気付いたときがホールフードのはじまりの日

「タカコ ナカムラ ホールフードスクール」主宰 タカコ ナカムラさん

インタビュー連載 第2回

今月のサロネーゼは、東京都大田区で「タカコ ナカムラ ホールフードスクール」を主宰し、「一般社団法人ホールフード協会」代表も務めるタカコ ナカムラさん。 食と健康と暮らしと環境を考える「ホールフード(Whole Food)」を提唱して30年近く。 ベジブロス、塩麹、50℃洗い、低温調理、AGEなどもいち早く紹介し、著書も多数です。 今は亡き、安武千惠さんと共に福岡校も開講。そのいきさつは『はなちゃんのみそ汁』と題して出版された中でも紹介され、TVドラマ、映画化もされました。 今回は、2016年12月に開催されたおせち料理講座の模様とタカコ ナカムラさんのインタビューを4回にわたりお届けします。 第2回目はレッスンレポート後半です。

掲載日:2017/1/16(月)

タカコ ナカムラさん

タカコ ナカムラさん

  • プロフィール
  • サロン情報
  • レシピ

和洋の技術+ホールフードならではの調理法


デモンストレーションは低温スチーミングからスタートです。紅白なますの人参と大根が色鮮やかにシャキシャキに仕上がる様子を皆さんが真剣に見つめます。

「大根に対して人参の量は3分の1くらいがよいです。半量ずつにしてしまうと、かなり人参が多く見えてバランスがよくなくて、これくらいがきれいに見えます。そして、甘酢に漬けます。

それでは次に昆布巻きです。中身を私のほうで作りますので、のちほど皆さんに昆布で巻いていただきますね。昆布巻きの中身はにしんや鮭のことが多いですが、なかなかお子さんが食べてくれないというお話をよく聞きます。そこで、豚のひき肉を使います。これですとお子さんも喜んで食べてくれると思います。

レシピにはつなぎにパン粉と記載していますが、今回は同じく小麦粉からできているお麩を使います。一般的な市販のパン粉には、いろいろと添加物が入っていることが多くあります。ハンバーグなどを作るときもぜひお麩を使ってみてください。和風のお料理にも合いますし、おすすめですよ。

ハイ、こうやって昆布で巻いたらかんぴょうで結びますが、かんぴょうは切らずに長いまま使います。そのほうがやりやすいですし、ロスが出ません。
では、まずここまで作ってみましょう!」


タカコ ナカムラ先生1

食材の旨み、栄養価を最大限引き出す調理法の数々。ひとつひとつの説明がとてもわかりやすい。


ホールフードならではの食材の選び方や調理法はもちろん、和食の技術もたっぷりと伝えていかれます。

ご実家は割烹だったというナカムラさん。小さい頃から厨房で板前さんが繰り広げる、魚や野菜の和食の下ごしらえを間近でを見て育ち、また、ご主人様はイタリアンの巨匠、「アクアパッツァ」オーナーシェフ日高良実氏でいらっしゃり、洋食の最高峰の技術も常に身近です。
和洋の「美味しい」を生み出すプロの技術を、家庭で実践できるようわかりやすく教えてもらえるのも嬉しい点です。

昆布巻きまでの実習が終わると再度キッチン周りに集まっていただき、続いては叩きごぼう、50℃洗いで作るブリの照り焼き、伊達巻とデモは続きます。


日々の暮らしに活かせる知識を学ぶ


「それでは次に伊達巻です。おうちで簡単に作れるように、魚のすり身の代わりにはんぺんを使いますが、ぜひ上質なものを使ってくださいね。味付けにはひふみ糖と、旨塩麹を使います」

多くの家庭で常備調味料となったともいえる塩麹。これほど広がったのは、ナカムラさんの情報発信が大きなきっかけでしたが、その後もっと簡単な作り方を研究して、「旨塩麹」を生み出したそう。

通常、塩麹作りは1週間かかりますが、炊飯器を使ったナカムラさん考案の方法なら30分程で簡単に作ることができます。旨塩麹は塩のかどがとれたまろやかな味わい。何より、簡単に手作りできることで、麹の素晴らしさがより身近に体感できます。

続いてはこんにゃく寿司です。おなじみの黒いこんにゃくに加え、滋賀県名産の「赤こんにゃく」も使います。自然な色味の赤こんにゃくが登場すると皆さんから歓声が。
もちろんナカムラさん厳選の、添加物など気にしなくて良いもの。ライフワークの一つとして郷土料理の研究も続けているそうで、全国の食材にも精通していらっしゃいます。


タカコ ナカムラ先生2

学べるのは、「最先端の研究に基づく調理法と伝統的な調理法=一番役立つ調理法」!


「ハイ、このようにこんにゃくに切れ目を入れて酢飯をつめますが、この時期ノロウィルスなども心配ですよね。手水には梅酢を混ぜると良いですよ」

昔だったら、おばあちゃんからお母さん、お母さんから孫へと受け継がれていたであろう家庭料理のコツや技。いまでは受け継がれることが少なくなった、伝統的なことや暮らしから生まれた知恵――現代の暮らしにもマッチして生かされることを、ナカムラさんは丁寧に伝えていかれます。

「では最後に、甘酒りんごシャーベットの作り方です。おせち作りも大変ですし、お正月は手の込んだデザートを作るのは大変ですよね。これであれば、材料は甘酒とりんごだけ。ミキサーで攪拌して冷凍庫で冷やし固めれば完成です。フルーツのシャーベットって固くなりがちですが、甘酒が入っているとガチガチにならず、すぐにいただくことができて、とてもお勧めです」

たくさんあるご著書の中の1冊に、『手軽でおいしい熟成レシピ 都市型保存食のすすめ』というタイトルの料理本があります。味噌、梅干し、梅酒、麹醤油など、手作りが難いとと思わがちな保存食を、現代の、都会で暮らす多忙な私達が気軽に挑戦できるよう工夫された作り方と、そのアレンジレシピがぎゅぎゅっと詰まったとても役立つ本です。
”昔ながらの作り方を昔のようにする”ことにこだわらず、いまの暮らしの中で無理せず取り入れられる、現実的で実践的なことに軸が置かれているのは、本もスクールも同じ。

日々の暮らしに活かせる知識こそが、大切だということを感じます。


食から暮らしを見直すきっかけに


全てのお料理のデモが終わり、皆さんの実習も終わりに近づいてきました。

「盛り付けは皆さんお好きなようになさってみてください。キレイに見えるコツをお教えしますね。南天をお料理の色が濃いもののところに置くとバランスよく見えますよ。例えば、ハイ、これでいかがでしょう」

「わー本当ですね!ありがとうございます」

試食分はワンプレートにそれぞれ盛り付けていただきます。写真撮影も終わって準備が整ったら、早速試食の開始です。

しばし召し上がっていただき、タイミングを見計らって、

「皆さんお疲れ様でしたー!なにか質問は無いですか?」

とナカムラさん。

お屠蘇、お重の詰め方、旨塩麹についてなど、皆さんからの質問に丁寧に応えていかれ、ここでも新たな学びがたっぷり。
皆さんへの回答が終わり、充実のおせち料理講座が終了しました。


タカコ ナカムラ先生3

盛り付けも全員で。揃って試食をいただきながら、質問への回答や追加の情報もたっぷりと。


試食後は、使った食器を洗って片付けていただきます。シンクに置かれている食器用洗剤は、もちろん、生分解性が高く環境に配慮されたもの。

お邪魔にならないよう、手の空いた方にスクールの感想を伺ってみました。

「マスターコースを卒業しています。おせち料理講座には初めて参加しましたがとても楽しかったです。ぜひ作ってみます。元々オーガニックに関心があり、知人から情報を聞いてぜひ学んでみたいと思いスクールに通い始めました。食だけでなく環境のことまで視野が広がりましたし、食材を無駄にしないなど無理なく実践できるようになりました。娘がまだ小さいので、習ったことを娘に伝えていきたいというのが今一番の思いです」

「今日は3回目の参加です。野菜コーディネーターの通信講座を受講してホールフードのことを知り、もっと詳しく勉強したいと思い1Day講座に参加しています。
通信講座で学んだタカコ先生のレシピはほとんど実践しましたが、とても美味しくて、子どもも喜んで食べてくれました。食べ物から元気になりたいですし、家族のためにも食にはとても気をつけています。今日は先生から直接学べて、とても楽しく時間が経つのがあっというまでした。おせち料理、ぜひ作ってみます」

「今日は初めて参加しました。以前からホールフードスクールに関心があったのですがなかなかこれなくて。明るい雰囲気で楽しかったです。おせち料理は敷居が高いと思っていましたが、気軽に作れることがわり良かったです。今年はぜひ手作りに挑戦してみます」

全10品、段取り良く時間内に完成し、充実した講座に皆さんも大満足のご様子。初めての方、何度も通っている方など様々ですが、ホールフードの考え方に出会って意識が変わった、家族や自分の健康のために食から暮らしを見直すことができた、という声が重なりました。

「誰もが健康や人生の価値観に、ふと気付くときがある。それは、タイムラグがあって、気付いたときがホールフードのはじまりの日。それでいいのだと思う」

と『新版 タカコ ナカムラの ホールフードでいこう!』の中でも綴っているナカムラさん。
食と一緒に農業や漁業、エネルギーや環境のことを考える・・・本当は当然のことなのについ忘れてしまいがちな、とっても大切なこと。
だからと言って眉間にしわを寄せて無理をするのではなく、自然体で、楽しみながら心地よい暮らし方に出会える、素敵なスクールでした。

次回は、スクール情報や開校までの軌跡などをうかがったインタビュー前半をお届けします。
どうぞお楽しみに!

インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=原田圭介



プロフィール

タカコ ナカムラさん

タカコ ナカムラさん

一般社団法人ホールフード協会 代表理事
料理家/フードディレクター

山口県の割烹料理屋に生まれる。
アメリカ遊学中にWhole Food(ホールフード)に目覚め発酵食や乾物料理の第一人者として、数多くの商品開発やオーガニックカフェのプロデュースに関わる。
現在、食と暮らしと環境をまるごと学ぶ「タカコナカムラWhole Foodスクール」を主宰。
通信講座(がくぶん)「野菜コーディネーター」「発酵食スペシャリスト」「ホールフード基礎講座」監修。

「塩麹」「50℃洗い」「ベジブロス」の仕掛け人として食のトレンドを発信。業界関係者からも厚い信頼と注目を集めている。
「奇跡の野菜だし ベジブロス」「AGEためないレシピ」(パンローリング)、映画「はなちゃんのみそ汁」(2016.01公開)のはなちゃんの著書「はなちゃん12歳の台所」(家の光出版)ではレシピ監修。
「旨塩麹のもっとおいしいレシピ」(徳間書店)、「50℃洗い」「都市型保存食のすすめ」(実業之日本社)など話題の著書多数。

タカコナカムラWhole Foodスクール
http://wholefoodschool.com/

一般社団法人ホールフード協会
http://whole-food.jp/

サロン情報

「タカコ ナカムラ ホールフードスクール」

●ホールフードとは?
ホールフードとは、もともと皮も根っこもまるごと食べる「全体食」から生まれた言葉です。タカコ・ナカムラホールフードスクールでは、この言葉をもっと広い視点でとらえなおして、食と暮らしの提案をおこなっています。
日々の食は健やかな生活を送るための要です。ですから、野菜や肉や魚・卵・乳製品は自然な方法で育てられたものを選ぶことが必要です。そして、その素材を本来の製法でつくられた調味料を使って調理し、命ある食べ物に感謝しながらいただくことが大切と考えています。

●「豊かな暮らし」とはなんだろう?
ホールフードスクールでは、安全なものを食べることだけではなく暮らしを「まるごと」考えていきます。たとえば農業を応援することや、日々使う洗剤がどこへ流れていくのかを考えることも自然を守ることにつながります。
食も森も海もぜんぶつながっている。「食」とつながる「暮らし」・「農業」・「環境」全般について、「まるごと」学んでみませんか?

所在地:

東京都大田区

ホームページ、ブログ:

http://wholefoodschool.com/

プロフィールはこちら

レシピ

叩きごぼう
叩きごぼう
材料

・ごぼう 2本
・米酢 少々

<胡麻の合わせ酢>
・白煎り胡麻 大さじ6
・メイプルシロップ 大さじ1
・しろたまり 大さじ2
・米酢 大さじ2

作り方
  1. すり鉢で煎り胡麻をすり、その他の調味料を加えて合わせ酢を作る。
  2. ごぼうは、泥だけ洗い落とし、皮つきのまま沸騰したお湯に米酢を少々いれてボイルする。熱いうちに綿棒でたたき、5センチの長さに切る。
  3. ごぼうが熱いうちに、1で和える。