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「タカコ ナカムラ ホールフードスクール」主宰 タカコ ナカムラさん

タカコ ナカムラさん

タカコ ナカムラさん

今月のサロネーゼは、東京都大田区で「タカコ ナカムラ ホールフードスクール」を主宰し、「一般社団法人ホールフード協会」代表も務めるタカコ ナカムラさん。 食と健康と暮らしと環境を考える「ホールフード(Whole Food)」を提唱して30年近く。 ベジブロス、塩麹、50℃洗い、低温調理、AGEなどもいち早く紹介し、著書も多数です。 今は亡き、安武千惠さんと共に福岡校も開講。そのいきさつは『はなちゃんのみそ汁』と題して出版された中でも紹介され、TVドラマ、映画化もされました。 今回は、2016年12月に開催されたおせち料理講座の模様とタカコ ナカムラさんのインタビューを4回にわたりお届けします。 第3回目はスクール情報や開校までの軌跡などをうかがったインタビュー前半です。

掲載日:2017/1/23(月)

スクールで学べること

――お疲れさまでした!50℃洗いや低温スチーミング、ベジブロスも教えていただき充実した講座でした。また、おせちの由来や盛り付け方など基本から教えていただき大変勉強勉強になりました!
おせちは年末の特別講座ですが、スクールの通常の講座を教えてください。

ナカムラさん ホールフードについて学んでいただく各種コースを中心に、1Day講座や通信講座があります。

ホールフードについては、基礎、応用、マスターコースがあります。また、マスターコース修了者を対象としたインストラクター養成講座もあります。

1Day講座は、「発酵食・伝統食(手しごと)を学ぶ」、「ベジブロス」をテーマにした講座のほか、米粉、ピクルス、インテグレートマクロビオティックなど、人気の単発講座を定期的に開催しています。

――ホールフードを中心に幅広く学べるのですね。

ナカムラさん 「発酵食・伝統食(手しごと)を学ぶ」講座では、発酵食の基本、麹を学んでいただき、手前味噌、梅干し、ぬか床など、日本の伝統的な季節の手しごとをお伝えしています。
1月、2月は手間味噌講座を開催しますが、おかげさまで毎年人気です。

タカコ ナカムラ先生1

ご著書もたくさん!気軽に取り組める、食も暮らしも環境もまるごと快適に暮らす知恵が学べます

――味噌つくりの講座が人気というのは嬉しいですね。味噌を家でつくることは昔は当たり前でしたが、現在の、特に都会の住宅では難しいと思われがちです。
先生のご著書「手軽でおいしい熟成レシピ 都市型保存食のすすめ」、私も持っているのですが、味噌や梅干し、甘酢らっきょうなど伝統的な保存食を忙しい都市生活者が気負いなく取り組めるよう工夫されていて、とても重宝しています。バイブルですね。

ナカムラさん ありがとうございます。「発酵」や「塩蔵」「乾燥」という保存の技で食材を丁寧に、無駄なくいただく保存食作りの知恵には、科学を超えたテクノロジーが残っています。
本では、保存食を使ったレシピもご紹介しています。

保存食は、いざという時のサバイバル術のひとつでもあります。今まで買うものだと思っていた味噌や梅干しなどが自分で作れるなんてかっこよくないですか?

――とってもかっこいいと思います!

ナカムラさん 繰り返し作ることで自分なりのコツを見つけていけますし、まずは作ってみていただきたいですね。

――スクールの味噌つくり講座では初心者向けのほか、応用編もあって、2月には「倍量麹で仕込むグルメタイプの手前味噌」を作るとか。

ナカムラさん はい、猛暑のときの対応なども取り入れ、種水の使い方から、合わせ味噌の方法など味噌の活用法までお伝えします。

長年の研究、検証を経て生み出すもの

――「ベジブロス」も先生の提唱で、ブームと言ってよいほど広がりました。

ナカムラさん ベジブロスはもう30年近く作り続けていて、ホールフード・クッキングのベースです。

20代のころマクロビオティックを学んでいたのですが、実家の割烹料理店で見てきた割烹料理の手法とマクロビオティックの陰陽クッキングがごちゃごちゃになって、正直なところ混乱していたんです。
そんなとき、丸元淑生先生が連載されていた雑誌のコラムに、「野菜クズはミネラルの宝庫。捨てずに野菜クズだけのストックをとり、これをベースに季節の野菜スープを」と書かれていたのにひかれ、やってみたのがきっかけです。

そのとき丸元先生は書いておられなかったですが、これは、機能性成分である「ファイトケミカル」が凝縮された野菜を無駄なく、まるごといただく黄金のスープではないのかとピンときたのです。
それから試行錯誤して何度も作るうちに、野菜の種類や質、煮出し方などによって味が微妙に違ってくることがわかり、美味しいブロスを取るコツを見つけ進化させてきました。
そして様々な方に栄養価や有用性に太鼓判を押していただき、「ベジブロス」と名付け、ホールーフードの講座でも中心的なものとしてお伝えしています。

――先生が提唱される調理法・・例えば50℃洗いや低温スチーミングなども、しっかり研究されたもので、専門家の先生方によるエビデンスや科学的な裏づけがあるのでとても納得できます。

タカコ ナカムラ先生2

「料理は科学である、と思います。素材の栄養を損なわない組み合わせや調理法には裏づけがあります」

――ホールフードコースでは、調理法だけでなく、暮らし、環境に関わることまで、まさに「まるごと」学べるのですね。

ナカムラさん 基礎コースでは、素材の栄養を最大限に引き出し、美と健康のための調理のノウハウと共に、「食材の選び方」「添加物の避け方」「調味料の選び方」など、「食の安全」についての基礎知識をお伝えしています。
また、「食」だけではなく、「健康」「暮らし」「環境」のつながりについても考え、日々の料理や暮らしを見つめ直すきっかけをつくり、ホールフードライフを楽しんでいただくためのコースとなっています。

応用コースでは、より高度な調理テクニックやメニューをお伝えし、講義では、各専門の講師をお招きして経皮毒やナチュラルクリーニング、美味しい野菜の見分け方や食品添加物、リフレクソロジーなど、健康で快適なホールフードライフを実践するための知識を学んでいただけます。

マスターコースは、食と暮らしと環境をより深く、トータルに学ぶためのファイナルコースで、プロの料理人や各界のスペシャリストから直接学ぶことができます。

――段階的にしっかり学んでいけるのですね。他では学べない、本当に大切なことが詰まっていると思います。
そのほか、がくぶん運営・ホールフード協会監修の、ホールフードや和食、スーパーフードなどの通信講座もあり、お住まいの地域に関係なく学べるチャンスがあるのも嬉しいことです。

「世の中の役に立つことがしたい」

――ホールフードを伝えてもう30年以上。スクールを始めたきっかけを教えてください。

ナカムラさん 山口の出身ですが京都の大学に入り、卒業後は大阪の会社に就職しました。学んできた貿易英語を生かした仕事でそれなりにやりがいもあったのですが、どこか違和感があって、興味があったメイクアップアーティストになりたい!と思い、夜間の専門学校に通い始めました。

友人も増えて楽しかったのですが、東京に行くたびに、やはり何かやるには東京しかない、という気持ちになり、ある日突然東京に行くことに決めたんです。

メイクアップ関連の仕事を探したのですがなかなかなくて。やっと決まったのが、表参道の自然食品店内の化粧品販売の仕事。そこでメイクアップアーティストを目指しながら働いていたのですが、毎日のように食品を買いにいらしていたあるファッションモデルの方と仲良くなりお話しているうちに、「マクロビオティックの料理教室に一緒に行かない?」と誘われたんです。

当時自然食に傾倒していた私は、一緒に行った「リマ・クッキングスクール」で「これしかない!」と思い通い始めましたが、だんだんと違和感を感じるようになりました。
そんなとき知り合った方に、「アメリカのマクロビオティックは日本とかなり違って、楽しくておしゃれだよ」と聞き、じゃあ行ってみよう!と。紹介していただいた方を頼りに、安いチケットを握り、ひとりで渡米しました。1985年のことです。

――すごい行動力です!

ナカムラさん その方の家に居候させていただきながら、経営する自然食レストランで働かせてもらい、休みの日にはキャンプに行き・・・いつか私もこんな自然食レストランをやりたい!と思いました。そのとき皆に「店の名前は?」と聞かれて答えたのが、「Brown Rice!」でした。

その後、ボストンの九司道夫先生に師事し、そして、全米をまわってマクロビオティックを学びました。そんな経験を通して気づいたのが、アメリカでマクロビオティック的な生活をしている人たちはとてもナチュラルな暮らしで、すごく楽しそう、とことです。

食はもちろん大切だけど、それは暮らしの一部でしかない。食とつながっている暮らし、環境も含めてまるごと考えていかないと、健康で快適な暮らしなんてありえない、と思うようになりました。
このとき、食も暮らしもまるごと=”Whole”という言葉がしっくりきて、自分の人生のテーマを「ホールフード」にしようと決めました。

タカコ ナカムラ先生3

スクール開校の原動力は「世の中の役に立ちたい!」という思い。全国から生徒さんが通います

日本に帰国してからは、縁があったカフェの厨房を預かっていたのですが、そこで出会った、レストラン業界の大御所だった花田美奈子さんに「うちのお菓子工房にこない?」と言っていただき、ハナダ・スウィーツをプロヂュースすることに。お菓子は評判がよく大変な人気になりましたが、やはり料理に興味があり、離れることを申し出ました。すると花田さんから会社を譲り受ける提案をもらい、人生最大の買い物をすることに!
屋号を「ブラウンライス」にして、菓子工房をスタートさせました。

――ええっ。会社を買ったのですね!?

ナカムラさん そうなんです。当初は順調でしたが、珍しかった自然食系のお菓子もだんだんと大手企業が売り出したりして次第に経営が苦しくなっていきました。
そんなとき、以前働いていた自然食品店で出会い、なにかと応援してくださっていた方の紹介で、表参道に新しく作るカフェのプロデュースをしないか、という話をいただきました。

会社はそのカフェを経営する社長が買い取ってくださることになり、私はそのカフェの立ち上げに必死に取り組みました。オープンの日は感激で泣いてしまい、挨拶ができないほどでした・・・それが、今もある、表参道の「ブラウンライス・カフェ」です。

カフェは大成功し、スタッフも育っていき、充実の日々ではあったのですが、「何か新しいことがしたい、もっと世の中に役立つことをしたい」という思いが次第に強くなり、夫の忠告も耳に入らず、ブランライス・カフェを卒業することにしました。

不思議なもので、卒業と同時に、自由が丘でオーガニックショッププロデュースをしてほしいという話が舞い込み、その2階をスクールとして使えることになり、2006年、「タカコ・ナカムラ ホールフードスクール」を開校しました。

――ドラマのような展開に驚きました・・・全米を回るうち、ホールフードの概念が固まり、そして帰国後、お菓子工房やカフェの経営を経てスクールを開校なさったのですね。

ナカムラさん そうなんです。でもその後もいろいろありました!

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ドラマのように様々な体験をしていらしたナカムラさん。その中で出会った”ホールフード”という考え方がその後の人生を変え、多くの人の食と暮らしに影響を与えることになるとはこのとき想像もしなかったのではないでしょうか。
お話を聞きながら、力強い前進力と、同時に感じたのは、起こる出来事を受け止めるしなやかさと、物事を俯瞰する視点。器の大きい方だな・・・と思いました。道を切り拓き何があっても突き進む強さと、伝えたいという情熱が、これまでも、そしてこれからも、パワーの源であり続けることと思います。

次週最終回は、お話の続き(その後の展開)と、スクール運営で心がけていること、伝え続けたいことなどを伺ったインタビュー後半をお届けします。どうぞお楽しみに!

インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=原田圭介

 

 

プロフィール

タカコ ナカムラさん

タカコ ナカムラさん

一般社団法人ホールフード協会 代表理事
料理家/フードディレクター

山口県の割烹料理屋に生まれる。
アメリカ遊学中にWhole Food(ホールフード)に目覚め発酵食や乾物料理の第一人者として、数多くの商品開発やオーガニックカフェのプロデュースに関わる。
現在、食と暮らしと環境をまるごと学ぶ「タカコナカムラWhole Foodスクール」を主宰。
通信講座(がくぶん)「野菜コーディネーター」「発酵食スペシャリスト」「ホールフード基礎講座」監修。

「塩麹」「50℃洗い」「ベジブロス」の仕掛け人として食のトレンドを発信。業界関係者からも厚い信頼と注目を集めている。
「奇跡の野菜だし ベジブロス」「AGEためないレシピ」(パンローリング)、映画「はなちゃんのみそ汁」(2016.01公開)のはなちゃんの著書「はなちゃん12歳の台所」(家の光出版)ではレシピ監修。
「旨塩麹のもっとおいしいレシピ」(徳間書店)、「50℃洗い」「都市型保存食のすすめ」(実業之日本社)など話題の著書多数。

タカコナカムラWhole Foodスクール
http://wholefoodschool.com/

一般社団法人ホールフード協会
http://whole-food.jp/

サロン情報

タカコ ナカムラ ホールフードスクール
●ホールフードとは?
ホールフードとは、もともと皮も根っこもまるごと食べる「全体食」から生まれた言葉です。タカコ・ナカムラホールフードスクールでは、この言葉をもっと広い視点でとらえなおして、食と暮らしの提案をおこなっています。
日々の食は健やかな生活を送るための要です。ですから、野菜や肉や魚・卵・乳製品は自然な方法で育てられたものを選ぶことが必要です。そして、その素材を本来の製法でつくられた調味料を使って調理し、命ある食べ物に感謝しながらいただくことが大切と考えています。

●「豊かな暮らし」とはなんだろう?
ホールフードスクールでは、安全なものを食べることだけではなく暮らしを「まるごと」考えていきます。たとえば農業を応援することや、日々使う洗剤がどこへ流れていくのかを考えることも自然を守ることにつながります。
食も森も海もぜんぶつながっている。「食」とつながる「暮らし」・「農業」・「環境」全般について、「まるごと」学んでみませんか?

所在地:

東京都大田区

ホームページ、ブログ:

http://wholefoodschool.com/

 

とっておきレシピ

叩きごぼう
叩きごぼう
材料

・ごぼう 2本
・米酢 少々

<胡麻の合わせ酢>
・白煎り胡麻 大さじ6
・メイプルシロップ 大さじ1
・しろたまり 大さじ2
・米酢 大さじ2

作り方
  1. 1.すり鉢で煎り胡麻をすり、その他の調味料を加えて合わせ酢を作る。
  2. 2.ごぼうは、泥だけ洗い落とし、皮つきのまま沸騰したお湯に米酢を少々いれてボイルする。熱いうちに綿棒でたたき、5センチの長さに切る。
  3. 3.ごぼうが熱いうちに、1で和える。
  1.  
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