若宮ヘルシークッキングスタジオ主宰 若宮寿子(わかみや ひさこ)さん
都内江戸川区、船堀駅から徒歩10分ほどの閑静な住宅街の一角に若宮さんの自宅料理サロン「若宮ヘルシークッキングスタジオ」はあります。
「こんにちは~!」と迎えてくださった若宮さん。ふんわりあたたかいお人柄が伝わる優しい笑顔にキリッとクールな黒いエプロンが印象的。「こちらへどうぞ~」と通してくださったのは3年前にリフォームしたというナチュラルカラーのキッチンと、白い床が明るく爽やかなダイニングのスペース。
ここで、長年お手伝いしているという企業のレシピ開発や、手掛けてこられた数々の書籍などの撮影も行われているとのことで、なんだかワクワクしてきます。
テーブルコーディネートはお料理に合わせて
テーブルには、夏らしく涼しげなテーブルセッティングが。アイスグレーのテーブルクロスの上にオーガンジーのクロスが敷かれ、ガラスの器がセンス良く配置されています。同系色の市松模様のモダンなテーブルセンターがアクセントになっていて、今日の“夏の和食”メニューのイメージにぴったり。
「若宮ヘルシークッキングスタジオ」では、和・洋・中・アジアン料理を月替わりで紹介していらっしゃいますが、毎回お料理に合わせたテーブルコーディネートを楽しめるのも魅力の一つ。年に一回開催される「テーブルウェアショー」や旅先で購入することが多いという食卓の小物類は生徒さんに「先生、どこで売っているのですか!?」と聞かれることが多いそう。
素敵なテーブルコーディネートは、これから始まるレッスンと、そのあとの試食タイムがますます楽しみになり、期待が高まります!
作って簡単、食べて健康になる料理
今日の生徒さんは、長年通っている方、初参加の若宮さんの大学の先輩、若宮さんがある講演会で講師を務めたとき司会をしていらしたという方・・など5名。そして、Dreamia Clubスタッフの浅井さんも生徒として参加させてもらいました。
全員が揃ったところで、まずはレシピと食材の説明です。訪問した7月のレッスンメニューは“夏の和食”。つるりんと冷たい「うなぎのせ素麺」に「鶏手羽の黒酢煮」、「湯葉巻き南瓜の海老あん」、「おかひじきと糸寒天のからし和え」、デザートの「スイカとキウイのレモンジュレ」の5品で、夏バテと夏の冷え予防がテーマでした。
「最近は冷房のために夏でも冷える、という方が多いですよね。今日は、夏冷えを予防する食材の鶏肉、ごぼう、しょうが、黒酢、黒砂糖などを使います。今日の主菜の鶏手羽はコラーゲンも取れるので肌のケアにも良いですよ。冷めてもおいしいので、たくさん作っておいてお弁当のおかずにもおすすめ。酢を使っているので傷みにくいですし」
食材の栄養や応用法など情報満載の説明が終わると、早速レッスンの開始です。レッスンは、生徒さん全員がエプロンをつけてキッチンに入り、先生のデモンストレーション見学とともに要所要所で実習をするスタイル。といっても、若宮さんが切り方のお手本を見せてくれたり、丁寧に教えてくださるので、初心者の方も安心して参加できます。「この調理を担当してたらあの作り方がわからなかった」なんてことがないように、全員で把握できるよう配慮されています。
食材情報もお楽しみの一つ
「みなさん、おかひじきはご存じですか? あ、あまり買ったことない? これ、名前がひじきだし海藻だと思われがちなんだけれど、実は畑でできるものなんです。こんなふうにパックに入って売られていることが多いです。彩りにとってもいいですよ。洗ってゆでて使ってくださいね。あまり生では使わないかな~。糸寒天は、戻すだけで使えるのでとっても便利ですよ。今日は一緒に合えますね」
「そして今日は板湯葉も使います。最近はスゴイんですよ!フタ付きで売ってあるの。よく、トレイに入れて売っているんだけれど、買って帰ると割れてしまっていることがあったんですよ~。これなら割れなくて大丈夫!水につけて戻してから使います。湯葉を使うと簡単なのにちょっと豪華にみえますよね(笑)」
生徒さんも、「普段家庭であまり使ったことがないものや馴染みの薄い食材、新しいものや珍しい商品などを教えてもらえるのも楽しみ」とおっしゃいます。いつも食材はどこで仕入れされるのかうかがったところ、
「以前は紀伊国屋や明治屋などで買うこともあったけれど、生徒さんが『同じ材料をなかなか手に入れられない』ということがあって、基本的にはスーパーで買うようにしています。うちは、調理方法はとっても簡単だけれど、手がかかっているように見えて、家でまた作りたい!家族を驚かせたい!と思ってもらえるものをお教えするようにしてるんです(笑)」
毎日の料理をもっと楽しく簡単に
一品目は、固まるのに時間がかかるデザート作りから。ゼラチンの上手な溶かし方も伝えます。
「次に鶏手羽を料理していきましょうか。切り落とす端っこはスープに使うと良いですよ。そしてここに切れ目を入れて、味をしみやすくします。一人二個ずつやってみて。意外に簡単だから大丈夫。終わった方はごぼうもこのように切ってくださいね。」
まな板を二枚だして、二人ずつ順番に挑戦。わかりにくいときは先生が包丁の持ち方も含め丁寧に教えてくれます。
「では、かぼちゃに包むアスパラガスをゆでていきます」とお湯を沸かしはじめたのはフライパン!
「先生、フライパンでアスパラをゆでるんですか?」
「そうなんです、これならアスパラが長いまま入りますし、うちはフライパンの登場がとても多くて、いろいろな料理で使います。煮物もフライパンでするんですよ。煮物って、面倒で敬遠する人も多いじゃないですか。でもフライパンならなんだか気軽、って思ってもらえるんですよ。洗うのもラクですしね。今日は鶏手羽の黒酢煮もフライパン一つで作っていきます」
主婦にとって料理は毎日の仕事だから、なるべく簡単に作れる方法もお伝えしたい、という若宮さん。なるほど、中華料理は中華鍋一つで多彩なバリエーションを生み出すといいますが、フライパンも見方を変えれば、万能鍋と言えますね。
ここでさりげなくBGMが流れ出しました。
「レッスンのときは、アップテンポな音楽を流してます。料理はリズムが大事ですから(笑) 試食のときは逆に落ち着けるよう、エンヤなどゆったりめの音楽を流してます」
たしかに、音楽が変わると動きや気分も変わります。そんな細やかな心配りが、長年生徒さんに支持される快適なサロンの空間と時間を創り出しているのかもしれません。
インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=村越将浩
プロフィール
若宮寿子(わかみや ひさこ)
栄養士
FCAJ認定フードコーディネーター
米国NSF HACCPコーディネーター
企業にて9年間栄養士として勤務し 出産を機に退職。
その後 フリーにて活動を始め1995年より 美味しく、ヘルシーをモットーに若宮ヘルシークッキングスタジオ主宰し今年15周年を迎える。
また、外食企業・ホテル・レストランのフードコンサルティングや新聞・雑誌・テレビから あらゆる世代に向け 健康と美しさをサポートするオリジナルレシピを発信中。
とっておきレシピ
とり手羽の黒酢煮(4人分)
夏といっても 冷房のきいた部屋では体の冷えが心配。暑さ対策と同様 冷え対策も大切な昨今。薬膳の体を温める食材(鶏肉・根菜・黒砂糖等)を組み合わせ 丁度30分で出来る主菜です。
材料
手羽先・・・8本
ごぼう・・・1/2本
ねぎ・・・1/2本
しょうが・・・大1かけ
いんげん・・・4本
黒酢・・・大3
黒さとう・・・大2
しょうゆ・・・大2
作り方
-
- 1.手羽先の内側に縦に切り込みを入れる。
- 2.フライパンで手羽先を焼き、出てきた油は拭き取る。
- 3.2にごぼう、ひたひたの湯、黒酢、しょうがを入れ10分煮ます。
- 4.3に砂糖・ねぎを加えさらに10分煮ます。
- 最後にしょうゆを加え10分煮て皿に盛り茹でたいんげんを添える。
湯葉巻き南瓜の海老あん(4人分)
かぼちゃには 美肌をキープするのに働くカロテンとビタミンEが豊富。紫外線による肌のダメージを予防するのにお勧めです。板ゆばは案外手軽に使える食材なのでチャレンジしてみて下さい。
材料
かぼちゃ・・・1/4個
アスパラガス・・・2本
片栗粉・・・大1
板湯葉(3分水で戻す)
むきえび・・・12尾
【A】
だし汁・・・200ml
しょうゆ・・・小1/4
塩・・・小1/4
砂糖・・・小さじ2
【B】
片栗粉・・・小さじ2
水・・・小さじ2
作り方
- 1.かぼちゃは種を取り濡らしたペーパータオルをかけラップをして600Wで6分電子レンジで加熱します。アスパラガスは色よく茹でます。
- 2.かぼちゃをスプーンですくいボウルに入れ片栗粉を加え混ぜます。
- 3.巻きすにラップをしき、戻した板湯葉を敷きかぼちゃを平らに広げアスパラを芯に巻いたら、ラップでくるみ3分レンジで加熱し、冷めたら切り器に盛る。
- 4.Aを合わせむきえびを煮てBでとろみをつけ3にかけます