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出張料理人、マカロン由香さんとは?

マカロン由香(まかろん ゆか)さん
インタビュー 連載第1回
今月のDreamia人は出張料理人のマカロン由香さん。東京・青山でお料理教室【Le Macaron YUKA.】(R)も主宰されています。有名女子大を卒業後、幼稚園の先生を務められ、20代後半に「料理を極める!」と決起。「フランス料理をやるからには!」と猛スピードで語学習得→渡仏→(途中で挙式)→三ツ星レストラン修行と目まぐるしく立ち回り、現在もお忙しい毎日を送っていらっしゃいます。料理が時間を豊かにしてくれることを教えてくれるマカロンさんに、パリ修行時代の裏話も含め、お仕事へのこだわりをうかがいます。
掲載日: 2010/02/5(金)
「すみません、お教室が長引いてバタバタしてっ!」と、黒いシャツに黒いパンツ、黒いギャルソンエプロンで、息を弾ませ現れた今月のゲスト、マカロン由香さん。
取材の直前まで、お料理教室【Le Macaron YUKA.】(R)のイタリア料理クラスが開催されていて、レッスンの活気をまとわれたままのにこやかな表情が、場の空気をフワッと和ませます。
――お忙しいところありがとうございます。今日は出張料理人としてのマカロンさんのお仕事ぶりをうかがいにきたのですが…部屋にいい香りが充満していて、お教室のメニューが気になってしまいます(笑)。
マカロン ふふふ。本日はイタリア料理のコースで、メニューは3品。黒毛和牛のカルパッチョと、ほうぼうのパスタ――今朝築地で仕入れてきたばかりのキトキトのほうぼうをさばくところからやっていただいたんです。ご覧になります?
バックヤードから出てきた保冷ケースには、ぬらりと輝く活きのいいほうぼう! 「10尾買ってきたんですが、6尾使っちゃいました。ハハハ!」 マカロンさんの笑い声は、その優雅な佇まいとはうらはらに意外と豪快です。
ぴんと背筋を伸ばし、相手にしっかり体ごと向き合って話すマカロンさんからは、「料理人」の世界を生きる方ならではの厳しさが感じられます。でも、楽しい話題に転じると表情が一気にゆるみ、そのギャップが魅力的。
「こんな経験なかなかない!」が体験できるサロン
マカロン 昨今のお料理教室が「10分で3品」など、簡略化に向かっているのは知っています。が、私はあえて逆をやっています。ほうぼうのこのぬらぬらした感じもお伝えしたいですし、鶏肉もあえて丸ごと、首のついた状態から調理したり。
家ではなかなかできませんが、それでいいんです。家でやらないことを、ここで見て、触っていただいて、「料理はこういうふうにできる」と感じていただくのが目標です。
で、残り1品はリコッタチーズのデザート。チーズも手づくりしました。3分でできちゃいますからかんたん!(笑)
――えっすごい! その3品を何時間でつくるんですか?
マカロン 普段は試食も含めて3時間ですが、今日は少し長引いてしまい…。
言葉で伝えるだけでなく、デモンストレーションでどうしてもお見せしたいポイントがあるので、お教室も内容が盛りだくさんになってしまいます。
ご家庭で生肉を食べる習慣はあまりないですが、魚では出せない牛ならではの味わいをぜひご紹介したくて、牛カルパッチョの発祥と言われるベネチアのハリーズバーの味を再現してみました。
生徒さんは女優さんやお医者さんもいらっしゃって、普段は優雅な皆さんが、デモの後、ご自分で魚をさばくとなると腕まくりで「くぅー!」なんて力が入るので、そのギャップが、ご本人も見ている私も楽しいですね(笑)。
――青山のセレブな空間でそんなことが行われているとは!(笑)
マカロン 意外性がおもしろいでしょう? うふふ。
でも、生徒さんに作業をしていただくことこそ大事。見て食べていただくだけじゃ「あら楽しそう」「おいしかった」で流れてしまうけれど、ここでは「こんな経験なかなかない。来てよかった!」と感じていただきたいから、いろいろ仕掛けを考えています。
「美食家男性クラス」とは?
――イタリア料理のほかに、フランス料理のクラスもあり…美食家男性クラスというのも気になります。
マカロン 私が美食家男性クラスをはじめるまで、こういうクラスはあまりなかったと思います。
単に男性向けということならば、たとえば定年を機に「ごはんとみそ汁、肉じゃがぐらいはつくりたい」と、必要に迫られて料理をされる方向けの教室はあったでしょう。
私がイメージしていた男性向けのクラスは実用目的だけではありません。ヒントはパリのオテル・リッツの「エスパドン」で、修行中に知り合ったポワソニエ(poissonnier=魚料理の料理人)が教えてくれました。
彼は「料理教室に転向する!」と店を辞めたのですが、仲がよかったので私は何度か彼の教室を見学に行ったことがありました。あるレッスンが男性向けのコースで、それがとってもおしゃれだったんです。
昼12時ごろからナイスミドルたちが集まり、おもむろにネクタイを外し袖をまくり、料理をつくって試食して、軽くお酒を飲んで仕事に戻っていく、みたいな。
そこで私、「これだ!」とひらめいて、日本に帰ってから「美食家男性クラス」をはじめることを決めたんです。
男性向けのレッスンは「かっこいい男づくり」がサブコンセプトで、あまり細かいことはご説明しません。たとえばトマトの扱い方も、通常の初級クラスでは細かく解説をしますが、男性クラスではとりあえず手で潰したり。
料理はただサーブするのではなく素材を見せるところからスタートとか、プレゼンテーションの工夫も重要。美食家男性クラスでは、いかにゲストを喜ばせるか? いかに自分が楽しむか?がテーマですね。
――生徒さんの年齢層は?
マカロン 20~70代と幅広いですね。ただ、私は年齢があまり気にならないんです。以前、幼稚園の先生をしていたこともありますが、3歳の子どもも70歳の方も同じように楽しく会話ができちゃうんです。
教室にいらっしゃる方には、「ここに来たら肩書きは捨ててください」とお願いしています。
生の食材と向き合うときに、会長さんだろうと弁護士の先生だろうと関係ありません。「ここではみなさん、私の生徒ですから」って(笑)。
陰でいたずらをしている生徒さんを見つけて、「ほらそこっ!」って注意すると、「オカンみたいだな」「中学の頃の先生か!?」と怖がられますが、日々厳しいビジネスの舞台で戦ってらっしゃる方に、素の自分に戻れる瞬間をつくってさしあげられたらと思っています。
完全オーダーメイドの出張料理
――【Le Macaron YUKA.】(R)の公式ページを拝見すると、出張料理を依頼するところから、打合せ、メニューやテーブルコーディネートの確定、そして当日を迎えるまでの流れがよくわかります。
マカロン 出張料理の現場で私は、料理教室の先生ではなく職人。作品をつくりあげることに専念します。服装も、料理教室は黒いシャツに黒のパンツですが、出張料理人になるときは白のコックコートでメイクもしません。
出張料理のスタイルは大きく分けると2パターン。10~15名様、多いときは100名様の立食スタイルと、6~10名様ぐらいの着席スタイル。でも細かいところは個別に対応していますので、スタイルは無限ですね。
ママ友仲間が子どもが走り回っても気兼ねなくワイングラスを傾けられるパーティをやったと思えば、会社の役員会や企業同士の会食会もプロデュースしたり。
出張料理は、料理を並べ、それを食べていただくだけが目的ではありません。依頼人の思いをメニューやテーブルに盛り込み、ご希望どおりの時間を過ごしていただくことが大事なので、事前の打合せでの聞き取りがとても大切です。
――出張料理人として、一番大切にされていることは?
マカロン お客様の気持ちに120パーセントこたえることです。
ご依頼をいただいて、打合せを進めるなかで、担当者の思いを聞いているうちに、なるべく多くのご要望を叶えてさしあげたくなります。
仕掛けが多いほど準備は大変ですが、「これは無理?」と及び腰になっても、「実現したい!」「よりいいものをつくりたい」という思いがつい勝ります。
――依頼人の思いに寄り添われてお仕事をされていらっしゃる。
マカロン 可能であれば本番の1ヶ月前から打合せをはじめ、細かく詰めていきますから、だんだんと「一緒につくりましょう!」という空気ができていきます。
ですから当日、お食事会が終わると、ただレストランに行って食事をしたのとはまったく違う達成感を、ご依頼人も、ゲストの方も、私たちも分かち合えるような気がします。
それが出張料理のやりがいですね。
――出張料理というと、少し敷居が高いと感じる方もいるかもしれません。
マカロン 普通のご家庭でもやらせていただいていますよ。…なんて言うと、生徒さんからは「先生、普通って?」と突っ込まれるんですが(笑)、わかりやすく言うと2口コンロのキッチンでも出張させていただいています。
8人のパーティがしたくても、揃いのお皿が8枚あるお宅はなかなかありません。お皿もグラスもカトラリーもこちらでお持ちしますから、安心してご依頼いただきたいです。
――ほかにはない食事会がやりたければマカロンさんにご相談すればよい、と。
マカロン ええ。たとえば準備に時間がかけられなくても、予算に制限があっても、ある程度は対応できます。
先日も、お母様へのサプライズパーティーのご相談があったのですが、「母を2時間連れ出すので、そのあいだにセッティングして欲しい」というご要望で。ご家族とスタッフが一丸となって、2時間でご依頼者様のお宅をパーティスペースに変身させたら、お母様が号泣され、スタッフももらい泣き、みたいな経験もありました。
――毎回ドラマがあって楽しそうです。
マカロン 楽しいですよ。それに貴重な体験をさせていただけて、この仕事に感謝しています。
(次回へつづく)
インタビュー=深澤真紀(タクト・プランニング)
テキスト=橋中佐和(タクト・プランニング)
写真=下村しのぶ

講師:マカロン由香
日時: 2010年04月03日(土)
場所: パーティスペース Dreamia新宿
(クリナップ新宿ショールーム内)
マカロン由香さんの講座開催決定!
詳細はComing soon...

マカロン由香さん
出張料理人
日本女子大学卒業後、教育業に従事。
エコール辻東京フランス・イタリア料理マスターカレッジ卒業後渡仏。
エコール・リッツ・エスコフィエディプロマ取得。
ホテルリッツ「エスパドン」、三つ星レストラン「ルドワイヤン」「アルぺージュ」で修行を積み帰国。
帰国後有限会社サブライムとして出張料理【La Macaron YUKA.】、料理教室【La Macaron YUKA.】を主宰、2008年にはM&C株式会社を立ち上げ、ワインバーやレストランプロデュースを手掛ける。
出張料理人、料理講師、講演、雑誌掲載、レシピ開発、ラジオ・テレビ出演他
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