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「食べる幸せ」に溢れた先生の夢

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川上文代(かわかみ ふみよ)さん

インタビュー 連載第4回

渋谷区広尾にある料理教室、デリス・ド・キュイエール。主宰である川上文代さんは、辻調理師専門学校卒業後、国内外での修行を経て母校の教壇にも立たれるプロ中のプロです。専門もフレンチ、イタリアン、パティスリーを中心に多岐にわたり、現在は講師業のほか、本や雑誌のレシピ開発、店舗のプロデュースと幅広くご活躍中。バイタリティの塊とも言える川上さんのデリス・ド・キュイエールへの思い、そして「食」への徹底したこだわりに迫ります。

掲載日: 2009/12/25(金)

――フランスで講師をされた時期、先生は三ツ星レストランで研修をされています。とても貴重な体験ですよね。厨房はどんなところでしたか?

川上 いろいろ勉強になりましたが、なにより印象に残っているのは「とにかく食べ物を捨てるなー」ということ。

――「食べ物を捨てる」??_SSP1536.jpg

川上 ええ。ケーキはお客さんに見せて選んでもらってからカットするでしょ? ピースが半分ぐらいになると見栄えが悪いからお客さんに出せないんです。
以前は東京のレストランでも、Chariot de dessert(シャリオ・ドゥ・デセール)というデザートのワゴンをテーブルまでゴロゴロっと運んで、お客さんの前でカットしていましたが、今はこれをやっている店はほとんどありません。コストがかかりますから。

当時の三ツ星レストランはケーキやチーズが残り半分になったらお客様には出さない、というのが徹底されていましたから、まかないにずい分回ってきて、「わー!」なんてばくばく食べていましたね。
チーズを蒸かした新じゃがと合わせて食べて、ケーキも食べて…と調子に乗っていたら、ある時消化不良で食べたものが胃に入っていかなくなって死にそうになって(笑)。車で30分くらいの宿舎に慌てて帰って胃腸薬を飲んでやっとすっきりしました。

――死ぬほど食べても胃腸薬で治っちゃうんですか!?(笑)

川上 私、人の倍は余裕で食べられると思います。うふふ。

●「おいしそー」と夢中で描いたお菓子の家

_SSP1649.jpg――(笑)食いしん坊は子ども時代からですか?

川上 ええ、ずっと(笑)。出身地の館山はお祭りがたくさんある土地柄なんですが、お祭りに行くと「あれ食べたい」「これも!」とうるさいので、父と一緒に行くとまず必ずニッキのお店に連れて行かれました。
ニッキをしゃぶっている間はニッキに夢中でとりあえず静かにしていたからだったと、今振り返ると思いますが、私は「ニッキの香りっていいな」と大満足だったんですね。

家族はみんな食べることが好きで、姉も今は料理の絵を描く仕事をしているくらいです。

 私も子どもの頃、姉と一緒に絵を習っていましたが、絵を描いていても食べることが忘れられなくて、小学3年で「ヘンゼルとグレーテル」のお菓子の家を油絵で描いたことがありました。
この絵は賞に入選して、上野の美術館に飾られたんですけど、私は賞のことは頭になくて、クッキーとかチョコレートでできた家やキャンディが敷き詰められた道を「おいしそー」っと思いながら夢中で描いていただけなんです。
きっと好きなものを描いている「楽しい!」という思いが絵に表れたんだと思います。

――料理を作る上でも、絵を習われた経験は活かされていそうです。

川上 そうですね。お皿の上の色のバランスや盛り付けの構図は、絵を描くのと似ていますから。
赤い色をまとめて配置するか、少し散らばせてみるのかとか、緑を入れたい場合も、同じ食材を使うのではなく、いろいろな食材のいろいろな緑で表現してみたりとか。ソースの色や流し方にも役立っていますね。

――お菓子の家は子どもなら誰もが憧れますけど、絵に描いてしまうところが食いしん坊の先生らしいですね(笑)。

川上 水族館に行っても「この魚はどうやって食べると美味しいかしら?」とつい考えちゃいますから。海外でも水族館に行くのは「この国ではどういう魚が食べられるか?」をリサーチするためだったりして(笑)

●ビジネス的視点が教室を長生きさせる

モロッコ、チュニジア土産のティーセット.jpg――遊んでいても仕事をしていても、「食」を命一杯楽しまれてる先生ですが、ビジネスということをしっかり考えられていますね。

川上 ええ。皆さんと楽しく過ごしながらも、「スタッフを養っていかなきゃ!」という意識は常に持っています。
スタッフにはデリスで長く働いてもらいたいので、お給料もしっかり払いますし、福利厚生も考えます。
皆さんと楽しく過ごしたいからこそ、しっかりビジネスとして成り立たせなきゃいけないな、頑張らないとスタッフの生活を守れないな、それが私の仕事だな、と思っています。

だから、ここで学んで開業される生徒さんにも「ちゃんとビジネスになってる?」というのはよく言っています。
 失敗する人とうまくいく人の違いは、お金のことをちゃんと考えているかどうかなので、嫌がられてもお説教して回っています(笑)。

――そんなお忙しい先生を支えているのがプライベートの充実ぶりだと思います。本当にあちこちよく旅行に行かれるし、よく食べ歩きをされている。

川上 今年はモロッコ、アイルランド、イギリス、北海道、松山、唐津、壱岐、あと慰安旅行でベトナムに行きました。

旅先でもやっぱり気になるのは料理のことで、ベトナムでも現地のお料理教室に4箇所くらい行きました。
日本でお料理教室に行こうとしても「先生が来るんですかー! 緊張するからやめてくださーい」「来てもいいですけど授業は見ないでください!」と拒否されることもあるんですが、海外のお料理教室は気軽に行けるのがいいですね。

「私も日本で料理教室をやってるんですよ」と自己紹介すると、先方も気合が入るみたいで、とっても熱心に教えてもらえます。
 私はわからないことがあるとその場で解決しないと収まらない性格なので、興味津々でいろいろ質問しますから、教えがいがあるみたいで。「私も楽しかった!」と先生も喜んでくれます。

●キッチンは「みんなが集まるうれしい空間」

_SSP1508.jpg ――料理以外のご趣味はないのでしょうか?

川上 うーん……(しばし考えている)。

すみちゃん 先生は宝塚がお好きですよね。

川上 そう! 宝塚とかミュージカルの舞台は好きですね。
大阪でアシスタントをやっていた頃はお給料が少なくて劇場まで見にいけませんでしたが、テレビで放送していた「Oh!宝塚」を見て「いいなー」と憧れていました。

実は母方の祖父が浅草でかんざし職人で、芸子さんにかんざしが売れると「宵越しの金は持たねぇぜ!」みたいな感じで演芸場に出かけていくような粋筋でした。
祖父の影響で母も芸事が好きですから、それが私の宝塚好きにつながっているのかもしれません。

――なるほど、今のお話で先生のチャキチャキした江戸っ子っぽい感じに合点がいきました。ところで、先生の夢はなんですか?


川上 トースト屋さんを始めたいんです!(即答) トッピングをいろいろ変えるとトーストは毎日食べても飽きないし、楽しいじゃないですか。「365シリーズ」もトースト編(『I LOVEトースト365』)があるんですが、グラタンのせてもおいしいし、鮭トースト、納豆トーストも簡単にできて、健康にもいいし。
テイクアウトもできるようなお店の物件を探してみようかなーと思ってるところです。もう店長は決まってるんですよ(笑)。

――思いのほか具体的ですね。それは夢というより事業計画です、先生(笑)。

川上 将来的な夢といえば、デリス・ド・キュイエールのビルを建てたいです。1階がレストラン・カフェ、2階が教室、3階が自宅がいいな、と思って。これを実現するには資金がかかりますからなかなか…ねぇ(笑)。

――先生のバイタリティなら実現も夢じゃないような気がします。
 では、最後に伺いましょう。先生にとってキッチンとは?


なんだろう!? とにかくずーっとキッチンにいますから、なくてはならない空間です。私にとってキッチンは「みんなが集まるうれしい空間」かな(笑)。

(おわり)

インタビュー=深澤真紀(タクト・プランニング) 
テキスト=橋中佐和(タクト・プランニング
写真=下村しのぶ

先生に直接学べる講座

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 講師: 川上 文代(かわかみ ふみよ)

日時: 2010年02月11日(木)祝日

場所: パーティスペース「Dreamia 新宿」
          (クリナップ新宿ショールーム内)

川上文代さんの講座開催決定♪

詳細はComing soon...

 

プロフィール

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川上 文代(かわかみ ふみよ)

料理研究家
「デリス・ド・キュイエール 川上文代料理教室」主宰

1965年、千葉県館山に生まれる。
1996年、東京・広尾に「デリス・ド・キュイエール 川上文代料理教室」を開設。
持ち前の明るさと気さくな性格と確かな技術に裏打ちされた “本物の技”は知る人ぞ知る存在となっている。
教室では本格的なフレンチ・イタリアン・パティスリーを中心に、基本の家庭料理、世界の料理、オリジナリティ豊かな料理を提案。
辻調理師学校外来講師、NHKきょうの料理講師、雑誌や新聞へのレシピ掲載、企業での料理開発、食育インストラクター、料理コンサルタントとしても活躍。

デリス・ド・キュイエール 川上文代料理教室HP

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デリス・ド・キュイエール

所在地東京都渋谷区広尾1-7-2 藤和広尾レジデンス404

TEL03-3406-0099

FAX03-6427-6969

 

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