Peaceful Room主宰 蒲原泉(かもはら いずみ)さん
「食」に興味があれば、料理上手になれる
――ブログによると、ご次男がお料理好きでいらっしゃる。
蒲原 好きですね。うまいとはいえませんけれど(笑)。
ちょっとびっくりしたのが、私がレッスン前に食材をバットに入れて準備しているのを見て、次男も自分で料理をするとき、同じようにまず食材を準備するんです。
「見てるんだなー」と、うれしいような、「男の子なのにそこまでやらなくても…」みたいな、複雑な気持ちでした(笑)。
長男も、自分で料理はしませんが、食べるものにはうるさくて、味の違いにもとても敏感。洋食より和食派です。
学校の女の先生がカップラーメンを食べているのを見て、「女の先生なのに弁当をつくらんとよ!」とショックを受けていたので、「女の人だって、たまにはカップラーメンくらい食べたっていいじゃない」と言っておきましたけれど(笑)。
息子は2人とも家ごはん派ですね。
――おかあさんの料理がこんなにおいしいと、お嫁さん選びのハードルが高そう(笑)。
蒲原 そんなことないですよ。だって私自身、結婚するまでお料理をしたことがなかったんですから(笑)。
息子にも、「お料理ができなくてもいい。でもお料理が嫌いじゃない相手を選んでね」と言っています。食べることが好きで、興味がある人なら、いつかおいしい料理をつくれるようになるから、私がそうだったから!って(笑)。
レッスンのある1日のスケジュール
5:30~6:00 起床、 洗濯機を回しつつ、朝食、お弁当づくり (お弁当は前日に仕込み)
8:30~9:00 教室の準備
11:00~ 教室スタート
14:30~15:00 教室終了。その後、家事や仕事
19:00~ 夕食 (それぞれの帰宅時間に合わせ)
食後、後片付け、翌日の朝食・お弁当の仕込み
23:00~ お風呂、メールチェック、ブログ書きなど
1:00 就寝(なるべく12時までに寝るようにしていらっしゃるそうですが…)
――お忙しい蒲原さんですが、アシスタントの方がいらっしゃらないのが驚きでした。
蒲原 主婦は自宅にアシスタントがいるわけではないので、全部自分でやるという前提で、私自身も自分で買い物をするところからやりたいからです。
それに、私は自分を「先生」とは思ってなくて、「主婦」として、生徒さんの主婦仲間として、体にいいことを一緒に考えて、一緒に実践したいんですね。
「ハッピー」を持ち帰ってもらえるように
――お取り寄せの食材や調味料、調理器具の話題がいっぱいで、実際に品物も用意されているのも楽しいですね。
蒲原 柚子こしょうをいろいろ買ってきたり、取り寄せて、食べ比べをしたりね。
お教室に来ていただいたら、情報や知識のおみやげを1つでも多く持ち帰っていただきたいなと思っているので、珍しいものを見つけると、「あっ、これ皆さんに見せよう!」って思っちゃう。
教室の名前を「ピースフルルーム」とつけたのも、皆さんが少しでもハッピーな気持ちになっていただけたらという思いから。
ここでワイワイ楽しく過ごしても、皆さんそれぞれ、いろいろあると思うんですね。だからこそ、「ここに来るとなんか元気になるよね」と感じていただいて、幸せな気持ちで帰っていただけるような空間にしたいと思っています。
「お料理を習いに行こう!」と気構えずに、お友だちとランチを食べて、お茶を飲んで過ごすような気分で来ていただけるとうれしいです。
私自身も、生徒さんから教えられることがたくさんあって、元気をいただけて感謝していますし、幸せだなと思います。
実は昨年、わけあって半年ほど教室を休ませていただいたことがありました。
「皆さん辞めちゃうかな?」と思っていたのに、再開を待ってくださる方がいらっしゃったのがすごくうれしかったですし、お休みしているあいだ、「私には料理教室がある。居場所がある」というありがたさが身にしみました。
「体にいい食生活」多くの人に伝えたい
――今後、どんなことをされたいか、目標はありますか?
蒲原 うーん……私、目標がない人なんで(笑)、どうしよう…えーと…、この教室でお伝えしたことが少しでも広がるといいな、とは思っています。
ここで私がお話した話題を、生徒さんが別の井戸端会議で「こうなんだよ」「ああなんだよ」とお話して、広がったらうれしいなって。
――では、蒲原さんの夢は?
蒲原 そうですねぇ…生徒さんの中に、ピースフルルームと同じようなお教室をされる方が出てきたらうれしいです。
――なるほど、体にいい食生活を1人でも多くの人に伝えていかれたい。
蒲原 そうですそうです。
――お店をされることは考えていらっしゃらない?
蒲原 それはないですね。私は「家ごはん」を大事にしたいので。
もちろん外食もたまには食べにいきますけれど(笑)。
――最後にうかがいます。蒲原さんにとってキッチンとは?
蒲原 遊園地です!(即答)
――ほぉ! すごく楽しい場所ということなんですね。
蒲原 ええ。いろんなアトラクションがあって飽きない場所というイメージです。いちばん落ち着きますし、キッチンにいるのはまったく苦になりません。
というより、なるべくキッチンにいたいので、子どもたちがリビングでテレビを見ていても、私はキッチンにいますし、家族がテレビを見ているのを、キッチンから見ているのが好きなんです。
子どもたちがごはんを食べているあいだもキッチンにいて、「おかず足りる? 足りなかったらつくるよ」って(笑)。居酒屋の厨房みたいでしょう?
――うらやましい居酒屋ですね(笑)。今日はありがとうございました。
蒲原 ありがとうございました!
(おわり)
インタビュー=深澤真紀(タクト・プランニング)
テキスト=橋中佐和(タクト・プランニング)
写真=下村しのぶ
プロフィール
蒲原泉(かもはら いずみ)さん
Peaceful Room主宰
食生活アドバイザー。フードコーディネーター。食養士。二男の母。
家族の体調不良を食事で改善した経験などから食べ物のチカラに目覚め、、多方面で勉強を重ねる。
2005年より料理界の重鎮:檜山タミ氏に師事。
地域の公共施設で開いていた料理教室が評判となり、自宅教室を開くようになる。
「おいしい」「食べることが楽しい」「作ることも楽しい」を大切に、時候に合ったヘルシーな食卓を提案中。
KBCテレビ「アサデス。」に出演(~2006.9)
RKBラジオ番組に出演。雑誌やクリニックなどへのレシピ提供。西部ガスクッキング料理教室講師。直前組織の料理教室講師。食品メーカーのレシピ開発。