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キッチンは私の創造力をかきたてる場所

マカロン由香(まかろん ゆか)さん
インタビュー 連載第4回
今月のDreamia人は出張料理人のマカロン由香さん。東京・青山でお料理教室【Le Macaron YUKA.】(R)も主宰されています。有名女子大を卒業後、幼稚園の先生を務められ、20代後半に「料理を極める!」と決起。「フランス料理をやるからには!」と猛スピードで語学習得→渡仏→(途中で挙式)→三ツ星レストラン修行と目まぐるしく立ち回り、現在もお忙しい毎日を送っていらっしゃいます。料理が時間を豊かにしてくれることを教えてくれるマカロンさんに、パリ修行時代の裏話も含め、お仕事へのこだわりをうかがいます。
掲載日: 2010/02/26(金)
マカロンさんこだわりの品、思い出の品
マカロンさんのインタビューの最終回は、フランスからの帰国後のお話をうかがっていますが、本題に入る前に、マカロンさんのこだわりを表すような品物と、思い出深い品物を教えていただきましたのでご紹介します。
まずは、こだわりの品。お手紙セットです。
和紙の巻紙と一筆箋、落款と朱肉、筆ペン。筆ではないところが意外ですが、マカロンさんに伺うと…。
「お礼状などお手紙を書くときも、お品書きを書くときも、いつも筆ペンを使っています。毎回、墨をする時間がないので」というお話。書き物をする機会があまりに多いので、そのつど墨をすっていられず、筆ペンを使われているということのようです。
マカロンさんは、「文字」に対して思い入れがとても強くていらっしゃいます。
「現代画家の先生に弟子入りしたときに言われたのが、『自分の〝字〟ほどの自己表現はない。常に追い求めろ』ということ。『うまい必要はない。遠くから見ても、あれはマカロンの字だとわかることが大事だ』とも言われました」と話すマカロンさん。
たとえば画廊周りなど、受付で記帳をする場合も、極端な話、名前が読めなくてもいいというのがマカロンさんの持論です。「たとえば『山田花子』と楷書で書かなくても『山田花子』であることが伝わるサインが書けることが大切なんです」
思い出の品は、フランスでの修行前に1年間通ったエコール辻時代、そしてパリの修行中にレシピを書きつけたルーズリーフのファイルです。
「フランス語漬けの時代に、エコール辻の授業内容はすべてフランス語でノートをとっていました。1年でファイル6冊分くらいになったのかな。日本語の授業を聞きながら、電子辞書でフランス語を調べつつ苦労して書いたなぁ」とマカロンさん、懐かしそうにページをめくっていらっしゃいました。
ページをめくるマカロンさんの指はとても細く、この華奢な体でフランス厨房のシェフたちと鍋を振っていた日々には大変なご苦労があっただろうと、つい思いをめぐらせてしまいます。
ではインタビューのつづきをお楽しみください…
出張料理人になっていた!?
――さて、約2年のフランス修行を終え、三ツ星レストランでのキャリアを持った料理人として帰国されたマカロンさんですが、どういう経緯で出張料理人という仕事をはじめられたのでしょう。
マカロン フランスで仕事をしていたとき、「出張料理人」という仕事があることを発見したことがそもそものはじまりです。
出張料理人というのは日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、ヨーロッパでシェフの方とご挨拶をすると、「出張料理をやっています」という方が結構いらっしゃったんですね。
それから、アルページュで働く前、1週間帰国した際、私がフランスで料理修行をしていると知っていた友人知人が「話を聞かせて」と声をかけてくれたんですが、そのときに出張料理のことも話題にのぼり、「帰国したらぜひお願いしたい」という依頼を受けていたという理由もありました。
帰国して早速連絡を取ると、「3週間後にお願いしたい」と。
いやいや、まだ船便で送った荷物が、包丁が届かないです、というタイミングだったんですが(笑)、断れず…。
ですからどちらかと言えば、出張料理人を「はじめた」のではなく、「はじめさせられちゃっていた」という感じですね。
サロンのコンセプトも公式ホームページも、帰りの機内でつくっていましたし。
――フランスからは時間がかかります(笑)。
マカロン しかも経由便でしたから、時間だけはたくさんあって(笑)。
マカロンさん流「料理教室の集客法」
マカロン 帰国後にまずはじめたのは、日本で幼稚園の先生をやっていただけのキャリアの私が、どうしたらサロン運営ができるか?というリサーチでした。幸い、周りに起業家の方が多くいらっしゃったので、アドバイスをいただくことができました。
帰国は11月で、出張料理のはじめての依頼をいただいたのが11月末。料理教室も翌年の1月に立ち上げたので、かなり厳しいスケジュールでした。
この時期は、我ながらよく働きました!(笑)
――当時、お料理教室はどちらで開業されたんでしょう。
マカロン 都内のレンタルキッチンスタジオです。スタート当初から週に8クラスくらい。
――いきなりですか!? 集客はどのように?
マカロン それなんですっ! 生徒さんはどうやったら集まるかしら?って私もはじめてでしたから全くわからなくて。「料理教室? 行くわよぉ」と言ってくれた友人も必ず来てくれるわけじゃないですからね。
でも実は、集客の方法も帰りの飛行機のなかで考えていました。
当時やっていた私のフランス修行ブログが、ありがたいことにランキングの上位に入る人気で、それをちょっと利用しました。
帰国に際して「今までご愛読ありがとうございます。これでマカロンのブログは最後になります。」と寂しい感じで幕を閉じ、しばらく経って「ジャジャーン! 実は東京でお料理教室やりまーす!」と盛り上げて(笑)。おかげさまで申し込みをたくさんいただけた、という。
キッチンは創造力の源
――なかなかの戦略でしたね。すばらしい。
のりにのっていらっしゃるマカロンさんですが、今後の目標は?
マカロン 書籍をつくりたいですね。出張料理を通じてお会いした方々のエピソードと、私がプロデュースしたお料理のレシピやテーブルコーディネートなどを交えた本ができれば楽しいな、とか。
ほろりと感動的なエピソードもあれば、笑えるエピソードもあって――たとえば、とあるIT社長さんに依頼されて出張料理をしにいったはいいが、「ガス止まってるじゃない、ペントハウスなのにっ!」とか(笑)。
――それはおもしろそう。では、もう少し長期的な目標もうかがわせてください。
マカロン 料理と全然別のことなんですが…いいですか?
――もちろん!
マカロン アフリカの子どもたちを救う、ということをやりたいんですね。実は、私が働いてお金を稼いでいる最終目標はそこなんです。
今も個人でできる範囲で寄付などはしていますが、企業としても社会貢献のようなことに取り組めるようになればいいなと考えています。
パリにいた頃、ルクサンブール公園で、アフリカの子どもたちの写真展をよくやっていたのですが、それがとてもショッキングで。もともと幼児教育に携わっていたこともあるので、自分の生活に余裕ができたらぜひ、アフリカに限らず、世界の飢餓問題の改善に貢献したいと思って。
――マカロンさんは、食でも芸術でも教育でも、知識と技術をお持ちですから、単に寄付をするだけではない何かができそうですね。
さて、最後になりますが、マカロンさんにとってキッチンとは?
マカロン 私にとってキッチンは、自分の創造力をかきたててくれる場です。実際に料理ができる工房でもあるし、「こんなものをつくってみたい!」というイメージがもやもやもやっとわき起こる場所というか。
――ものづくりの現場ということですね。
マカロン ええ。今頭の中には「ハクション大魔王」の壷から、いろんなアイテムが飛び出てくるイメージが浮かんでいるんですが(笑)、生まれてくるものは、赤も黒も緑も、いろんな色があり得るし、数も1個かもしれないし100個、1000個かもしれないし。
キッチンはどんな創造も可能にするすばらしい場所だと思います。
――なるほど。楽しいお話をありがとうございました。
(おわり)
インタビュー=深澤真紀(タクト・プランニング)
テキスト=橋中佐和(タクト・プランニング)
写真=下村しのぶ

講師:マカロン由香
日時: 2010年04月03日(土)
場所: パーティスペース Dreamia新宿
(クリナップ新宿ショールーム内)
マカロン由香さんの講座開催決定!
詳細はComing soon...

マカロン由香さん
出張料理人
日本女子大学卒業後、教育業に従事。
エコール辻東京フランス・イタリア料理マスターカレッジ卒業後渡仏。
エコール・リッツ・エスコフィエディプロマ取得。
ホテルリッツ「エスパドン」、三つ星レストラン「ルドワイヤン」「アルぺージュ」で修行を積み帰国。
帰国後有限会社サブライムとして出張料理【La Macaron YUKA.】、料理教室【La Macaron YUKA.】を主宰、2008年にはM&C株式会社を立ち上げ、ワインバーやレストランプロデュースを手掛ける。
出張料理人、料理講師、講演、雑誌掲載、レシピ開発、ラジオ・テレビ出演他
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