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暮らしにエッセンス from キッチン

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「美味しいコーヒーって何だろう?」焙煎編(連載 第2回)

[2009年3月04日(水)]

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前回は、スペシャルティコーヒーという概念をご紹介しながら、この10年でどのようにコーヒー豆が変わり、そして素晴らしい味わいのコーヒーが、なぜ増えてきたのか、お話ししました。今回は、そのような素晴らしいコーヒー豆を焙煎という工程を経て、皆様ご存知の、あの芳しいコーヒー豆に仕上げるまでをお話しします。

ただし、その前に、ひとつお話ししておかなければならないことがあります。焙煎によってコーヒーはコーヒーとしての美味しさを身にまといます。となれば、その美味しさをどのように評価するのかということを、お話ししておかなければなりません。

コーヒーの香りを楽しみ、深い味わいを感じる

コーヒーの香りを楽しみ、深い味わいを感じる

さて、コーヒーの味の評価方法が確立したことで、スペシャルティコーヒーが生まれたことは、前回お話ししました。具体的にその評価方法とは、どのようなものなのでしょうか。まず、コーヒーの香りを評価します。コーヒーには、代表的なものだけでも60種を超える香りの成分が含まれていると言われています。よーく嗅いでみると、実に様々な香りがしてくるのが分かります。例えば、果物に例えるとどんな香りでしょうか?リンゴ?レモン?メロン?また、ナッツの香り、草のような香り、チョコレートのような香り・・・そんなことをイメージしながら、香りを楽しんでください。そして、次に味わいです。まずは、苦味、酸味、コク、甘み(うま味)の4つのバランスを感じながら、飲んでみてください。ワインにもバランスがあるように、美味しいコーヒーにも、味わいの4つのバランスが、必ず存在します。このように香味を楽しむことをイメージして、お飲みいただけるとコーヒーの深い味わいを体感していただけると思います。実際には、こうした香りと味の要素を、資格を持った鑑定人が点数を付けることで、正式な評価がなされています。

焙煎とは、香り・味を生み出していく重要な行程

焙煎とは、香り・味を生み出していく重要な行程

コーヒー豆は、白い可憐な花をつけます。そして実を結びます。一般的には赤い実が多いのですが、黄色く色づく品種もあります。その実を収穫した後、果肉の部分を取り除くと、中心からヌルヌルした皮におおわれた種が現れます。この「種」こそが、コーヒーの豆なのです。乾燥させて周りの皮を取り除くと、中から緑色をした1対のコーヒー豆(生豆)が出てきます。この状態で麻袋に入れられ、輸出されます。

さて、焙煎とは、この生豆になるべく均等に熱を加えてゆくことで化学変化を起こし、以上のような評価に足るコーヒー豆としての香り、味を生み出してゆく作業です。十分に熱した焙煎機に生豆を投入し、200度以上になるまで10分から十数分かけて熱してゆきます。その間に生豆は少しづつ膨らみ、グリーンから黄色、オレンジ色、そして茶色と色を変化させ、香りも青臭い刺激臭から、あのコーヒーの香りへと変わってゆきます。どれほどまで焙煎するか、どのように熱をかけてゆくか、これが焙煎士の腕の見せ所というわけです。

どんどん変化していくコーヒー豆の味わい

どんどん変化していくコーヒー豆の味わい

その焙煎の進み具合と共に、もちろん、コーヒーの豆の味わいもどんどん変化してゆきます。では、それはどのような変化なのでしょうか。

特にスペシャルティコーヒーは、先ほどご説明した味わいの4つの要素のバランスが非常に重要です。もちろんそれぞれのコーヒー豆の特徴によって変わってくるのですが、今回は簡略化した形で、その味わいの変化をお話ししたいと思います。

まずは、苦味です。苦味は焙煎が進行するとともに強くなってゆきます。深く焙煎すればするほど苦くなるというわけです。それでは、酸味はどうでしょうか。酸味は、焙煎の最初の段階で強くなります。そして、次第に減少してゆきます。これは、酸は化合物であるために、最初熱がかかると熱分解によって一時的に酸が増加します。その後さらに熱分解が進むことによって、分解され減少してゆくのです。コクと甘味(うま味)はどうでしょう。こちらも代表的なうまみ物質と言えば、ご存知アミノ酸やグルタミン酸。こちらも酸化物質であることから、同様に焙煎中のある時点にピークがあり、その後減少してゆくことになります。

この4つの味のバランスが、そのコーヒー豆の特徴を表すベストのポイントを見つけ、そのポイントで焙煎度合いを止める。まさにこれが焙煎したコーヒー豆の味わいを決定します。

焙煎は調理と同じ。お客様にベストな状態で提供したい

焙煎は調理と同じ。お客様にベストな状態で提供したい

私たち南青山マメーズは、この焙煎を、最上の素材を仕上げるという意味で、調理と同じだと考えています。従って、お客様に焙煎度合いを決めて頂くサービスはしていないのです。料理店でも、煮物の煮具合や焼き物の焼き具合をお客様に伺う事はしないですよね。その素材を知り尽くし、その素材の特徴を知っているからこそ、ベストの状態でご提供する。それが料理人も焙煎士も同じ、責任だと私たちは考えています。 また、深煎りは苦く、浅煎りは酸味が強いと言われます。 先ほどの味わいの変化からすれば、一般的にはその通りだというのはお分かりになるでしょう。ただし、スペシャルティコーヒーとなれば、その特徴は様々です。焙煎度合いが深くても、まだ酸味のバランスが強いコーヒー豆もあるのです。そうなると、焙煎度合いだけで味わいを設定することはできない、と私たちは考えています。 このように焙煎とは、それぞれのコーヒー豆の美味しさのポイントを見つけ出し、そのポイントへと続く道のりを発見する作業だということもできます。日々焙煎を続ける中で、その日の天候や湿度によって、また生き物であるコーヒー豆の状態によって、微妙にアレンジを加えながら安定したコーヒーの味を実現する。焙煎は、地味ながら、お客様の喜びに癒される、そんな仕事であるのです。

今回、焙煎とは一体コーヒー豆にどんな変化を与えるものなのか、をお話ししました。それでは、その焙煎した後、コーヒー豆はさらにどのように変化するのでしょう。まさにこれが、今一番見逃されているポイントです。美味しいコーヒーへの道は、もう少し続きます。

第1回 「美味しいコーヒーって何だろう?」豆編
第2回 「美味しいコーヒーって何だろう?」焙煎編
第3回 「美味しいコーヒーって何だろう?」焙煎・抽出編

椎名 香

プロフィール:
椎名 香
新しいスタイルの自家焙煎ブランド「南青山マメーズ」を主宰。ブレンドを全てスペシャルティコーヒーで構成し、その内容をすべてオープンにするなど、今までのコーヒー業界の常識にとらわれず、「美味しさ」をいかに納得できる形で実現できるか、日々探究している。業務用まで含めて「焙煎日」を明記する鮮度へのこだわりなど、「南青山マメーズ」の商品、そしてセミナーなどを通じて、もっとも新しい「コーヒーの今」を伝えることに邁進中。

南青山マメーズ 焙煎工房

ショップ情報:
南青山マメーズ 焙煎工房
インターネットショップである「南青山マメーズ」であるが、実際に焙煎を行っている工房には、ショップも併設されている。焙煎から5日以内のコーヒーだけが並ぶショーケースを持ち、試飲やエスプレッソメニューのテイクアウトも可能。月1回のコーヒーセミナーも実施中。水曜定休。
〒144-0052 東京都大田区蒲田1-18-5 
(JR蒲田駅東口より徒歩7分、京急蒲田駅西口より徒歩7分)

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