『ゆとりの森』主宰 大倉 まゆみ(おおくら まゆみ)さん
手作り調味料や愛用品
手作のプリザーブドフラワーや小物がさりげなくおかれたシンプル広々空間
───ところで教室のために室内はどんな工夫をしていますか?
大倉さん 主人がシンプルで広い空間が好きなこともあり、なるべく家具は置かないようにしています。23歳のときにこの家を建てたのですが、自宅教室をするなんて全く考えなくて!もし考えていたらもっと違う間取りにしてたのにな~と思いますが、できるだけ広く使えるようにしています。
あと、手作りのものに囲まれていたいので、何でも手をかけますね。
───手作りのものがあると空間が温かな印象になりますね。
お教室で愛用しているツールやこだわりの食材などあれば教えてください。
調味料も手作り!ハンディミキサーがあればレパートリーもぐっと増加
大倉さん 食材や調味料は基本的にはスーパーで買えるものにしているのですが、この広島・安佐乃郷の「醤魂」という醤油はすっごくおいしくて、レッスンでもご紹介しています。あとオリーブオイルは「サルバーニョ」が好きです。
調味料もよく手作りするのですが、結婚以来9年間「醤油」と「にんにく」を継ぎ足し続けている「にんにく醤油」は隠し味に絶品です。
手作りのヤンニョンジャンはおもてなしレッスンでレシピも公開したのですが、どんな料理もお手軽に韓国風になります。
ハーブソルトも好評で、生徒さんから販売のご希望が相次いでいます。
キッチンツールも特別なものを使わないようにしていますが、このマルチブレンダーは、上の娘の離乳食用に買ったつもりでしたが、今では使わない日はない私の手のような存在ですね。
教室のための工夫
───自宅教室のほか外部講師として、また、プライベートでは、主婦として家事に就学前のお子様二人の育児にと超多忙だと思いますが、教室運営の秘訣や工夫は?
大倉さん 家庭との両立と、夫婦仲がいいことが絶対大事だと思っています。自宅教室は家に人を上げるわけですが、私の場合は主人が帰ってくるまでに全て片づけて、レッスンのなごりを残さない様にしています。
───なるほど。
大倉さん あと、実は持病があって、一生治らない病気をかかえているので自分の体調との兼ね合いが大変なときがあります。
悩んだこともありましたが、でも悩んでも一日、楽しんでも一日、同じ一日なら楽しもう、と思っています。
「チャレンジすること、踏み出してみることの素晴らしさを発信したいんです」
───そうでしたか・・『ゆとりの森』にかける熱い思いを感じます。
ぜひ、これから料理など自宅教室を始めたい方へアドバイスをお願いします。
大倉さん 繰り返しになりますが、家庭との両立と、自宅に人を入れるわけですからご主人の理解が一番大事だと思います。ご主人には理解してもらえれば充分で、協力まで求めてはいけないと思うんです。
私も、自分の好きなことをやるわけなので、家のこともきちんとしたうえで、もし時間が足りなければ睡眠を削るなど自分が出来る限りのことをして、協力を求めなくて済むように努力しています。
理解してもらえれば充分。そう思ってやると、うまくいくと思います。
とはいっても私の場合は持病がありますから辛い日は完璧に出来ない事もあります。そんな日は主人がしっかりフォローしてくれています。主人には本当に感謝しています。主人や家族への感謝を常に自分が感じながら日々レッスンする事がいい夫婦関係・いいレッスンへとつながると思います。
───とても共感します。
『ゆとりの森』から広がる輪
───自宅教室を始めて良かったこと、大変だったことはりますか?
大倉さん 大変だったことはおかげさまでそんなにないのですが、やってよかったな、ってとても思います。
今までで一番嬉しかったのは、以前汁なし坦々麺を作ったレッスンに参加された生徒さんがお家で作って、思春期でずっと部屋に閉じこもっていた息子さんにいつものように部屋の前に夕食として置いておいたところ、翌朝「おかん、今日もあれが食べたい」といって部屋から出てきて、そのあとは何事もなかったかのように元に戻ったことがあったそうなんです。
その生徒さんに『あれはうちの家庭で忘れられない料理になった』と次のレッスンで言われたとき、感激でみんなで泣いて、「私が目指したものはこれだ!」と思いました。
「食卓を整えるのが楽しくなると、家族も喜ぶし、笑顔が広がります」
───お母さんのおいしい手作りごはんが心を開いたんですね。
大倉さん 私は「食卓から家族の絆を深めたい」と強く思っていて、生徒さんを通じてそのご主人やお子さんにも実践してほしい、というのが究極の願いです。
家庭の中心である母親が食卓を整えることを好きになり、それを囲む家族が笑顔になれば、子供の虐待や非行などなくなって、大げさかもしれませんが、地域や世界の平和につながると思うんです。
そのために、気軽に簡単にできるテーブルコーディネートとレシピにこだわり続けています。
───全く共感します。家庭の中心の『お母さん』が楽しく幸せでいることって大事ですね。
大倉さん 1回6人の生徒さんは、家に帰れば主婦で、その周りにはご家族がいて。ここでお伝えしたことはみんなに伝わっていくんです。
私にとって忘れられない一言になりました。
食卓を整え、家族で囲む楽しみを
大倉さん 仕事においてもプライベートにおいても、マーサやターシャのようなスーパー主婦になりたい、と思います。プライベートが充実していると、それがゆとりの森の深みになると思うんです。
教室に関しては、例えば生徒さんを●●人に増やしたいなどの目標は実はあまりなくて、いつもニュートラルでいたいなと思っています。
───これから子育てをする方や小さなお子さんをお持ちのお母さん方にもお伝えしたいとか。
大倉さん はい、そういった方々に食卓を整える楽しみや、家族で食卓を囲む大切さを伝えていきたいです。ただ、今は準備の都合でここでは11時半からじゃないと無理なんです。そうするとみなさんの幼稚園の迎え時間に間に合わなくて。
なので、そういった方々にも来ていただきやすいように、外部講師も積極的に引き受けています。
キッチンも手作り品やお気に入り雑貨でディスプレイ。居心地のいい空間に
───最後に、大倉さんにとって食卓と同様、心をつなぐ食作りに欠かせないキッチンの存在とは?
大倉さん 家庭の中心というか、いいすぎかもしれないけど・・家庭そのもの、家庭の全てだと思います。
いる時間も長いですし、手作りのものを置いたり手をかけたりして、居心地のいい場所にしていきたいですね。
───手作りのものに囲まれたあたたかい空間での楽しいレッスンとインタビュー、今日は本当にありがとうございました!
大倉さん こちらこそありがとうございました!
(おわり)
インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=林 博嗣(究フォトクリエイション)
夢実(究フォトクリエイション)
プロフィール
大倉 まゆみ(おおくら まゆみ)さん
『ゆとりの森』主宰
「簡単・オシャレ・毎日できるおもてなし」をモットーに、高級食器やマナーにとらわれすぎず、自宅にあるものや手作りの温かさを大切にした、気軽に楽しく実践できるおもてなしをレッスンしている。
身近で手軽なスタイルが人気を博し、人気講座の「おもてなしレッスン」は1クールのレッスンに150名以上の生徒さんが受講に訪れ生徒層も20~70代と幅広い。またテーブルコーディネートの資格取得講座には主婦はもちろん百貨店食器売り場店員・ブランド食器メーカー店員・結婚式場のスタッフ・有名ホテルの副料理長など様々なジャンルのプロがレッスンに訪れる。
自宅で実践しやすいオリジナルレッスンを展開する一方、出張レッスンでは主催側の意向に沿ってどのような内容(カジュアルなもの・高級感漂うもの等)にも対応。イベントの度に数日で満席となることが多い。
また、主婦としての生活やレッスンの様子を綴ったブログ「テーブルコーディネーターの幸せ家事日記」は全国の習い事ランキングで2位にランクインした。現在、食卓から家庭を見直す活動に力を入れており主婦に食卓を整えることの楽しさを伝えている。
とっておきレシピ
チキンのシンプルトマト煮込み
材料
とりもも肉…2枚
片栗粉…適量
りんごジュース(100%)…100cc+適量
料理酒…200cc
ホールトマト…1缶
固形コンソメ…2個
オリーブオイル…適量
イタリアンパセリ…適量
作り方
- 1.とりもも肉をフォークで刺して筋を絶って一口大に切る。
- 2.1を器に入れてリンゴジュースをかぶる程度に注いで1時間以上おく。
- 3.2をクッキングペーパーの上に出し、片栗粉をまぶす。
- 4.フライパンに多めのオリーブオイルを入れて熱し③の両面を色よく焼く。
- 5.4にリンゴジュースを入れて蓋をし数分蒸し焼きにする。
- 6.残りの材料を入れて10~15分煮込んで器に盛り、パセリを飾る。