まだまだ伝えたいフランスと食の魅力

「Le Petit Four(ル・プティ・フール)」主宰 後藤初美さん

インタビュー連載 第4回

今月のサロネーゼは、東京都杉並区にある緑に囲まれた住宅街で、フレンチスタイルのお料理とお菓子、食のフランス語を学べる教室「Le Petit Four(ル・プティ・フール)」を主宰する後藤初美さん。 20回以上の渡仏経験のある後藤さんは、本場のレストランで味わった数々の美食、ホームステイ先で出された温かくてほっとする家庭料理など、様々な食体験を重ねてきました。 学べば学ぶほど、食べれば食べるほど感じるフランス料理の奥深さを、もっと多くの人に知ってほしいという思いから、お教室には様々なレッスンが用意されています。 今回はその中から基本のフランスの家庭料理のレッスンと、インタビューを4回にわたりご紹介します。 最終回は後藤さんがお教室を始められたきっけや、これからの夢についてうかがったインタビュー後半です。

掲載日:2017/8/28(月)

後藤初美さん

後藤初美さん

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人生の転換期


――お教室はどのようにスタートされたのでしょうか?
会社を辞めてお教室を始めることはなかなか勇気がいることだと思います。


後藤さん 実父の病気と突然の別れがきっかけです。

人生は思ったよりもあっけなく終わることがある、ならばより後悔のない人生を歩みたいと思い始めるようになりました。
同時に美味しい料理を食べることで健康や幸せにつながるお手伝いをしたいと思ったんです。

ちょうどそこに当時勤めていた会社の上司の退任が重なります。

会社員時代は、通勤時もお昼休みも暇さえあればフランス料理の本を読みふけり、作ってみたい料理を考えていた毎日。
その時に私にフランス料理を教えてくださっていたFFCCの先生から、「そこまでの情熱があるならば仕事にすべき」と背中を押され、お教室を開くことにしました。
またフランス料理学校のクラスメートの皆さんが、すでに食の世界で活躍していらっしゃったこともいい刺激になりました。


後藤初美先生1

いよいよ自分のお教室をスタートさせた後藤さん


――生徒さんはどのように集めましたか?

後藤さん 当初は友人や元同僚が中心でしたが、その後その方々からの御紹介や口コミで少しずつ広がっていきました。
また友人にホームページを作ってもらったところ、さらに多くの方にお越しいただけるようになりました。

お教室やレストランでの食事会に来てくださった方々同士が仲良くなり、一緒にお食事に行かれたりと交流が生まれていて、私とル・プティ・フールという教室が橋渡しの役割をしていることがとても嬉しいです。

また年に一回フランスの美食を巡るツアーを企画しているのですが、ここでも教室を通して知り合った方々が料理やフランスをキーワードとして繋がり、旅行にまでご参加いただけることもやりがいの一つです!


後藤さんと巡る、美味しいフランスの旅


――どんなツアーを企画されているのですか?

後藤さん ここ数年は大好きなバスク地方を巡る旅を企画しています。

バスクの見所と美味しいものをたくさん味わってほしい。
さらにゆっくり街歩きできるフリータイムも必要だし、ピレネー山脈の迫る山あいにあるバスク豚農場も行きたいし、度々訪問することで生産者と知り合いになれたワイナリーにも行きたいし、かといって名所を急いで廻るツアーにはしたくない。

・・・そんなわがままをあれこれ詰め込んだツアーです。


後藤初美先生2

バスクの魅力について語り始めると止まりません


――なんて魅力的なツアーなんでしょう!
パリにはいろいろなツアーがありますが、地方にはなかなかないですし、個人旅行も不安なので、慣れた方に案内してもらえれば存分に楽しめますね!
後藤さんはどうしてバスクに惹かれたのでしょうか?


後藤さん 私が初めてバスクを訪れたのは2009年。
フランスとスペインの国境にまたがるバスクは、海の幸も山の幸も豊富で、新鮮な食材を鉄板や炭火で調理したお料理は日本人の口にもよく合うんです。

またバスクの人の気質も気に入りました。
彼らはとにかく真面目で、日本人に似ています。安宿でもきれいにお掃除が行き届いているんです。
一回行ってすっかりはまってしまい、ほぼ毎年行くようになりました。

――遠い地で日本との共通点を感じられるのは興味深いですね。
フランスを旅行をすると料理が重たくて身体が疲れるという話をよく聞くので、イメージが変わります。


後藤さん 私はお料理も必要以上のバターや脂身を使ったものは苦手で、オリーブオイルやナッツのオイルをメインに使うことが多いです。脂に頼らず野菜などで旨みを出す料理、地域で言うとフランスの中でも南のバスクやプロヴァンスのお料理が好きです。
例えば「スープ・ド・ポワソン(南仏風魚介のスープ)」でしょうか。ホッとして元気が出ますよ。

また、「お肉の三倍の量の野菜をとりましょう」とよく言われますが、私は「まず野菜を確保して、その野菜の3分の1の量のお肉」を意識してお料理を作っています。


フレンチ×薬膳


――今回のレッスンのお料理も野菜たっぷりで、日常の食卓にも取り入れやすそう、取り入れたくなるようなフレンチでした!

後藤さん 昔みたいにバターやクリームをたっぷり使うものだけではなく、野菜もたくさんとれるようなフランス料理もいっぱいあるんですよ。そういう健康に良い料理についてももっと世の中の人に知ってほしいです。

私はお料理を習い始めてから栄養についても知識を得ようと思い、中医学の栄養学である薬膳を勉強しました。
薬膳では、全ての食材が薬となりうるという「薬食同源」という考え方が元になっているため食材に縛りがありません。中国料理だけでなく、その理論はもちろんフレンチにも応用できるんですよ。

お教室でも漢方を得意とする薬剤師の友人とコラボしたり、季節や症状に合わせたお料理を提案しています。


後藤初美先生3

様々なアプローチでフランスの魅力を伝えます


――興味のあることをどんどん掘り下げていき、世界を広げていくアグレッシブさに感服です。
まだまだ実現したい夢があるのでは?!


後藤さん 究極の夢は、フランスでお料理教室を開催することです!

キッチン付きの場所を借りて、日本から旅行で来た方々をマルシェに案内し、本場の食材で本場の味をヘルシーに美味しく再現します。

旅行だけど生活の一部として体験できるような、暮らしているような感覚を皆さんに味わってもらえたら嬉しいですね。


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レストランのシェフ、お料理教室の先生、日々の家庭料理をつくる主婦、食は作る人の立場によって、関わる人も伝えられることも異なります。
その思いを自分のところで止めないで、使命感を持って次へつなげていこう、もっと広めていこうという後藤さんの姿勢に心動かされたインタビューでした。

インタビュー・テキスト=阿部麻里子、窪田みゆき
写真=原田圭介



プロフィール

後藤初美さん

後藤初美さん

東京杉並区の、フレンチスタイルの家庭料理・お菓子・食のフランス語レッスン、フレンチx薬膳のサロンです。
敷居が高いと思われがちなフランス料理を家庭でカジュアルに楽しんで頂きたいとの想いで始めました。

子供の頃からフランス料理&お菓子、フランス、語学に興味を持つ。
短大卒業後はOLとしてメーカーに勤務。外資系ホテルを経て、大手企業に役員秘書として勤務する傍ら、週末や休暇を利用してスクールやプロフェッショナル向けフランス料理コースに通い、料理・製菓の腕を磨く。また、毎年テーマを決めてフランスの各地方を巡り、郷土色豊かなワイン、料理、お菓子を食べ歩く。通算20回を超える渡仏歴を見込まれ、グルメ会、ワイン会などの企画、コーディネートはもちろん、フランスを旅する人のための観光&グルメツアープランニングの依頼も多数受けるようになる。
1995年から始めたお菓子中心のサロンを発展させ、2010年秋より、自宅サロンLe Petit Four(ル・プティ・フール)として、本格的に料理家&フランス食文化研究家としての活動を開始。焼き菓子、フランス家庭料理、易しいフランス語(ビストロコース/パリ街歩きコース)など個性的な講座の他、ホテルでコンシェルジェとして働いた経験を生かし、フランス美食の旅のコーディネーターとしても活躍の場を拡げている。

■資格
一般社団法人日本ソムリエ協会 ワインエキスパート
NPO法人チーズプロフェッショナル協会 チーズプロフェッショナル
中華中医薬学会認定 国際薬膳調理師
特定非営利活動法人日本フード・コーディネーター協会認定フード・コーディネーター
豆腐マイスター
日本ソムリエ協会ワイン検定講師

■著書
「発酵塩レモンのヒミツ」永岡書店

お料理、お菓子、フランス語のプライベートレッスンも随時お受けしております。
お問い合わせはどうぞお気軽に♪

ご質問は直接以下メールアドレスまでご連絡頂くとよりスムーズです。
hatsumi.goto@gmail.com

サロン情報

「Le Petit Four(ル・プティ・フール)」

Le Petit Four 小さなオーブン、大きなよろこび

サロンの名前、Le Petit Fourには二つの意味と願いをこめて名付けました。

プティフール(*複数形です)とは、食事の後に出される小菓子のこと。
お料理の終わった後、火が残ったオーブンで焼いた小さなお菓子が始まりだそう。

フランス語でfourはオーブンの事でもあります。家庭にある小さなオーブンからもさまざまなお料理やお菓子を作る事が出来ます。

フレンチ=大変、難しそう、おうちで作れない、そんなイメージががらっと変わるような、手軽でヘルシー、何より美味しいお料理をどんどん紹介していきたいと思っています。

またフランスへの旅行を更に楽しめるようなベーシックなフランス語とメニュー、ショッピングにフォーカスしたユニークなレッスンも開催しています。今度の旅が美味しくて満足になるよう応援致します。

ジャンル:

家庭料理、フレンチ、薬膳、スペイン、エスニック、健康食、洋菓子、ワイン、チーズ、おもてなし

サロン特長:

初心者歓迎、平日開催、土日開催、お友達同士歓迎、男性参加OK、少人数制(6人以下)、予約制、各種イベントあり、お酒の提供あり

所在地:

東京都杉並区

ホームページ、ブログ:

http://www.hatsumi-823.com

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レシピ

オリーブとハーブ入りプロヴァンス風牛肉のドーブ
オリーブとハーブ入りプロヴァンス風牛肉のドーブ
材料
(4人分)
・玉ねぎ 中1/2個(100g)
・にんじん 小1/2本(60g)
・セロリ 1/3本(40g)
・グリーンオリーブ 40g
・オリーブオイル 20cc
・にんにく 1かけ
・白ワイン 200cc
・水 400cc
・チキンブイヨン(粉末) 大さじ1
・フォンドボー(市販小分け品) あれば15g
・牛もも肉薄切り 300g
・塩胡椒 少々
・薄力粉 少々
・ローリエ 1枚
・タイム 2本
・ズッキーニ 小1本
・なす 1cm厚×4枚
・ドライトマト (あれば)千切り少々
・タイム少々

作り方
  1. 玉ねぎ、にんじん、セロリ、オリーブは3mm角程度の細かいみじん切りにする。にんにくは皮と芯をとり、潰す。
  2. 牛もも肉は軽く塩胡椒して、一枚ずつ端から巻いて楊枝で留める。薄力粉少々をまぶす。
  3. ズッキーニは1cm厚さの輪切りにする。
  4. 厚手の鍋ににんにく以外の野菜とオリーブオイルを入れ、弱火でじっくり焦がさないよう炒める。
  5. 白ワイン200ccを加えてアルコールを飛ばし、にんにくを加える。水400cc、チキンブイヨン、フォンドボーを加えて沸騰させ、弱火にする。ローリエ、タイムを加える。
  6. 牛もも肉の周りを油を少々しいたフライパンで焼き、4.に加える。
  7. 同じフライパンに油を足して輪切りのズッキーニを両面焼いて鍋に加える。
  8. 最後になすをじっくりと柔らかくなるまで両面焼く。(*鍋には加えない。)
  9. 15分ほど煮たら火を止め、蓋をしてしばらく置く。必要であれば塩少々、白胡椒でアセゾネする。
  10. 器に焼いたなす、煮込んだ肉を載せて煮込みソース、ドライトマト千切りとタイムを添える。