予約の取れない自宅教室
~人気レッスンの魅力をレポート~

「いこまゆきこお料理教室」主宰 いこまゆきこさん

いこまゆきこさん

いこまゆきこさん

今月のサロネーゼは、東京都港区で「いこまゆきこお料理教室」を主宰するいこまゆきこさん。 和食をベースに、旬の食材を使い、素材の持ち味を生かしたお料理が学べるレッスンは大人気で、遠方から通う方、長年毎回欠かさず通う方も多数です。 3月のある日のレッスンに伺った模様といこまさんのインタビューを4回にわたりご紹介します。 第2回目はレッスンレポート後半です。

掲載日:2016/4/11(月)

 
喜ばれる”先生が選ぶもの”

心地よいボサノバをBGMに、優しい空気に包まれた空間で行われるいこまゆきこお料理教室のレッスンは、定員6名で、基本的にデモンストレーションスタイル。大きなアイランドキッチンを囲み、全員同じタイミングでしっかりと学べます。

皆さんが着席されたら、あたたかいお茶とクラッカーを。

「デモの間おなかがすいたら遠慮せず召し上がってくださいね!」

細やかでうれしい配慮です。

生徒さんのご紹介、今日のお料理の説明が終わると早速デモンストレーションの開始です。

一品目は、「グリーンピースと干桜海老の炊き込みごはん」。レシピには美しい完成写真も掲載されているので、「こんな素敵に出来上がるのですね!」と、生徒さんの期待も高まります。

「それでは材料のご紹介です。
グリーンピースですが、さやに入ったものがおすすめです。さやから豆を出すとどんどん鮮度が落ちてしまいます。
私が通っていた調理師学校の豆ごはんのレシピは、さやを煮出した汁でごはんを炊くというもの。グリーンピースを見ると、うっかりさやを捨てて注意されたことを思い出します(笑)。
今日は桜海老のうま味が出ますので、さやの煮出し汁は使いません。豆だけの時は使うとよいかもしれませんね。

お米は、京都・宮津にある富士酢を造っている飯尾醸造さんのコシヒカリです。私も以前、田植えのお手伝いに伺ったのですが、山奥の棚田で無農薬のお米を育てていらっしゃいます。

いこまゆきこ先生1

「どう調理するかはもちろん、どんな素材、調味料を使うかも大切」

「お出汁は昆布だしを使います。いつも大阪の「こんぶ 土居」さんから取り寄せて使っているのですが、昆布を水につけるだけです。昨晩つけたものと二日つけたものがありますので、ぜひ飲み比べてみてください」

和食の基本である出汁や調味料をとても大切に考えているいこまさん。
時間を作っては真摯なものづくりをしている全国の生産者さんを巡り、食材が生まれる環境・生み出す人に触れ、”自分が良いと思ったもの”を、お教室でご紹介しているそう。

いこまさんの体験、選択眼を通して紹介されるものや情報は、生徒さんにとってとても貴重で、いこまさんのこうした活動や姿勢もお教室の魅力となっています。

五感で学び、舌で覚える

昆布をつけている時間の長短で味わいも異なることを試飲で体感した生徒さん。

「わ、色も味も違いますね!」
「昆布だけで十分美味しいですね~」

「そうなんです。水だしの昆布出汁は簡単ですからぜひ活用してくださいね。
今日使っているのは真昆布です。皆さんご存知だと思いますが昆布はいろいろ種類があり、出汁に向いているのは真昆布、そのほか、利尻昆布、羅臼昆布・・・」

昆布の種類や生産地について、そして「天然昆布」の「天然」の意味など詳しい説明を。出汁をひくときの昆布の量や温度など、生徒さんからの質問にも丁寧に答えていかれ、一気に皆さんの知識が深まります。

いこまゆきこ先生2

和食の基本となる昆布や調味料は特に大切に。本物の調味料の見極め方も学べます

「では土鍋でごはんを炊いていきます。お米に昆布だし、みりん、塩、グリーンピース、干桜海老を入れて炊きます。

みりんは必ず本みりんと書いてあるものを使ってくださいね。
こちらもお味見していただきます。今日は1年、3年、10年のものをご用意しています。10年ものは真っ黒でバルサミコ酢みたいですよね~。まずは1年物からどうぞ」

「びっくり!こんなに違うのですね!」
「香りが全く違いますね。リキュールみたいで美味しいです!」

「昔はみりんも甘酒のように、暑い夏に元気がでるものとして飲まれていたそうですよ。
本みりんをお勧めする理由は・・・」

“生徒さんにはぜひ、文字ではなく舌で覚えて欲しい”と言ういこまさん。
色や香り、食感など、レッスン中は五感を使って学んでいただきたいので、試飲や味見の機会がたくさん盛り込まれています。

料理は、良い食材を選べば自ずと美味しくなるということ、また、そうしたものを選び購入することで真面目にもの作りをする生産者さんを支えることが出来るということもいつも伝えていらっしゃいます。

 

通うたび出会える新しい学び

「では次に鶏肉の道明寺蒸しを作ります。道明寺蒸しは道明寺粉を使ったお料理です。道明寺粉は水に浸して蒸した餅米を干したものですが、これを最初に作ったのが、道明寺というお寺。大阪の藤井寺市にあります。
さて道明寺粉の使い方ですが・・・」

一つ一つのお料理を、名前の由来や背景の紹介、食材の特徴や処理の仕方、アレンジも交えながら調理のコツをたっぷりと、とても丁寧にそして楽しく伝えていかれます。

そして、大切なポイントのたび、全員に鍋の中の調理具合を確認してもらいながら進めます。

その後醤油についても同様に詳細な説明を。そして、ご自身が作ったお醤油があるとのおとでそのお味見もなされました。

「では最後のお料理です。ホタルイカの下処理をご紹介しますね。口当たりを良くするために目とくちばしを取るのですが、やってみますか?

ドレッシングには白味噌を使いますが、関東の方はあまり馴染みがないかもしれませんね。白味噌は賞味期限が短いので、冷凍保存すると良いですよ。そんなにカチカチにはならないので、使う少し前に室温に戻せばOKです」

関西ご出身のいこまさんのお料理には白味噌がたびたび登場するそうで、お教室に通い始めてから西と東のお料理や食材の違いを知り、”料理が益々楽しくなった”、”日本の食文化全体に興味がわいてきた”という、料理のみならず食文化への意識が高まる方が多数。白味噌のファンもたくさん増えたそうです!

いこまゆきこ先生3

先生が常に勉強し続けているから、毎回新しい学びに出会えるのも魅力

全部のお料理のデモが終了したら一品ずつ盛り付けて、早速試食のスタートです。
器好き、といういこまさんのセンスで生み出されるお料理と器のコラボレーションも大好評で、これも生徒さんのお楽しみのひとつです。

お義母さまがお造りになったという14年ものの梅酒と、メニューに合わせた日本ワインも用意され、お料理とのマリアージュを楽しみながらの試食は会話も弾み、初めての方同士も和気あいあい、とても楽しそうです。

ここで、生徒さんにお教室の魅力を伺いました。

「たくさんの魅力がありますが・・いろいろな調味料を教えてくださいますし、それぞれ味見ができますので毎回楽しみです。でも何より先生のお人柄!質問に対しても的確に答えてくださいますし、とても勉強熱心でいらっしゃいます。先生からいつも新しいことを学んでいます」

「今日で4回目ですが、お教室の雰囲気が好きです。和食が多いこと、家ですぐ作りたくなるお料理であることも魅力です。美味しく作れるポイントに気を付けて教えてくださっているので、お料理の腕があがります」

「基礎から学べ、応用やアレンジもたくさん教えてくださいます。”こうでなければいけない”ということはおっしゃらないので、料理が楽しくなりました。日々のごはんにも、おもてなしにもよいお料理が学べてレパートリーが広がっています。調味料選びや出汁の大切さも勉強になります」

と教えてくださいました。

通うたび新しい学びがあり、確実にお料理の腕とセンスが上がる、魅力たっぷりの素敵なレッスンでした。

次回は、お教室情報やお教室を始めたきっかけを伺ったインタビュー前半をお届けします。どうぞお楽しみに!

 

Q&A人気サロネーゼに7つの質問

Q.1サロン/教室を開いたきっかけは?
A. 学生時代よりお友達を招いて料理を振る舞うことが好きだったので、その延長上に料理教室があった、という感じです。直接のきっかけは、仕事を辞め、料理学校に行ったこと。夫がやってみたら、と背中を押してくれたこと。

Q.2サロン/教室の特徴、コンセプトは?
A. 旬の食材を使い、和食をベースにしたお料理をデモンストレーションでご紹介しています。
定番のお料理もありますが、どちらかというと、私なりのアレンジを加えたものを、と心がけています。 定番のお料理だったら、巷に山ほどレシピが溢れていますから! ただ、アレンジといっても、基本は変わりません。 食材の下処理や、切り方、火加減等々、ベースとなる調理のポイントやコツはしっかりお伝えしています。
一番大事にしているのは、味見。だしや調味料、食材、なるべく味見していただくようにしています。 例えば、みりんは3年ものを使っていますが、同じ作り手さんの1年もの、10年もの、違う作り手さんのもの、と5種類ほどを順に味見してもらったり。 醤油なら濃口、淡口、再仕込み、白醤油、と比べてもらったり。味見することで、まずは知ること、感じることを大切に考えています。

Q.3どんな生徒さんが多いですか?
A. 食いしん坊で社交的な方が多いです!年齢は20~60代。昼間のクラスは、主婦の方、小さなお子さんがいる方。夜のクラスはOLさんや子育てが一段落した主婦の方が多いです。親子2代で通って下さる方も。

Q.4レッスン情報(開催頻度やクラス内容、料金、定員など)
A. 現在は不定期の開催。通常レッスンは、ひとつのテーマで約10回、年に6テーマ程度。お料理4~5品とデザート1品をご紹介しています。
通常レッスンの受講料は会員6,500円、体験レッスンやビジターの方は7,000円が基本です。定員は6名。
その他、外部の講師を招いての特別レッスンなども。

Q.5レッスン中、心がけていることは?
A. 生徒さんひとりひとりに平等に相対すること。
安全、衛生的であること。
「来てよかった」「楽しかった」と帰る時に感じていただけるように、と。

Q.6人気の高いメニューは?
A. 作りやすいもの、ちょっとした驚きがあるもの。
以前、こちらのインタビューでもご紹介し本にも掲載した「鶏手羽元の梅酒煮」「黒酢鶏」「醤油麹ローストビーフ」「お味噌のカレー」「ズッキーニの胡麻酢和え」「ひじきとアボカドの白和え」「秋刀魚の炊き込みごはん」「ほうじ茶プリン」など。

Q.7教室で愛用しているキッチングッズは?
A. 市原平兵衛商店の盛りつけ箸、GEOの鍋、柳宗理ステンレスボウル、スキャンパンのフライパン、かまどさん、ゼスターグレーダー、リーデルワイングラス。

インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=原田圭介

プロフィール

いこまゆきこさん

いこまゆきこさん
大阪出身、大阪育ち、東京在住。
子供の頃から食いしん坊で、小学生の頃から台所のお手伝いが大好き。
大学卒業後はメーカーにて海外広報、社内報、海外渉外の業務に携わり、充実の毎日を過ごすものの、一生の仕事をしたい、と退職。
30歳を目前にエコールキュリネール国立(現:エコール辻 東京)辻日本料理専門カレッジに入学し、18歳の若者達と料理三昧の日々を過ごす。
卒業後は、斉藤辰夫料理教室助手、西麻布テーブルスタジオタキトーにて著名シェフ、料理人のアシスタントをつとめ、和食のみならず、フレンチやイタリアン、中華やエスニック、第一線のシェフより直伝いただく。
2002年10月より渋谷区の自宅にて料理教室を主宰。
2013年2月に港区南青山に移転。

日本発酵文化協会 上級認定講師(味噌、醤油、甘酒、麹)「発酵マイスター」「発酵プロフェッショナル」取得
漢方養生指導士中級取得。「漢方スタイリスト」
茶道(裏千家)・フラワーアレンジメント(マミフラワー)のお稽古も継続中。

旅が大好き。旅先では醤油や味噌や日本酒などの発酵蔵、野菜や米の農家など「食材の作り手」さんを訪問しています。市場や地元のスーパー探検も楽しみのひとつ。

サロン情報

いこまゆきこお料理教室
教室では、和食を基本として、フレンチやイタリアン、中華、エスニックも取り入れ、おもてなしや毎日のごはんにぴったりのレシピを中心にご紹介しています。
また旬の食材の扱い方、だしのひき方、魚の三枚おろしなど料理の基本もお教えします。
日本発酵文化協会の上級認定講師でもあり、塩麹や醤油麹や甘酒を使ったお料理も登場します。

講習は5品前後、1時間~1時間半程度のデモンストレーションを行います。
デモ中は、たくさんお味見をしていただきます!
食材や調味料・・・まずは味を知ること、感じること。それがお料理上手への一歩です。

簡単な調理や盛り付けは挑戦していただくこともあります。
ご試食はお食事会形式で。おしゃべりを楽しみながらゆっくりとお召し上がり下さい。

ジャンル:

家庭料理、日本料理、イタリアン、フレンチ、中華、薬膳、エスニック、健康食、日本酒、ワイン、おもてなし、テーブルコーディネート、その他

サロン特長:

初心者歓迎、平日開催、夜間開催、土日開催、お友達同士歓迎、男性参加OK、少人数制(6人以下)、体験教室あり、予約制、各種イベントあり、駅近(徒歩10分以内)、お酒の提供あり

所在地:

東京都港区南青山

ホームページ、ブログ:

http://ikomayukiko.com

とっておきレシピ

豆腐とホタルイカ、アスパラガスのサラダ 人参ドレッシング
豆腐とホタルイカ、アスパラガスのサラダ 人参ドレッシング
材料

(2~3人分)
・木綿豆腐 1丁(300g)
・ホタルイカ 1/2パック
・アスパラガス 1束

人参ドレッシング
・人参 100g(約1/2本)
・白味噌 50g
・塩 1つまみ
・酢 50g
・EXオリーブオイル 50ml

作り方
    1. 1.豆腐は水切りし、食べやすい大きさに切る。
    2. 2.ホタルイカは洗って水気をとり、目とくちばしを取り除く。
    3. 3.アスパラガスは茹でて3㎝位の斜め切りにする。
    4. 4.フードプロセッサーかミキサーにドレッシングの材料を入れ人参の粒が少し残る程度まで撹拌する。
    5. 5.豆腐、アスパラガス、ホタルイカを4のドレッシングで和える。(食べる直前に!)
    6.  
    7.  
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