ディレクターから和菓子作りへの転身、きっかけは一冊の本(連載 第1回)
レコード会社のディレクターとして勤務中、和菓子の本に出合い、その後東京製菓学校の和菓子専科を卒業された、金塚晴子さん。現在、家庭で美味しい和菓子の作れる教室「和菓子スタジオへちま」を主宰するほか、出張講座やテレビ、雑誌などの多方面で活躍中です。第一回目は、金塚さんに和菓子の道に入られたきっかけや道のりを伺います。

ディレクター時代に心動かされた、季節を彩る和菓子
「和菓子を仕事にしようと思ったことは、実は一回もなくて、今もまだないかもしれません。気づけばこれが仕事かなぁというかんじなんです」。朗らかな優しい笑顔で話す金塚晴子さんは和菓子と出合って23年。レコード会社のディレクター時代に、ふと訪れた図書館で見つけた一冊の和菓子の本。その本がなければ、和菓子の学校に通いたいとは思わなかったかもしれないと、金塚さんはいいます。
「それまでの仕事がスタジオにこもる作業だったので、本を開いた瞬間に、和菓子から季節の風を感じて、とても感動したのです」。昔から料理が好きだった金塚さんは、和菓子というものがとても美しくて、なおかつ食べるものということで、興味がぴたりと一致したといいます。
その後、仕事の傍ら東京製菓学校の夜間に週3回通い、2年間で和菓子科を卒業。「夜間といっても1ヶ月に12回も通いますから、かなりボリュームのあることでした。その頃、ちょうど仕事をそろそろ辞めてもいいかなぁと思っていたこともあり、和菓子づくりにどんどん夢中になっていきました」。

金塚さんの和菓子は、ご縁を呼ぶ福菓子
学校を卒業して初めての仕事は、料理店でコース料理の最後に出すお菓子だったそうです。「初めに作ったのは、季節が4~5月ごろだったので、山椒と味噌あんの入っている小さなお餅だったのを覚えています」。こうして料理店に出すための和菓子を作れるように保健所の許可を取り、自宅の中に『和菓子工房へちま』を作りました。
「最初の頃は、和菓子を10個注文されても、30~40個作って、その中で良いものだけをお持ちするくらい下手だったし時間もかかったの」、と笑う金塚さん。和菓子の出来栄えにこだわり、決して手を抜かないお菓子は、次々と依頼を呼び込みます。そのうちに友人に和菓子の作り方を教えてほしいと頼まれ、次々と生徒が増え、教室も開くことになりました。
「あるとき生徒さんに法事のお菓子を頼まれて、持参した場所に編集の方がいらっしゃいました。そして私の和菓子を見て、本を作りたいと言ってくださったのです」。ご縁がご縁を呼び、『ほーむめいど和菓子』(文化出版局)という、家庭で美味しい和菓子を作る本を出版。今まで和菓子といえば、職人が作ったものをお店で買うことが当たり前でしたが、自宅でも美味しい和菓子が作れるという新しい視点がとても新鮮で、評判になりました。
その後、キッチンで作る和菓子の本を次々と出版することとなり、それにつれて生徒数も増えていくこととなりました。

美味しい、安心、綺麗、そして季節感が大切
自宅の工房では生徒を抱えきれなくなったので、10年ほど前に工房の場所を移し、現在は『和菓子スタジオへちま』として、3~4名のスタッフと共にスクールを運営しています。1日に午前と午後、ひと月に15回ほど自らキッチンに立ち、楽しく教える日々。「今は教える仕事が80パーセント、あとは頼まれたお菓子を作ったり、本の仕事をしたりする毎日ですね」。
金塚さんの作る和菓子は、なんとも可愛らしく美味しそうで、食べるだけでなく自分でも作ってみたくなる、不思議な魅力があります。「私の和菓子は、おそらく職人さんが作るお菓子とは、ちょっと違っていたのかもしれませんね。人に教えるということはあまり考えていなかったのですが、いつの間にか自然に、という感じです。和菓子を作るときには、とにかく美味しくて、安心できて、綺麗、そして季節感のあることをいつも心がけています。その順番がとても大切です。いくら綺麗でも、食べたいな、美味しそうだなと感じるところがないといけないなぁと思うんです」。
4月3日(金)には、Dreamia Clubの主催で和菓子の講座を開催予定です。「これを機会に是非自分のキッチンで作ってみたい!と思っていただけるような講座ができたらいいなと思っています。ちょうど年に一度の桜の時期なので、桜を愛でて、また春の和菓子も楽しんでいただけたらいいなぁと思っています」。Dreamia Clubの和菓子講座については、下記をご覧ください。
次回は、家庭で安心して食べられる手作りの和菓子の魅力や、レシピの工夫点などを伺います。お楽しみに!
第1回 ディレクターから和菓子作りへの転身、きっかけは一冊の本
第2回 ローカロリーで美味しく食べられる、和菓子の魅力
第3回 小さな部分をいつまでも大事にできるような、そんなキッチンであってほしい

金塚 晴子
- プロフィール:
- 和菓子職人。東京・目黒生まれ。青山学院大学文学部を卒業後、レコード制作ディレクターとしてヒット曲の制作に携わる。退社後、一冊の本から和菓子づくりに興味が沸き、東京製菓学校和菓子専科に入学。87年から自宅に和菓子工房「へちま」を作る。その和菓子が話題になり、中目黒に和菓子スタジオ『へちま』を開設。これまでには数々の和菓子の本を出版、そして雑誌ではコラム執筆、TV出演など、活躍は多岐にわたっている。
- 和菓子スタジオへちまHP
- 著書:
- 和菓子とわたし
1,680円(淡交社)
詳しくはこちら
- 人気の和菓子基本のキホン―買うより作ろう!
1,680円(講談社のお料理BOOK)
詳しくはこちら
レシピ
桃の精(練切)(10個分)

材料
- 練切・・・180g
- 中あん(白あん又は黄身あん)・・・130g(13g×10個分)
- 色粉(黄・赤・挽茶色)・・・少々
- 片栗粉(打ち粉用)・・・適量
- 卵白・・・少量
準備
- 中あんは10等分しておく
- 色粉は少量の水で溶いておく
作り方
- 練切種の打ち、100gをクリーム色に、50gをピンク色に、30gを緑色に着色する
- クリーム色とピンク色に染めた練切は、それぞれ10等分する。緑色の練切は1.5mm厚さにのばし、葉っぱの抜き型で10枚抜く
- クリーム色の練切を手のひらで丸く広げ(直径4cm程度)、その上ピンク色の練切をおいて、再度押し広げ(直径5~6cm)、ピンク色が薄くぼかし出るようにする
- 3の練切で中あんを包み、丸く形を整えた後、三角ベラを使ってすじを入れ、桃の形にする
- 卵白を少量塗ったことろへ、抜いておいた葉っぱ型の練切を付ける
関連講座
こちらの関連講座は終了いたしました。
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