家庭料理の良さを広めたい

栗田 登志子さん

栗田 登志子さん

インタビュー連載 第1回

今月のサロネーゼは、神戸市内で2つの『栗田クッキングサロン』を主宰する栗田登志子さん。家庭料理、日本料理、パン・スイーツなど多彩なレッスンで教えるレシピは、自宅でも確実に作れると、超初心者の方から本格的にお料理を学びたい方まで幅広い層の生徒さんに支持されています。4週に渡り、オープンしてもう12年という人気教室の模様とインタビューをご紹介します。

掲載日:2011/4/4(月)

神戸市東灘区。JR住吉駅、そして阪急・阪神御影駅の3路線の駅からそれぞれ徒歩10分以内という便利の良い人気の街に、2つの『栗田クッキングサロン』はあります。
ひとつは、栗田さんが講師を務めるレッスンが開催される『キュイジーヌサロン』。もうひとつは、そこから徒歩2~3分の場所にある、主にお料理ビギナーの方を対象にしたレッスンが開催される『アミューズサロン』。こちらは栗田さんの元で講師資格を取った山中裕紀さんが講師です。

この日お邪魔したのは栗田さんのご自宅でもある『キュイジーヌサロン』。
教室の案内ボードがかかった玄関をワクワクしながら開けると、栗田さんが颯爽と迎えてくださいました。
 

『栗田クッキングサロン』のご紹介

レッスンが行われるリビングダイニングは、大きな窓から燦々と陽が差し込む明るい空間。窓の外の広いウッドデッキバルコニーには季節の花が咲き、その先の視界いっぱいの青空にほっと開放感が広がります。

教室見取り図


テーブルには生徒さん用のレシピ、そしてダイニングテーブルに接する料理台には食材や調味料が整然と用意されていました。

『栗田クッキングサロン』では、家庭料理、日本料理、パン・お菓子、ビギナー向けの単発レッスンやコースの他、講師資格(資格取得)コースや魚を捌く日本料理特別コース、さらには、キッズコースや、不定期でお持ち帰り(保存食作り)、リクエストコースなど多種多様なレッスンを展開しています。

1回の定員は2~5名の少人数制。基本的に実習式で、ひと月ごとにメニューが変わり、お好みのコース・ご都合の良い日を自由に選んでいただけるシステムです。


 

それにしても、レッスンの多様さに加え、これらのレシピ開発も栗田さんひとりで手掛けていること、そしてほぼ毎日レッスンを開催していて、多い時は1日2レッスンのこともあると聞き、驚きます。

加えて、栗田さんは3人のお子さんのママ!

家事、子育て、レシピ開発、試作、教室の準備、生徒さんとのやりとり、食材の仕入れ、ほぼ毎日のレッスン開催・・・想像しただけで目がまわりそうですが、栗田さんはいたって自然体。

「元々、料理とおもてなしが大好きなんです!」

と、笑顔で次々に残りの準備をこなしていかれます。

用意が整い、いよいよ生徒さんの到着を待つだけとなりました。

しっかりたっぷり予備知識も伝授

今日のレッスンは、「日本料理特別コース」。毎月の日本料理コースの内容に加え、卸売り市場からその日仕入れた新鮮な魚をお一人一匹捌き、調理します。
その後、お食事は和室でコース仕立てで召し上がって頂ける、ちょっと贅沢な内容。盛り付け方や和食のマナーも学べるのも魅力です。

開始時間が近づき、続々と生徒さんがいらっしゃいました。
今日の生徒さんは4名。通い始めて半年の方、4年以上通う方、主婦の方、自営業の方など様々ですが、みなさんとても楽しそう!開始までおしゃべりが弾みます。

「それでは今日のレシピの説明をはじめますね」

レッスン風景

 

まずは約30分かけて、食材とレシピの丁寧な説明からスタートです。
今日学ぶのは、春野菜のいちご酢ジュレ、磯豆腐 清汁仕立て、和キッシュ、鯛の笹巻き塩釜、鯛の桜蒸し、鯛のしぐれ飯、桜長芋、手作りおはぎの8品。先付け、お椀、中皿、焼きもの・・と、懐石料理の仕立てになっています。
今日捌くのはどうやら鯛ですね、期待が高まります。

「菜の花の茹がき方ですが、結構軸は太いけど、意外と早く茹がけるんですね。軸と花を分けてから別々に洗って、お塩を多めと、耳かき一杯のタンサン入れてたっぷりのお湯で茹がきます。塩は色をキレイにするためではなくて、余分な水分を出して甘みを引き出すためなんです。タンサンは灰汁抜きですね。そして・・」

「道明寺粉ってご存知ですか?あ、ご存じないです?桜餅とか和菓子、蒸しものなんかによく使います。もち米を水に浸してから蒸して、乾燥させて砕いたものですが、蒸してあるので、簡単に使えて便利なんですよ。細かめの物を使ってくださいね。これを今日は・・」

「食紅は冷たい水で溶くときれいな色が出ないんで、必ず沸かしたところにいれて、色を見ながらやってください」

  

  栗田さんの説明はとても丁寧。一つの食材でも、扱い方、下ごしらえのコツ、保存方法、応用の仕方、見分け方など、必要に応じてどんどん予備知識を提供していかれ、メモが追いつかないほど!

説明をしながら、手際よく昆布とかつおで出汁を引いていらっしゃる段取りの良さもお見事です。

マイ包丁で料理がもっと楽しくなる

「では、手を洗ってはじめましょうー!」

いよいよ実習のスタートです。
すると生徒さん達が、それぞれ持参したマイ包丁をまな板に。中には、包丁にお名前が彫ってある方もいらっしゃいます。

「このコースだけ、みなさん包丁を持参されますね。知り合いに包丁を扱っている方が居て、良いものを安く入手できるので教室でご希望の方にはお分けしてるんです」

包丁の使い心地を生徒さんに伺うと、使いやすくてとても気に入っているとのこと。質の良いマイ包丁を用意することで、料理への向上心もより高まったそうです。

レッスン風景

「あ、あとで包丁磨こうか。ちょっと切れにくいんじゃない?」

さりげなく生徒さんの包丁の状態もチェック。
ご希望あれば、レッスン終了後に包丁研ぎの講習もされるそう。料理を支える道具を大切にすることもしっかり伝えていらっしゃいます。
 

手間をかけるところはかける、省くところは省く

「ではキッシュから作りましょう。今日はマルグリット型を使いますが、お家にキッシュの型が無い方は深めのお皿でも大丈夫。この前『カレー皿で作りました!』と言う方もいらっしゃいました(笑)。グラタン皿でもいいかも。ただ、タルト型は、具を入れるとアパレイユが入らなくなるかもしれないですね」

家にこれがないからできない、ではなくて、何でも構わないので代用できるものを探して挑戦してほしい、という栗田さん。生徒さんも大きくうなずきます。

「今日は生地に黒ゴマを入れますね。手を汚さないように、ポリ袋を使って作ります。作りやすいうえ洗いものも減りますし、便利なんですよ」
 


  レッスン風景

栗田さんの願いは、家庭料理の良さをもっと広げること。そのために、料理を好きになってもらうこと、そして楽しんでもらうことを大切にしています。
毎日の食事作りは労力のいることですが、ちょっとの知恵と工夫で面倒ではなくなります。そのために、手を汚さない、洗い物を少なくするなど、掛けなくてよい手間を省く工夫がいっぱい。

手をかけるところはしっかりかけ、省けるところはなるべく省く。
栗田さんが多忙な主婦でもあるからこそ編み出された、効率よくお料理を仕上げるコツを学べるのも、12年間も多くの生徒さんが通い続ける魅力なのかもしれません。

和気あいあいと笑い声が響く和やかな雰囲気の中、レッスンは続きます。

次回へつづく
 


インタビュー・テキスト=窪田みゆき
写真=伊藤裕司
 

 

プロフィール

栗田 登志子さん

栗田 登志子(くりた としこ)さん

『栗田クッキングサロン』主宰

1964年生まれ 武庫川女子短期大学英文科卒業。
その頃から本格的に『フランス家庭料理』『家庭でできる中華料理』『パン専科』など習い始め、『基礎料理及び懐石料理』を3年間に亘り習得。その後助手を務めながら知識をより深める。
女子栄養大学 専門料理過程を終了し、1999年「栗田料理教室」開設。現在は「栗田クッキングサロン」として教室を主宰。現生徒数 約200名。
2010年より携帯電話(docomo、au、softbank)公式サイト 会員制『ケータイ料理教室』のレシピ、動画制作及び監修。現在会員数約5000名
教員認定師範1級  食育インストラクター 1級 フルーツ & ベジタブルJ.マイスター 西日本料理学校協会会員校


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レシピ

鯛の桜蒸し

鯛の桜蒸し
材料

鯛切り身・・・適宜

【A】
道明寺粉・・・50g
出し汁・・・50cc
塩・・・小1/8
砂糖・・・小1
食紅・・・少々

【銀あん】
出し汁・・・200cc
みりん・・・小1
うすくち醤油・・・小1
塩・・・小1/8
くず粉・・・10g

桜葉塩漬け・・・5枚
桜花塩漬け・・・適宜

作り方
  • 鯛は両面に薄く塩をし、ペーパーにくるんでしばらく置き、真ん中に切り込みを入れておく。
  • 道明寺粉は【A】を合わせた出し汁に水分が無くなるまで漬けておく。
  • 鯛で【A】の道明寺をはさむ様にし、さっと洗った桜葉で巻いて、蒸気の立った蒸し器で10分蒸す。
  • 【銀あん】の材料をすべてお鍋に合わせて、くず粉をよく溶き、混ぜながら火にかけて煮立ててから火を止める。
  • 桜蒸しを器に盛り、銀あんをかけて塩抜きした桜花をのせる。

レシピ

しぐれ飯

しぐれ飯
材料

鯛刺身・・・1さく

【A】
練り胡麻・・・20g
たまり醤油・・・大1
濃口醤油・・・小1
砂糖・・・小1/2
すり胡麻・・・大1
わさび・・・8g

【B】
つくね芋(大和芋でもOK)・・・150g
だし・・・70cc
みりん・・・小2
薄口醤油・・・小1

ご飯、うずら卵、青海苔、海苔・・・適宜

作り方
  • 鯛刺身は薄造りにし、【A】を合わせたたれに15分程つける
  • つくね芋(大和芋)は皮をむいて水につけてあくを抜く
  • つくね芋(大和芋)をすりおろして【B】と合わせる
  • ご飯に【B】のとろろをかけ、刺身を並べる。
  • さらに、青海苔を振ってうずら卵をのせ、海苔を色紙に切って散らす。