キッチンは家族の笑顔をつくる場所

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ひがし きよみさん

インタビュー 連載第4回

食空間コーディネーターひがしきよみさんのお仕事は、ホテルやレストランのプロデュース、デパートやメーカー各社へのセミナーやコンサルティングと広く多岐に及んでいます。でもその中心はあくまで「食卓」。家族の笑顔を生む食卓の大切さを、日々の活動を通じて広めたいとおっしゃるひがしさんにお話をうかがいます。

掲載日: 2010/3/8(月)

◆今月のサロネーゼ◆
今月のサロネーゼはひがしきよみさん。ひがしきよみテーブル&フードコーディネート教室を中心に、食空間プロデュースのさまざまなお仕事でご活躍中です。(毎週月曜更新)

 

●手づくりが好き、食べることが好き

_SSP1882.jpg ――食べることは小さい頃からお好きだった?

ひがし もう大好き!(笑) 両親とも、家に人を招いて飲んだり食べたりが好きで、父は趣味で調理師免許を持っていましたし、釣りが好きだったので釣果をさばいて食べさせてくれました。
 小さい頃は、目を覚ましたら知らない人が居間でテレビを見ながら飲んでいたり、なんてこともしょっちゅうで(笑)。
 母も社交的でお料理好き。手芸もすきで、今日私がしているネックレスも母がデザインしてからつくってくれたものです。
 主人もなんでも手づくりする人です。アプローチから玄関前のガーデンは、花や木に、芝も全て彼が植えて、BBQ炉も作ってくれました。

――ええっ! ご主人がこのすてきなお庭をつくられたんですか!?

ひがし ええ(笑)。私も小さい頃から縫い物、編み物、料理と、なんでも手づくりが好きで、なんだかそういう一家なんです。

――ひがしさんは短大をご卒業後、外資系医薬品企業に勤められます。この時点では「食」に関係のないお仕事ですが、「食」の道に進もうと思われたのはいつごろですか?

ひがし 「食」を仕事にしようと意識したのは35歳で結婚をして、身内に不幸があったのがきっかけでした。
 気持ちがふさぎ込みがちな私を、友人たちが元気づけてくれるなかで、「このままじゃいけない!」と思いたって、「今の私にできることはなんだろう?」と考えて思いついたのが、食にかかわる何かをはじめよう!ということ。もともと食べることが好きだし、おもてなしが好きでしたから。

 お料理関係の学校を見学した中で、私の希望にあったカリキュラムだった赤堀フードコーディネータースクールに通い、半年の受講期間があっという間に過ぎました。

●気づけば食空間コーディネーターに

_SSP2346.jpg――半年勉強をされて、「これを自分の仕事にしよう」と思われた?

ひがし すぐには思いませんでした。赤堀で勉強して、「フードだけではなく、テーブルのことも勉強しなくちゃ」と思い、クニエダヤスエ先生のお教室をはじめ、何カ所かのテーブルコーディネートのお教室に通いました。

 並行してお料理を学び、カラーやテーブル、フードに関する資格を取るうちに、クニエダ先生のすすめもあり、東京ドームテーブルウェアフェスティバルのテーブルコーディネートコンテストに出品。締め切りぎりぎりの駆け込みにもかかわらず入賞してしまったんです。
 それから5年連続で入賞し、最優秀賞もいただいてしまって!

 以後、知人から「テーブルコーディネートを教えて」「お教室をやってみれば?」と声をかけていただくようになって今に至るという、あれよあれよという間の展開でしたね(笑)。

 雑誌の仕事や、ホテルやレストランの空間プロデュースのお仕事もいただくようになりましたが、実は私、あまり営業活動はしたことがないんです。

――そうなんですか!?

ひがし 越州というお酒のお仕事も、テーブルコーディネーター資格取得のためのセミナーで講師をやったとき、メーカーの担当者の方が生徒さんとして参加されていたのがきっかけでしたし。

――東急百貨店でのテーブルコーディネートのイベントも人気ですね。

ひがし 年に8~12回。展示と即販、トークショーを開催していますが、毎回たくさんの方が見えてご好評いただいています。
 企業の社員教育のお仕事もさせていただいていて、バイヤーの方や百貨店の外商や売り場の担当者に商品知識をお教えしたり、お客様に手にとって見ていただけるようなセールストークも少しご紹介しているんですよ。

――ひがしさんは人間関係をとても大事にされていて、そこから新しいお仕事の芽が育っているのがよくわかります。

ひがし 私の仕事は、形態は会社組織ですが、実態はフリーランスに近いですから、声をかけていただいたお仕事は100パーセント以上にしてお返ししたいといつも思っています。一生懸命やらせていただいた結果が、また次のお仕事につながり、口コミで評判が広がっているのは本当にありがたいです。
 どんなお仕事も、はじまりは1人の人とのつながりですからね。

●「一度きりの人生、楽しまなくちゃ!」

_SSP2699.jpg――ひがしさんは本当に多趣味でもいらっしゃって。トールペイントなどの手芸もお得意ですし、あちこち旅にも行かれ、お教室のイベントではジャズも歌われるそうで。

ひがし もともと工芸デザインに興味があって、高校時代は絵を勉強した時期もありました。
 一般企業に勤め、当時は忙しくてあまり時間がなかったのですが、結婚して少し専業主婦をしていた頃、時間をもてあまして、トールペイントにはまり込んでしまったんですね。
 ローテーブルが欲しかっただけなんですが、ひょんなことからトールペイント用の素材を買ってしまって、「あれ?これ塗らなきゃいけないの!?」と気づいて。トールペイントという手法を知って、「習ってみようかしら」とはじめて2、3年で、先生から「助手をやってみない?」と誘われ、教える側になってしまったという…。

――ジャズを歌われるのはどんな経緯で?

ひがし うふふ。小さな頃から楽器が好きで、幼稚園でオルガン、ピアノを習い、中学の頃、トランペットが吹きたかったのだけれど、父から「くちびるが厚くなる!」と反対され(笑)、フルートをやったり、弦楽器をやったり。
 フォークソングが流行った時代で、短大時代には軽音楽部に入って、他大学の学生と一緒にバンド活動をしたりしていました。
 短大の1年だったか、軽い気持ちで出たコンテストで優勝し、大手のレコード会社からデビューのお誘いが来たことも。親から「芸能活動は許しません」と言われ諦めたんですが、今となっては、「シングル1枚くらい出しておけばよかったわぁ…」なんて(笑)。

――(笑)。

ひがし ジャズ好きな父の影響で、小さな頃からナット・キング・コールなんかを聴いて育ったのですが、ちゃんと歌ったことはありませんでした。
 でも、教室の10周年記念のイベントに渋谷のセルリアンホテルのボールルームを借りて、ジャズライブをやることになって。プロのミュージシャンを呼ぶついでに、「どうせなら歌っちゃいなさいよ」と友人にそそのかされて。
 最初は躊躇しましたけど、「歌っちゃおうかな?」と3曲だけ歌わせていただきました(笑)。 一度きりの人生ですから、なるべく楽しみたいなーって。

 でも、これも家族の応援があってこそ。いつも感謝しています。夫も息子も「きよみはやりたいことがあって楽しそうでいいな」って、すごく羨ましがられています。

●夢をいつも持っていたい

_SSP1741.jpg――アクティヴなひがしさんですが、レッスンのある1日はどんなスケジュールですか?

ひがし こんな感じです。

7:30 起床
8:15 朝の連ドラを見ながら(笑)食事
(サンドウィッチ、ヨーグルト、紅茶などで軽く)
10:00 スタッフ入り
料理仕込み、食器・お花・レジュメなど準備・メールチェック
部屋のクリーニング
12:00頃 ランチ(主にパスタやめん類)
13:00~15:30 レッスン
レッスン後 片付け・仕事(プランニングや原稿書き)
20:30~23:00 夕食(お酒をのみながらゆっくり)
24:00頃 メールチェック・就寝

 忙しいときは2時3時まで仕事をしますが、なるべく12時までには寝るようにしています。

――今後はどんなお仕事の展開を考えていらっしゃいますか?

ひがし たくさんあるのだけれど…どうしましょう(笑)。

――そうだと思いました(笑)。

ひがし 最近になって「食育」という言葉がよく聞かれるようになりましたよね。お教室をやっていて、マナーも含め、何をどう食べるか?という正しい知識を知らない方がいらっしゃるのを目の当たりにすると、私も食育の必要性を強く実感します。
 ですから、親子で食育を学べるクラスをつくりたいですね。家庭の味を引き継いでいくことも含め、家庭の食卓の意味を考えていただけるカリキュラムを、春休みや夏休みに組んでいけたらいいなと。

――長期的な目標もぜひ教えてください。

ひがし 自分でプロデュースしたお店を持つことですね。お弁当屋さんがいいな。

――お弁当ですか!? ちょっと意外です。

ひがし お昼は学生さんや会社員の方のためのお弁当屋さん。トレーに好きなおかずをのせて、メニューをお好みでコーディネートしてイートインもできるようなイメージ。
 夜になるとちょっとつまんで一杯呑めるようなお店。ジャズをかけてね(笑)。
 これは夢。できるかどうかはわかりませんが、夢はいつも持っていたい(笑)。

――最後にうかがいます。ひがしさんにとってキッチンとは?

ひがし キッチンとは……幸せを生む場所かしら。家族の笑顔をつくる場所だと思います。だって、怒りながらごはん食べる人っていないでしょう? 料理は人を笑顔にしますよね。

――その通りですね。今日はどうもありがとうございました!

(おわり)

インタビュー=深澤真紀(タクト・プランニング
テキスト=橋中佐和(タクト・プランニング
写真=下村しのぶ

プロフィール

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ひがし きよみさん

食空間コーディネーター
アシスタントカラーコーディネーター

◆経歴◆
短期大学英文学科卒業後、外資系医薬品企業、ワイン・洋酒輸入企業勤務を経て、赤堀フードコーディネータースクール卒業
◆現在◆
・株式会社インフィニータ取締役
・ひがしきよみ テーブル&フードコーディネート教室主宰
・赤堀フードコーディネータースクール講師
・学習院生涯学習センター 講師
・大手百貨店 社員教育 講師
・食器メーカーコンサルタント
・ホテル・レストラン食空間コンサルタント
・朝日酒造(株)コンサルタント
・TV・ラジオ・雑誌・百貨店等でのテーブル&フードコーディネート
・テーブル&フードコーディネートセミナー・イベントの企画運営
・日本フードコーディネーター協会正会員
・内閣府認証 NPO法人食空間コーディネート協会 理事
・TALK食空間コーディネーター資格認定講師
◆受賞歴◆
H.7~H.11 東京ドームテーブルコーディネートコンテスト 5年連続入賞・最優秀賞
H.8~H.9 東京ビッグサイト優しい食空間コンテスト 2年連続入賞
H.10 ハウスクェア横浜 テーブルコーディネートコンテスト入賞 
       石川県主宰テーブルコーディネートコンテスト 優秀賞
H.11 世界文化社主催 家庭画報大賞 優秀賞
       TVチャンピオン フードコーディネーター選手権 優賞

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ひがしきよみテーブル&フードコーディネート教室

ひがしきよみの世界

SAKURA JAZZ WITH OMOTENASHI
桜日和とジャスのおもてなし
桜日和に合うオシャレなパーティーフードとジャズをお楽しみ下さい。
2010年3月28日
1部:14:00~16:00
2部:17:30~19:30


東急百貨店4店舗にてテーブル展示&トークショー