自分だけのスタイルを貫く
───教室で愛用している、また、イタリア料理ならではの調理器具や食材はありますか?
「いつも行くたび大荷物!調理道具や食材、生徒さんに本場のものを見せてあげたくて」
前澤さん いろいろありますが・・特に気に入っているのはのボローニャから抱えて持ち帰った「ティジェリエーレ」。イタリア版おやきのティジェッラをつくる焼き型なんです。可愛いんですが重いんですよ、これが~!(笑)
これはパスタを作る「キタッラ」。イタリア語でギターという意味で、裏と表で弦の間隔が違っていて、いろいろなパスタができます。
あと、これがないと・・と言うものは、裏ごし器の「パッサヴェルドゥーラ」(ムーラン)。最初の留学の時に買ったのでもう10年経ちますね。
このおろし金はフランス製なんですが、可愛くて生徒さんに好評です。
砂糖と塩入れに使っている器はシチリアで購入。イタリアの雑貨がさりげなく随所に
───食材もこだわりがありそうですね。
前澤さん オリーブオイルは、トスカーナの知り合いから直接輸入しているのですが、おいしいんですよ~!
トマト缶もパスタもオーガニックのもので、イタリア中部、マルケ州の有機農業の団体が作っているメーカー「ラ・テッラ・エ・イル・チェロ」のものを気に入って使っています。ご希望の方にはお分けもしています。
───レッスンや教室運営で工夫していることやコツを教えてください。
前澤さん そうですね・・レッスンでは、初めてお会いする方同志のこともよくあるので、どなたでも仲良くなれるように気を使っています。
あと、テーブルコーディネートは特にちゃんとしたことはしないのですが、その日の料理に合わせて地方性が出るように気を付けています。例えば、ベースは白いお皿ですが、取り皿やクロスで変化を付けたり。
今日も、お皿はアマルフィで買ったもので、レモンの産地のお料理なのでクロスはレモン柄にしたんです。なるべくその土地のものを使って雰囲気を出すようにしています。
───教室開始にあたって準備したことは?
前澤さん 最初にホームステイしたイタリアの家庭では、小さなキッチンだったのですがとても楽しいレッスンでした。私もそれでいいんだ、ありのまま始めよう、と気負いなくスタートしたので特にないのですが・・イタリアの一般家庭で使うような、応用がきく白いお皿を人数分揃えました。
あと、お皿やクロスなどはイタリアに行くたびに買って、少しずつ揃えました。いつも大量に買い物をして、ものすごい荷物をかついで帰ってきます(笑)
───教室をやってみて良かったこと、苦労したことはありますか?
前澤さん やってみて良かったことばかりですね~!とても楽しいですし、これがなかったら生活にハリがないと思うんです。
苦労したことは特にないのですが・・メニューがなかなかきまらないとき困るくらいかな(笑)
───これから料理教室を開きたい方へアドバイスをお願いします。
前澤さん 今、自宅料理教室もたくさんありますから、個性と周りに左右されない自分だけのスタイルを持って貫くとよいと思います。
「私が伝えるのは、イタリアの田舎の家庭料理。これが私のスタイルだと思っています」
───ところで、前澤さんにとってキッチンはどんな存在ですか?
前澤さん 自分の部屋みたいな感じですね、ここだけあればいい(笑)。何より大好きな場所です。
───最後に、これからの夢を教えてください。
前澤さん 結婚後主人を説得して留学した体験記(「イタリアで家庭料理を学びたい」)は出させていただいたのですが、イタリア料理レシピ本や、子連れ留学の本などを出したいです!伝えたいことがたくさんあります。
───ぜひ実現してほしいです!留学も続けていく予定ですか?
前澤さん はい、できる限り続けていきたいです。
───ますますのご活躍が楽しみです。今日は本当にありがとうございました。
前澤さん こちらこそ、ありがとうございました!
(おわり)
インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=菊池友理
プロフィール
前澤 由希子(まえざわ ゆきこ)さん
『イタリア料理教室CiaoBambina』主宰
OL時代に各種料理学校へ通い調理師免許を取得。結婚後、単身イタリアへ留学し、現地の料理学校の他、家庭の主婦や、リストランテのシェフからイタリア各地の料理を学ぶ。
帰国後、都内のトラットリアで修行した後に『イタリア料理教室CiaoBambina』を開講する。
自宅でのサロンほか、都内の企業ショールームや日伊文化交流サロン「アッティコ」等にて料理教室を開催。雑誌での連載を持つほか、TV等での料理制作、企業での講演等。
著書に「イタリアで家庭料理を学びたい」(白水社)、「晩酌おつまみ・簡単おいしい172品」(コスミック出版)。Mart(光文社)「ユキキーナのイタリアン」2004.10月より7年間連載。
とっておきレシピ
ピッツア職人風豚肉のソテー
材料
豚フィレ肉 300g
タマネギ 1/2個
塩 適量
こしょう 適量
ニンニク 適量
鷹のツメ 適量
小麦粉 適量
オリーブオイル 適量
白ワイン 適量
トマト水煮缶 1缶
モッツアレラ 50g
オレガノ・ケッパー/バジルの葉
作り方
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- トマトソースを作ります。EXVオリーブオイルを大さじ2、ニンニクのみじん切り、種をとったタカのツメを鍋に入れて火にかけ、香りが出たらタマネギ1/2個のみじん切りを入れてしんなりするまで炒め、裏ごしたトマト水煮缶を1缶加えて塩小さじ1/2,黒こしょうをふり15分煮る。
- 豚フィレ肉は厚さ1.5センチ程度にカットし、たたいて薄く伸ばしたものを塩、こしょう、小麦粉を薄くはたいてオリーブオイルで焼き、焼き色がついたら白ワインをふってアルコール分を飛ばす。
- トマトソースを加え、モッツアレラとケッパーをのせてオレガノをふり、フタをしてチーズを溶かし、仕上げにバジルの葉をのせる。
前澤由希子さんの料理留学体験記。
個性あふれるイタリア人相手に悪戦苦闘!楽しいエピソードと愉快な失敗談の数々。
プロローグ 夏の夜はトスカーナの田舎家で
第1章 人生を変えたフィレンツェでの出会い
第2章 はじめの一歩はボローニャから
第3章 シエナで楽しく料理修業
第4章 イタリア人にご用心
第5章 住人は個性派ぞろいのへんてこアパート
第6章 噛めば噛むほど美味しいイタリア
第7章 料理教室開催へ一念発起
エピローグ ゆっくり食卓をかこむ幸せ
私の好きなトスカーナ料理(レシピ)
夫をおいてイタリアへ料理留学した元気な主婦の痛快エッセイ。料理学校でイタリア人教師相手に悪戦苦闘。楽しいエピソード、愉快な失敗談の数々がユーモアあふれる文章で語られる。
晩酌おつまみ かんたん おいしい172品 1,000円(コスミック新書)
作ってかんたん 食べておいしい!
人気料理家が伝授する172品。
切る→混ぜる→焼く などの見出しと写真を見れば、素早くおいしい一品が完成!
アイデア満載のMEMOで、面白いほど十八番が増えていく。
外で呑む気がしなくなる もう一杯呑みたくなる そんなおつまみを厳選!
晩酌メニューでおもてなし:すぐできるかんたんおつまみをコースメニューとしてご紹介。