1日1ミリでも成長していきたい

「Family」主宰 高橋善郎さん

インタビュー連載 第4回

今月は、このコーナー初の男性のご登場!都内世田谷区で、日本一魚がさばける和食専門料理教室「Family」を主宰する高橋善郎さんです。 和食料理人のお父様の影響で幼少期から料理の基礎を学んだバックグランドを持ち、会社勤務を経て料理家に。 だしの取り方や、だしを使い素材の味を活かした料理と魚のさばき方が学べるレッスンは大好評で、もう今年のレッスンは全て予約がうまっているほど。 今回は、楽しい雰囲気のなかしっかり身に付くレッスンの模様と高橋さんのインタビューを4回にわたりご紹介します。 最終回はお教室にこめている想いや工夫、これからの夢を伺ったインタビュー後半です。

掲載日:2015/4/20(月)

高橋善郎さん

高橋善郎さん

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料理を楽しみキッチンに立つ人を増やしたい


――レッスンやお教室の運営で心がけていることはどんなことでしょう。

高橋さん 一番お伝えしたいのは、「料理は楽しい」ということです。難しい言葉ではなかなか伝わりませんし、楽しいと思っていただけません。ですので、教室でもセミナーでも「正しい説明」より、「わかりやすい説明」をするよう自分の中で徹底し、とにかくレッスンの間、楽しんでもらうことを心がけています。

料理すること、和食を勉強していただくことに対してできるだけ敷居を低くしたいので、上から教えるような言い方にならないようにも同時に気を付けています。時々、ばかなことも言って笑っていただきながら生徒さんを立てて、料理は楽しい、と思っていただき、ご自宅、ご家庭でキッチンに立つ機会をどんどん増やす、そして、家族やパートナーと食を通じて素敵な空間が生まれる…そのきっかけを作るのが料理教室においての自分のミッションだと思っています。

また、もうひとつ心がけていることは「レシピはアレンジしてくださいね。」と、お伝えしています。
レシピは当然に存在し、その通りに作っていただけるのも料理研究家としては嬉しいのですが、参加してくださる生徒さまによって育った場所、環境も違えば、おふくろの味も絶対に違います。「食べ慣れた味が美味である」といつも心の中で思っているので、それを前提に、「みなさまが食べ慣れている味にアレンジしてください。」とお伝えしています。

みそやしょうゆの種類、味の濃さなんかもベースはありつつも、よりその方の好みに近づけば、それが正解なんじゃないかなと思います。


高橋善郎先生1

「正しい説明」より「わかりやすい説明」を。和食を学ぶことへの敷居を下げたい


――参加した生徒さんからはどんなお声が多いですか?

高橋さん そうですね、また魚をおろしたい、もっと和食の技術を知りたいというお声をよくいただきます。
主婦の方も多いので、中には魚をおろすことがすでに上手な方もいらっしゃいますが、ここでもくもくと「魚をおろすこと」が、ストレス解消になっていると言ってくださる方も多いです。
男性にはない目線だなあと非常に勉強になりました(笑)。

――わかります(笑)。魚をおろすと無心になれ、リフレッシュできそうです。

高橋さん 一度参加したあと毎月来たい!と言ってくださる方も増えて、とても嬉しいです。
最初は本当に少ない人数からスタートし、やり方に迷ったり、魚などの仕入れ価格に悩んだりしたこともありましたが、大切にしている想いだけはぶらさずに続けてきた結果、素敵な生徒のみなさまにも出会えて、応援していただき、今回のような取材にも至ったのだと思います。
本当に感謝しています。
形式状は主宰者として、生徒のみなさまに教えていることの方が多いように感じますが、それは違って、実は教えている立場である自分が一番教えていただいているんだと思います。
そこは絶対にはき違えちゃいけない部分だと思っています。


教室を主宰することは常に勉強


――いまも学び続けていることはありますか?

高橋さん 魚や和食についてはもちろん、料理や食に関することは常に学び、研究を続けています。
私の強みは、お店の料理人というキャリアがありつつ、料理研究家でもあることで、常に”普通の感覚”を忘れないようにしています。

生活情報誌の家庭料理は必ずチェックしますし、一方で飲食店向けの雑誌も見て勉強します。
その年、その季節によって、例えば鶏むね肉がブームだったり、グラタンが世間ではにぎわっていたりと、ファッションと一緒で、食の世界にもトレンドがありますので、そこも必ず把握してレシピや提案に活かすようにしています。

――情報を発信するには、周りを知ってインプットすることが大事ですね。

高橋さん そうですね。レッスンでは当然、わからない質問をいただくこともありますが、知ったかぶらずに正直に、「あとで調べてメールでお送りします」とお伝えしています。
料理の世界に限らず言えることかと思いますが、行動や勉強をしなくなったらあとは退化していくだけですので、教室をやることで自分自身が勉強する環境を作り、いい意味で危機感みたいなものは常に心の中で持つようにしています。


高橋善郎先生2

好評の2冊。5月21日(木)には宝島社から新刊も発売予定


――すでにも2冊も料理本も出版されました。

高橋さん 応援してくださる皆様のおかげです。昨年の8月、監修本として「魔法のココナッツオイルレシピ(宝島社)」、共著として「イケ麺レシピ103(エイ出版社)」を出版させていただきました。教室では魚をおろしたり、だしについてお伝えしたりと和食についてお伝えすることが多いですが、教室以外では様々なジャンルの料理をお伝えしています。
5月21日(木)には宝島社さまから新刊が発売になりますので、ぜひ、こちらもご覧いただければ嬉しいです。

――すごいですね!楽しみです。


本気で取り組む姿勢は周囲を動かす


――なかなか一年半で、本の出版も予約の取れない教室に育てるのも難しいと思いますが、どんな工夫をされたのでしょうか。

高橋さん 当たり前ですが、独立したとき、全く無名でゼロからのスタートのなか、どうやって実績を積んでいくか、どうやって自分を知っていただくかをいろいろ考えました。
その一つとして、一年間一日一レシピを毎日ブログにアップするということをコミットして始めました。

主婦の方は当たり前にやっていると思えるようなことですが、「コミットして実践する」ということが大事だと思っていたのと、誰もやったことがないんじゃないか、これを本当に一年間続けたら違う世界が見えるんじゃないか・・・ と、最初はすごく安易な考えから始めました(笑)。

料理のレパートリーを増やすことにも、自分が学んだことをアウトプットする機会にもつながり、ブログを続ければ続けるほど、たくさんの気づきが生まれてきたんですね。

レシピの書き方のくせがわかってよりわかりやすいレシピにするにはこうした方がいい!とか、魅力的に見えるスタイリングや写真の撮り方はこうだ!というのは、いくら勉強だけしても実践がないと身に付かないものです。

とにかく、1日1ミリでも自分を成長させたいと、毎日必死でした。
どんな小さな成長でも、1年間積み重なればとてつもなく大きな収穫や自信につながりますから。

――フードコーディネートなどを学ぶスクールにも通われたのですね。

高橋さん はい、独立してお店で研鑽をつみながらスクールにも半年間通い、この間、9つの食に関する資格も取得しました。この世界でやっていくという覚悟はありましたので、お金も時間も自分がやっていることに徹底的に使い、土台を築きました。

しかし、覚悟とは裏腹にお恥ずかしながら貯金はなかった中でのスタートだったので、資格を取ったり、持ち出しの分も含めて、100万くらい親に頼み込んで借り、やりくりをしました。
1年で絶対返すという約束付きで。
その年はどうしても行かなければならない飲み会などを除いては、そのような場所にも顔を出せませんでした。お金がなかったので(笑)。
そして、11ヶ月目で借りている額もすべて返しました。

覚悟を持って、本気で取り組んでいたからか、いつしか応援してくださる方も増えてきて・・・
本の出版もがむしゃらに行動をしていく中で生まれたご縁ではありますが、そこにはその仕事を紹介してくだった方がいて、仕事は本当に人が作っていくものなんだなあと、今改めて思います。
周囲の方は成果物で自分のことを判断することが多いですが、その裏でこの1年間は特に、本当に泥臭いことだらけでしたし、悔しくて泣いたりというのもしょっちゅうでした。


高橋善郎先生3

「これからも、料理の楽しさを伝えていける料理研究家であり続けたい」


――真剣に頑張っている方は応援したくなりますよね!
これまで活動してきたなかで、料理教室主宰者として、また、料理研究家として、大切だと思うことはどんなことでしょうか。

高橋さん 料理教室、セミナーやイベントなど共通していますが、お越しいただいた方々に「楽しんでもらいたい、喜んでもらいたい」という気持ちをもつことだと思います。

さきほど述べたようにお金がない時期はありましたが、我慢するのは自分に関することで、教室やイベントなどでお金がかかっても、自分の利益が少なくなったとしても、とにかくこの気持ちだけは大切です。
「これくらいでいいや」とか思った時点で絶対に見透かされます。生徒のみなさま、お客様はお金を払ってきているのでそういったところはすごくシビアです。

逆に、設定した金額以上の満足感や講師としてのクオリティが出せれば、ポジティブな意味で伝染していくものだと思います。
価格の3倍以上の満足感をお持ち帰りいただきたいという気持ちで活動しています。
私は「楽しんでもらいたい、喜んでもらいたい」という想いが根底にあるので、それをぶらさず現在も活動しています。しかし、人によってはその想いは異なると思いますので、根底の想いだけはぶらさずに続けて行くことが必要なのではないでしょうか。

あとは、こちらも重複していまいますが、常に勉強して向上していこうという姿勢、妥協しない姿勢はフリーランスでやっていくうえではとても大切だと思います。
その中で柔軟性を兼ね備えているのが、バランスとしてはいいですよね。
まだまだ私も勉強中です。

――最後に、お教室の展望とこれからの夢を教えてください。

高橋さん 教室は回数を増やすまでは行かずとも、少人数で長く、続けて行きたいと思っています。なにもしばりがない状態で自分の好きな料理を表現できるので、私にとって料理教室はとても大切な空間です。
ただ、料理教室だけだと伝えていく幅に限界があるので、企業様と合同でイベントやセミナーを企画したり、様々な媒体でレシピや料理の楽しさを伝えていきたいです。その結果、ご自宅、ご家庭で楽しく料理する人が増えてくれれば嬉しい限りです。

技術だけを先に学びたがる方もいますが、本当の食のすばらしさや料理のおもしろさみたいなものは、楽しみの先に見えてくるものじゃないかなと思います。
老若男女、キッチンに立つ人が増えて、そこから笑顔が生まれればものすごいハッピーじゃないですか。

個人の夢としては、マルチに料理の楽しさを伝えていける料理研究家であり続けたいです。また、海外で和食の店をプロデュースする、海外で料理のデモを行うなど、日本の素晴らしい食文化をより世界の人に伝えていく仕事もしていきたいです。
30歳までに。あと3年ですね。

――きっと叶いそうですね!

高橋さん 絶対叶えます!

――これからも一層のご活躍が楽しみです。今日はありがとうございました!

高橋さん 頑張ります!こちらこそありがとうございました!


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爽やかな笑顔の中にも真剣にこの仕事に取り組む決意と、料理の楽しさを伝えていきたいという熱い情熱を感じました。これからもそれぞれのステージで料理を作る楽しみを発信していかれるご活動が楽しみです。

料理を作る楽しみに出会うことができるアットホームな「日本一魚をさばける和食料理教室」、ぜひ参加してみてください。

インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=原田圭介



プロフィール

高橋善郎さん

高橋善郎さん
料理研究家
1988年7月14日 神奈川県川崎市出身

和食料理人の父の影響で、幼少期から実家の店舗で料理の基礎を学ぶ。
大学卒業後、大手食品メーカー、IT会社に勤務しながら本格的に料理の勉強を始め、調理師免許、きき酒師、ソムリエ、野菜ソムリエなど食に関する資格を取得。
日本酒ソムリエの上位資格である、日本酒学講師においては史上最年少で合格。
祐成陽子クッキングアートセミナーを卒業後、独立。
素材の持ち味を活かした和食をベースに、エスニックからイタリアン、オーガニックと幅広いジャンルを得意としている。

和食専門料理教室 / 日本一魚がさばける料理教室「Family」主宰。
和食の基本である、だしの取り方、だしを使い素材の味を活かした料理の作り方、魚のさばき方等を中心にレクチャー。

【保有資格】
日本酒学講師 (最年少保有)/ 利酒師(ききさけし) / ソムリエ / ビアアドバイザー / ジュニア野菜ソムリエ / ジュニアアスリートフードマイスター / 調理師免許 / 食品衛生責任者 / おさかなマイスター

サロン情報

「Family」

◇想い・教室の流れ◇
手作りのあたたかさ、味をきちんと伝えたくて、お肉、お魚、お野菜などの素材と真面目に向き合っています。

初めに料理教室の開催趣旨・その日のメニューについて説明させていただいた後、和食(日本料理)の基本である「出汁(だし)」についてレクチャーします。
ひきたての「出汁(だし)」の香りと味をその場で味わっていただき、「出汁(だし)」の活用法、保存方法等をご紹介します。
「出汁(だし)」を使ったお料理・その日に作るお料理のデモンストレーションをさせていただいた後、生徒のみなさまに実際に調理していただきます。
特に「魚」をさばく時間については多めに確保しております。
魚の構造を理解していただき、お一人さまにつき、約10尾前後、徹底的にさばいていただきます。
月によって若干の変動はありますが、トータルで4?6品を作り、最後にみなさまに召し上がっていただきます。
料理教室で実践していただいたことを、ご家庭ですぐに再現してみたくなるような、楽しい時間と充実した内容を目指しています。


ジャンル:

家庭料理、日本料理、健康食、日本酒

サロン特長:

初心者歓迎、土日開催、子連れOK、男性参加OK、少人数制(6人以下)、予約制、駅近(徒歩10分以内)、お酒の提供あり

所在地:

東京都世田谷区経堂

ホームページ、ブログ:

http://ameblo.jp/my-recipe365/

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レシピ

炒りおから
炒りおから

材料
(3~4人分)
・おから 約200g
・長ねぎ 1本
・ごぼう 1/4本
・にんじん 1/4本
・こんにゃく 1/2~1/4枚
・煮付けしいたけ 50g
・油 大さじ6

【A】
・だし 1カップ
・しょうゆ 大さじ3
・みりん 大さじ3
・砂糖 大さじ1と1/2

作り方
  1. 【下準備】長ネギは輪切りにし、にんじん、ごぼうは小さめの短冊切りのしておき、ごぼうはアク抜きをしておく。 沸騰したお湯にこんにゃくを入れ、4~5分煮たらザルにあげる。あら熱が取れたら、にんじん、ごぼうと同じ大きさにカットしておく。
  2. 大きめの鍋を温め、油をしく。にんじん、ごぼう、こんにゃく、煮付けしいたけを入れ、約2~3分、にんじんが程よい固さになるまで中火で炒める。 おから、Aを加え、よくかき混ぜながら、水分が少なくなるまで弱火~中火で炒める。
  3. 長ねぎを加え、さっくりと混ぜ合わせたら火を止め、皿に移す。

<ポイント>
煮付けしいたけは市販で売っているものを使用するか、なければ、生しいたけを酒、みりん、しょうゆで甘辛く煮詰めたものを使用してください。