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熟練の職人技が生み出す こだわりのキッチンアイテム
どこの家庭にもあるキッチンに収納されている様々なキッチンツール、カトラリーの大半が、実は新潟県の燕三条地域で製造されています。約70%以上にものぼります。第2回目の今回は、キッチンカトラリーの故郷、燕三条地域のもの造りの歴史を工業デザイナーの吉田 宗玄(よしだむねはる)さんから、代表的なキッチンツールの加工技術などを伺いました。
掲載日: 2009/09/18(金)
工業デザイナー
吉田 宗玄さん
燕三条の『プレス加工』
江戸時代の和釘(わくぎ)造りや刃物鍛冶に始まった燕・三条地域の金属加工産業ですが、その代表的な生産品と言えば、やはりキッチンカトラリーや調理道具の数々でしょう。
なかでも、総称して『器物』と言われる、鍋やヤカン、ボウルやフライパンなどは、燕・三条を代表する金属加工技術である『プレス加工』によって製造されます。そして、プレス加工によって成型・製造した製品をさらに美しく仕上げる為の『研磨加工』も、燕三条地域を代表する技術です。
今回、柳宗理デザインシリーズのカトラリーやボウル・鍋などを製造している、燕市の日本洋食器株式会社の捧社長と白幡常務を訪問し、普段は見る事の出来ない柳宗理のキッチンツールの製造現場とその技術を見学させて頂きました。 ![]()
まず鍋やフライパン、スプーンやフォークなどを作る技術である、『プレス加工』の工程です。プレス加工とは、てこ・ねじ・空気圧などの原理を応用したプレス機械に、凸と凹からなる金型を取付けて、ステンレスの板材を金型の間に置き、強い力で挟み込むことで材料を変形させる加工技術で、せん断加工、曲げ加工、絞り加工などに細分類されます。基本的にプレス加工は大量生産に適した製法ですが、加工する材料やその形状、厚みなどによって、金型を挟み込む力や、挟み込んでいく速度、場合によっては事前に材料を何度まで加熱しておけば良いかなど、設計通りの形状に造り上げられる様な『プレス加工条件』を見つけ出す作業が難しく、職人さんの経験に依るところが大きい技術です。このプレス加工技術によって鍋やボウルなどの器状の形が造られますが、欲しい形状を一回のプレスで成形する為には、プレス機に取付ける金型を造る技術も重要になります。特に鍋のような円柱形をした深さのあるプレス加工は金型設計も成形条件出しも難しく、『深絞り加工』と言われ、燕三条の職人さん達が得意とするところです。
燕・三条地域には、このような加工に使う『金型』を造る職人さんも多く、永年の勘と経験だけではなく、最近では最新の設計システムを活用したり、高性能なロボット加工機を使ったりしながら最高品質の製品に仕上げられるように工夫を重ねています。
燕三条の『研磨工程』
プレス成型によって成型された製品は、表面にプレス加工の跡が付いていたり、加工油が残っていたりして、必ずしも美しい状態ではありません。そこで磨き職人さんが一つ一つ手作業で鍋やボウルの表面を磨いていきます。やり方は、バフと呼ばれる『回転する丸い布束』に材料と目的に合った研磨材を塗布し、それに製品を押しつけて磨くというやり方です。電解研磨やバレル研磨といった機械で自動的に行う研磨方法もあるのですが、やはり磨き職人さんの手作業によるバフ研磨が最も美しい『鏡面仕上げ』を得る事が出来ます。このバフ研磨による鏡面仕上げ技術によって、ボールを始め、スプーンやナイフ、フォーク、レードル、鍋やケトルとその蓋などに見られる、ピカピカのステンレス製品が完成します。
また、第2次世界大戦後は、フォークやスプーン等の洋食器製造から、ピッチャー、ケトル、レードル等の、金属プレス加工によって製造され、より高度な技術を必要とする業種に力が入れられていく様になり、少しずつ単価の高い、プレス加工生産に業態転換していくようになりました。
また、柳宗理シリーズのステンレスボウル等に見られる細かい筋模様のような研磨である『ヘアライン加工』も磨き職人さんの腕によるものです。世界最先端とも言われる日本の製造技術ですが、その高品質を支えているのは、高性能な製造機械だけではなく、職人さんの豊かな経験と一品一品丁寧に造り上げていく地道な作業によるものなのです。
- 柳宗理 ステンレスボウル 23cm
- サラダなどそのまま食卓に出してもさまになるボール
価格: 2,625 円(税込)
柳宗理デザインの、機能性と美しさを兼ね備えたボウルです。
- 柳宗理 黒柄スープスプーン
- 飽きのこないシンプルなデザイン
価格: 2,415 円(税込)
柳宗理デザインの黒柄カトラリー。和食にもよく合います。
吉田 宗玄(よしだ むねはる) さん
1969年生まれ。大阪芸術大学デザイン学科卒業。
大手電器メーカー、大手キッチンメーカーで、製品の企画・開発・デザインを担当。燕三条の歴史と技術に感銘を受け、燕三条地域のクラフツマンと共に、工業デザイナーとしての新たなモノづくりに挑戦している。
現在、㈱ATRヤマト代表取締役。
(財)新潟県県央地域地場産業振興センター販路開拓アドバイザー/航空機産業参入研究会コーディネーターも務める。
(財)新潟県県央地域所地場産業振興センターHP
㈱ATRヤマトHP
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