食べやすく美しいコーディネート
◆今月のサロネーゼ◆
今月のサロネーゼはひがしきよみさん。ひがしきよみテーブル&フードコーディネート教室を中心に、食空間プロデュースのさまざまなお仕事でご活躍中です。(毎週月曜更新)
レッスン終了後、ひがしさんのインタビューをはじめる前に、事前にご用意いただいたおすすめグッズと思い出の品の撮影をさせていただいたところ、すてきな品物が次から次へと…。
「すてきなもの、使いやすいものがあったら、皆さんにご紹介したくなっちゃうの!」というひがしさんのおすすめトークを交え、ご紹介いたします。
おすすめグッズと思い出の品
まずは「かわいい!使いやすい!」というおすすめグッズから。
シリコンのキッチングッズいろいろ。写真中央は鍋敷き。ボトルオープナーとしても使えてとても便利。
写真上のシリコンのお玉は炒め物にも使っています。穴あきなので水分を除けたいときにも。
写真下はルクルーゼの小さな器。これもシリコン製。薬味を入れておいたり、片栗粉を溶かしたり、とても重宝しています。
まん中は斧折樺(オノオレカンバ)のしゃもじ。裏側に彫り込みが入っていて使いやすいです(フィオーレの森の雑貨店minkaで購入)。
赤が好きなので、キッチングッズも赤が多いですね。ルクルーゼもストウブも赤ばかり。
そして思い出の品も。
毎年結婚記念日に銀器を買おうと夫と約束していて、何年目かに見つけたバターナイフ(まん中)です。きよみの〝K〟の刻印が入っているので、「これは私がつれて帰るしかないわ」と南青山の英国骨董おおはらで買いました。
こちらはティーキャディスプーン(写真手前)。1857年の純銀製。ロンドンのポートベローで知り合ったアンティークショップのおじさまにいただいたの。うれしかった。
これは私がお勤めしてはじめて買ったアンティークのジャムポット(写真奥)。銀メッキですけれど、お店に何度も見に行って悩んだ末に買った思い出があります。同時代のスプーンとセットで使っていたんですが、引越しでなくなっちゃったのが残念。
これは思い出の品というより、毎日使っている普段使いの銀食器。
我が家はみんな紅茶が大好きで、どんなに忙しくても必ずティーブレイクをとるんですが、1人のときにちょうどいいサイズのポットがなかったのを、主人が買ってくれたものがこの(写真まん中)ポット。とはいえ、実はこのポット、見た目より容量があって(笑)。だから結局、朝に2人で使っています。
これ(写真手前)はパリで購入したティーストレーナー。使いすぎてボコボコなんですけれど、とても使いやすいです。
ティーストレーナー(写真奥)でもこちらは日本茶用です。使いやすくて生徒さんにも好評でしたが、残念ながら廃番になってしまったみたい。
このお弁当箱は、東京ドームで行われるテーブルウェア・フェスティバルのコンテストではじめて入賞したときに、記念にフェスティバルに出展していたお店で買いました。
で、翌年、このお弁当箱を使ったコーディネートでコンテストに出品して最優秀賞をいただいた、という思い出の品です。
「月に雲」という名前が付いていて、お月見のコーディネートによく使います。
コーディネートを「体得」していただきたい
――今日レッスンを見学させていただいて、ひがしさんのクラスほど、生徒さんにいろいろ考えさせるスタイルは、ちょっとめずらしいように感じました。
ひがし 私独自のスタイルかもしれませんね(笑)。
生徒さんのスタンスが変化しているということも理由としてあると思います。
少し前までは、テーブルコーディネートというと「すてき!」「かわいい!」と趣味的に楽しむ方が多かったのですが、最近は若い方で「資格を取りたい」という目的を持った方、それからすでに何かしらの教室を運営されている先生が、さらにお勉強されにいらっしゃいます。
お紅茶の先生、お料理やパンづくりを教えていらっしゃる先生、お花の先生もいらっしゃるのですが、みなさんご自分のお教室にプラスアルファが欲しいということで、いらしています。
勉強熱心な方に来ていただくからには、少しでも実践的な知識を身につけていただきたいので、それなりの気構えでレッスンに臨まなければなりません。
もちろん、1年めの方向けのビギナーコースでは、どこに何を置くか、正しい位置は?など、基本的なルールはお教えします。ただ、1年めのクラスも、今回ご覧いただいた2年めの方と同じで、お皿やカトラリー、グラスなどを出して、それをみなさんで実際に並べていただくスタイルは同じです。
最初から私が実演してしまったら、生徒さんが考えなくても済んでしまうでしょう? それではおもしろくないですし、覚えるために何がいいかと言った ら、「体得」という言葉があるように、実際に身体を動かして試行錯誤してみることですから。
テーブルコーディネートの教室でも、先生がまずきれいにコーディネートされて、その説明を聞くというスタイルもあって、先生ごとに方針は違うと思いますが、私は「実際にやってみる」というスタイルを採用しています。
「食べられるテーブル」とは
――レッスンを拝見して、コーディネートには理屈があることがわかりましたし、理屈に沿うことでコーディネートが自然に美しくなるというのがわかりました。
ひがし コーディネートは感性の産物と思われがちですが、それだけではありません。
特に教える立場になったら、「なぜここに置いたの?」と聞かれて「なんとなく」では説得力がありませんし、私はレストランやホテルで食空間のプロデュースもさせていただきますが、ホテルの担当者やシェフと対等にお話するためには「なぜここに置くか?」を理論的に説明することが必要です。
そうでなければビジネスの世界で自分の意見は通りません。
――すべてが具体的、論理的に説明されていましたから、一度習ったことが別のテーマでも応用できそうです。
「食べる人ありきのテーブルコーディネート」という視点も印象的でした。
ひがし ええ、「きれい」「かわいい」だけに流されると、「食べやすさ」「居心地のよさ」という一番大事なポイントが疎かになりがちなんですね。
カリキュラムや教え方については、毎年工夫を重ねて、ようやく今のかたちにたどり着きました。
ただ、根本にあるのは、もともと食べること、飲むこと、そしておしゃべりが好きだったということと、おいしく楽しく食べるためにはどうしたらいいか?という問題意識です。
たとえばカトラリーも、位置的にバランスよく置いてあればいいというわけではなく、テーブルに着いた人がスムーズに食べられ、取り分けられるにはどうするか?を考えてコーディネートしてほしいんですね。
生徒さんにまず申し上げるのは「食べられるテーブルをつくってください」ということ。テーブルを食べるわけじゃありませんよ?(笑)
――そこを押さえないと、「見て美しい」だけになりがちだと。
ひがし そうなんです。ですから今日の生徒さんたちも、センターの漆の台に花を置いてしまったし(笑)。
もちろん見せるためにはデザインの美しいコーディネートも必要です。でも皆さんが、それぞれのご家庭に取り入れたいという場合、「食べること」が主な目的になるわけですから、「どう食べやすくするか」が大事になるのは当然なんですね。
(次回へつづく)
インタビュー=深澤真紀(タクト・プランニング)
テキスト=橋中佐和(タクト・プランニング)
写真=下村しのぶ
プロフィール
ひがし きよみさん
食空間コーディネーター
アシスタントカラーコーディネーター
◆経歴◆
短期大学英文学科卒業後、外資系医薬品企業、ワイン・洋酒輸入企業勤務を経て、赤堀フードコーディネータースクール卒業
◆現在◆
・株式会社インフィニータ取締役
・ひがしきよみ テーブル&フードコーディネート教室主宰
・赤堀フードコーディネータースクール講師
・学習院生涯学習センター 講師
・大手百貨店 社員教育 講師
・食器メーカーコンサルタント
・ホテル・レストラン食空間コンサルタント
・朝日酒造(株)コンサルタント
・TV・ラジオ・雑誌・百貨店等でのテーブル&フードコーディネート
・テーブル&フードコーディネートセミナー・イベントの企画運営
・日本フードコーディネーター協会正会員
・内閣府認証 NPO法人食空間コーディネート協会 理事
・TALK食空間コーディネーター資格認定講師
◆受賞歴◆
H.7~H.11 東京ドームテーブルコーディネートコンテスト 5年連続入賞・最優秀賞
H.8~H.9 東京ビッグサイト優しい食空間コンテスト 2年連続入賞
H.10 ハウスクェア横浜 テーブルコーディネートコンテスト入賞
石川県主宰テーブルコーディネートコンテスト 優秀賞
H.11 世界文化社主催 家庭画報大賞 優秀賞
TVチャンピオン フードコーディネーター選手権 優賞
サロン情報
ひがしきよみテーブル&フードコーディネート教室
SAKURA JAZZ WITH OMOTENASHI
桜日和とジャスのおもてなし
桜日和に合うオシャレなパーティーフードとジャズをお楽しみ下さい。
2010年3月28日
1部:14:00~16:00
2部:17:30~19:30
東急百貨店4店舗にてテーブル展示&トークショー