予約の取れない自宅教室
~人気レッスンの魅力をレポート~

「yoshimi baking school」主宰 中川佳省(なかがわ よしみ)さん

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中川 佳省さん

茨城県・つくばみらい市で「yoshimi baking school」を主宰する中川佳省さん。2年前から本格的にお教室をスタートさせ、「家族が笑顔になる、自分がやさしくなれる」と熱いファンが集います。パン教室を超えた“ヨッちゃんワールド”の魅力をお伝えする連載第2回は、レッスンの続きをご紹介します。

掲載日:2011/2/14(月)

大好きな「モンキーブレッド」

切り込みを入れてハート型になったハムロールを天板に並べ終わると、続いて生徒さんたちはスキッパーで小さく分割した生地をどんどん丸めていきます。
親指より少し大きいぐらいの、パンというよりお菓子といったサイズに目を丸くしていると、

「これはモンキーブレッド。私が大好きなパンです。ブラウンシュガーとバターとブランデーが入ったシロップにくぐらせた生地を60分発酵させてから焼くと、何倍にも大きくなって、プクプクで、おいしいの! 猿山と聞くと気持ち悪いけど(笑)、猿というより人間の縮図というか、一人じゃ何もできないけど、みんなが集まればできるんだと、そんなことも思わせてくれるパンです。きっと焼き上がりの姿もお味も、想像がつかないと思いますよ」

と、いたずらっぽく笑う中川さん。

「大きめに丸めた生地と小さめに丸めた生地を交互に入れると、ふくらんだ時にちょうどいいんです。大きい、小さい、小さい、大きいを互い違いに。こんなに小さくてもちゃんと二つ折りにするところから始めるんですよ。小さい丸はごまかしがきかない。上級コース向きです」

 

モンキーブレッドにはレーズンを入れますが、ここにひと工夫が。なんと塩水につけて、ホコリやコーティング剤をていねいに落としてから使うので、レーズンが苦手な男性も喜んで食べるのだとか。そして、子どもも大好き!

「モンキーブレッドのシロップにはブランデーも入りますが、焼くことでアルコールが飛ぶので、子どもでも食べられるんです。男性とか子どもって、メロンパンにレーズンが入っていても、わざわざ取り出して捨てたりするでしょう。でも、この下処理ひとつで、ゴミとして捨てられるか、『おいしい』と求められるかの違いになる。やっぱり”いとおしい”という手間ひまが大切なんです」

まさに「ヨッしいの法則」(連載第1回参照)ですね!  

パンの焼き上がる幸せな香り

その間、オーブンからはハムロールの焼き上がるいいにおいがしてきました。パンの焼ける香りは、なぜ人を幸せにするのでしょう。

「焼きたてを食べるともう、外で買えなくなっちゃいますよね。つい食べすぎるのが悩みのタネです(笑)」

と中川さん。
2台めのオーブンでは、モンキーブレッドがむくむくとふくらんできました。さっきのチビちゃんたちがこれほどふくらむとは! 焼くことで甘いシロップが煮詰められた濃厚な香りがあたりに漂い、思わずお腹が鳴ってしまいます。

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一方、作業台では、サブマリンのクープ(切れ目)を入れている真っ最中。

「クープは迷うと揺れるから、一気にね。5本入れるから、片方の側に寄らないように気をつけて。寄ったら蛇腹になっちゃう。パンづくりって、迷った瞬間に失敗するの。迷うときは立ち止まれ。迷ったら行動しちゃダメ。行くときは迷いなき心で行く。そのためには行く前にイメージして、イメージできたらGO!ね」

タイミングよく飛ぶ中川さんの注意は的確で、わかりやすい。そしてちょっぴり人生訓(?)が入るのがヨッちゃん節。パン初心者だったハヤブサチームが2年でメキメキ腕を上げていったのも、わかるような気がします。

20分後、つややかに焼き上がったサブマリンを手にとった中川さん。

「クープの入れ方はこれが上手ね。これは折り込んでのばすときに引きずった跡。これはポンポンとやった跡。上級は手ワザが全部、仕上がりに出ます。パンは生き物だし、同じレシピで毎回違うパンができるというのが、パン作りの奥深いところですよね」

確かに、テーブルにずらりと並んだパンは一つひとつが個性的で、「これはあの人が丸めたのかな?」などと、見ているだけでも楽しくなってしまいます。

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一番楽しい試食タイム

さて、待ちに待った試食タイム。
いそいそと試食の準備をする生徒さんたちに、中川さんのパン教室の魅力について伺ってみました。

「とにかく先生が楽しい! 私は子どもの小学校が同じで、中川さんはPTAの会長さんだったんです。もう、すごく楽しい会長さんで、大好きになってしまって」

「ここに来たらその後、1週間はがんばれる(笑)。家族においしいもの作って、家もきれいにしたり、私もやらなきゃと思えるんです」

「試食タイムが最高(笑)。自分でお料理したものを、パン以外でも出してくれるんです。調味料やレシピなど、いろんなおいしいものを教えてもらったり」

「そういえばこの前、昆布だしで炊きあげたごはんに卵をかけて、チューブ入りわさびをのせたら、すごく高級な味になったの! ぜひやってみて」

と、すかさず中川さん。
こんな食の情報交換が行ったり来たりするのも、お教室の大きな魅力のようです。

テーブルには、こんもりとケーキのように焼き上がったモンキーブレッドに、パリッという香ばしい音が聞こえてきそうなフランスパンのモーレ、マヨネーズのトッピングが食欲をそそるハムロール、そしてサンドイッチになったサブマリンがずらりと並びました。

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「どう? おいしい?」と中川さんが聞くと、みんな声を揃えて「おいしい!」。

「おいしい顔って、人が平等に幸せになれる顔だと思うんですよね。『あの人笑わなきゃいいのに』っていう人がいても、『あの人おいしい顔さえしなければいいのに』っていう人は絶対にいないでしょう。おいしい顔って、口角も上がるし、目もぱっちり開くし、最高の美容法ですよね(笑)。生きていれば山あり谷あり、いろいろありますよ。あるんだけど、どんなにつらくても、おいしい顔はできるんです。だから、無理に笑えなかったら、おいしいものを食べて、口角を上げること! あ、モンキーブレッドはフォークで食べてくださいね。サブマリンは、クリームチーズとフルーツソースをつけてもおいしいの。これをつけつけ食べると……ね?」

おいしい顔がずらりと並んだ試食会は、おいしい話を肴に、午後2時まで続きました。

「何年後かには、近くにパン教室を別で設けて、この生徒さんたちが講師ができるといいなと思っているんですよ」

「いとおしい」「うれしい」「楽しい」「おいしい」の「ヨッしいの法則」は、「やさしい」お母さんたちをさらに「たくましい」へと導いているようです。

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インタビュー・テキスト=奥谷裕子
写真=原田崇

プロフィール

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中川 佳省(なかがわ よしみ)さん

「yoshimi baking school」主宰

息子が幼稚園に通う頃、硬いパンしか焼けず「私には、パンなんて絶対焼けないんだわ~」っと思っていた時、お友達のお誘いでつくばのパン教室に勇気を持って訪ねました。産まれて初めてフワッフワのパンが焼けた時の感動は未だ忘れることができません。その時に何回「美味し~い・美味し~い」と叫んだことでしょう(笑) 以来、パン作りに魅了されてから5年!美味しい感動を誰かにお伝えできれば・・・っと自宅サロンを夢をみて、昨年9月パン講師資格を取得し自宅のキッチンにて20名程の生徒さんと毎日楽しい時間を過ごしています。

中川佳省さんのMyサロンページはこちら
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