第１回：フランス料理と石川県の融合

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第１回：フランス料理と石川県の融合

「加藤千明料理教室」　加藤千明さん

加藤千明

石川県金沢市にて、様々な国の家庭料理やフランス菓子のお教室「加藤千明料理教室」を主宰されている加藤千明さん。
本場フランスにて学び、地元石川県の食材とフランス料理の融合を目指す加藤先生のレッスンは、その本格的な内容に、生徒さんに大人気のお教室となっています。
今回は加藤先生の活動をご紹介するとともに、レッスンレポートおよびインタビューを４回にわたってお届けします。

掲載日：2024年8月5日（月）

憧れを現実に

2005年から「加藤千明料理教室」を主宰されている加藤千明先生。もともとフランス料理を学んでいる先生、ベースはフランス料理にあれど、他にも和食に中華など様々な国の家庭料理を学ぶことができます。
季節の食材を使用した、その国の家庭で日常的に食されているような料理のレッスンが受けられるとあって、主婦の方をはじめ沢山の方に愛されているお教室です。

2005年から主宰している「加藤千明料理教室」

幼少期の頃から料理が大好きだったようで、学生時代から料理教室に通い、会社員として働きだしても、レッスンはずっと通い続けていたそう。
「その当時は、まさかこのような仕事をするなんて夢にも思っていなかったんですけどね」と笑いながらお話する加藤先生。
そんな先生がお教室を開くキッカケになったのは、“憧れの方へ会いに行ったこと“だと言います。
「その当時から、料理研究家である上野万梨子さんにとても憧れていて。フランスにお住まいですが、ちょうど著書を出版されるために東京でサイン会をする、という話を耳に挟みました。どうしてもお会いしたくて、金沢から東京へ足を運んだのです。
その時に、“憧れています”とお伝えしたら“じゃあ、あなたはいつフランスに来るの？”と。面識も何もない、ただのファンである私にサッとそうおっしゃって頂いたことが私の中では、ちょっと現実にしていこう、と思うキッカケになりました。」

地元石川県を離れる一大決心を

憧れの方からの一言を受け、現実にしよう！と気持ちにスイッチが入ったという加藤先生。
なんとそのまま会社を辞め、まずは東京のル・コルドン・ブルーへ入学しフランス料理を学び始めます。

「ル・コルドン・ブルーにはフランス人のシェフもたくさんで、フランスの食材を使って色々なお話をしてくださいました。そうやって過ごすうちに、やっぱりフランスで現地の食材や文化に直に触れながら学びたい、という気持ちが強くなって。そこで”フランスにいこう！“という気持ちが固まりました。」

金沢から遠く東京へと上京し、ル・コルドン・ブルーの入学を決めた先生。傍らで、レストランで予約をとったり、厨房で下ごしらえをするアルバイトを並行しており、すべてが将来につながる様はさすがの一言。先生の決意の固さが行動から垣間見えます。

その後、いよいよフランスへ渡った加藤先生。
１年半ほど学校で学んだあとは現地のホテルやパティスリーで研修を積み、合間を縫ってフランス国内の様々な地方料理やワインに出会いに行っていたそう。そうした研鑽の末、帰国した加藤先生はそのまま古巣のル・コルドン・ブルーにてアシスタントとして活躍。そこでのシェフからの一言が、今でも忘れられないといいます。
「“大事なことは、教えることというよりも、生徒さんの事を気遣うこと。皆さんが今何を求めているのか、何をどうしてほしいのか、どういう風にレッスンを進めてほしいのかを察する気持ちが大事だ”と教えられて。なるほど、と思いました。料理が美味しいことと同じぐらい大事な事だな、と。
教室をしていく中で、今でもシェフからのこの言葉が、私にとってとても大きくなっていることを実感します。」

シェフから大切なことを学んだという加藤先生

そうして様々な経験を積み、「加藤千明料理教室」を石川県にて開業。日々研鑽する中で、現在の“各国の家庭料理”を伝えるお教室へと成長を遂げました。

フランス料理と石川県の融合

加藤先生のお教室では、主に各国の家庭料理をお伝えしていますが、実は「料理に合わせるアルコール」もレッスンの醍醐味の一つ。今回の取材時も、ワインの研修にオーストリアまで足を運んでいるほどです。

「例えばフランス料理だったら、そのお料理に合うワインを選ぶこともとても大切にしているんです。その国の食文化に繋がるところですから。ただ、フランスだからワイン！というわけではなくて、例えば和食のお刺身だと冷えた白ワインにレモンを絞ったものがよく合います。そういう、日常の一品にちょっとした工夫を加えることをお伝えしています。」

しかしながらその“ちょっとした工夫”はワインとのペアリングだけでなく、日本酒など幅広く生徒さんに伝えているそう。特に先生がお住まいの金沢市は日本有数のお米の産地。美味しいお米から、美味しい日本酒が生まれる場所でもあります。

「フランス料理に合う日本酒もあるんですよ」と加藤先生。
お料理とお酒を楽しむ、それが加藤千明料理教室の最大の特徴です。

「例えばチーズだって、西洋のものではありますが、日本的な楽しみ方もできるんです。甘さ控えめのあんこに合わせてみると、とても美味しいんですよ。日本酒にしろワインにしろチーズにしろ、石川県ならではの食材との楽しみ方を伝えていけたらなと思っています。」
“石川県×フランス料理”の融合を生徒さんに伝えていきたいという加藤先生の嬉々とした様子に、石川県の食材、そしてフランス料理への愛をひしひしと感じることが出来ました。