- Dreamia Club Home
- インタビュー・ブログ
- 今月のDreamia人
- ねぎし柳通り「定谷」へ
読む
ねぎし柳通り「定谷」へ
定谷豊(さだや ゆたか)さん
インタビュー 連載第1回
今月のDreamia人は、東京・根岸にあるステーキ懐石のお店「定谷」オーナーシェフの定谷豊さん。政財界の要人、各界の著名人が「とっておき」と一目置く店ながら、厨房に立つ定谷さんは拍子抜けするほど気さくなお人柄。約40年にわたってプロの料理人として仕事をされる今もなお「料理が好きだから」と目を輝かせる定谷さんに、その半生、そしていつも側にあった厨房と、料理への思いをうかがいました。
掲載日: 2010/03/5(金)
東京・根岸。知る人ぞ知る名店の数々が点在する下町情緒ある町並みの、細い路地をさらに奥へ奥へと進んだ先に、ねぎし柳通り・ステーキ懐石の店「定谷」はあります。
コンクリートに刷毛目を残した、シンプルかつモダンな印象のファサード、すりガラスがはめ込まれた重厚な木の扉、その左右にランプ型のレトロな照明と「飾味処 定谷」の看板(お知り合いから「飾」という字が定谷さんと相性がいいとすすめられ、「食」と「飾」をかけてこの看板文字を採用されたそう)――決して奇をてらうことはないけれど、ぴりっと筋の通った店構えです。
店内に足を踏み入れると、カウンター奥の広々とした厨房から、店主・定谷豊さんが静かに会釈で迎えてくださいました。
随所に木が使われた、懐かしい雰囲気の店内には、トランペットがけだるく奏でる「ラ・ヴィ・アン・ローズ」や、ナット・キング・コール、マレーネ・ディートリッヒ、40年代50年代アメリカのミュージカル映画音楽が低く流れています。
店内を見回すと、原辰徳さんや清原和博さんのサインや写真があちこちに。おふたかたとも「定谷」のファンで、原監督は特に、巨人軍での優勝を「日本一」、侍ジャパンでの優勝を「世界一」と書き残し、常連ぶりがうかがえます。
カウンター越しにカツカレーが仕上がる
今日の取材はまず、「定谷」の味に触れることから。あらかじめ予約を入れてあった、ランチのカツカレーをいただきます。
「L」の字に曲がった9人掛けのカウンター席に取材スタッフがそろうと、定谷さんがおもむろに調理をはじめます。
厨房はとてもすっきりしています。調理器具も鍋も、どれも気持ちよく手入れされ、壁にかかったレードルもフライ返しも、調理台の前に置かれた菜ばしも調味料類も、まさに必要最低限。
その厨房の風景は「食通が通い詰める店」と聞いていたセレブなイメージとは違い、潔いほどに質素なのです。
さて。まずはサイドメニューのサラダから。
シャキシャキと新鮮なレタスに大ぶりにコロコロと切り分けられたキュウリ。そこにサラダ油、しょう油、こしょうが振られ、から煎りした瀬戸内のちりめんエビと、最後に手でちぎったパリパリの海苔がのせられます。
シンプルなのに重層的な味で、下町らしい活きのいいサラダです。
そしてカツカレーの登場。
分厚く個性的なフォルムの皿に、付け合せのカニサラダとトマトを盛り付け、ごはんをよそうと、いよいよトッピングのカツの準備にとりかかるシェフ。ポンポンとパン粉をはたく音が小気味よく響きます。
カツを揚げているあいだに、ごはんにはルーがかけられていき、その上に、揚げたてのカツがサクッサクッと切り分けられてのせられます。そして…チーズハンバーグ!? 「今日はサービスですよ」とシェフがにんまり。スタッフから「うひゃあ!」と悲鳴にも似た喜びの声があがります。
考えてみると、盛り付けがはじまってからここまで、厨房に立つシェフの手元に一同は魅入られっぱなしです。
京都のうすい豆、香川のさぬき紅
「肉は沖縄のアグー豚です。脂の甘みがうまいですよぉ」と、シェフは目を細めながら、黙々と人数分の盛り付けをすすめます。そして「はいよー」と、銘々の前に皿が行きわたりました。
「いただきます!」
うーん。うわぁー。最初のうちは歓声があがっていましたが、やがて黙ってカレーを食べ進める取材チーム一同。シェフはただ、にこやかに見守っていらっしゃいます。
「定谷」のカレーはカレールーというより、肉がとけこんだカレーソースのよう。ルーにも、カツにも、今日は特別にハンバーグにも肉が使われているにもかかわらず、とても軽い食べ応えなのです。
付け合せのカニサラダはカニミソの風味が濃厚で、「付け合せ」と呼ぶにはもったいない豪華な味わいですし、こだわりはほかにも。
ごはんの上に散らした豆は京都のうすい豆。グリーンピースに似ていますが、とてもやわらかく傷みやすいので長時間の輸送に向かず、関東圏へはなかなか出荷されない貴重なもの。それをシェフはうす皮まで丁寧にむいて供しています。
「そうしないと色がきれいにでないからさ」と、シェフは事もなげにおっしゃいます。
あっという間に、取材スタッフの皿がきれいに平らげられてしまうと、デザートに出されたのは、1つずつ白い紙の袋に覆われたみかん。
シェフは別にうんちくを傾けるわけでもなく、「甘みが強いみかんだよ」とだけ。後で調べると、香川県産の「さぬき紅」という越冬有袋樹上完熟みかんで、入手がなかなか難しいブランドものでした。
完全予約制で、料理はおまかせのコースがメインと聞くと、敷居の高い店と思われる方もいるかもしれませんが、そのイメージだけで「定谷」を避けるのはもったいない。
この店には常連たちを引きつける魅力がいくつもあります。
その魅力のいくつかを次回以降のインタビューで少しずつひもといていきますので、ぜひお楽しみに。
(次回へつづく)
インタビュー=深澤真紀(タクト・プランニング)
テキスト=橋中佐和(タクト・プランニング)
写真=下村しのぶ

定谷 豊(さだや ゆたか)さん
料理人
ねぎし柳通り ステーキ懐石の店「定谷」店主

ねぎし柳通り ステーキ懐石の店「定谷」
ランチ・・・カツカレー1500円
シェフおまかせ3000円
ディナー・・・おまかせコース16000円より
ステーキ定食5000円、10000円
※その他、ご予算に応じて承ります。
所在地東京都台東区根岸4-3-2
TEL03-3874-2406
*予約制
トラックバックURL:http://dreamiaclub.jp/mt/mt-tb.cgi/1199






- 投稿者 rira : 2010年3月17日 17:22
コメントを投稿される方は、ページのトップからログインしてください。コメント
素敵な雰囲気のお店ですね!お忍びで通いたくなる気持ちがわかります。
カツカレー、是非一度食べに行きたいです☆
ページのトップへ>>