きっかけは、お隣のおうちでいただいた手作りのイギリス菓子

「洋菓子教室The British Pudding」主宰 砂古玉緒さん

インタビュー連載 第3回

今月のサロネーゼは、大阪・住之江で「英国菓子・欧洋菓子教室The British Puddin(ブリティッシュ プディング)」を主宰する砂古玉緒さん。 イギリスの伝統菓子、地方菓子、宗教の菓子などを日本の材料で美味しく作れるレッスンは、他では学べない魅力が満載で遠方から通う生徒さんも多数です。 満席が続くレッスンのほか、現在放映中のNHK朝の連続テレビ小説「マッサン」スコットランド料理・菓子の製作指導やレシピ本出版など、教室をベースに幅広くご活躍中です。 今回は、お菓子の歴史や由来なども学べる「英国菓子紀行クラス」の楽しいレッスンの模様と砂古さんのインタビューを4回にわたりご紹介します。 第3回目はお教室情報やお教室開講のきっかけを伺ったインタビュー前半です。

掲載日:2014/12/8(月)

砂古玉緒さん

砂古玉緒さん

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まずはお菓子の持つストーリーから


――盛りだくさんのレッスンで楽しかったです!まずはお教室の開催情報から教えてください。

砂古さん 現在は、基本的な英国菓子クラスと英国紀行クラスの2コースがあり、いずれも毎回2種類のお菓子を作ります。
英国菓子クラスは、スコーンやビクトリア・サンドイッチ・ケーキなどベーシックなイギリス菓子を学ぶ全12回のクラスです。期限はなく、全12回終了しましたら修了証をお渡ししています。
英国紀行クラスは、地方の菓子や伝統菓子、宗教菓子など珍しいものを作り、エンドレスです。こちらは全部単発レッスンですので、お好きなメニュー、ご都合のよい日程にお越しいただいています。

どちらも6~8名の少人数制で、両方通っている生徒さんもたくさんいらっしゃいます。

――今日はクリスマスがテーマの英国紀行クラスでしたが、冒頭にプロジェクターを使って資料を上映しながら説明される時間があるのが印象的でした。

砂古さん 毎回まず最初に、今日作るお菓子の歴史や由来をご紹介し、製法も見てもらってから実習をしています。
ご紹介する写真は私がイギリスで撮影したものも多く、実際に見てきたもの、学んできたことをそのまま生徒さんに伝えたいと思っています。

英国クラスのほうでもスライドを見ていただいて、お菓子にまつわる話を聞いていただいてから、さぁ作ろう!という流れです。


砂古玉緒先生1

本場のイギリス菓子の美味しさを日本の材料で再現するレシピを研究


――最初にお菓子の持つストーリーから学べるのはとても魅力的ですね。
次にお教室のコンセプトを教えてください。


砂古さん 本場イギリスの地方菓子、伝統菓子、宗教菓子などを、日本の材料で作れるようにご紹介しています。

日本で広まっているお菓子はフランス菓子が多いですよね。でもイギリスにもおいしいお菓子がたくさんあります。日本では、ふんわり軽い、もっちり、といった食感が好まれますが、あえて日本人の好みに合わせたことはせず、イギリスの味をそのままお伝えしたいと思っています。

――きっと手に入りにくい材料もあるでしょうから、レシピ開発は苦労されたのでは。

砂古さん はい、例えば今日であればイギリスの牛脂など入手が難しいですが、バターを使うなど、研究を重ねて代用できるものを探してレシピを考えています。
レッスンでは、代用でこれを使いますが、本場ではこうしたものを使います、ということを必ず伝えるようにしています。

――お菓子も食文化のひとつですよね。その背景やイギリスでどのように食べられているかも学べるのは貴重だと思います。


ますますイギリス好きになる生徒さん続出


――どんな生徒さんが多いですか?

砂古さん 当初はイギリス好きな方が多かったですが、最近は私の著書「お茶の時間のイギリス菓子」「ビスケットとスコーン」などを見て、このお菓子を作ってみたいから申し込みました、という
“お菓子を作ることが好きな方”が増えました。紅茶やパン、お菓子教室の先生も多いです。

また、現在放映中のNHK朝の連続テレビ小説「マッサン」のスコットランド料理・菓子の製作指導をしているのですが、テレビで見たあのお菓子を作ってみたいという方もいらしてくださるようになり、幅広い生徒さんに通っていただいています。

元々イギリスに関心が高い方が多いですが、ここに通い始めてますますイギリスにはまってしまう方が増えています(笑)


砂古玉緒先生2

「料理やお菓子の古書を読み、研究するのが何より好き」。豊富な知識は生徒さんを魅了します


――わかります。砂古さんのお話をうかがっていると楽しくて、もっと知りたい!と思ってしまいます。

砂古さん 6月に10日間、教室主催でイギリス菓子をめぐるツアーを行ったのですが、参加した皆さんはますますイギリス好きになったようです。
地方菓子を巡る旅で、例えばビクトリア・サドイッチ・ケーキなら、ビクトリア女王が愛したワイト島まで行ったりしました。

あと、アンティークもテーマだったのですが、こうしたショートブレッドの型も皆さんとても興味深かったようです。
ショートブレッドはスコットランドが発祥で、いろいろな型があり私もいくつか持っていますが、元々は太陽の形だったそうで、ここにショートブレッドの生地をいれて抜いて焼いていたそうです。

こちらはスコットランドの国花のアザミの型ですが、この型に生地を入れて押し、天板に抜いて焼いていたのがトラディショナルなものになります。

また昔は、一般家庭でも、毎日生産される生乳を、バターに加工しマーケットで売り現金収入を得たりしていました。その時に我が家のバターがわかるよう印をつけており、それがこのバターマーカーで、こちらもアザミです。このように、アンティークも毎日の暮らしに欠かせない日常の道具だったものが多いのです。

こちらはイングランドの国花のバラの花の菓子型です。
このような菓子道具も小さな村のアンティーク屋さんに売っているんですよね。それも、500円、1,000円と安いんです。みんなで買って、すっかりはまって日本に帰ってきました。帰国後もネットで探したり。楽しい世界の発見です。

――面白いですね。

砂古さん 例えばスコットランドは厳冬地なので元々葉物野菜は少ないんですね。古い料理本を読むと、根菜類が中心なのです。
お菓子も料理も、その土地の自然環境や歴史を現しているので、知れば知るほど面白いです。
そんな魅力をたくさん伝えていきたいと思っています。

――お話伺っていると情景が浮かびます。私もはまりそうです(笑)


イギリス菓子の魅力を伝えたい


――お教室をはじめたきっかけを教えてください。

砂古さん 夫の駐在に帯同してイギリスに行ったのですが、あるときとなりの奥さんがお茶にどうぞと誘ってくださりお手製のイギリスの焼き菓子をいただいたところ、それがとてもおいしくてとりこになってしまったのです。
それからご近所の奥さんやおばあちゃん達に教えてもらって、どんどんイギリスのお菓子作りが好きになっていきました。

一回目の在英は3年で日本に戻ってきたのですが、お菓子をもっと学びたいと思い製菓学校に通い、そしてお教室を始めました。

でも軌道にのった、と思ったらまたイギリスに転勤。
たまたま以前と同じところに戻ったのですが、そこでお菓子作りを教えて、と言われるようになり、イギリスでも教室をはじめました。イギリスの教室は7年しました。

そしてまた帰国することになり、大阪に戻ってきて今月で丸2年になります。帰国して半年後に(この)教室を再開し、1年半になります。イギリスには計10年住みました。

――そうだったのですね。

砂古さん 教室を初めてスタートさせたときは、2階の家族のキッチンで開催していた為、家族にも負担をかけてしまうことが多かったんです。レッスンのある前日にはにおいが残るカレーや焼き魚はできなかったですし・・。
帰国後、1階を教室専用とすることにし、再開しました。


砂古玉緒先生3

レシピ本も大人気。本をきっかけにイギリス菓子に関心を持つ人も増えています


――なるほど、そうした気配りが必要になりますね。
ところで、もう数冊レシピ本を出版されていますが、帰国してすぐ出版されたのでしょうか。


砂古さん 本は、イギリスにいる時に進んでいましたが急遽帰国となり大阪で続けて作業をしました。本は、イギリスの菓子・料理を多くの皆様に知っていただくのに、とても良いものだと思っています。

――ご活躍の場がどんどん広がりますね。お教室を再開してみていかがでした?

砂古さん 良かったな、と思います。多くの素敵な方々と知り合えて、教室を中心にたくさんのご縁が広がることが何より嬉しいです。

お教室を長年されている先生にお会いすることがありますが、ずっと続けている先生はキラキラされていますよね。私もずっと教室を続けて、先輩方のように年齢を重ねたいと思います。


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お菓子や料理に関する古書を読み、歴史や配合を研究するのが何より好きという砂古さん。
積極的に歴史や由来を伝えることで、お菓子作りの楽しみを広げていらっしゃいます。

次回最終回は、砂古さんのお教室運営のこだわりやこれからの夢をうかがったインタビュー後半です。どうぞお楽しみに!

インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=伊藤裕司



プロフィール

砂古玉緒さん

砂古玉緒さん
洋菓子研究家。製菓衛生師。
在英10年の間に、イギリス・ヨーロッパの菓子・料理を学ぶ。
2004年より大阪にて教室(トロワ・フィーユ)を主宰。英国に転勤後も教室を続ける。
再び大阪へ帰国後、2013年に洋菓子教室を再開。

UK Food Safety Hygiene Certificate取得
UK Tea Council Tea Masterclass 修了
Bettys Cookery School Certificate取得
在英中、Bracknell Cooking coursesにてイギリス菓子、その他でシュガークラフト、紅茶を学ぶ。

ロンドン、東京、大阪にて、洋菓子セミナーを開催。企業へのレシピ提供等、幅広く活動。

略歴
1996 イギリスへ駐在 イギリスの伝統菓子に魅せられる
1999 帰国
2000 京都製菓専門学校 入学 製菓を学ぶ
2001 国家資格 製菓衛生師 免許取得
2002 洋菓子店勤務
2004 洋菓子教室(トロワ・フィーユ)開講。イギリスの伝統菓子、欧州菓子を教える。
2006 再びイギリス駐在。イギリスの自宅にて洋菓子教室を再スタート。
2007~2011 毎年3月、一時帰国時には大阪自宅にてイギリス菓子教室開催。
2012.12 帰国
2013.3 新たに洋菓子教室再開。The British Puddingスタート。

日本の材料を使って、ご家庭で美味しく簡単に作れるようご指導いたします。

サロン情報

「洋菓子教室The British Pudding」

洋菓子研究家 砂古玉緒の 教室「The British Pudding」 へようこそ。
英国菓子クラスと欧州のお菓子のクラスをもつ自宅教室です。日本の材料を使ってご家庭でやさしく美味しく作ることができるようご指導いたします。
ロンドンの正統派アフタヌーンティの流行菓子から、田舎のティールームの素朴な焼き菓子まで、日本でまだあまり知られていない英国菓子を楽しく作って食べて!楽しみます。
さらにそのお菓子にあうテーブルセッティングもご提案。英国のティールームの雰囲気をそのままに、アンティークや普段の食器を使って。楽しいお菓子の魅力をトータルで学んで頂けます。
また欧州の菓子のクラスでは、季節感あふれるメニューを製作。各国の文化とお菓子に触れつつ、ケーキ店に並ぶようなお菓子を作ります。家庭で作る洋菓子をワンランクアップさせましょう。
初心者から上級者の方まで、皆様にご満足頂けるレッスンとなるよう心がけております。
まずはお好きなクラスに体験レッスンでご参加下さい。
お待ちしています。


ジャンル:

洋菓子、おもてなし、紅茶、テーブルコーディネート

サロン特長:

初心者歓迎、平日開催、土日開催、お友達同士歓迎、少人数制(6人以下)、体験教室あり、予約制、駐車場あり、各種イベントあり、駅近(徒歩10分以内)

所在地:

大阪府大阪市住之江区西住之江

ホームページ、ブログ:

http://www.britishpudding.com/

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書籍

「お茶の時間のイギリス菓子」 砂古玉緒(世界文化社)

お茶の時間のイギリス菓子

イギリスの菓子レシピと共に、コラムがたっぷりの1冊です。

著者 砂古玉緒
出版社 世界文化社

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書籍

「イギリスのお菓子教室ビスケットとスコーン」 砂古玉緒(講談社)

イギリスのお菓子教室ビスケットとスコーン

イギリスの焼き菓子レシピ集。焼きたてお菓子で素敵なティータイムをして下さい。

著者 砂古玉緒
出版社 講談社

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書籍

「ENGLANDティールームさんぽ」 砂古玉緒(双葉社)

ENGLANDティールームさんぽ

ロンドン、コッツウォルズのティールームをぎっしり1冊ご紹介。アフタヌーンティ、クリームティーのためのガイド本です。

著者 砂古玉緒
出版社 双葉社

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