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伝えたい!美味しいこだわり食材

厳しい選択眼を持ったプロが太鼓判!職人の心が伝わる、誠実に作られた“ほんものの食材”をご紹介

「おいしくて安全な食べものを食卓に」塩・醤油編(連載 第1回)

[2008年10月30日(木)]

  1. 関連講座

第1回目の今回から3回に渡って、「おいしくて安全な食べものを食卓に」届けるために生産者、流通、消費者の架け橋をめざす「食の学校」を主宰する塩川恭子さんに、私たちの暮らしになくてはならない調味料をご紹介いただきます。まずは、数ある調味料の中でも、一日たりともなしでは暮らせないほど身近で大切な醤油と塩についてです。さて“ほんものの調味料”を知り尽くしている塩川さんのおすすめは--

調味料イメージ

調味料は脇役ではない

料理の出来映えは素材の良し悪しと腕前で評価されがちですが、真の立役者は調味料であると言えるでしょう。調味料には実に優れた技と役割がありますが、ひとくちに調味料と表してもいろいろ有り、です。ここでいう立役者とは国産の原料を使い伝統的な手法でつくられた「ほんもの」に限ります。昔はごく当たり前だったほんものは今やお宝もの。貴重品になってしまいました。  風邪を引いたら梅醤油茶、食欲不振に酢のもの、おちょこ一杯のみりんは快眠薬。調味料は家庭のおいしい常備薬でもありました。この常備薬、戦後は調味料も食糧難で代替品や化学合成品による「似て非なるもの」に変節せざるを得なかったのです。中味よりも安くて早いがいい。思えば日本の不幸な食の始まりだったかもしれません。

井上醤油

日本の誇る、医食同源の万能調味料 「醤油」

和の調味料、横綱役は何といっても醤油ではないでしょうか。年々細る本家日本での消費量に比して、このところ世界では需要も評価も高くなっています。醤油は、旨み成分をつくる豊富なアミノ酸と300を超えるといわれるフレーバー(香り)を持った、ジャンルを越えて世界の料理をカバーする万能調味料なのです。 日本全国には古くからご当地醤油がたくさんあり、それぞれ、各地域の食文化が創り上げた風土の傑作です。旨みは優劣つけがたいですが、わが家にも好みの定番醤油があります。 それは島根県の奥出雲の「井上醤油」。これは30年近くも台所に居座っています。丸大豆仕込み、2年ものです。なにせ150年も蔵に棲み続ける菌恐るべしで、「人が余計な手を加えない、自然に任せたものづくり」に徹する15代目当主の井上裕義氏には発酵とは何かを学びました。スッキリした香り、バランスのいい旨みが素材の特徴をうまく引き出してくれる、包容力のあるフトコロの大きい醤油です。

生揚げ醤油

昔ながらの伝統製法だから生きる香り

ここ一番、生や焼きものでアクセントをつけたいというときの出番は、陸前高田市八木澤商店の「生揚醤油」。地元産の原料にこだわり、古式梃子搾りという伝統製法を復活させた河野和義さん。以前、初搾り時に蔵を訪ねたことがあります。指にからめてひとなめしたひとしずく。華やかな香り、キリッといさぎよいうま味。熱を加えると瞬時に立つ芳しい匂いは食前酒もかなわない食事前のごちそうです。

粟国の塩

命を生み出す源「塩」 

いま市場で目にする塩は百花繚乱。海外からの輸入塩、名だたるブランド塩の数々に加えて、国内での「塩づくり復活」も盛んです。専売公社塩、イオン交換膜式のいわゆる「化学塩」しか知らずに育った世代は、塩選びには迷うばかり・・なのではないでしょうか。  塩は生命の源。ヒト科ヒトが人間として生きるうえに必要不可欠なもので、調味料の域を超える存在なのです。調理以前の食品への効能も大きく、防腐作用、酸化防止、たんぱく質を凝固させたり、素材から水分を引き出すなどなど古来から先人はとっくにご存知で暮らしの智恵に活用してきました。

塩田タワー

海と風と太陽が作る、命を育む自然塩

さて、料理の世界では「塩」に一家言を持つ料理人や塩使いの名人は数多くいますが、料理人でも塩の専門家でもない私としては、塩の好みは使い勝手と舌の感性にまかせています。目下のお気に入りは沖縄県粟国島の海精塩「粟国の塩」。神経質に気を使わなくても、食材の旨みをバランスよく引き出して料理を仕立ててくれます。

※塩田タワー(写真)・・・タワー内には竹が何本もつるされていて、汲み上げた海水を何度も竹に流して循環させ1週間以上かけて塩分濃度約6~7倍(塩分20%前後)に濃縮した鹹水(かんすい)を作ります。

粟国の塩釜炊き

ヒトは体内に海を持つ

海水のミネラル組成は人間の体内とほぼ同じ。なので「ヒトは体内に海を持つ」と言われています。ならば食するのはきれいなサンゴの海を濃縮した自然塩がいいですよね。そんな気持ちで粟国島に行きました。粟国は風の島。海岸にそそり立つタワー内の竹林。降り落ちる海水を薪でゆっくりじっくり炊き上げる。塩辛いのではない、かすかな苦味と甘さ。海のミネラルを包み込んだやさしく奥深いうまみはこの島で※釜炊きを続けてきた小渡幸信さんの人柄そのものが反映されているようです。

※釜炊き・・・鹹水(かんすい)を平釜で30時間位かけてゆっくり煮詰めます。

塩川恭子さん連載「おいしくて安全な食べものを食卓に」のバックナンバーはこちら

紹介した商品の連絡先:

【井上醤油】
(有)井上醤油店
島根県仁多郡奥出雲町下阿井1430-2
TEL:0854-56-0341 / FAX:0854-56-0342

【生揚醤油】
㈱八木澤商店
〒029-2204 岩手県陸前高田市気仙町字町110
TEL:0192-55-3261 / FAX:0192-55-3262
URL:http://www.yagisawa-s.co.jp/

【粟国の塩】
(株)沖縄海塩研究所 小渡 幸信
〒901-3702 沖縄県島尻郡粟国村字東8316
TEL:098-988-2160 / FAX:098-988-2178
URL:http://www.aguni-salt.com/

塩川 恭子(しおかわ きょうこ)
プロフィール:
青森県生まれ。出版社で女性誌の「食・暮らし」部門の編集担当。 その後、病弱だった子供の育児期間を通 して「生命を健やかに育む食とは」をテーマに、共同購入グループの設立運動に参加。広報、商品開発のメンバーとして全国の産地、メーカーを訪ね歩いてPB商品開発に携わる。流通共同研究所を経て独立。90年、東武百貨店池袋店の全面リニューアル計画に、(株)新生活研究所の食品ディレクターとして参画し、MD、商品開発、売場展開の指導にあたる。96年、「おいしくて安全な食べものを食卓に」届けるために、生産者、流通 、消費者の架け橋をめざして「食の学校」を主宰。全国各地の生産者や流通業者をはじめ、さまざまな分野で「食」の仕事に携わる人たちとともに、有機・無農薬栽培や自然食品など「日本のオーガニック」のあり方を学び、普及させるネットワークづくりを行っている。
http://shokunogakkou.com
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