料理を通じて学べること

「田中伶子クッキングスクール」主宰 田中伶子さん

インタビュー連載 第2回

今月のサロネーゼは、1964年創立、50年以上に渡り正統派家庭料理を教え続けている「田中伶子クッキングスクール」代表の田中伶子先生。 料理家として活躍しながら、結婚、出産後自宅で開いた料理教室が評判を呼び、口コミで増えつづける生徒さんに対応するかたちでスクール化。 子育てをしながら数名の生徒さんからスタートした教室は、今では毎月400名以上を迎えていらっしゃいます。 今回は特別篇として、9月のある日にお邪魔した初級クラスのレッスンの模様と、「長く愛される教室」づくりの秘訣をまじえた田中先生のインタビューを4回に渡ってご紹介します。 第2回目はレッスンレポート後半です。

掲載日:2015/10/13(火)

田中伶子さん

田中伶子さん

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ひと手間かけるには理由がある


にこやかに一人ひとりの調理手順を確認しながら進めていく田中先生。
スクールではまな板と包丁はひとり一組用意し、全員に同じ工程をしてもらえるよう工夫されています。包丁の持ち方、食材の切り方、調理途中の食材の扱い方、細かな火加減など、とても細やかに教えてもらえます。

「ではナスを切ってくださーい。均等に切ってくださいね。はい、ナスを加熱するというのはこういう見方をするので覚えておいてください。
今日作るしぎ焼きの味噌はふろふき大根にもいいですよ。小鍋で照りがでるまで練っていきます」


田中伶子先生1

「お料理は下処理のひと手間でぐんと美味しくなります。省いてはいけない工程があるのです」


「生鮭は塩を振って10分ほどおいて、水洗いして水けをふいてください。そしてアルミホイルにこの順番でのせていきましょう。
おうちで作るときは倍の大きさで作るとメインのおかずになりますよ。簡単でとても美味しいです。なぜ生鮭に塩を振るかというと・・・」

スクールで伝えているのは、丁寧にひと手間かけた正統派の家庭料理。下処理の理由や方法もしっかりと伝え、なぜその作業が必要かを理解してもらいます。
時短料理や創作料理をあえて教えないのは、まずは基本をしっかりと覚えてもらうことが重要と考えるから。そのうえでおうちでアレンジしたり、新しい料理を作ってもらいたいというスタンスです。

そのため、初級クラス1年間で学ぶ約100種のお料理は、その基礎となることがたくさん詰まっており、何度も繰り返し学ぶことで身に付きそれが実力になっていきます。料理の基礎、土台が身に付くのです。


ぎゅっと凝縮した時間に学びがいっぱい


「できましたか?ではお預かりして220度のオーブンで約6分ほど焼きますね」 生徒さんたちが生鮭をアルミホイルで包んだら、ささっとアシスタントさんが天板に乗せてオーブンへ。スクールでは、1台に1人講師がつくほか、全体の進行を支えるアシスタントさんもいらっしゃいます。
調理台が常に快適に料理しやすいスペースであるよう気を配ったり、ほどよいタイミングでオーブンや蒸し器に入れたりと、その連係プレーがとてもスムーズで、生徒さんは料理に集中ができます。

何人かの生徒さんが、

「段取りがとても良いので、しっかり覚えられて、時間内にきっちり終わるんです。だから仕事帰りでもずっと通い続けられます」

「仕事帰りでちょっと疲れていても、皆で料理をして食べて、片付けるころには元気になってます。レッスンがとてもスムーズなので、手際の良さも学べますし、負担にならないのが魅力です」

と教えてくださいました。学ぶ人が通い続けやすい段取りや時間配分も喜ばれている魅力の一つのようです。


田中伶子先生2

夜のクラスはお仕事帰りの生徒さんがほとんど。段取りのよいスムーズな進行が喜ばれています


「そろそろ豚汁ができあがりますね。まだ豚汁の様子見てない人はいない?ではお味噌をときますね。こうして入れるといいですよ。では入れます。ハイ、美味しくできてますよー!
皆さん見てくださいね、ここでネギを入れます。そうすると香りも立ちますよ。それではお椀によそいましょうか。やけどしないようにね」

美味しいにおいが広がり、今日の4品がほぼできあがりました。

「お料理ができたら盛り付けて行ってくださいね~。お見本はこちらに置いておきます。お写真撮る方はどうぞー!」

と中村先生。
いつも、撮影用に先生が盛り付けたお料理を一組用意されます。参考にしながら盛り付け、終わった生徒さんからパチリと撮影。
お料理の合わせた器の選び方、盛り付け方、器の置く場所なども勉強になります。


料理を通じて食と暮らしに向き合うきっかけに


「それでは揃ったところから召しあがってください。お疲れさまでした!」 「いただきまーす!」 各チームで和気あいあいとお楽しみの試食タイムです。早速美味しい!と聞こえてきます。
その間、調理台1台1台を回って生徒さんに話しかける田中先生。
久しぶりの生徒さんには、「元気だった?」と、初めての生徒さんには、「今日はどうでした?」と、とても気さくです。
そして聞こえてくるのが、「ありがとうございます」という言葉。

レッスンのときもそうでしたが、田中先生は生徒さんに「ありがとうございます」とおっしゃることがとても多いのです。理由を伺うと、

「ここに来てどんどん変わっていく生徒さんが本当に多いんです。所作や言葉使い、笑顔、服装まで素敵になっていく方がたくさん。ご自身が変わることで良い出会いにつながり、結婚できるお教室、と言われることが増えてきました(笑)
生徒さんたちが通ってくれること、学んでくれること、幸せになってくれることが嬉しくて!」

と教えてくださいました。
初めての方やお料理初心者の方も安心して通いたくなる心地よい雰囲気は、こうした先生の「感謝」から生まれているのかもしれません。


田中伶子先生3

「生徒さんには料理を通じて幸せになってほしいんです。50年変わらずそう思ってきました」


いつもは生徒さんにお教室の魅力を伺うのですが、今回は講師の方に伺ってみました。
田中伶子クッキングスクールの魅力は?

「魅力はまず、基本的な料理をしっかり学べるところだと思います!私も田中先生、中村先生方にを見習って、教わる立場に立って教えることと、親切な気持ちを大切にして生徒さんに接したいと思っています」

「元々は友人の紹介でスクールで学び、そして講師としてお手伝いするようになりました。スクールの魅力はたくさんありますが、生徒の視点に立って、和洋中の勉強ができること、段取りよく料理をすることが学べること、そしてしっかり身につくことが大きいと思います」

「とにかく教えていただくレシピが美味しいです。時間がかかりそうな料理も楽しい!と思えますし、なぜその手間が必要かもしっかり教えてくださいます。そして田中先生、中村先生のお人柄も魅力です」

と、講師の方々も熱くその魅力と、ここで働けることの喜び、この仕事の醍醐味を教えてくださいました。

50年以上ほぼ変わらないレシピで正統派家庭料理を教える、貴重なスクール。
ここで学べるのはお料理だけではありません。お料理を学び続けることを通じて、食と暮らしにきちんと向き合い、幸せになる生き方も学べると言えそうです。

次回は、田中先生がお教室をはじめたきっかけやこれまでの軌跡などをうかがったインタビュー前半をお届けします。どうぞお楽しみに!

Q&A人気サロネーゼに7の質問 Question

教室を開設したのはいつ?
1965年4月。

教室をはじめてよかったことは?
多くの生徒さんたちが料理上手になって幸せになったこと。

レッスンでがけていることは?
参加している生徒さん全員がロールクッキングで実習に加わること、安全・新鮮・本物の食材を使うこと。

今も勉強していることはありますか?
50年間欠かさず今も、和洋中の教室に通っています。

はじめて参加したい方へ
体験レッスンも行っております。ホームページから詳細をご覧いただきお申込みお待ちしています。お気軽にご参加ください。



インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=原田圭介



プロフィール

田中伶子さん

田中伶子さん
50年を超える歴史を持つ銀座の人気校、「田中伶子クッキングスクール」代表。
全国料理学校協会理事、NPO日本食育インストラクター協会理事。

福岡女子大学卒業後、料理教室を開設。
「主婦と生活」講談社「主婦の友」学研などに執筆。
食品会社、流通会社、広告、会社の企画。
テレビも20数年にわたり各局の料理番組に出演。
フィレンツェ、パリ、ニューヨークに料理関係者在住のため、再三勉強に行く。
昨年主婦と生活社から発売された、教室の人気レシピ150点を掲載した料理本「一生作り続けたいおかず」は料理レシピ本大賞、料理部門第4位に選ばれ、いまでも版を重ねるロングセラーで続編も制作中。
人気雑誌「CLASSY」に連載中のお料理コーナー「結婚できる和食教室」も大好評で、月間400名近い生徒に正統派家庭料理を今も伝え続けている。

サロン情報

「田中伶子クッキングスクール」

創立45年の料理教室です。
アレンジや創作でない本物のレシピ・味をお教えすることを信条としております。

■本校の特色■
・1964年創立の伝統校
・コツコツ学び実力をつけ、家庭で、企業で活躍する人を育てる
・授業は実習形式でメキメキ料理上手になる
・食材は毎日築地で活け魚、採りたて野菜 国産肉を使用し、安全で美味しい
・たのしいイベントが多い
・各種資格が取得できる

ジャンル:

家庭料理、日本料理、イタリアン、フレンチ、中華、韓国、スペイン、インド、エスニック、健康食、パン、和菓子、洋菓子、ワイン、チーズ、おもてなし、紅茶、テーブルコーディネート、その他

サロン特長:

初心者歓迎、平日開催、夜間開催、土日開催、お友達同士歓迎、少人数制(6人以下)、体験教室あり、予約制、各種イベントあり、駅近(徒歩10分以内)、お酒の提供あり

所在地:

東京都中央区銀座

ホームページ、ブログ:

http://www.tanakacook.com/

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レシピ

栗飯
栗飯
材料
(4人分)
・米 3号
・栗 300g
・水
・塩 小さじ1
・酒・みりん 各大さじ1

作り方
  1. 米を洗っておく
  2. 栗は水につけて皮をやわらかくしてむく
  3. 炊飯器に米と調味料を入れて水を炊飯器の目盛りで入れて栗を加えて炊く