伝えたい!美味しいこだわり食材
厳しい選択眼を持ったプロが太鼓判!職人の心が伝わる、誠実に作られた“ほんものの食材”をご紹介
「おいしくて安全な食べものを食卓に」みりん・酢編(連載 第2回)
「おいしくて安全な食べものを食卓に」届けるために生産者、流通、消費者の架け橋をめざす「食の学校」を主宰する塩川恭子さんに、私たちの暮らしになくてはならない調味料をご紹介いただきます。“ほんものの調味料”を知り尽くしている塩川さんのおすすめ第2弾です。
醤油との絶妙の相性 料理をべっぴんにする「みりん」
うなぎの蒲焼き、焼きとり、ぶりの照焼きと聞けば思わずゴクリ。おいしそうな照りと艶、香ばしい匂いも追いかけてきそう。和食を代表するこのメニュー、「醤油とみりん」の絶妙なコンビがつくりあげてきた傑作です。ちょっと科学的にいうと、醤油とみりんを合わせて加熱すると粘りが出て素材にからみやすくなる。そこで醤油のアミノ酸とみりんの糖分が化学反応してメラノイジンという香ばしい物質が生まれる……。ということらしい。みりんに含まれる麹菌が魚や肉の生臭さを消すマスキング作用もあり、醤油とみりんの組み合わせは科学的にも必須の出会いだったようです。
では清酒、燗冷ましの日本酒でも同じ?ではありません。みりんを清酒、砂糖に代えて実験してみたら、効果は半減だったといいます。みりんのパワーはすごい。ですが、「みりん」と表示されるもの全てではありません。本もののみりんに限るのです。

三州三河みりん(さんしゅうみかわみりん)
愛知県三河地方は温暖な気候とよい水に恵まれ古くからみりんの醸造が盛んな地域でした。長い歴史に裏づけられた伝承の技術にこだわる三州三河みりんは有機の認証を取得しています。より自然に近い栽培方法の原料米、伝統のつくり、四季の移ろいが醸しだす自然の甘さを最大限に生かしたいという想いから、原料にとことんこだわる角谷文次郎商店。甘さ、香り、コクと三拍子揃った「ごちそうみりん」です。

福来純3年熟成みりん(ふくらいじゅんさんねんじゅくせいみりん)
本もののみりん。しかも自家製の本格焼酎を使い、もち米米麹だけで、昔の製法でつくられる本みりんは、今やほんの数社しか残っていません。白扇酒造の「福来純3年熟成みりん」は江戸時代から変らない造りを続けています。搾りたては透明感のある淡い色、2年、3年と熟成が進むと徐々に色を増してこはく色に。10年ものは深いべっこう色。まろやかで深みのあるうまさと甘味も増してきます。このみりんの魅力は「抜群ののびの良さ」。一度試すと明快に答えが出ます。ほんのひとたれですばやく素材を探り、調味料としての果たすべき役割をきちんと見極める優れものです。

発酵途中のもろみに櫂を入れて攪拌します。
こんにちは料理酒
素材を選ばず、調理ジャンルを問わず、なおかつ料理の腕前をカバーしておいしく仕立ててくれる、そんな料理酒があったら、それこそ主婦の頼もしい助っ人、もう手放せないはず。・・・それがあるのです。気がつけば、おやもう無い?我が家の台所でとかく出番の多いのが、大木代吉本店のこんにちは料理酒。もちろんそのまま飲める純米酒ながら調味料としても格段の腕を発揮してくれます。そのヒミツは造りの違いにあり。料理に大吟醸を惜しみなく使っているという自慢話を聞きながら、違うでしょうと逆自慢がしたくて鼻がヒクヒクしてしまう。淡麗辛口、香り優先の日本酒は豊富なアミノ酸の旨みはむしろ邪魔になる。米を削ってアミノ酸を減らすと香りが立つ分調味料としての効能は減ってきます。ならば天然アミノ酸も旨み成分たっぷりのままの料理酒をつくるという逆転の発想から生まれたそうです。
肉や魚の下処理に、煮崩れしにくい、酢のものの酸をやわらげる、旨み成分が多く、砂糖はほとんど要らないなどなど、ひと振りで万能調味料立役者。使いすぎの感がある我が家では、どうやら料理の腕前をカバーすべく出番が多いのかも知れません。

仕込液(酢もともろみ+種酢+水)に発酵中のタンクから採った酢酸菌膜を浮かべる。
富士酢プレミアム(ふじすプレミアム)
丹後半島の山奥の棚田で30年以上も無農薬でつくられた米、このお米を使って仕込んだ純米酒。「酢にするにはもったいなーい」と叫びたいほどの旨い米と酒。これを惜しみなくたっぷり使ってじっくりゆっくり醸される純米富士酢。旨いお米や旨いお酒はあるけれど、これほどちからのある酢はめったにお目にかかれません。
戦後の食糧難時代の酢とは名ばかりの合成酢、やがて「米酢」という表示の酢が市場に現れても、アルコールを添加して酢酸発酵させるなど本来の米酢とはほど遠いものでした。飯尾醸造の純米酢は通常の純米酢のJAS規格で決められた量の5倍もの米を使います。富士酢プレミアムはさらに7倍以上の新米が使われた酢。古来の静置発酵法による独特のむれ香は好き嫌いが分かれます。米の量を多くすることでおだやかな香りに変化し、コクとまろやかな甘さ、おだやかな酸味が引き立つ酢となりました。長ーい時と微生物が創り出したおいしい薬です。

熊野那智の酒酢(にごり酢)(くまのなちのさかず(にごりす))
飲み残したいい酒が時を経たら酢になった。そう聞くとなるほどと納得しそうな酒酢。酒酢(にごり酢)はお酢の元祖といわれます。熊野那智の水は名水として尊ばれてきました。その伏流水を仕込み水として酒を仕込み、もろみの入ったままの酢。丸正酢醸造元の酒酢は、もろみの栄養分まるごとうまみがしっかり残っている酢です。 控えめでツンとこない酸味と芳香が料理をやさしく仕上げてくれます。「酢が苦手」という前にこの酢をお試しください。
塩川恭子さん連載「おいしくて安全な食べものを食卓に」のバックナンバーはこちら
紹介した商品の連絡先:
【こんにちは料理酒】
(名)大木代吉本店
福島県西白河郡矢吹町本町9
TEL:0248-42-2161 / FAX:0248-42-2162
【富士酢プレミアム】
(株)飯尾醸造
京都府宮津市小田宿野373
TEL:0772-25-0015 / FAX:0772-25-1414
URL:http://www.iio-jozo.co.jp
【三州三河みりん】
(株)角野文治郎商店
愛知県碧南市西浜町6-3
TEL:0566-41-0748 / FAX:0566-42-3931
【福来純3年熟成みりん】
白扇酒造(株)
岐阜県加茂郡八百津町伊岐津志208-3
TEL:0120-873-976 / FAX:0120-873-724
URL:http://www.hakusenshuzou.jp
【熊野那智の酒酢(にごり酢)】
(名)丸正酢醸造元
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町天満271
TEL:0735-52-0038 / FAX:0735-52-6551

塩川 恭子(しおかわ きょうこ)
- プロフィール:
- 青森県生まれ。出版社で女性誌の「食・暮らし」部門の編集担当。 その後、病弱だった子供の育児期間を通 して「生命を健やかに育む食とは」をテーマに、共同購入グループの設立運動に参加。広報、商品開発のメンバーとして全国の産地、メーカーを訪ね歩いてPB商品開発に携わる。流通共同研究所を経て独立。90年、東武百貨店池袋店の全面リニューアル計画に、(株)新生活研究所の食品ディレクターとして参画し、MD、商品開発、売場展開の指導にあたる。96年、「おいしくて安全な食べものを食卓に」届けるために、生産者、流通 、消費者の架け橋をめざして「食の学校」を主宰。全国各地の生産者や流通業者をはじめ、さまざまな分野で「食」の仕事に携わる人たちとともに、有機・無農薬栽培や自然食品など「日本のオーガニック」のあり方を学び、普及させるネットワークづくりを行っている。 http://shokunogakkou.com




