人と繋がる食事とは?
皆様こんにちは。セントロアンバサダーの磯部作喜子です。
今日は「人と繋がる食事とは?」というやや漠然としたテーマについてお話させてくださいませ。
「ル・サロン・ブラン」では料理講座が人気ですが、最近人気が定着してきているテーブルコーディネート講座では、食事の意義や歴史についても学ぶ時間があります。
テーブルを囲んで食事をすることは、太古の昔から行われてきたことで、人間だけができる行為です。
人と人が出合い、親しくなるころ、お茶やお食事に誘われます。食事を共にすることで、お互いの距離が縮まり、より親近感が沸くものですね。
「饗宴外交」という本をご存知の方もいらっしゃるかもしれません。この本には饗宴が外交に及ぼす影響について書かれていて、過去の饗宴のメニューやワインの記録など、料理研究家の私にはとても興味深く読ませて戴きました。
時にはひとつの料理やデザートが国家関係を変化させたという歴史もあるほどで、国と国との外交においても饗宴、共に食事をすることはとても重要な意味を持つのだそうです。
和気藹々とみえる饗宴ですが、料理やデザート、ワイン、テーブルセッティングにまで主賓の好みを尊重し、ホストがどのように来日した主賓を「おもてなし」しようとしているかの思いの現れであり、その準備には大変なご努力があることでしょう。
大使館にお招き戴く機会もあり、いろいろな国の大使館にもお邪魔させていただきましたが、大使夫人の「おもてなし」は国によってとても独創的で、お料理や設えはそれぞれが深く印象に残っています。
「美味しいところに人は集まる」という言葉もありますが、食にまつわる記憶は深く心に刻まれるものなのだなあ、と改めて思います。
私自身はふだんのレッスンにおいて、日々、生徒の皆様と食を共にさせいただく時間を戴いています。
あたりまえのようにテーブルコーディネートをし、お料理を作って盛り付け、ご試食を楽しんで戴く毎日ですが、生徒様は、初めて目にするコーディネートに目を輝かせてお写真をたくさん撮ってくださり、初めて食するお料理に感嘆の声をあげてくださったり、その反応に私自身も充実感と癒しを感じることができ、なんて幸せな職業なんだろうと日々感謝の毎日です。
食卓を囲みながらの会話は、初めて会った生徒さん同志でも不思議に打ち解けあって、帰るころには「楽しかったです。またお会いしましょうね」と笑顔でいっぱいになられます。
「人と繋がる食事とは?」の答えは日々のレッスンにありました。
「人と繋がる食事とは、一期一会のおもてなし」
招く方も招かれる方も人生においてその時だけの、二度とはない貴重な時間なのです。
それはまさに人間の基本的な欲求であり、それが充足されることで幸福を感じる至福の時間ですね。
皆様にそんな幸福感を感じていただけるよう、これからも精進していかなくては、と感じる私です。