『T`s Kitchen cooking cafe』主宰 緒方智子(おがた ともこ)さん
『T`s Kitchen cooking cafe』のレッスン
───おつかれさまでした!楽しいレッスンでしたね。たくさんお伺いしたいのですが、まずは、『T`s Kitchen cooking cafe』のことを教えてください。
緒方さん はい、うちでは、料理・パン・お菓子をお教えしていて、何を習いたいか、生徒さんのご希望によって決めていただけます。
ABCクッキングスタジオのライセンスを持っていて、レシピはスクールのものが中心になります。
開催は、10:30~、13:30~、18:30~の時間帯の中から選んでいただけ、お一人からでもお受けしています。土日もやっていて、火曜が定休日です。
普段お忙しい生徒さんが多いので、なるべくみなさんのご都合に合わせたいと思いますし、なるべくゆっくりしていっていただきたい、そして、満足感を持ってお帰りいただけるようにしたいと思っています。
───どんな生徒さんが多いですか?
緒方さん 今日のように新婚さんや主婦の方、独身のOLさん、お子さんやお孫さんがいらっしゃる方など・・、いろいろですが、最近は男性も来てくださいます。単身赴任の方で、料理の腕前をあげたい、とお越しくださっている方も。
小さなお子さんがいらっしゃる方には、一度体験レッスンに来ていただいて、確認していただいています。ご希望あればベビーシッターさんも紹介しているんですよ。
そうそう、小学生の生徒さんや、受験の合間の息抜きに・・と通ってくれる学生さんもいらっしゃいます!
───それは楽しそうです。今日の生徒さんように、ここでの出会いがきっかけでお友達になる・・という嬉しい出会いもたくさんありそうですね。
緒方さん そうですね、私も知らないうちに意気投合して、次回のレッスンに一緒に来て下さることもよくありますね(笑)。とても嬉しいことです。
体験教室もやっていますので、ぜひお気軽に来ていただきたいです。
───レッスンでお伝えしたいことはどんなことですか?
緒方さん 料理やパンを焼く美味しい匂いって、みんな笑顔になりますよね。その笑顔と、料理を作る楽しさ、そして、生活を楽しむヒントもたくさん持って帰っていただきたい、そんなふうに思っています。
きっかけは友人の言葉
───『T`s Kitchen cooking cafe』を開いたきっかけを教えてください。
緒方さん 実は45歳のときに思いがけず離婚することになり・・ものすごく落ち込んで毎日暗い思いでいたのですが、でも子供が3人いますし、頑張らなきゃいけない。気を持ちなおして仕事を探し始めました。
結婚前は看護師として働いていたのですが、ブランクも長いし、医療関係は離れたいなと思って他の仕事を探しました。
それまでしていたことと言えば、主婦としての家事と料理。年齢的に制限があったこともあり厨房関係の仕事を探し、縁があった結婚式場の厨房に勤めはじめたんです。
そこでは、私の事情をいろいろ聞いてくる人もいませんし、とにかくあたたかくいい人ばかりで、居心地もよくて。一生懸命働きましたし、皆さんにとってもよくしてもらいました。
お皿洗いからはじめたんですが、次第に調理補助をするようになり結局2年ほど続け、その後、調理師免許も取りました。
───そうでしたか、看護師と調理師の資格を持ったサロネーゼさんに初めて出会いました!
緒方さん 人生に無駄なことは何もないですね(笑)。
元々料理は大好きで、娘がいつか嫁ぐときのためにと、レシピを書きためたりもしていました。
厨房での仕事は、とにかく楽しくて!
自分では普通に仕事をしているつもりでも、なぜか評価してもらえることが多くて、そのためまた頑張る、といういい循環を繰り返していたのかもしれません。
お皿洗いなんて・・・と心配してくれる友人もいましたが、なぜかお皿洗いも楽しかったんです。きっとそれが、好きな仕事に就いているということだったんですね。
周りの人に、自分でも驚くほど評価をしてもらい、その時の体験はすごく自信になりました。
───確かに好きな分野の仕事だと、少々大変でもちっとも苦に感じないかもしれません。
緒方さん そんな中、落ち込んでいた私に友人が「女を磨かなきゃ」とずっと励ましてくれていたこともあって、休日にふと通りかかったネイルサロンに入ってみたんです。
ネイリストの方といろいろ話しているうちに、「厨房のお仕事なんてうらやましい!」と言われて。その方はお料理を勉強したいと思っていたらしく、偶然にもその時、友人に誘われていた料理教室の日と彼女のお休みが重なっていたので、初めて出会ったその彼女と一緒に行く事になりました。
そしてその教室を気にいった彼女が早速、その教室の先生に入会を申し込むのですが、先生の家庭の事情でその日が最後だと…。
あまりにがっくりする彼女に「家庭料理くらいでよければ・・・」と声をかけて、教えることを始めたのがきっかけです。
───その方がキーマンなのですね!
緒方さん そうですね、とてもご縁がある方なんだなぁと改めて感謝しています。
その後、きちんと教える資格を取ろうと思って、ABCクッキングスタジオに通って、料理、パン、スイーツのライセンスを取って、本格的にはじめました。
「そぎおとすこと」からスタート
───自宅教室を開くにあたって、不安だったことはありますか?お子さんたちの反応はいかがでしたか?
緒方さん うーん、不安だったことは特にないですね・・。子供たちは娘2人、息子一人ですが、特に反対することはなくて、私が楽しそうにしているので逆に安心だったかも。
そうそう、このテーブルも、娘と娘のボーイフレンドが穴をあけたりして作ってくれたんですよ!息子も、ずっと興味を持って応援してくれています。今回も春休みに帰ってきて教室を手伝ってくれると言ってました。
───素敵ですね! オープン前に何か準備したことはありましたか?
緒方さん まずは、たくさんある物を捨て、「そぎおとすこと」から始めました。どこに何があるか一目でわかるよう、シンプルにしたかったんです。
そこで、「嫁入りカゴ」というのを作ってお譲りできるものを入れていき、知人達にどんどんもらってもらいました。
───なるほど、どこもすっきりセンスが良くて気持ちがいいです。まずは必要なものを見極めることからスタートだったのですね。
人生に何一つ無駄な事はない───たくさんの葛藤や悩みを乗り越えてきた緒方さんのすがすがしい笑顔に、「先生と話すのがとても楽しみ」という生徒さんが多い理由がわかったような気がします。
次回は、集客や教室運営の工夫、緒方さん愛用の品などをうかがったインタビュー後半をお届けします。
インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=河本純一