち ちなつ)さん。
イタリアの家庭に伝わる郷土料理を中心とし、イタリアのマンマたちが作るシンプルで滋味深い料理を日本の家庭でも作りやすく伝えるレッスンは、イタリア好きの生徒さんを中心に口コミで広がり、いつも賑わっています。今回は2019年6月にうかがったレッスンの模様とインタビューを4回にわたりご紹介します。第3回目はお教室を始めた経緯やレッスン情報などをうかがったインタビュー前半です。
掲載日:2019/9/17(火)
直接学びたい!の声に応えてスタート
――イタリアにもイタリア料理にもどんどん興味が深まり、好奇心がワクワクする楽しいレッスンでした!
「Mille Piatti (ミッレ ピアッティ)」というお教室名も素敵ですね。どのような意味でしょうか。
山内さん Milleは「1000」、piattiは「皿、料理」というイタリア語です。毎日の食卓を囲む料理や皿数を集めると年間1000皿ほどになりますが、そんな日々の食卓を思い描いてつけました。
自分の名前にも「千」の文字がついていますので、そんなとこからも。
――年間1000皿・・・。数えたことがなかったですが、そんなにあるのですね。一食一食、一皿一皿大切にしたい、と思いますね。
お教室を始めてどれくらいですか?
「直接学びたい」というご要望に応えてスタート。イタリア食文化に興味が深まる方が増えています。
山内さん 料理の講習を始めたのは2000年からです。現在のようなレッスンのかたちをとるようになったのは5年ほど前からです。
――レッスンを始めたきっかけは?
山内さん 直接のきっかけは、料理講習や料理教室を立ち上げる仕事をしていたときに、イタリア料理を実習付きで学びたいから教えて、というご要望をいただき始めました。
それまで自宅でレッスンをするとは思ってもいなくて、屋号もなく始め、だんだん来てくださる方が増えていった感じです。
”教室””先生と生徒”というよりも、私の探求心や好奇心にお付き合いいただき、それが続いている、というイメージです。
料理の世界へのきっかけと広がり
――お料理の仕事を始めたのは?
山内さん 大学の食物科を卒業したあと製菓会社に勤め、商品開発や企画をしていました。楽しくてやりがいもものすごく感じていましたが、自分の能力以上の仕事を請け負わなくてはいけないことや、自分のやりたいことや良いと思うことと会社が望むことが違うことが多くあり、少しずつ、ずっと継続するのは難しいかな、と思うようになっていきました。
そんなとき、商品パッケージの撮影の仕事で初めてフードコーディネーターさんに会いました。すごくキラキラして見え、腕一本でやっていける仕事っていいな、と思いました。
その仕事に興味を持ちフードコーディネータースクールに通い始めたところ、その道が楽しくなっていきました。
その頃たまたま、「料理王国」という雑誌で、シェフ向けのイタリアツアー参加者募集の記事が目に留まり、そこに豚の解体の写真があったんですね。これはなかなか学べないことが学べそうだと思って申し込んで説明会に行ったところ、「来年、シェフ向けではなく一般の方向けのツアーがある」と教えてもらい、それに参加しました。
料理の短期留学のようなもので会社を辞めて参加したのですが、貴重な体験になりました。
シンプルで美味しくて愛情あふれるイタリア料理。今もイタリアに行き学び続けています。
――何にピン!と来て申し込んだのですか?
山内さん 以前から料理教室には通っていましたが、当時はフレンチ、中華、お菓子教室がほとんどでした。たまたまイタリアに行って、現地で食べた料理がとても美味しくて、帰国後習いたくてイタリア料理教室を探したのですが、リストランテでデモのみで習う素敵な講習のみでイタリアの家庭料理の教室は見つけることができませんでした。
インパクトのある豚の解体写真やそこに書かれていた記事を読んで、イタリアの食文化を深く学べる機会だと思い、絶対行きたい!と思ったのでした。
そこに書かれていた料理への思いや、郷土料理の集合体であるイタリア料理というものにとても惹かれました。1999年のことです。
そして帰国後に、大手の調理専門学校が一般向けの料理教室を開講し、そのアシスタントが足りていないという話をいただき、調理師と管理栄養士の免許も持っていたことから、即採用になって料理業界の仕事に関わるようになりました。
――引き寄せられた縁だったのかもしれないですね。
山内さん その教室には、当時「料理の鉄人」が流行っていたので有名なシェフが大勢いらっしゃいました。そのアシスタントを何年かやり、そのほか、企業のメニュー開発や別の調理学校の立ち上げにも参加してと声をかけていただき・・。
自分から積極的に何かをやりたい、と動けるタイプではないのですが、ありがたいことに人からいろいろやりませんかと言われてつながっていきました。
興味の扉
山内さん そんななか、参加者さんからデモンストレーションだけでなく実習も学びたいから直接教えて、とご要望をいただくようになりました。私にできるかな・・と後ろ向きな感じで始めて、ずるずると来てしまいました(笑)
――後ろ向き(笑)。そんなふうにはとてもお見受けしませんでした。あふれるような料理愛、イタリア愛を感じ、非常にワクワクしました。何より先生がお料理をしていてとても楽しそうでイタリアのお話も魅力的で、もっともっと教えてほしい!と思いました。
不思議なもので1つ知ると、もっと知りたくなりますね。イタリア料理の世界の扉を開いて招き入れていただいたような感覚です。
無心になってみんなで作り上げる時間も楽しく、手打ちパスタ作りは毎回人気。
――レッスンの開催情報を教えてください。
山内さん 開催は月に8~10回ほどで、3~4人のグループでお越しいただいています。イベントのときは8~10人ほどご参加いただくこともあります。
メニューは月替わりで、前菜かデザートとプリモ、セコンドの3品です。季節や食材で決めています。
――初めて参加したい方の申込方法や持参するものは?
山内さん 現在はインスタ、フェイスブック等のSNSよりご連絡を頂戴しております。
持参いただくものは、エプロン、お手拭、筆記用具です。
――どんなメニューが人気ですか?
山内さん 手打ちパスタが人気が高いです。年末などの人の集まる時期には、おつまみに適したものも人気があります。
――今日の手打ちパスタ作りもとても楽しそうでした!
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料理の世界に入り、様々な人・機会との出会いのなか活躍してきた山内さん。
自然体でありながら、深い探求心とあくなき好奇心を持ち、山内さんとの出会いからイタリア食文化に魅了される人が増えています。
レッスンは、「楽しい場所には人が集まる」。まさにそんな言葉がぴったりです。
次回最終回は、レッスンで心掛けていることやこれからの夢などをうかがったインタビュー後半をお届けします。どうぞお楽しみに!
(次回に続く)
インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=原田圭介
プロフィール
山内 千夏(YAMANOUCHI CHINATSU)
料理家 大学で食物学を専攻後、管理栄養士免許取得。製菓会社にて商品企画に携わったのち、かねてより関心のあったイタリアへ料理留学。帰国後、料理教室勤務を経て、イタリアの家庭料理の魅力を伝える料理家として活動中。
著書に「トルタ・サラータ」、「カルパッチョ!」(いずれも文化出版局)がある。
管理栄養士、調理師、ワインエキスパート、チーズプロフェッショナル、アンチエイジングアドバイザー
山内 千夏(YAMANOUCHI CHINATSU)
料理家 大学で食物学を専攻後、管理栄養士免許取得。製菓会社にて商品企画に携わったのち、かねてより関心のあったイタリアへ料理留学。帰国後、料理教室勤務を経て、イタリアの家庭料理の魅力を伝える料理家として活動中。
著書に「トルタ・サラータ」、「カルパッチョ!」(いずれも文化出版局)がある。
管理栄養士、調理師、ワインエキスパート、チーズプロフェッショナル、アンチエイジングアドバイザー
サロン情報
Mille piatti
イタリアの家庭に伝わる郷土料理に魅了され、20年ほど前からイタリアの家庭料理を学んでいます。日本の家庭でも愛される、シンプルで栄養ゆたかなイタリア家庭料理を中心に、皆様の食卓を健康に、そしてより豊かなものにできるお手伝いができればと日々思っております。
ジャンル:
イタリアン、ワイン、チーズ
所在地:
神奈川県藤沢市