料理を通じて楽しい生活を提案したい

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平島陽子(ひらしま ようこ)さん

インタビュー 連載第3回

大好きだったお菓子づくりを「教えて」と頼まれ、特別な気負いもなくはじめられたお教室。「20年ぐらい続いているかしら?」とさらりと笑う平島陽子さんの「La vie delicieuse Yoko’s Cooking Class」にお邪魔し、平島さんが伝えたい「おいしい生活」のアイデアを見て、うかがってまいりました。

掲載日: 2010/03/29(月)

 福岡の市街地から車で20分ほどの閑静な住宅街に、今月のサロネーゼ平島陽子さんが主宰する「La vie delicieuse Yoko’s Cooking Class」のご自宅サロンはあります。

●かんたんなお菓子教室からのスタート

_SSP8649.jpg――今やられているお仕事は、ご自宅サロンでのレッスンと、お料理関係のイベントが中心ですか。

平島 そうですね。自宅でのレッスンは月末月初を除く、2、3、4週めはほぼ毎日入っていますから、この間は他のことはあまりできませんね。せめて土日は休もうと思っていますが、ついつい生徒さんの予約を優先してしまいます(笑)。

――月の1週めはレッスン以外のお仕事の時間として取られている?

平島 西部ガスさんのお料理教室をご依頼いただいたり、月ごとにお教室のレシピもコーディネートも全部変えますので、その準備をしたりです。
 ちなみに12月のテーマはクリスマスで、1月のテーブルは節分をテーマにしました。
 レシピは和と洋が半々ぐらい。あとは中華と韓国料理があいだに少し入ります。コーディネートも料理に合わせて考えて、実は、ダイニングの窓枠は着脱できる障子をはめ込んで和の空間に演出することができるので、部屋中、家中(ウッドテラスの小物まで)を、月々のテーマに合わせて変身させてしまいます。
 演出をいろいろ考えるのが大好きなんです。

――障子までとはびっくりです。お料理教室をはじめられた経緯をうかがえますか?

平島 子どもが小さい頃から、かんたんなお菓子の教室をやっていました。
 最初のきっかけは、子どもが幼稚園に行きはじめたときに知り合ったお母さんに、手づくりのお菓子をさしあげたことがあって、その方が幼稚園の役員をされていて、「サークルでお菓子づくりを教えてもらえないかしら?」と声をかけてくださったことでした。

 以来、小規模ながらもお菓子の教室をはじめたのですが、お菓子づくりって待ち時間が多いじゃないですか。それから絵付けの教室もやっていたのですが、それも1日仕事になる。長い時間、ただお待たせしているのは悪いなと思って、ランチをつくってお出ししていたのが、今の教室のスタイルのスタートでした。

 おいしいお料理のデリバリーがあればそれでもよかったんです(笑)。でも、なかったから自分で料理をつくるようになった、っていう。ちょっと変わっていますか?

――はい、少し(笑)。

平島 うふふ。いつも考えてしまうのが、「自分だったらどうしてもらいたいか?」ということなんですね。
 それに、来ていただく以上は「来てよかった」「楽しかった」と思って帰っていただきたい。それで、いろいろサービスを考えているうちに今の形になったんです。このスタイルになってもう10年ぐらいかしら。

●さまざまな出会いに恵まれて

_SSP8578.jpg――お教室をはじめるにあたり、ご自分でも教室に通われましたか?

平島 最初は自己流です。お菓子は本当に好きだったので、本を読みつつ研究をしながら。でも、やってみるとわからないことが出てきて、それで一時期、教室に通ったことがありました。

 自己流でやっていると、「ここはどうするのかな?」という疑問がわいたときに質問する相手がいないんです。今ならインターネットでもなんでも、情報がたくさんありますけれど、当時はそうではありませんでしたから。

 そんなとき、あるホテルの和・洋・中・製菓と専門分野ごとのシェフが週代わりで調理を教えてくれるサークルがあり、そこに通うことに。「誰かに聞きたい!」というときにシェフなら聞けると思って。そこで2年くらい勉強しました。

 ずっとやっていたお菓子は、やはり「あなた何かやってたでしょ」とシェフに気づかれました(笑)。特別に個人レッスンをお願いしたりしながら、わからなかったところを教えてもらえました。とても貴重な機会でしたね。

――なかなか得がたい経験です。

平島 いい出会いに恵まれているなと、自分でも思います。

 今もやらせていただいている西部ガスさんのお料理教室のお仕事も、たまたまお手伝いしたイベントの関係者の方から「やってみない?」と声をかけていただいてはじまりました。
 当時は普通の主婦でしたから少し尻込みしたのですが、幼稚園のサークルでやったお菓子教室の経験があったので、「20人ぐらいならなんとかできると思います」とお引き受けして以来のご縁ですし。

 たまたまお話をいただいて、タイミングよくお引き受けすることができて、またご縁がつながって…という、流れに乗ってお仕事ができているのはありがたいことだと思います。

――まず強い興味があって、「なんで?」「これはどうやるの?」という行動でポン!と動くと、そこにルートができていく、というパターンが多くていらっしゃる。

平島 好奇心は強いほうだと思います。それから本当にいい出会いに恵まれています。

●好きなことは独学ではじめてみる

_SSP8592.jpg――食べることも料理をつくることも小さい頃からお好きだった?

平島 そうですね。食べることも大好き! こう見えて大食いで、特にデザートは「お好みで」と言われると「全部いただきます!」と言ってしまいます(笑)。

 つくるほうは、亡くなった母が料理好きで、その影響で私も料理に興味をもったみたいです。小学校に上がったころから自分の食べたいものを勝手につくって食べていたりして。
 新しいオーブントースターで「何かつくってみたい!」と、運動会で友だちにあげるためにカップケーキを何個もつくったり。

 中学高校時代、父が転勤して、私は学校の関係で祖父母の家で暮らしたのですが、祖母がつくるのは和食ばかりだったので、遊びに来る従兄弟のために本をみながら洋食をつくることもありました。

 料理はですから、習ったというか本を読んで独学しました。今も季刊で出ていますが、『四季の味』などを愛読していました。でもあの雑誌はレシピがあまり詳しくないので、あれこれ試行錯誤しながらやっていましたね。

 あの当時、今ぐらい情報があったらどんなによかっただろうと思います(笑)。

――今は料理の情報がたくさんありますからね。

平島 私がはじめた当時は、今と比べると「お教室をやろう」とする方も少ない時代でした。私が「行ってみたい」と思っていた桧山タミ先生のように、江上トミさんのお弟子さんからお料理教室をスタートさせるようなルートの方が多かったですね。

 村上祥子さんも私にとっては刺激的な方です。料理ももちろんですが、生き方や暮らし方が好きで。村上先生の教室にうかがうと元気になれました。

 桧山先生も村上先生も「料理研究家」でいらっしゃいますが、私は雰囲気づくりをして、人をお招きして、楽しくおしゃべりしながら食事をする、ということが好きでそういうスタイルの教室をしたいと思っているので、いまだに料理を教えているという感覚では実はありません。
 料理教室というより、料理を通じて楽しく美しい生活のアイデアを提案し、遊び心をもって暮らしていただけるようにお手伝いをしたいんです。

 料理も、教室をスタートした当時から、野菜が入って、肉が入って…食材のバランスが取れていれば、栄養的にもだいたい問題ないだろう!ぐらいのおおらかな感じでしたし、今もその感覚はあまり変わりません(笑)。

――なるほど。

平島 テーブルコーディネートも好きですが、これも独学。あくまで料理を引き立たせるテーブルでなければと思うので、お花を置くときれいに見えるのがわかっていても、料理の邪魔になるなら置きませんし。

 テーブルコーディネーターの友人がいるので、「習ったほうがいい?」と相談してみたのですが、「習わなくていいよ、もうできてるから」と言われましたし、このままでいいかな?って(笑)。

 お皿やグラス、カトラリーを置く位置にもルールがあるということは知っています。でも、食事をするためにテーブルの上のものをあれこれ置くと、自然と食べやすい位置になって、それが正式なルールにも当てはまってしまうものなんです。
 ルールを知らなくても、「食べやすいように」と考えれば正しい位置になるということなんですね。

●大学時代は「好きな道」を見つける時間

_SSP8990.jpg――テーブルコーディネートやペーパーアイテムにも凝っていらっしゃる平島さんですが、大学ではデザイン系の勉強をされていたのでしょうか。

平島 いえ、法学部なんです(笑)。
 もともと手仕事が好きでしたから、今振り返ると、大学進学とは別の進路を考えてもよかったのかなと思ったりしますが。

――でも現在、ご自分のお教室をもたれて、これだけ長い期間、生徒さんを集めていらっしゃるわけですから、進んでこられた道は間違いではなかったですよね。

平島 そうかしら、そうだといいけれど(笑)。

 大学時代はとにかく「自分の好きな道」を見つけたいと思っていましたし、実際に学生時代に、パンフラワーやデコパージュと絵付けのお教室をやっている先生と出会って、そこで「私がやりたいのはこれ! これが好き!」と思ったんです。今自分がやっているのも、その先生の影響です。

 自分の子どもにも、高校までは大学受験のためにある程度、勉強をしたほうがいいとは言ってきましたが、大学では自由に、好きなことを見つけてくれればと思っています。人生の中でも大学の4年間は一番、自由になる時間ですものね!

(次回へつづく)

インタビュー=深澤真紀(タクト・プランニング
テキスト=橋中佐和(タクト・プランニング
写真=下村しのぶ

プロフィール

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平島 陽子さん

La vie delicieuse Yoko’s Cooking Class 主宰

西部ガスクッキングクラス常任講師
福岡にて料理教室を主宰。
結婚を機におもてなし好きが高じて教室をスタートさせ、主宰歴、約22年となる。
 

 

レシピ

チョコレートスープ
 

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材料

ビターチョコレート・・・70g
牛乳・・・450g

【A】
卵白・・・2個分
砂糖・・・大さじ2

【B】
卵白・・・2個分
ヴァニラビーンズ・・・2cm分
コーンスターチ・・・小さじ2
牛乳・・・80cc

ナッツ・・・大さじ1

作り方
  • 【A】でメレンゲを作る。
    ボウルに卵白を入れて泡立て器で溶きほぐし、粗く泡だったら2回に分けて砂糖を入れ、ピンと角がたつまで固く泡立て、丸く形を作る。
  • 鍋にたっぷりのお湯を沸かし、静かにフツフツ細かい泡がたつ位まで煮立てた中にメレンゲをいれる。
    時々ひっくり返しながら5~6分にて、メレンゲをフワっと固める。布巾の上に取って水気を切り、お皿にのせて冷蔵庫で冷やしておく。
  • 【B】でカスタードソースを作る。
    小さめのボウルに卵黄を解きほぐし、砂糖とさやから出したヴァニラコーンスターチを加え、泡立て器でよく混ぜる。 
  • なめらかになったら牛乳80ccを加えて良く混ぜる。
    これを90℃の湯煎にかけ、泡立て器で混ぜながらトロミをつける。
    粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やしておく。
  • 鍋に牛乳450ccと刻んだチョコレートを入れ、火に掛けて泡立て器で混ぜながら沸騰寸前まで湧かす。
    器に入れて、メレンゲを浮かべ、上からカスタードソースをかけ、ナッツを散らす。