――お教室にはカービング初体験の方から講師の方まで幅広い方が通っていらっしゃいますが、レッスンではどのような工夫をしていらっしゃいますか？

戸根さん　和洋中華などのジャンルを月ごとに変えているので、まずジャンルから決定します。
その後に、メイン食材、サブで使いたい旬の食材など食材から決めていき、最後に調理法を考えていきます。

――レッスンで心がけていることや取り組んでいる工夫はありますか？

多胡さん　趣味として楽しみたい方から仕事にしたい方まで、様々な方がいらっしゃいますが、出来るだけ公平に、丁寧にご指導することを心がけています。
また、自分の考えだけを押し付けないよう気を付けています

生徒さんの美しい作品。それぞれの個性を引き出し、完成を目指します。

――レッスンを拝見していて、その方の個性を引き延ばして指導していらっしゃるのが伝わりました。

多胡さん ありがとうございます。デザインも、「こうでなければならない」という押しつけをしないようにしています。

初級から始まるカリキュラムではお手本を用意しており、同じデザインで完成を目指しますが、ある程度慣れてくると、こんなデザインをやってみたいな、といろいろなアイデアが湧いてきます。それを実現するお手伝いをするのはとても楽しく、嬉しいことです。

特に今日のような講師クラスの方々には、自由に彫り進めていただいて、ちょっと迷ったり、イメージが違ってしまったときの修正をサポートするようにしています。

私自身も、彫り進めていくうちにデザイン案が変わり、最初に考えていたものと全く違うデザインに仕上がることもあります。それがカービングの醍醐味なんです。

もし失敗したとしても、フルーツだったら食べてしまえばよいですし、ソープだったら使えばよいので、無駄にはなりません（笑）
――確かにそうですね！失敗を恐れず挑戦できるのも魅力です。

教室は心の支えであり、癒し

――改めて、ほかのお教室にない強みやコンセプトはなんでしょう。

多胡さん長年の経験に基づくきめ細やかなご指導をモットーとし、豊富な知識と技術力は他を寄せ付けないと自負しています。
コロナ前は年１－2回タイを訪れ、技術のブラッシュアップや現地の新しい手法の習得に励んでいました。

デザインに関しては常に好奇心を持ち、あちこちにアンテナを張り巡らせて考えています。

――生活の中にもデザインのヒントやひらめきにつながる機会がたくさんありそうですね。

多胡さん　そうなんです。アンテナを張っていると、ふっとアイデアが湧いてきたり、何気ない物を見てもひらめいたりします。
カービングを始めると皆さんこうした心境になり、毎日に張りが出るとおっしゃっています。

スーパーに買い物に行っても、フルーツや野菜を見る目が変わりますね。
普通、美味しいかどうかで選ぶと思いますが、カービングを始めると、つい「彫りやすいかどうか」で見てしまいます（笑）

彫り進める中でデザインが変わることも。心のままに楽しむこともカービングの魅力。

――長くお教室を続けていらっしゃいますが、始めてみていかがでしたか？

多胡さん　多くの方へタイの伝統手工芸の素晴らしさをご紹介でき、私自身も多くの知り合いができ、始めてよかったと思っています。
お教室は私にとっても心の支えであり、癒しです。

これからもカービングの魅力を伝え続け、また、自分自身の技術力維持を心掛け、新作を随時発表していきたいと思います。

――多胡さんならではの美しいカービングの世界の発信、これからも楽しみです。
今日はありがとうございました！

ぜひあなたも挑戦してみませんか。

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ちょっとしたすき間時間でもできて、心癒されるカービング。
お話を聞いてとても身近になりました。
普段の暮らしに潤いを与えてくれる、気軽に取り組める芸術。その魅力をたくさん知りました。

（おわり）

インタビュー：窪田みゆき
撮影：原田圭介