「食」でみなさんを笑顔にしたい
◆今月のサロネーゼ◆
今月のサロネーゼはSalon de R主宰、山田玲子さんです。麹町でもクラスをお持ちですが、今回は東京・浜田山のご自宅サロンで開かれたクリスマスクラスを覗いて来ました!
料理の最後のスパイスは生徒さんの笑顔
――山田さんはいろんなクラスをお持ちです。
山田 浜田山は主に主婦の方向けの実習スタイルですが、麹町は、昼はマダム、夜はOLさんが多くて、どちらも実習より試食に興味のある方なので、デモンストレーションスタイルです。教室に来るというよりお食事にいらっしゃるような感覚ですね。
中には猛者もいらっしゃって、「これから主人を呼んでもいいですか?」と、ご主人の夕食も私の教室で済ませてお帰りになった方もいらっしゃいました。「美味しいから来ないと損するわよ」と言ってくださって(笑)。
それから男性向けの出張クラスもやりますし、先日は市川市(千葉県)の男女参画課主宰で、パパとお子さんのクリスマスケーキ作りのクラスをやりましたし、いろいろなところから声をかけていただいています。
キッズ向けクラスもやっています。私が以前、子ども国際キャンプの仕事をしていて、親しい友人が子どもの英会話教育に力を入れているので、「いつか子ども向けの料理教室を英語でやりたいね」と話していたことが実現した企画です。
――お料理教室で山田さんが一番大事にされているのはどんなことでしょう。
山田 「今日は気分が乗らない…」と思いながら来た方も、「来てよかった。気分が晴れたわ!」と笑って帰っていただくことですね。きれいごとではなく、私はそれが一番うれしいんです。
子どもキャンプの経験で「食することは人の輪なり」と実感したことが、料理の道に進んだきっかけですが、その考えは今も変わりません。料理の最後のスパイスは皆さんの笑顔だと思っています。
生徒さんは皆さん、お忙しい時間を割いて来てくださるわけです。主婦の方は料理はできますから、本当は習いにいらっしゃる必要がない。でも来てくださる。いつも、「お忙しいなか来てくれてありがとうございます」と感謝感謝。だからこそ、絶対に嫌な思いをさせて帰しちゃいけないと肝に銘じています。
――レッスンを見学させていただいた限り、その思いは生徒さんに届いているようです。
山田 そうだとうれしいです。
「見ていてくれる」安心感のあるレッスン
――料理教室は先生にとっても、「楽しい!」という実感がもてる時間なのですね。
山田 ええ。でも、もちろん疲れることもありますよ(笑)。
特に、私は山梨の山角病院という精神科病院でも料理教室をやっているんですが、これはやはり気を使います。
もう10年になりますが、外来に通院されている患者さんが、スタート時は3人、今は30人近く参加されます。
院長先生が信頼してくださっているので、病院からの注意事項は特にありません。ただ、「不公平は嫌がるよ」と院長先生にアドバイスをいただきました。
ですから、例えば生クリームを泡立てるなら、必ず全員に泡立ててもらいますし、患者さんから返事がなくても声をかけます。これは徹底しています。
それから試食のときはやはり笑顔。下を向いてもそもそ食べている患者さんがいたら、「それじゃおいしくないでしょう? 笑ってごらん」と言うと、ぎこちないながら笑ってくれます。
私はSalon de Rでも、生徒さんがひとりだけ手があくようなことがないようにしているのですが、これは山角病院での「不公平のないように」という教え方が身についているからかもしれません。
大切にしているのは「笑い」と「公平」、あとは、失敗してもああだこうだ言わない。なんたって先生が一番失敗していますから(笑)。でも、失敗しないとお料理は上手になりません。「どうリカバリーするかのほうが大事ですよ」といつも言っています。
――今日のクラスでも、「先生が見てくれている」という生徒さんの安心感が感じられました。
山田 どんな世界でも、自分がウォッチされていないと感じるほど嫌なことはありません。
ただ、初めての方がいらっしゃると常連の生徒さん以上に気を使うのですが、「気を使われている」「自分だけお客様扱い?」と感じさせては、かえって居心地を悪くさせてしまいますよね。だから、こちらの気遣いがわからないように気をつけています。
15年やっていると、その辺りのコツが身についてくるものですが、「どうしたらそんなに自然に?」と聞かれても説明はできないですね(笑)。
夢は「食」による身近な外交
――では、先生の今後の夢を教えていただけますか?
山田 お料理の番組をやりたいです。日本では70年代に放送されていた「世界の料理ショー」という番組があるんですが、ああいう、お喋りも料理も楽しめるようなプログラムを作りたいな。
子どもの頃に見ていて、当時は料理のことはまったくわからなかったけれど、「なんだか泡立ってる!」「ジュウジュウいってる!」って、とにかく「楽しいしおいしそう」だったでしょう? 「なるほど」と勉強になる番組もいいけれど、もっとワクワクする番組があったらいいなって。
――2010年はどんな計画をお持ちですか?
山田 日本の食品メーカーや、日本の食文化の伝統を担っている方を、海外にご紹介するプロジェクトに携わりたいと思っていて、年明けすぐにもアメリカに行くことになると思います。
2009年はお煎茶の家元と先生方をヒューストンにお連れして、5泊7日の旅程で4回、領事館や大学で開催したお茶会がとても好評でした。
抹茶ではなく煎茶、というところが新しかったようで、どんなものか話を聞きたい、見てみたい、味わってみたいという、熱心な参加者ばかりでしたね。
今、ニューヨークでは日本の食材が大ブームで、日本のシェフを呼んでデモンストレーションするイベントがたくさんあります。前向きに参加を検討していらっしゃる企業が何社かあって、私も何かお手伝いができればと思っています。
「食」の外交は、私がこれからもずっと関わっていきたいテーマですね。
自分が得意な…といってもお恥ずかしいレベルですが、大抵のことはなんとかなっちゃう英会話と、ずっと続けているお料理が、どちらも生かせるようなお仕事ができたら楽しいなと思っています。
――旅行代理店勤めで培われた旅行業のノウハウもお持ちですし。
山田 そうですね。でも私、海外に行くとアクシデントばっかりなの。でも、これはちょっとネット上ではご公表できないので、続きはぜひSalon de Rに来ていただいて、直接話を聞いていってください(笑)!
――(笑)うまくまとまりましたね。これからサロンを開かれる方にアドバイスするとしたら、どんなことでしょう。
山田 うーん…「料理は肉体労働です」かしら(笑)。サロンは優雅なイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。私なんて買出しは自転車ですから、浜田山の商店街で有名なんです、「また山田さんのお嬢さんが自転車の前後のカゴいっぱいにして走ってた」って(笑)。
でも切り替えも大事で、生徒さんはサロンに夢をもってこられますから、そのニーズにも対応できなくてはいけません。
優雅な白鳥も水面下では水かきを必死でかいているように、実習の準備には頭を使って、みなさんの作業が効率的に、スムーズに進むようにいろいろ工夫しています。
そうは言いながら、私は仕事が速いので、今日のレッスンも下準備は前日1時間、当日1時間ぐらいでしたけれど。
レッスンがある1日のスケジュール
5:30~6:00・・・起床・身支度
掃除・庭でテーブルや玄関に飾る花を選ぶ
7:30・・・朝食
8:00・・・下準備とテーブルセッティング
9:30・・・メールチェック
10:00・・・最終チェック
(洗面所とトイレの最終掃除も)
10:30・・・お香を焚く
玄関に水をまいてお招きの準備
11:00・・・クラススタート
14:00・・・クラス終了
日によって、お話がある方とお茶
15:00・・・片づけ
翌日の準備・買出し
*麹町サロンのある日は15時に家を出る
16時以降は、ケーキなどの焼き菓子を焼く/翌日の下準備やレシピ作成/あるいは打ち合わせのため外出。
24時までにはなるべく就寝
――なるほど。では最後に伺います。先生にとってキッチンとは?
山田 そうですね……戦場!(笑) でも、それだけじゃなくて、「舞台」でしょうか。皆さんが楽しくなるように、常に何かしら役割を演じている感じです。
レストランのシェフは職人ですが、私は職人ではありませんし、生徒さんにも技術を教えたいわけではありません。技術をご指導するより、その時間をもっと別のことに使いたい…そう、「おいしくするコツ」をお教えしたいです。
例えば今日も、クリスマスメニューでしたが「お正月にも」とご紹介しました。せっかく覚えていただいたメニューだから何回も試していただきたくて、材料をこう変えるとこんな風に使えるとか、この素材の使い方は別の料理にこんな風にいかせるとか、お料理をおいしくする考え方を伝えたいんです。
そして、私にとってなにより大事なのは、おいしくするための「笑い」です。「私はおいしい料理の伝道師」。このコピーどうですか?(笑)
――それで決まりですね。今日はありがとうございました!
(おわり)
インタビュー=深澤真紀(タクト・プランニング)
テキスト=橋中佐和(タクト・プランニング)
写真=下村しのぶ
プロフィール
山田 玲子さん
Cooking Adviser
「Salon de R」主宰
フェリス女学院大学卒業後、 1995年~東京都・浜田山の自宅にて料理教室「Salon de R」を主宰。
小学生の国際交流の活動を通じ、食する事は人の輪なり・・と感じ「美味しい料理はあなたを想う温かい心から」をコンセプトに。
「おいしい!」「すごい!」なんていうお褒めの言葉をエネルギーにして、マダムなおうちごはんを大笑いの中、無理なく楽しく大胆に調理!
お料理とともにおもてなしのコ ーディネートから笑いの心意気まで伝授いたします。
企業の料理教室講師や、国内での出張料理教室、さらにはNYやHouston、韓国など海外でも定期的に料理教室を開催。
食品会社のレシピ開発やケータリング、各種イベントにも対応。
2002年家庭画報「とっておきのおかず大賞」審査委員特別賞受賞。
サロン情報
Salon de R
マダムなおうちごはんを、無理なく楽しく大胆に調理! お料理とともにおもてなしのコーディネートから、笑いの心意気まで伝授いたします。 山田玲子の自宅で開かれる浜田山クラスのほか、男性料理教室、出張クラスも大好評。 話題豊富で笑いいっぱい!元気がもらえるサロンです。
ホームページ、ブログ:
http://www.reiko-cooking.com/
とっておきレシピ
オードブル3つのカナッペ
材料
【A】
長ねぎ・・・1本
マヨネーズ・・・大2
バター・・・大2
アンチョビ
【B】
練りうに瓶
ピザチーズ
【C】
ツナ缶・・・60g
マヨネーズ・・・50g
柚子こしょう・・・小1
万能ねぎ
作り方
- 【A】バターとマヨネーズを合わせる。
- 1センチに切ったバスケットにたっぷりと塗る。
- 小口切りにした長ねぎをのせて、強火のオーブンで焼く。焼き上がったらアンチョビをのせる。
- 【B】バスケットに薄くオリーブオイルを塗って軽く焼く。
- 練りうにを適量のせてピザチーズものせて200度のオーブンで焼く。
- 【C】バスケットを1センチに切り、あわせた具をのせてマヨネーズ腕細かく飾り、200度で10分焼く。
とっておきレシピ
チャイニーズ風 海老の蓮根の春巻きサラダ
材料
海老・・・250g
蓮根・・・50g
卵白・・・少々
片栗粉・・・大1.5
塩こしょう・酒・砂糖
ベビーリーフ
アスパラ
きゅうり
春巻きの皮
しょうゆ・・・30cc
酢・・・10cc
葱のみじん切り
ラー油・・・少々
ごま油
作り方
- 海老と蓮根は叩く、調味料を混ぜて、1/4にカットした春巻きの皮で巻く。
- 細長くして、とじ目は小麦粉を溶いた物でしめる。これを揚げる。
- ベビーリーフやアスパラときゅうりでサラダにして、この上にのせる。ドレッシングを作り、添える。
とっておきレシピ
リコッタチーズのデザート
材料
材料 6人分
板ゼラチン…6g
リコッタチーズ・・・250g
豆乳・・・200g
しょうゆ・・・小2
砂糖・・・大1
くるみ
ピスタチオ
メープルシロップ
作り方
- 板ゼラチンはたっぷりの水につけておく。
- 豆乳は温めて、リコッタチーズを溶かししょうゆと砂糖も加える。
- 板ゼラチンは溶かして2に加える
- あら熱を取ってからバットなどに入れて冷やし固める。
- 器にすくって盛り、くるみとピスタチオを飾る。
- メープルシロップをかける。