ぜいたくな空間で美しい食卓づくりを学ぶ
◆今月のサロネーゼ◆
今月のサロネーゼはひがしきよみさん。ひがしきよみテーブル&フードコーディネート教室を中心に、食空間プロデュースのさまざまなお仕事でご活躍中です。(毎週月曜更新)
東急田園都市線・溝の口駅から徒歩10分ほど。都心の高層ビル街を見渡す小高い丘の上に「ひがしきよみテーブル&フードコーディネート教室」はあります。
高原のプチホテルのようなぜいたく空間で
出迎えていただいたアシスタントの女性の凛と伸びた後姿を追いながら、よく手入れされた長いアプローチを進むと、高原のプチホテルのような大きなお宅!
大きなドアを開けばさらに、高い吹き抜けの広々とした玄関ホールに驚かされます。
白い壁、大理石の床、ダークブラウンに統一された調度類、壁一面に並ぶ棚に収められた食器類の数・クオリティともに壮観な部屋に入ると、ひがしさんが華やかな笑顔で迎えてくださいました。
部屋の片隅に置かれたピアノが自動演奏で、映画「マイ・フェア・レディ」の「時間どおりに教会へ」をジャズアレンジで奏で、ホテルのロビーにいるようなぜいたくな雰囲気です。
講義と実習が行われるメインルームは、10人掛けと4人掛けのテーブル、そしてピアノが置かれてもまだまだ余裕のある広さ。キッチンとのあいだのダイニングにも6人掛けほどのテーブルがあり、その奥にブラウンを基調としたキッチンが広がります。目をひくのはとにかく大きなアイランドです。
出窓に飾られた、トーンが微妙に異なる赤いルクルーゼやストウブのキャセロールも、とてもおしゃれ。
「おいしいです、先生」 レッスンを待つ生徒さんに用意されていたのは竹茗堂のうす茶あられ。
「お茶のように見えて召し上がるとほんのり甘いから、あら?ってなりますよね。冷たくしてアイスクリームといただいてもおいしいのよ」とさりげなくアドバイスするひがしさん。そろそろレッスンがはじまります。
今日のテーマは「クロスオーバー」
まずはご自身の近況を笑いをまじえながらおしゃべり。「みなさんはいかがでした?」と生徒さんとのコミュニケーションをとりながら、リラックスムードをつくりあげていかれます。
「はい、でははじめましょう。
今日のテーマは〝クロスオーバー=和洋混在〟。〝フュージョン〟〝West meets East〟と言い方はいろいろです。
「はい、でははじめましょう。
今日のテーマは〝クロスオーバー=和洋混在〟。〝フュージョン〟〝West meets East〟と言い方はいろいろです。
実はみなさんのご家庭でも和洋混在はやっていらっしゃるはずなの。というのは、ご家庭で、純然たる洋食を洋食器だけでナイフとフォークで召し上がっている方は少ないでしょう? 食器もメニューも、なにかしら和の要素が入っているものですから。
でも、今日学んでいただきたいのはそういう偶然の和洋混在ではなく、日常の食卓に取り入れていただくとしても、クロスオーバーはどうあるべきか?です。
和食器と洋食器がどうやったら上手に組み合わせができるかをお勉強していってくださいね」
はじめは講義の時間。〝クロスオーバー〟という馴染みが薄いように思えたテーマが、ひがしさんの説明でスッと身近なものに感じられてきます。
これからはじまる実習の方向も明確で、学習目的がわかりやすいのもうれしいところです。
「皆さんが展示会でご覧になって、すてき!と思われるコーディネートのなかには、たとえば漆器と洋食器、ガラスと洋食器、あるいは漆器とガラスと、いろいろな組み合わせがありますよね。
まず、和洋混在のポイントは質感やスタイルの似たものを組み合わせる方法がひとつ。今皆さんの前にある磁器のお湯呑みでちょっと試してみましょう」
と、食器棚からジノリのベッキオホワイトの丸皿を取り出し、湯呑みをちょこんとのせてみせます。
「どう?違和感ないでしょう? お湯呑みをまん中でなく少し上にずらして、できたスペースにクッキーやおせんべいを置いてもいいですよね。これが和洋混在。磁器同士なら和でも洋でも合わせやすいです。
それから、丸皿を角皿に変えると、少しモダンな印象に変わりますね」
「そして、もう1つは異素材の組み合わせで、あえて質感の違いを楽しむ方法。
たとえば、お皿を赤い漆器に変えてみましょう。ね?これもかわいいわよね? さらに、お湯呑みをガラスのグラスに変えてみると…ほら、いいでしょ。グラスと竹で編んだ器を合わせても面白いですね」
食器棚に並んだたくさんの器から、お皿やグラスをいくつも取り出し、次々に取り合わせの例を見せてくれるひがしさん。
コーディネートの印象がどんどん変わっていく様を間近に見ているだけで「これとこれを合わせたらどうかしら?」と想像力が刺激されます。
コーディネートの基礎知識が満載のレッスン
「和洋のクロスオーバーは、色がポイントになります。
和の色のキーワードは……そう、〝四十八茶百鼠〟ですね。茶とねずみ色の豊富なグラデーションや、伝統的な朱や藍を取り入れることで和が表現できますから、そこに洋食器や洋柄を合わせるとクロスオーバーになります」
「洋はシンメトリーが基本ですが、和ではアシンメトリーも美。小物も同じものを対称的に置かず、大きさでバランスを崩したり、配置もずらしたりすることで、和の雰囲気を出すことができます」
今までのレッスンで学んできた知識を生徒さんと確認しながら、それを今日の実習にどういかせばよいかも解説されます。
「竹や和紙、水引など和素材をポイントに使ったり、陰影のある、障子やレースカーテン越しの柔らかいライティングを使っても和を表現しやすいです。
花鳥風月など、和食器の古典的な絵柄が入った器と洋食器の組み合わせは上級編で、ちょっと冒険ですが、うまくいくととても個性的なコーディネートになります。
実際にやってみないとわからないと思いますので、実習に入っていきましょう!」
コーディネートの基礎知識を盛りだくさんに一覧した後は実習の時間。生徒さんがいよいよ、実際にクロスオーバーのコーディネートに挑戦されます。
(次回へつづく)
インタビュー=深澤真紀(タクト・プランニング)
テキスト=橋中佐和(タクト・プランニング)
写真=下村しのぶ
プロフィール
ひがし きよみさん
食空間コーディネーター
アシスタントカラーコーディネーター
◆経歴◆
短期大学英文学科卒業後、外資系医薬品企業、ワイン・洋酒輸入企業勤務を経て、赤堀フードコーディネータースクール卒業
◆現在◆
・株式会社インフィニータ取締役
・ひがしきよみ テーブル&フードコーディネート教室主宰
・赤堀フードコーディネータースクール講師
・学習院生涯学習センター 講師
・大手百貨店 社員教育 講師
・食器メーカーコンサルタント
・ホテル・レストラン食空間コンサルタント
・朝日酒造(株)コンサルタント
・TV・ラジオ・雑誌・百貨店等でのテーブル&フードコーディネート
・テーブル&フードコーディネートセミナー・イベントの企画運営
・日本フードコーディネーター協会正会員
・内閣府認証 NPO法人食空間コーディネート協会 理事
・TALK食空間コーディネーター資格認定講師
◆受賞歴◆
H.7~H.11 東京ドームテーブルコーディネートコンテスト 5年連続入賞・最優秀賞
H.8~H.9 東京ビッグサイト優しい食空間コンテスト 2年連続入賞
H.10 ハウスクェア横浜 テーブルコーディネートコンテスト入賞
石川県主宰テーブルコーディネートコンテスト 優秀賞
H.11 世界文化社主催 家庭画報大賞 優秀賞
TVチャンピオン フードコーディネーター選手権 優賞
サロン情報
ひがしきよみテーブル&フードコーディネート教室
SAKURA JAZZ WITH OMOTENASHI
桜日和とジャスのおもてなし
桜日和に合うオシャレなパーティーフードとジャズをお楽しみ下さい。
2010年3月28日
1部:14:00~16:00
2部:17:30~19:30
東急百貨店4店舗にてテーブル展示&トークショー