「フランス家庭料理教室アン・プチ・プ」主宰 神崎則子さん
料理教室の魅力
――お教室をはじめて約12年とのこと。料理の仕事はいろいろありますが、なぜ料理教室運営に定めたのでしょう。
神崎さん ル・コルドン・ブルーに2年間みっちり通い、お菓子とお料理を基礎からしっかり学びましたが、その過程で、大量のバターを使い油分やカロリーの高いお料理を”家庭で毎日”作って食べることは難しいと感じ、家族や親しい人に安心して毎日食べてもらえるフレンチを研究し始めました。
フレンチの基礎は大切にしつつ、納得できるオリジナルレシピができるようになるにつれて、いつか料理教室を開いて伝えたいと思うようになりました。また、結婚して専業主婦になり、家に一人でいる時間が長くなり改めて人と接するありがたさを感じたんです。人が好きなんですね。
料理教室は、大好きな料理を伝えることができ、生徒さんがわざわざ来てくださいます。
誰もが大切な家族には体によい、そして美味しい食事を作りたいですよね。そんな方に直接お伝えでき、無理なく料理の仕事を続けることができるのが料理教室だと思いました。
「基礎があるからこそのオリジナルレシピ。この教室でしか習えないことを伝えて、喜んでいただきたい」
――なるほど、その通りですね。
神崎さん おかげさまで、コンセプトに共感して長く通ってくださる方や、遠方から通ってくださる方が増え、教室を続けてこられました。自分で考えた料理を自分と家族だけでなく、生徒さんとそのご家族に召し上がっていただき、喜んでいただけるのは本当に嬉しいです。
この教室でしか習えないお料理を考えて、伝え、そして喜んでいただけるのがやりがいです。
毎回感動する新しい学びをお持ち帰り
――レッスンで心がけていることはありますか?
神崎さん 料理本やネットでたくさんのレシピを見ることはできますが、見るだけではわからないこと・・・例えば、野菜の切り方や調味料を入れるタイミングなど、同じ分量でも味が全く変わってくることがあります。本やネットでは伝わらない、そうした細かなことをきちんとお伝えして、毎回必ず1つ以上は「なるほど!」と感動する新しい学びをお持ち帰りいただくように心がけています。
毎月新しいレシピを考えるのは確かに大変ではありますが、レシピを考えているとき、生徒さんのお顔がぱーっと浮かぶんです。このお料理なら生徒さんもご家族も喜んでいただけるかな、といつも考えながら、試作を重ねています。
大切な家族のためだったら一食一食大切に考えますよね。まさにそんな気持ちです。ずっと通ってくださっている方も、これから来てくださる方も、私にとって皆さん”ファミリー”なんです。
「大切な家族のために健康に良い美味しい料理を伝えたい。そんな思いでレシピを開発しています」
――素敵ですね。料理を伝える人としての責任と生徒さんへの思い、そして生徒さんとのあたたかい関係性を感じます。
今日レッスンを拝見して、無駄な時間がないといいますか、とても段取りがよくスムーズな進行にも驚きました。
神崎さん ありがとうございます。スムーズに進むよう、実はかなり考えています。
例えば翌月のメニューを考えるとき、組み合わせが味的にぴったりだったとしても、作る段取りがうまくおさまらないときはメニューを変えることもあります。
あえてアシスタントさんを入れていませんので、自分ひとりでできる段取りを組み立てることは大切なことです。
――振り返ると、段取り良く進行しながら、ずっと先生からの細かい説明がありました。手と口が常に同時進行(笑)。実はすごいことです。
神崎さん とはいえ、バタバタしてしまうときもたくさんあります(笑)。でもいつも生徒さんに助けていただいています。先回りして気を配ってくださったり、さりげなく手伝ってくださったり・・・。本当に生徒さんに恵まれていて、素敵な方ばかりなのが教室の自慢です!
――生徒さんからお預かりしている大切な時間を、期待以上に充実した学びの時間にしたい。そんな思いを感じました。
これからも大切にしたいこと
――今も勉強し続けていることはありますか?
神崎さん 分厚いファイルにまとめたル・コルドン・ブルーのレシピを度々読み返していますが、毎回新しい学びがあります。興味のある講習にはジャンルを問わず通い、常に勉強は欠かせません。
食事先でも旅先でも、美味しいものがあるとすぐにメモ帳をとりだしてしまいます。
また、話題のレストランに食事にもよく行きます。食べるのも勉強ですよね。フレンチはもちろんですが、和の要素をフレンチに取り入れるために、最近は改めて和食を勉強したいと思っています。
豆腐マイスター認定講師でもあり、フレンチの教室ではありますが日本の食文化を大切に考え、伝統的な食品や調味料についても知識を深め、生徒さんに伝え、そして買い支えていきたいと思っています。
――レッスンでも昔ながらの製法で作られた味噌やみりんなど、日本の”本物の”伝統調味料をよくお使いになるのですよね。気候風土に合った食材を使い、伝えるのも大切だと思います。
ところで、これからお教室を始めたい方にとって先輩ですが、教室主宰者にとって大切だと思うことは何でしょうか。
神崎さん 誠実であること、常に学び続けること、そして代理がきかないので、健康管理も大切です。体調不良で休講した事はこの10年間一度もありません。
「健康管理も大切。これからも生徒さんを家族だと思ってレシピを考案し、長く続けていきたいです」
――健康管理も仕事のうちですね!最後に、これからの夢を教えてください。
神崎さん これまで通り、生徒さんを家族だと思って大切にし、皆さまの健康に役立つおいしい料理を考案し、多くの方々が集まってくださるのが一番の希望です。
また、長時間立ち通しでの実習は疲れる方もおられるかと思いますので、今後はデモンストレーション形式のレッスンも取り入れたいと思っています。
いままでやってきたレシピをいつかまとめたい思いもあり、本やその他なにか、私にしかできないお料理を伝えるものも作りたいです。
――それは素敵ですね!毎日食べたくなる、日本に暮らす私たちの体に合ったヘルシーフレンチ、お教室ならではのお料理はとても魅力的です。
今日は貴重なレッスン体験と素敵なお話をありがとうございました!
神崎さん こちらこそありがとうございました!
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毎日の食事が私たちの体を作るわけですが、ヘルシーを優先すると、”美味しい”が二の次になりがち。でもお教室で学べるのはその両方が叶う、嬉しいお料理。
毎日でも食べたくなる、和の要素も取り入れたフレンチ、神崎さんならではのこだわりとセンスが光るレシピはこれからもたくさんの方に愛されそうです。
湘南・藤沢で学ぶアットホームなヘルシーフレンチ、ぜひオススメです!
インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=原田圭介
プロフィール
神崎則子さん
ル・コルドン・ブルー東京校にてグランディプロム取得。
神奈川県藤沢市の自宅にて「フランス家庭料理教室アン・プチ・プ」主宰。
旬の身近な食材を使い、バターや生クリームを多用せず。
たっぷりの野菜をオリーブオイルで調理するヘルシーでシンプルなレシピを提案。
企業へのレシピ提供や商品開発もおこなう。
●イタリアAISO認定オリーブオイルソムリエ
●豆腐マイスター養成講座認定講師
サロン情報
フランス家庭料理教室アン・プチ・プ
レッスンは6~7名様までの少人数制です。
メニュー月変わりで、季節感溢れる前菜・メイン・デザートの3~4品をすべて実習します。
実習はひとつのテーブルを囲んでおこない、作業を分担することはせず、すべての工程を全員で和気あいあいとすすめます。
実習の後は、皆さまでゆっくりとテーブルを囲んでご試食をお楽しみください。
お食事後の後片付けや調理中の洗いものは不要なので、周囲の方々に気を遣われることなく、調理だけに集中して学んでいただけます。
初心者の方も大歓迎です。入会金不要、いつでも単発でお気軽にご参加いただけます。
ジャンル:
家庭料理、イタリアン、フレンチ、スペイン、ベジタリアン、健康食、パン、洋菓子、おもてなし
サロン特長:
初心者歓迎、平日開催、夜間開催、土日開催、お友達同士歓迎、少人数制(6人以下)、予約制、各種イベントあり、駅近(徒歩10分以内)
所在地:
神奈川県藤沢市藤沢
ホームページ、ブログ:
とっておきレシピ
旬野菜と麦のリゾット くるみ風味
材料
(4人分)
・米 180g
・押し麦 大さじ2
・くるみ 約20g
・れんこん 約80g
・ごぼう 約80g
・玉ねぎ 1/4個
・ベーコン 100g
・炒り大豆 大さじ2
・バルサミコ酢 小さじ2
・醤油 小さじ2
・熱湯 約600Ccc
・パルメザンチーズ 大さじ2
・くるみオイル 適量
作り方
- 1.米をとぎ、押し麦は軽く水洗いする。これらをザルに広げて乾かす。くるみはアルミ箔で包み、オーブントースターで香ばしくなるまで焼き、あらく砕く。
- 2.れんこんは約7mm幅のいちょう切り、ごぼうは約5mm幅の斜め切りにする。玉ねぎはみじん切り、ベーコンは約1cm幅に切る。
- 3.鍋にくるみオイルを熱し、ベーコン、玉ねぎ、ごぼうを加えて炒め、バルサミコ酢、醤油を加え混ぜる。米を加えてさらによく炒め、かぶる量の熱湯を加え、塩、こしょうで味をととのえる。
- 4.3にれんこん、炒り大豆を加え、時々混ぜながら中火で12分煮る(途中で水分がなくなったら、そのつど適量の熱湯を足すこと)。火を止め、パルメザンチーズを加え混ぜる。