- とりもも肉をフォークで刺して筋を絶って一口大に切る。
- ①を器に入れてリンゴジュースをかぶる程度に注いで1時間以上おく。
- ②をクッキングペーパーの上に出し、片栗粉をまぶす。
- フライパンに多めのオリーブオイルを入れて熱し③の両面を色よく焼く。
- ④にリンゴジュースを入れて蓋をし数分蒸し焼きにする。
- 残りの材料を入れて10~15分煮込んで器に盛り、パセリを飾る。
あたたかい食卓づくりを伝えたい
広島市郊外、高台にある閑静な住宅街の一角にある『ゆとりの森』。大きな花のリースがかかったドアを開けると、「こんにちは!」と澄んだ声の大倉さんが笑顔で迎えてくださいました。
ナチュラルテイストの広々空間。生徒さんがいらっしゃる前に全ての準備完了
レッスンが行われるリビングダイニングは、カーテン越しに柔らかな陽射しが差し込み、ナチュラルカラーと白をベースに整えられた明るい空間。奥には、以前ピアノ講師をしていたという大倉さん愛用のグランドピアノが置かれています。
6人掛けのテーブルは、今日のコーディネートのテーマ「妖精の森」のイメージで整えられていました。「妖精」の人形はなんと、大倉さんのお母様が手作りされたそう!
「母の影響で私も小さいころから手作りが大好きで、テーブルにも必ず手作りの物を取り入れます。今あるものや身近なもの、手作りの温かさを大切にして、気軽に楽しく実践できるおもてなしをお伝えしたいんです」
少しの工夫と手間で、日々の暮らしが心豊かでゆとりのあるものになるという大倉さん。100円均一の商品なども取り入れ、温かみと親しみがあり、生徒さんが家ですぐ実践できることを伝えています。
その奥には、テーブル2台をL字に置いた実習スペースが。ガスコンロ1台のほか、まな板、包丁、調味料、器など、レッスンで必要なものがずらり。あとは生徒さんのお越しを待つだけです。
『ゆとりの森』では、「おもてなしレッスン」「テーブルコーディネート資格取得講座」「プリザーブドフラワーとテーブルコーディネートの会(季節毎に開催)」を展開。
取材に伺った「おもてなしレッスン」は1回の定員が6名で、3か月に1回メニューが変わります。毎回、季節に合わせた前菜、メインからデザートまで8~10品ほどの料理とテーブルコーディネート、ナプキンの折り方など、「おもてなし」を総合的に学べる充実した内容。単発で参加もでき、満席が続く人気のレッスンです。
今日のメニューは「憧れのレストラン料理を我が家で」をテーマに、「ハーブカクテル」「まぐろのピンチョス」「春色ケークサレ」「チキンのシンプルトマト煮込み」など、食前カクテル~デザートまで、見た目も華やかな創作料理8品。そして、ナプキンワークは「ロータス」や「ハート」を学びます。
テーブルコーディネート、料理、ナプキンワークを通じトータルにおもてなしが学べるレッスン
開始時間が近づき、生徒さんが続々いらっしゃいました。
「こんにちはー!」
明るい声の生徒さん方、エプロンを身につけて着席されます。
今日のご参加は定員の6名。リピーターの方がほとんどです。皆さん揃ったところで大倉さんのご挨拶と、今年から取り組んでいるという寄付の報告からスタートしました。
「今年から、頂いた受講料の5%を広島修道院の乳児院へ寄付させていただくことを皆さんにお話ししてご協力いただいていますが、1月~3月分でおむつ15パックを寄付できることになり、先日お届けしてきて、生徒一同様としてお礼の手紙もいただきました。
4月~7月のクールのレッスンでも受講料の5%を寄付したいのですがよろしいでしょうか?今度は、三輪車と自転車を寄付したいと思っています。7月のレッスンが終わってからまとめますので、また次のレッスンの時にご報告します、よろしくお願いします」
「微々たる力ですが、ゆとりの森らしく関われることを継続的にやっていきます」
結婚後からボランティア活動にも熱心に取り組んできたという大倉さん。食卓に関わる仕事をし、また、お子さんを持ったことで、『食卓から子どもの心と体を育てる活動をしたい』という思いが強まり、継続的な寄付に取り組んでいるそう。その都度、乳児院で必要とされているものを聞き寄付しています。
また近々、10人のゆとりの森認定講師たちの協力のもと、テーブルコーディネート用品や器などを集めたガレージセールを開催する予定とのこと。
「その収益は東日本大震災の義援金にさせていただきます。できることから取り組みたいと思っています」
「ではまず、今日のテーブルコーディネートですが、季節もよくなってきましたので森林浴のイメージで、妖精が森で遊んでいるような雰囲気にしてみました。丸太に見立てたこれは、100円均一で売っている絵手紙などを掛けるものをクルクルっと巻いて、茶色のワイヤーで止めただけです。そしてプリザーブドをところどころに差してみました。
クロスも森のイメージが守れるような淡い緑にして、色がケンカしない様にお花で使っている黄色と同じ色合いのナプキンにしました。
その雰囲気を壊さないように、カトラリーレストは、木の枝にしました。もしこれがステンレスのレストだったりすると雰囲気が変わっちゃいますよね」
気軽にできるおもてなしを目指し、身近なもの、手作りのものをいかした食卓作りを提案
続いて料理の説明です。
一品一品丁寧な説明を。家で再現しやすいようにスーパーで購入できる食材でレシピを構成
「いつもはすでに下ごしらえしてあるものもあるんですが、今日は一から作って盛り付けまでしてもらいますね。まず時間がかかるケークサレを1番に作ります。最近フランス料理店などでも人気ですが、今日はとっても簡単にできるレシピにしました。まず・・」
「このハーブソルトは私がブレンドして作ったのですが、お好きなハーブを使ってお好みのものが作れますのでぜひやってみてくださいね。お肉料理が好きな人はローズマリー、お魚が好きな人はフェンネルを入れると良いと思います。ただ、ガーリック、パセリ、バジルは必ず入れるとおいしいと思います。岩塩を6割くらいにすると良いですよ」
「鶏もも肉を軟らかくする方法はいろいろありますが、今日は、りんご100%のジュースを使います。鶏肉は1枚を4枚に切りますね。いつもお話していますが、メニューを決めて、器を決めてから、食材の切り方を決めると良いですよ」
1品1品、「なぜこの食材を使うのか」「なぜこの大きさに切るのか」「盛り付けた時どうしたいのか」など、理由も添えてとても丁寧に説明をしていかれます。
「ここまででご質問はないですか~?では、早速始めましょう!」
手を洗って作業台へ移動し、さぁ実習のスタートです!
L字型に設置された調理台は両側から作業ができる上見やすい。和気あいあいと進行
『ゆとりの森』では、野菜切りなど下準備は事前にしてあり、洗い物も大倉さんが担当するので、生徒さんは調理のポイントを集中して覚えることができます。また、「洗い物をしている間に聞き逃した・・」ということもありません。
「皆さん毎日家事をしていらっしゃいますからね。ここではゆったりした気持ちで楽しんでほしいんです」
皆さんがバランス良く作業を担当し、アットホームな雰囲気の中、着々と調理が進んでいきます。
(次回へつづく)
インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=林 博嗣(究フォトクリエイション)
夢実(究フォトクリエイション)
プロフィール
大倉 まゆみ(おおくら まゆみ)さん
『ゆとりの森』主宰
「簡単・オシャレ・毎日できるおもてなし」をモットーに、高級食器やマナーにとらわれすぎず、自宅にあるものや手作りの温かさを大切にした、気軽に楽しく実践できるおもてなしをレッスンしている。
身近で手軽なスタイルが人気を博し、人気講座の「おもてなしレッスン」は1クールのレッスンに150名以上の生徒さんが受講に訪れ生徒層も20~70代と幅広い。またテーブルコーディネートの資格取得講座には主婦はもちろん百貨店食器売り場店員・ブランド食器メーカー店員・結婚式場のスタッフ・有名ホテルの副料理長など様々なジャンルのプロがレッスンに訪れる。
自宅で実践しやすいオリジナルレッスンを展開する一方、出張レッスンでは主催側の意向に沿ってどのような内容(カジュアルなもの・高級感漂うもの等)にも対応。イベントの度に数日で満席となることが多い。
また、主婦としての生活やレッスンの様子を綴ったブログ「テーブルコーディネーターの幸せ家事日記」は全国の習い事ランキングで2位にランクインした。現在、食卓から家庭を見直す活動に力を入れており主婦に食卓を整えることの楽しさを伝えている。
とっておきレシピ
チキンのシンプルトマト煮込み
材料
とりもも肉…2枚
片栗粉…適量
りんごジュース(100%)…100cc+適量
料理酒…200cc
ホールトマト…1缶
固形コンソメ…2個
オリーブオイル…適量
イタリアンパセリ…適量